愛天使世紀ウェディングアップル
あいてんしせいきうぇでぃんぐあっぷる
富田祐弘を中心とした6人の脚本家チームによって作られているビジュアルノベル。
ビジュアルノベル企画サイトのひとつであるタップノベルにて2021年6月から発表されている。
作品登場当初には略称や愛称などは特に設定はされていなかったが、後述する関連作品との兼ね合いから「ウェプル」と呼ばれる事がある。のちに公式Xアカウントの稼働に伴い「ウェプル」を公式の略称および関連タグとする事が発表された。
ちなみにタップノベルの運営および、本作のチームに参加している脚本家は、全員富田の教え子である(富田祐弘は自らの所属している脚本家協会にて研究室を持っており、脚本家養成講座とゼミを開講している)
脚本陣がチーム体制になったのは、タップノベルの運営(と富田)が自社所属の作家(脚本家)陣に「シリーズ構成のもとに複数の人間で繋がりを持つひとつの作品を作る」(要はテレビアニメなどにおけるチームでの脚本制作の)経験を(擬似的に)積ませる事を目的としたため。
20世紀末(1994年~1996年)に富田が手掛けた「愛天使伝説ウェディングピーチ」(作画:谷沢直、通称は「ウェピー」)の流れを組む作品で、同作との関連は現時点では無いが、同作の後継作と言える。
なお、タップノベルによる企業企画作品(要は『ウェディングピーチ』とは別社の作品)であるため、本作においては谷沢や旧作アニメ版キャラデザである只野和子および監督の湯山邦彦の参加は無い。
なおタップノベルからは通常版の他に西本りみによる朗読版も出されている。
ウェディングピーチでは主要人物が中学生だったが、本作では主人公は高校生へ引き上げられ、人間関係と登場人物の年齢の幅広さは聖闘士星矢Ωを連想する。
ウェピー同様、人生の永遠のテーマとも言える「愛」と「結婚」をテーマとしている。
しかしウェピーのリアルタイム当時である平成初期(20世紀末)とは異なり、個々人の嗜好や認識が広がりを迎えている平成後期から令和時代(21世紀前半期)を前提として、センシティブな意味で多様化を迎えている関連価値観を踏まえる事を意識しており、このテーマにウェピーとは異なる切り口で挑んでいる。
なおウェピーのリアルタイム時においても、ウェピーは当時の子ども向けとしては多用的な恋愛模様を描いていたが、まず「幼年向け作品である」事が前提にあった事と、よりフリーダム&やりすぎに過ぎた『美少女戦士セーラームーン/旧アニメシリーズ』(こちらも富田が脚本と構成を手がけた作品)との差別化のために「あくまでも子どもたちが触れる基礎として、異性間恋愛を描く」事を主軸としていた。
ウェディングアップルでは「年齢層の高くなるビジュアルノベルゆえに、その制限が無いため『ウェピー』では扱いきれなかった、より広いテーマに挑戦できる」としている。
ウェピーも構想当初はジュブナイル小説(今で言うライトノベル)の企画として始まった事を鑑みれば、ある意味では原点回帰した企画作品とも言える。
*公式サイトより抜粋
朝陽林檎は結婚に憧れを持つイマドキの女子高生。そんな彼女の前に突然女神が現れ、林檎が天使の血を引く戦士『愛天使』であると告げる。戸惑いつつも愛天使ウェディング・アップルに変身した林檎は、街に現れた悪霊を見事に撃退。林檎は他の愛天使たちと協力し、悪霊を操る強力な悪の集団との戦いに身を投じていく。
主人公と周りの人たち
朝陽林檎/ウェディングアップル
CV:橘美來
ウェディング会社にてアルバイト(インターン)している17歳の女子高生。幼い頃の思い出から、結婚と愛情を一途に信じている純粋バカ。
女神さまいわく「天使の遺伝子」を持っており、彼女の導きと祖母から受け継いだリンゴ型のブローチによって、愛天使ウェディングアップルに変身。地球の「愛」を破壊して、その後釜に「渇望」や「欲望」(もっと言えば獣欲)を据えようとしている悪魔や、そのしもべである悪霊たちと戦う。
愛天使としては悪霊を写真に封じる「聖カメラ」(ラブリィ・ショット)と、悪霊に取り憑かれた者に「愛の記憶」を思い出させる銅鐸「ウェディング・ベル」を使う。(ほぼ先代主人公と同じ技の使い手と言える)
苗場 桜/ウェディングチェリー
CV:日向もか
結婚式場に生花を卸している花屋「苗場生花店」の娘。
生意気盛りの中学二年生。生花店の経営や、桜の養育と将来をめぐって両親が対立している事から、愛情や結婚を信じられなくなっている。そのため自分と正反対の林檎を「現実が見えてないバカなアルバイト」として疎み蔑んでいた。
両親の対立で弱った心を狙った悪魔につけこまれて悪霊化されかかるが林檎による「それでも愛されて求められたから桜ちゃんが産まれたの」との説得によって心の力を取り戻し「天使の遺伝子」が覚醒。愛天使ウェディングチェリーとなる。
