『人智統合真国 シン』の重大ネタバレにつき、閲覧については要注意!
「我は覇王に非ず、唯歴史を拓く為の時の歯車。故に、阻めば、蹴散らすのみぞ!」
プロフィール
真名 | 項籍羽 |
---|---|
クラス | バーサーカー |
性別 | 男性 |
身長 | 310cm |
体重 | 480kg |
出典 | 史実及び異聞帯 |
地域 | 中国 |
属性 | 秩序・中庸・人 |
好きなもの | 自分が必要とされない平和な世 |
嫌いなもの | 砂上の楼閣・偽りの安寧・未来に災いの種を残したままの仮初めの平和 |
設定担当 | 虚淵玄 |
ILLUST | danciao |
CV | 山寺宏一 |
概要
『Fate/Grand Order』に登場するバーサーカークラスのサーヴァント。レアリティは☆5。
第2部3章『人智統合真国 シン』で初登場。汎人類史における姿は人型なのだが、主人公と縁が結ばれたのが中国異聞帯だったため、汎人類史の項羽が中国異聞帯と同じ人馬型で召喚されるというイレギュラーが発生した。
人馬型の戦術躯体は永世秦帝国の仙術サイバネティクスの粋を集めた「兵装」である。
真名
汎人類史においては秦王朝を滅ぼし劉邦と次なる天下を争った覇王、『項羽』。
残虐非道な虐殺の数々、無敵の武勲を誇りながらも首尾一貫しない政策で自陣営を自壊させていった様などは「匹夫の勇、婦人の仁」と揶揄される。
幼少期には学問も武芸もまるで習熟しようとせず、ただ兵法においてのみ概略を学んだだけで、あとは才気のみで頭角を現したとされている。
異聞帯における覇王の武力はもはや人の域にあるものではなく、その疾走は大軍を呑む嵐に等しい。まさに人知・道徳を超えた荒野の覇王。
出自と経歴
Fate世界においては、項羽は人間ではなかった。元は始皇帝が仙界探索の途上で回収した哪吒太子の残骸を元に設計した高速演算能力を持つ人造人間である。
汎人類史では始皇帝の崩御にともない放置されていたが、それを項梁が見つけ起動させたのちその力を利用すべく甥と偽って『項籍』の名を与えた。項梁の没後、最初期にプログラムされた目的意識――即ち『天下泰平』の早期実現のために行動するべく始皇帝の死によって腐敗しきった秦の政府を見限り、次に天下を統治すべき者を探し始める。
その結果見つかったのがのちに漢王朝を興す龍の因子を持つ天命の男・劉邦である。
だが劉邦は才があるとはいえ当時はまだただの任侠人の内の一人に過ぎず、叛徒が蔓延る今の情勢ではふとしたことで踏み潰されかねなかった。そこで項羽はあえて自らも叛徒として名乗りを上げるとともにのちの劉邦の障害となるであろう勢力を先んじて平定し始める。
そして力による平定をあえて行うことにより、それを良しとしない有志の徒を劉邦の元に集めさせ、劉邦の皇の器ができる時を稼ぎつつ自らをそれ以外の世の乱れを納める『箱』とした。
しかし項羽が奸賊を束ねても尚劉邦の器は完成には至らならず、結果項羽は悩んだ末最後の手段を決意することとなる。その最後の手段とは今の劉邦の器でも統治できる規模にまで天下を縮めること。
天下泰平の早期実現の為、あまりあるほど広大な農地が叛徒に渡らぬ前に焼却し、里を追われ飢えに苦しむ民が暴徒と化す前に虐殺し、治めきれぬ土地と数え切れぬほどの民を切り刻んだのである。
それは人間の観点からすれば、まるで無益な暴政であり魔王の所行に他ならなかった。
その人倫から逸脱した行いにより、魔王項羽を討伐せんと劉邦の元に世は一つとなり最終的に項羽は劉邦達に敗れ戦死。結果として秦亡き後の混乱期たる楚漢戦争はわずか4年で終息し、新たな王朝『漢』が誕生した。
始皇帝の崩御がなかった異聞帯においては、『会稽零式』のコードネームのまま製作者の始皇帝に運用され、人馬型に改良を施され秦の世界制覇に尽力する。そのため異聞帯では『項羽』の名を知らず、汎人類史側の人物たちにその名前で呼ばれることを不思議に思っていた。
とりわけその高速演算能力を由来とする未来予知は、戦場において会稽零式を無敵の兵器として機能させるものだった。彼は秦軍機械化兵団の始祖にして旗手となり、ついには永世秦帝国という悲願を成就せしめたのだった。
異聞帯の項羽は虞美人と会っておらず、汎人類史から来た彼女が何故自分にそこまで献身的なのか理解していなかった。しかし彼女が語る汎人類史での自分の歴史を演算により再現しその思いを理解し、最終的には彼女のため半壊した体で戦いに挑んだ。
