山狗(ひぐらしのなく頃に)
やまいぬ
「ひぐらしのなく頃に」に登場する、架空の陸上自衛隊部隊のひとつ。
秘密結社《東京》に属する部隊・ないしは東京の特命で動ける陸上自衛隊の特務部隊の一つ。
本来は、毒ガス戦の研究を名目として極秘裏に設立されたといわれ、正式な名称は「第733装備実験中隊」とされる(元ネタはおそらく旧日本陸軍の731部隊)。東京の一部派閥からの要望もあり、雛見沢症候群を生物兵器として転用する研究にも関与している。
もちろん現実かつ当時の陸上自衛隊ではあり得ない存在である。そもそも日本は1982年の時点で生物兵器禁止条約(毒ガス等は別の条約)に批准すると同時に、国内法で細菌(生物)、毒素兵器の製造等を禁止しているため、本編(1983年)では既に違法な存在と化している。当然これを問題視する派閥もあり、雛見沢症候群の研究が打ち切られる理由の一つとなっている。
機密保持を専門とし、諜報・工作等、雛見沢においては主に荒事を片付けることを仕事としており、L5発症者の確保なども行っている。
隊長は小此木鉄郎が務めているが、元々小此木をはじめとする同隊の隊員一同は戦闘職とも言えるセクションだったため、これを見た鷹野三四に「戦闘職では決して体験できない諜報や工作も経験できる」という誘いを受けて、鷹野に部隊ごと買収されるという形で属することになった。
入江機関の要人警護及び女王感染者の警護を任されている。練度は確かにあるが、それでも《番犬》には劣っている(後述)。
隊員は雛見沢の一市民や、隊長・小此木が経営する「小此木造園」の従業員として溶け込んでおり、その他にも雛見沢周辺地域、県警内部等に工作員を配備している。
しかしこれら裏工作のため、自衛隊以外(警察、消防、民間技術者)からも人員が出向している関係上、部隊員には腕立て伏せが100回も出来ない隊員が多数居る、と小此木が嘆いており、結果的にこれが戦闘力の低下(部活メンバーによる蹂躙)に繋がったと思われる。
終末作戦の実行部隊であり、緊急マニュアル第34号に基づき住民の処分(雛見沢大災害)を行った。
山狗は上述の通り鷹野に買収されているが、漫画版ではこの作戦中に泣いている隊員が居り、部隊が犠牲者に黙祷をする等、彼らが裏の事情をどこまで知っていたかは不明である。知っていた場合、金で買収されて大量殺戮に加担しておきながら、罪悪感を覚えていることになる。
なおゲーム版の字幕では、名前の部分が班員でも山狗でもなく、自衛隊員となっている。更に普段出てこない中隊長(小此木ではない)が居るため、山狗とは別部隊(装備実験中隊の本隊)の可能性もある。
更に終盤において、錯乱した山狗隊員が「給料貰ってやってるだけなんだ!」と発言しており、この期に及んであくまで「給料」だと言い張っている。単純に買収された自覚が無いだけか、最悪末端の隊員には金が渡っておらず、買収の事実や裏事情を知らない可能性がある。
そもそも鷹野の資産(アニメ版で小泉が提供した額は10億)が莫大とはいえ、入江機関職員や山狗(陸上自衛隊における中隊は約200人)全員に分けると、割に合わない額になる可能性がある(当時と現代ではお金の価値は異なるが、そこまで大きな差は無い)。なお漫画版では、山狗買収に使用したのは1億と鷹野が発言しているが、こちらはどう考えても少な過ぎる。
祭囃し編では雛見沢分校の部活動メンバー一同のアクションによりその行動を阻まれた上で、この暴挙を見かねた富竹ジロウが《番犬》の出動を決断し《山狗》を完全包囲するに至った。
頑迷かつ迷走する指令を出し続ける三四に対し、ついには隊員が責任追及を加えた報復を行い、あわや三四を殺害するという直前に富竹の呼びかけにより隊長・小此木は司法取引に応じる旨を告げ、隊員たちも投降した。
その後の顛末は描かれていないが、自衛隊の一部隊、それも特務部隊ともいえるものが一士官によって買収により私物化されていた事実なら自衛隊の倫理規定違反であることは明白であり、そもそも存在自体が時代に合わなくなっていた山狗部隊は、事件後解体されていると考えられる。
澪尽し編では山狗も切り捨てられたため、鷹野に最後まで付き従っている。
アウトブレイク及び神姦し編では、疑心暗鬼による同士討ちや暴徒襲撃等で壊滅している。この時大半の隊員(本隊と思われる災害派遣部隊を含む)は、予防薬の投与や防護服の着用をしていたが、予防薬が効かないη173があらかじめ散布されていたため、感染者が出ていた。
・人員(幹部)
