「望みが、叶う」
「何でも、願えばいい」
「願えばすべて、現実になる」
CV:山口ナナ
概要
『超時空の大決戦』の事件の発端となったアイテム。
『ウルトラマンガイア』がテレビ番組として放送されているパラレルワールドに暮らしている少年、新星勉のクラスに謎の転校生七瀬リサが転校してきた日に、彼が遊び場にしている廃工場の中に出現。勉の願いを受け、高山我夢を召喚した。
外見は小さくて綺麗な赤い水晶玉のような形で、手にした者の願いを叶えることが出来る。だが一度実体化させたものを消すことは出来ない。願いを叶えていくうちに形がどんどん大きくなっていき、最終的には棘が生えた歪な形になってしまう。
当初は勉が持っていたが、いじめっ子の鹿島田浩に奪われ怪獣キングオブモンスを誕生させてしまう。
正体
※以下ネタバレ
その正体は、新星勉の世界とも高山我夢の世界とも異なる別のパラレルワールドで生み出された存在。別名、人の作り出した究極のマシン。
「物質文明の最終到達地点」の名のもとに、「心に思い描いたものを全て現実のものとする」という目的で制作され、自身もそのために作られたことを自覚している。
だがそれと同時に、人々の果てしない欲望の結果多くの世界を滅ぼしてしまった事に罪悪感を感じており、「自分は作られるべき存在ではなかった」とも語っている。
人間の欲望を内部に蓄積し、エネルギーにするという特質を持っており、人間を負の感情で支配することで操ってしまう(劇中の描写を見るに、手にした者の願いを叶える手段として、『破壊衝動』を増大させているようにも見える)。登場した当初はエネルギーの蓄積が少なかったため我夢もすぐに消えてしまったが、浩や勉の友人である平間優の欲望を吸収する事で世界を滅びへと進めていく。
「無限の増殖」と呼ばれる現象を発生させることで、キングオブモンスからさらにスキューラとバジリスを分離させ、勉の世界を滅ぼそうとしたが、最後まで諦めない勉の願いを受けてウルトラマンティガとウルトラマンダイナが登場。怪獣軍団を倒し勉の世界を救った。
その後、赤い球はエネルギーを消費したのか最初の頃の状態に戻っており、リサから球の力で「新しい街を創る」かどうか聞かれた勉はそれを拒否し、「赤い球が永遠に消える」事を願うと決意する。
実は、赤い球本体は七瀬リサ(正式に言うと彼女と同じ容姿をした少女)のインターフェースで、球の消滅は彼女の消滅を意味する。しかし彼女自身が消滅することを願ったため、勉の「球よ、消えろ!!」という叫びと共に消滅した(勉が最初に球の消滅を決意したときは青い色になった)。
後日、赤い球とは無関係な普通の人間としての七瀬リサが勉のクラスに転校してきた。
それを見た勉は、驚きながらも「僕が守った世界…」と呟くのだった。
他作品では
『超時空のアドベンチャー』
『超時空の大決戦』から20年後の世界を描いた小説では、何と赤い球にスペアが存在していた事が発覚した。
今回は八光ミユと言う新たなインターフェースを用意し、「超時空の大決戦」の世界へやってきた。
実は赤い球を作った別世界の科学者は、赤い球の消滅という「間違った願い」をするものが現れることを想定し、念のために製作していた(皮肉なことにその赤い球を生み出した世界は赤い球で生み出された怪獣によって滅ぼされてしまった)。
オリジナルの赤い球はスペアが存在している事は知らないが、スペアはオリジナルの知識と経験を記録したまま眠りについており、オリジナルが消滅してから20年後に起動し、オリジナルが消滅した世界に転送されるようプログラムされていた。
しかし当初は新星勉の世界と限りなく近い別の世界へと送り込まれてしまい、その世界を滅ぼしてから改めてやってきた。
また新たに発覚した特性が二つあり、一つは持ち主の欲望をどんどん肥大化させ最終的には怪獣として出現させる事。持ち主が怪獣に興味がなかったとしても最終的には怪獣が出現する事になる(事実、映画でも怪獣に興味がない勉の友人、平間優がスキューラとバジリスを出現させていた)。
二つ目は一度叶えた願いを取り消すことはできないが、持ち主が死亡すると願いはキャンセルとなり怪獣は消滅。そして球が消える時にその世界で球が発生させた事象と記憶は全てリセットされる。
このリセットに巻き込まれないのは赤い球と接触した人間のみとなる。
『TDG THE LIVEウルトラマンガイア編STAGE 1』
「それが、あなた達の望みなんですね……」
厳密にはその正体は明確なものではなかったが、窮地に陥った我夢に応援の声を届ける人々に呼応するかの如く別世界からティガ、ダイナ、ギンガ、ビクトリーを召喚した。
我夢は直接赤い球を見たわけではなく、再び出現した理由も不明だったが、女の子の声が聞こえたという事を聞かされ、その存在を認知しつつも「皆の願いが生んだ奇跡かもしれない」と結論づけていた。