愛天使となってからは行動がツンデレになっている。また愛天使としては愛の花吹雪で悪霊や悪魔の感覚を狂わせる「フラワー・ブリザード」を使う。(なので役割的には黄色い子の後継者と言える)
実は密かにマンガ・アニメ・特撮など、ソッチ系のコンテンツが大好きで、密かなシュミであったりする。
雪代 椿/ウェディングカミーリア
CV:宮沢小春
式場内の飲食店で働く26歳。第1話の被害者。
恋愛には積極的で「運命の出会い」を求めて様々な男性と付き合うが、ことごとく長続きしない。と、いうのも言動を見るに「自分を無条件に信じてくれる(と、自分がやる事に一切口出しせず文句を言わず盲従し、なんだってしてくれる)人」というのが条件らしく、その条件に少しでも合わなければ(疑う事はもちろん、少しでも日常行動やスケジュールを訊ねたり、都合の悪いときに連絡がかち合ったりする事すらNG)スグに相手を切り捨てるため。
実は名家出身のワガママお嬢様だが、家出している。
第21話で愛天使に覚醒。愛天使ウェディングカミーリアとなり戦いに身を投じる事となる。
武笠 蘭/ウェディングオーキッド
CV:夏目ここな
林檎の幼馴染にして同級生。空手道場の娘。
自身が空手家として「強さ」を極めていき、道場の男子たちすら及ばぬ女子力(物理)を手に入れている事から、男性の事は「弱くて気持ち悪い奴ら」として軒並み蔑んでいる。
一方で天真爛漫で明るい林檎の事は、とても大好きで、彼女に心から惹かれており、時折、危ない発言が飛び出す。(ただし林檎からは天然スルーされている)
第30話で林檎(アップル)のピンチに直面。林檎を助けたい思いから愛天使ウェディングオーキッドに覚醒し林檎を守るため彼女の新たな仲間となった。
霧乃あやめ
CV:相川奏多
林檎がアルバイトしている会社の女社長。33歳。
関連するかどうかは解らないが、何気に前作や競合作のリアルタイム世代と見る事ができる。
小学生の息子がおり、仕事と子育ての両立に苦慮している。
旦那が失踪しており、そちらも悩みのタネ。
黒岩優斗/クローバー
式場内併設の旅行代理店(新婚旅行プランが主力)に務める26歳の会社員。しかし社会人の割に普段のスタイルは、かなりラフで社会(会社)人にはとても見えない。(……まぁ発表メディアが「ビジュアルノベル」である、という都合上の事なので、そのあたりはやむない部分がある。このあたりはどっかのメガネ学生服やしまむら主人公などと事情は同じ)
事ある毎に林檎をからかう、富田作品ではおなじみ「イヤミなヤツ」枠の青年。もちろん、ふとしたきっかけで優しい一面を見せるというお約束も健在である。
さすがにお助けキャラにはならんだろう……とか思っていたらなってしまった。
ふたした成り行きで、白い燕尾服とフルフェイスヘルメットに身を包み純白のバイクを駆る、白き仮面のライダー・クローバーとして愛天使と悪魔たちとの戦いに介入するハメになる。(もちろん林檎たちにはバレてない)
戦いの中で悪魔の妖気を吸収する能力を発現(本人には能力を使用している自覚は無い)するなど不穏なモノが垣間見えるキャラ。
何だか前作の次番組に登場した追加戦士みたいなのは気のせいか?
朝陽潤一郎
林檎の父親。結婚式場を取引相手に持つ記録カメラマン。
苗場美樹
桜の母親。親から受け継いだ「苗場生花店」を切り盛りしているが、経営はトントンであまり芳しくはない。しかし、いつかは生花店を盛り立てて桜に継いでもらいたいと思っている。
しかし夫である大地からは「現実が見えていない」と非難されており、その夢を解って貰えない。
苗場大地
桜の父親。辣腕かつやり手のエリート会社員。妻が運営している生花店に関しては、自らの経営的視点から「未来は無い」と踏んでおり、それゆえに美樹が願っている「桜に店を継いでほしい」という考えは「桜を不幸にする誤った考えだ」として否定的。
本人は桜には大きな視点を持ち、大きな世界で羽ばたいて欲しいと考えており、妻の両親が生きてきたような、一つの店を戦々恐々と守るような小さな生活などしてほしくない、と考えている。(この考えはこの考えで問題があるが)
霧乃 明
霧乃あやめの息子。25話より登場。父親が帰ってこない(実質的な母子家庭である)事、母親が仕事に忙しくてあまり構って貰えない事により、親への深刻な心のわだかまりを心の傷と化す寸前のレベルで絶賛現在進行形に抱えまくる、重い事情持ちの小学生。
その一方で物分かりが良く、林檎と桜の言い合いも嫌がって仲裁しようとする優しい性格の持ち主でもある。
本作劇中の戦隊もの作品である「地球戦士マモルンダー」のファン。
女神さま
林檎を愛天使へと覚醒させた、愛の女神さま。
