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概要編集

NHK大河ドラマの第3作として、1965年1月3日から12月26日にかけて全52話が放送された。原作は吉川英治の小説『新書太閤記』。大河ドラマとしては初めて戦国時代安土桃山時代)を取り上げた作品でもある。


企画・制作編集

娯楽時代劇を志向していた前2作とは異なり、本作は演出担当の吉田直哉の意向もあり、現代人の視点から歴史的出来事を描く歴史ドラマ路線へと転換した。

一例として、初回は前年に開通した東海道新幹線や豊国神社の実写シーンから始まったことなどが挙げられる。


路線変更は、出演者の傾向という面にも及んでいる。主役である秀吉役の選考には、「若くて猿っぽい顔」を求め様々な若手俳優が候補に挙がったが、前出の吉田直哉が「新国劇に猿に似たヤツがいる」という情報を聞きつけ、デスク担当者にその人物の写真を撮らせた。それを脚本担当の茂木草介に見せた所、「これならいける」と主役に決まったのが、他ならぬ緒形拳である。

石田三成役には当時慶應義塾大学に在学中であった石坂浩二「頭が良さそうに見えるから」という理由で起用された。石坂の出演にあたっては、大学に「この出演で単位を落としても文句は言わない」という誓約書まで提出している

他にも信長役には、当時文学座の研究生であった高橋幸治が抜擢されているが、こうした新人や若手俳優の起用については、「ドラマのプロ」ではないと自認する吉田が、従来の大河ドラマのように週に1日程度しか撮影できないスターでは十分な稽古ができないとして、これを提案した事が大きいという。


こうした新人をメインとした起用によって、俳優のギャラが抑えられたことで本作は大規模なロケーションの敢行が可能となった。1965年の1月初頭に栃木の塩原町(現・那須塩原市)にて行われた桶狭間の戦いのシーン撮影を皮切りに、以降も度々合戦シーンのロケ撮影が実施され、このうち前出の塩原や、8月に行われた長野の北竜湖でのロケに際しては、テレビドラマとしては初めてヘリコプターからの空中撮影も試みられた。


反響編集

平均視聴率は31.2%、最高視聴率は39.7%を記録した。

信長役の高橋幸治の演技が人気を呼び「信長を殺さないで」という助命嘆願まで相次いだ。そのため、本来第32回で放送するはずだった本能寺の変を、2ヶ月余りも後ろ倒しして第42回まで延期された。しかも、信長はその後の回想シーンでも登場している

前述の通り全52話である中で、本能寺の変を全体の4/5を過ぎた42話まで引っ張るとなると、残りの10話で山崎の戦い(1582年)から秀吉薨去(1598年)までの16年、しかもこの間に起こっている賤ヶ岳の戦い小牧・長久手の戦い、紀州征伐、四国征伐、九州征伐、小田原征伐、朝鮮出兵、秀次の切腹などの様々な事件を描かなければならなくなる。

描きようによってはできないこともないかもしれないし、実際に本作は(小牧・長久手の戦いまでで終わった原作の範囲を超えて)秀吉の生涯を描ききっているが、(後述の通り殆どの回が現存せず限られた情報しか残されていないとはいえ)かなりの駆け足で進んだであろう事は容易に想像できよう。


主な登場人物編集


スタッフ編集

原作:吉川英治新書太閤記

脚本:茂木草介

音楽:入野義朗


映像の現存状況編集

2022年現在、撮影上の都合からフィルムが残されていた本能寺の変を描いた第42回のみが現存し、DVD化もなされている。また同話数にて回想として挿入された桶狭間の戦いについては、当該シーンと制作現場を撮影した映像も残されている。

この他具体的な話数の特定には至っていないが、主演の緒形拳が2008年に逝去した際、NHKのニュースにおいて第42話にないはずの、秀吉とねねが戯れるシーンが紹介されていた。


備考編集

緒形拳と高橋幸治は、本作から13年後の1978年に放送された大河ドラマ『黄金の日日』にも、それぞれ同じ役で出演しているが、これは「同じ人物が出てくるのに違う役者が演じるのはおかしい」という、同作プロデューサーの近藤晋の提案によるものである。


総集編」という言葉が初めて使用されたのは本作の総集編(1965年12月30日に前半が、同年12月31日に後半が放送)である。


関連タグ編集

NHK 大河ドラマ 豊臣秀吉 緒形拳


赤穂浪士太閤記源義経

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