『ウルトラマンアーク』
「私は、はるか宇宙の彼方から、あなたの願いをかなえにやって来た。願い事を言ってくれ。」
「あなたは可能性の塊だ。こんなところで書類に埋もれている人間ではない。あなたにしかできない願いを言ってくれ。」
キングオブモンスと共に第21話「夢咲き鳥」に登場。
表記は「赤い玉」となっている。
形は大きく変わっており、水晶玉のようなオリジナルとは異なり斑点模様がついた何かの卵に見える形をしている。
願いの叶え方も、願ったものを召喚するのではなく赤い玉自身が願ったものの姿に変身することで相手の願いを叶える形になっている。
また、インターフェースとなる存在や人間への憑依を介さずに流暢に喋ることが可能。声も女性と男性の声が交わるような形となっており、物語終盤では芝アオイに似た声をしていた。
ある夜、星元市の北川町にある編集プロダクションのオフィスで徹夜していたアオイが風で飛ばされたメモを探しに外に出たところ、マンション裏の茂みのなかで偶然発見(それ以前から「原因不明の怪電波」として防衛隊に観測され、SKIPに調査が行われていた)。
自身の声が聴こえるアオイを半ば操るように願いを求めたことで、彼女の「夢咲き鳥に会いたい」という願いを受けてつぶらな赤い瞳と小さな翼を備えた鳥の怪獣「ドリちゃん」に変身する。
以降は事務所内でこっそりアオイに飼われながら、彼女に鳴き声とともに創作のヒントを与えて彼女の心の支えとなりながら夢を叶え、幸せな生活をもたらした。
しかし、好物の菓子パンを食べ続けた影響かある日突然2m級の怪獣サイズにまで成長してしまい隠すことが不可能になり、遂に事務所の社長・砂城達に発見されてしまう。
アオイとともに事務所から逃げるも、市民に恐れられ、SKIPや地球防衛隊が駆けつけるパニックに発展。アオイの必死の制止や説得もむなしく、防衛隊の発砲を(アオイを庇う形で)受けたことで倒れ、小さな姿に戻り力尽きそうになる。その事に怒り、憎悪に支配されたアオイの心に呼応するように彼女の創作アイデアを基にキングオブモンスへと変身し、世界を破壊し尽くさんと暴れ始めてしまった。
その後、キングオブモンスはアークと彼を助けに来た「友達」によって苦戦の末撃破された際に赤い玉が飛び出し、アオイとリンを事務所のような赤い異空間に呼び込む。そこで自身の正体と「願いをかけた多くの者達が破滅していく様をただ見ていくしかなかった」苦悩を明かし、アオイは赤い玉は「友達」ではなく「自分自身」であったと気づかされる。
そして、再びドリちゃんに変身した赤い玉はアオイに「自身の旅を終らせてくれ。すべてを夢にして忘れてくれ」と願い、彼女がそれを叶えたことで赤い玉は消滅した。
後日、元の日常に戻ったアオイの耳に消えたはずの「夢咲き鳥(ドリちゃん)」の鳴き声が聞こえ、また日々の暮らしを頑張ることを決意するのだった。
本作の赤い球は宇宙由来ではあるものの、「物質文明の究極点」と称して「望みをすべて叶える存在」として制作された点や自分自身に対する罪悪感と「存在するべきではなかった」という自覚は共通している。
そのため、『超時空の大決戦』や『超時空のアドベンチャー』で出現した個体とは出自は微妙に違うものの、似たような結末を辿った存在といえる。
関連タグ
M八七:歌詞の中に「君が望むなら それは強く応えてくれるのだ」というフレーズがあり、赤い球はこの言葉を良い意味でも悪い意味でも体現しているといえる。
三つ目のトーテムポール:手にした者の願いを叶えてくれるという点では同じだが、対価として大切なものを強制的に奪われてしまう凶悪なアイテム。
龍球:言わずと知れたドラゴンボールシリーズの重要アイテムであり、元ネタと思しきもの。こちらも後々に願いを叶える毎にマイナスエネルギーが内部に蓄積され、とてつもない災いをもたらしてしまうというのが発覚し、大きな騒動になった事がある。
四魂の玉:こちらも所有者の願いを叶えるアイテム。「消滅を願う」事が正しい願いと言う点も共通する。しかもコイツは「より多く願わせ、自分に依存させるため」に「本当に叶えたい願いだけは(完全な形では)叶えない」という悪辣な性質を持つ。
キュゥべえ:(彼の言葉通りに捉えるなら)科学力によって少女の魂から発せられるエネルギーを使用して願いを叶える存在、ただし重篤な副作用が存在する。
ジュエルシード:古代文明の作った願いを叶える宝石、ただ願いを読み取る機能にバグがあるのか、なんでもかんでも無制限に叶えようとするために大抵全部(生理的欲求や願うほどではない願望など)がめちゃくちゃに混ざった叶い方をする(動物のようなシンプル極まる願望の場合は正常に機能する)。