アフロディーテさまではない。
林檎を覚醒させて指令も出すものの、それだけで手助けなどはしてくれない。ゆえに駄女神疑惑アリ。(もしかしたらバロム1のコブーみたいに、愛天使達に試練を課しているのかも知れない。)
悪魔たち
「宇宙の渦」の奔流中枢に居城を構える悪魔。地球の生物の間に満ちている「愛」を滅ぼし自分たちに従属させる(要は地球を侵略し征服する)ために行動している。
幹部はトップを務める「ベーザイ」と、その配下である「六悪神」からなるが、描写から見るにベーザイよりも上となる存在がいる可能性が示唆されている。
また、アイドルグループFRENZYを送り出し、文化・思想面からの人間社会の掌握も狙っている。
その名前と居城の形状から、おそらくは七福神と宝船(あるいは海賊船)がモチーフ。
ベーザイ
部下である「六悪神」を束ねる女性幹部。
ブクログ
最初にウェディングアップルの前に姿を現した幹部悪魔六悪神のひとり。
FRENZYのマネージャーだったが愛天使の出現に先走り、その殲滅を狙うもしくじってしまい、組織内での立場を少しずつ危うくしていく。
任務に忠実で真面目ではあるが、その分、思考が硬直しやすくプライドだけが異様に高い。
他の六悪神いわく「ククク……奴は六悪神の中でも最弱……」であるという。
自らが悪霊にするために目を付けた桜がウェディングチェリーへと覚醒した事によって、チェリーとアップルの連携を許してしまい、あえなく散る事となった。
バビルン
ブクログに付き従う悪ウサギ。ブクログを慕っていたが、彼の死を知り愛天使への復讐を誓う。ブクログ亡きあとはホーディやFRENZYに従うが、とある事情から林檎に保護されて彼女と共に暮らす事になる。
ホーディ
ブクログに代わり愛天使抹殺の命を受諾した、新たなる六悪神。FRENZYのひとりとしては布瀬川ショウとしてドラムを担当し、マッチョキャラ枠を受け持っている。
いっそすがすがしいほどの脳筋。
ビーモン
FRENZYのトップとメインボーカルを務める、六悪神のひとり。ベーザイを敬愛している。
ダーブラック
六悪神のショタ枠。FRENZYのひとりとしては大門ダイキとして芸能活動をしている。ビーモンを兄と慕う。
様々な意味で幼く、他の六悪神からは「未熟者」と侮られており、それに不満だらけの生意気盛りな反抗期少年的性格。その不満から他の六悪神の失敗に対して揚げ足取りをするケースが多い。
戦うときは自らが生成する妖気を吸収し、大人形態に「変身」するが、妖気が尽きると元に戻る。大鎚に可変する小槌を武器として持つ。
のちに劇中の戦隊もの作品である「地球戦士マモルンダー」の大ファンである事が発覚。任務にかこつけてヒーローショーに行きたがるなど外見に違わぬ微笑ましい部分を見せる時もある。(そして他の六悪神から、ますます侮られた結果、逆ギレする)
「大人に成長」する点は「鳥人戦隊ジェットマン」のトラン→トランザを連想する(トランはトランザへ成長し、元のトランに戻らなかったが)
エビーダ
六悪神のひとりでFRENZYのメンバー。いわゆる優男枠。バンドメンバーとしては海老原カイとして活動している。
タチの悪い完璧主義のナルシスト。釣竿を武器とする。
ふとした偶然から椿に言い寄られて機嫌を損ねたため、その不機嫌を隠した上で彼女をターゲットとしてその心を玩び苦しめてやろうと企みを巡らすが、アップルに邪魔され、あげく椿をカミーリアに覚醒させてしまうきっかけとなってしまった。
ジュロー
六悪神のひとりでFRENZYのメンバー。知性派(策士)枠のメガネ男子。他のメンバーに対しては「作戦も搦め手も考えられないバカな奴ら」と評して軒並み見下している。FRENZYのひとりとしては六本木ジンとして活動している。
使い魔や悪霊に策を授け、自らは安全圏で「高みの見物」をしているのが常。そのため愛天使にしてやられた時も、その失敗を全て部下の責任としてなすりつけ、自らの立場に影響させないように振る舞っている。
エビーダ同様にナルシスト(自惚れ屋)な側面を持っているがベクトルは異なっている。(エビーダは容姿や振る舞いに対してのナルシストだが、ジュローは自らの「考え」や「頭脳」に対してのナルシスト)
愛天使伝説ウェディングピーチ:直流の先祖的作品。「愛天使シリーズ」の初作。
美少女戦士セーラームーン:言わずと知れた集団バトルヒロインの原点。『ウェディングピーチ』『ウェディングアップル』とは脚本家繋がり(シリーズ構成繋がり)作品である。
バロム1:主人公を代理人にして戦う
聖闘士星矢Ω:登場人物の年齢が幅広い
井上敏樹:スタッフとしては無関係だが、登場人物に氏の手掛けた特撮番組に登場する人物と似ているので。
地球戦士マモルンダー:タップノベルに連載されていたヒーロー物。