- 鷹野・3佐
厳密には違うのだが、階級上は上官である上に、買収で私兵化している。
- 中隊長・1尉
3佐である鷹野に対し敬語かつ、陸上自衛隊では人員の関係で1尉が中隊長である事が多いため、彼も1尉だと思われる。
恐らく彼が第733装備実験中隊の中隊長であり、小此木はあくまで分遣隊(山狗だけ)の隊長である可能性がある。この場合なら、2尉である小此木がが中隊長なのはおかしい、という指摘にも矛盾が生まれない。
- 小此木・2尉
山狗部隊の隊長。上記の通り、あくまでも分遣隊の隊長である可能性がある。
・人員(隊員)
・班
部隊は班ごとに分かれており、小此木以外は班長が指揮を執っている。常設された班の他、狙撃班等の臨時編成もある。
各班の人数は白鷺23が確認できるため、最大23名と仮定すると、最低でも1人は居る鴉を含め約90人程となる(研究所の職員を除く)。
また機密保持(滅菌)部隊に関しては、普段居ない中隊長(及び車両)が居る事から、中隊の本隊だと思われる。
- 鳳(おおとり)班
隊長である小此木が班長を兼任。
- 白鷺(しらさぎ)班
対車両用に対戦車火器を装備している。
- 鶯(うぐいす)班
鶯1は小此木や他の隊員から高く評価されており、恐らくレンジャー課程修了者と思われる。更に羽入の気迫を本能的に感じる事ができている。
- 雲雀(ひばり)班
かの有名な雲雀13が所属する班。
- 鴉(からす)/東京班
東京に居る班で、山狗が調査部に潜り込ませたスパイ、調査部の動きを監視している。人数については不明だが、調査部で活動する関係上、1人から数人程度と思われる。
- 狙撃班
恐らく常設の班ではない。鶯班の人員が担当している。
- 衛生班
負傷した隊員等を治療する、衛生担当。
- 保安部隊/武装保安隊
入江診療所(研究区画)の警備等を行ってる部隊、ゲーム版では鳳班の人員が担当している。
- 散布部隊
澪尽し編に登場する、H173-02の空中散布を担当していた部隊。
これら以外にも、岐阜県警や興宮署、電話会社等に潜入している協力員が多数居る。
現実の自衛隊が装備する物以外にも、独自に調達したと思われる装備が多数ある。また媒体によって装備が異なるため、番犬部隊と装備の差異が無いパターンもある。一部装備は当時最新鋭であったり、中には時代的にまだ存在しない物もある。
- 各種装備品
・ナイフ
・各種手榴弾
・テーザー:漫画版とアニメ版で形状が異なる、漫画版ではテーザー銃。
プラスチック爆薬:園崎家の扉を爆破するのに使用。
・防弾盾
・信号弾:拳銃に照明弾用のアダプターを装着して使用。
- 拳銃
・9mm拳銃:当時最新の自衛隊装備、漫画版で使用。
・S&W M39:アニメ版の隊員達が使う拳銃は、基本これで統一されている。
・コルトM1911:漫画版等で使用。
・ベレッタ92F:漫画版やパチンコ版等の映像で登場。
・トカレフ:大臣の孫誘拐犯=山狗部隊が使用。
・マカロフ:漫画版で小此木が、小此木造園の机の引き出しに隠している。
- 短機関銃・自動小銃・狙撃銃等
・MP5SD3/A5:なおA5は当時存在しない機種。
・M16:漫画版ではこちらも使用、当時最新のA2と思われる。
・64式小銃:恐らく本隊と思われる部隊が、治安維持に使用。
・AK-74:漫画版の滅菌作戦で使用。
・GP-25:上記AK-74に装着されている。
・ドラグノフ:漫画版で狙撃班が使用。
・ボルトアクションライフル:ゲーム版のガンラックには、MP5SD3ではなくこちらが並んでいる。機種不明だが恐らくM700と思われる。
・RPG7:榴弾のみを対車両用に装備。
・ブローニングM2重機関銃:恐らく本隊の装備、82式に搭載。
- 車両・航空機
・白いワゴン車:主な移動手段。
・トラック型指揮車
・ヘリ:澪尽し編でH173-02を空中散布しようとした、農薬散布用の小型機。
・73式中型トラック:旧型、恐らく本隊の装備。
・82式指揮通信車:恐らく本隊の装備、治安維持部隊として派遣。
- 被服・装具等
・作業服:自衛隊のOD作業服ではなく、民間の整備員風の物。
・スクーバダイビング用器材:沼やプールで使用している。
・ガスマスク:自衛隊の防護マスク3型。
・防護服:自衛隊の防護服、OD色と白色が登場する。
・暗視装置:米軍のAN/PVS-5。
・無線機:自衛隊の野外無線機。
・リュックサック:アニメ版でRPG7を分割して収納している他、漫画版で隊員達が背負っている。