虞美人によって英霊の座に知識がもたらされたことにより、汎人類史側の項羽は晴れて英霊の座に登録された。汎人類史側で召喚された彼は、数多の英霊の運命が交差し多数の特異点と接点を持つ「カルデア」という特殊環境において、未来予知が大幅に阻害されている。しかしそれ故に未来に縛られなくなり、「驚き」という概念を知りはじめて「今を生きる」という経験を得ることができた。
人物
一人称は「私(わたし)」。
性格は実直な武人といった感じで、平時ではバーサーカーとは思えないほど落ち着いた物腰をしている。「凶化」スキル(高速演算能力によるもの)の影響で一般的な人から逸脱した思考回路であることを除けば、意思の疎通もできる様子。このあたりは「狂化」スキルを持ちながらも理性的な幕末のバーサーカーとよく似ている(あっちは狂化のランクがかなり低いが)。
しかしそこはバーサーカー。自分の高速演算によって出た結果が悪いものであった場合、災いを嫌う項羽はそれを回避するために反射的に一人で行動を始めてしまう。
また、結果ありきで行動しているので、その結果に至る過程を(特に『何故こうしなければならないのか』という理由の部分を)完全に把握できていないこともある。
作中での描写を例に出すと、バレンタインではマスターから贈り物が貰えると演算結果がでた為、開口一番で用意したお返しをマスターに渡したが、その理由までは把握して居なかった(ちなみに後で理由を知って照れている)。
後に実装された幕間の物語でもこれに関して触れられており、災いを人知れず未然に防ぐ故に、周りからは度々突飛な暴走をしているように見られている事が判明する。
わかりにくければ、『解説が一切なく乱数調整や後のイベントを回避するために唐突に奇行を始めるTASさん』を想像してもらえたらなんとなくイメージできるかもしれない。
本人はこの行動に一切悪意が無いため内容が半ば強引であっても躊躇なく行動に移す。ただし行動しながらも周りに謝罪を口にしたり、マスターに対する一定の配慮の姿勢は見せている。
ちなみに汎人類史での「人型」項羽の外見は不明だが、ゲーム中の一枚絵に彼らしき人物が後姿のみ登場している。
能力
肉体面は戦闘兵器として作製されただけあって、3mを超す巨躯でありながら驚異の性能を有する。
他は平均的であるが、まず彼の肉体性能を限界に追い込むこと自体が無謀ともいえる。
モーション中では、腕に持った大剣を連続で振るう他、上半身を回転させて旋風を巻き起こしたり、背中から無数のビームを放ったり、緑色の光柱を立ち上らせたりする。
エクストラアタックでは、自身の前面から真空波を繰り出す。
ステータス
マスター | 筋力 | 耐久 | 敏捷 | 魔力 | 幸運 | 宝具 |
---|---|---|---|---|---|---|
藤丸立香 | A | A | A | C | D | C |
保有スキル
凶化(A+) | 生命体として肉体を逸脱し、ひとつの凶器として機能するべく人為的に改造された存在である。戦闘能力が大幅に増幅されるが、それ以外の運用の柔軟性が損なわれるリスクがある。『狂化』の変種スキルだと思われる。 |
---|---|
未来予知(A→A++) | 高速演算によるシミュレートで、あらゆる敵に対し先手を打つ事が可能。 |
戦術躯体(B) | 永世秦帝国の決戦兵器として度重なるチューンアップを行った結果、人型を逸脱してしまった躯体。汎人類史における項羽は当然ながらこの容態に至る事はなかったのだが、今回は異聞帯で結ばれた縁によって召喚された為に、この「可能性の姿」が現界の際の絶頂期として採用される事になった。 |
覇王の武(A) | 戦闘兵器でありながら人間と誤解され、武神として恐れられたが故の逸話の具現。ある意味では『無辜の怪物』に類するスキルともいえる。 |
宝具
力抜山兮氣蓋世(ばつざんがいせい)
- ランク:C
- 種別:対軍宝具
- レンジ:1~5
- 最大補足:50人
「では決着としよう!」
「力を以って山を抜き、気迫を以って世を覆う!我が武辺、此処に示さん!セリャアァァァーーーーーーッ!!」
中国史屈指の勇名を誇る項羽の、故事成語ともなった武の具現。人間型の躯体で召喚された場合には対人宝具として発動するが、異聞帯において付加された人馬型という異形の形態は、個人の武の威力を大量殺戮兵器にまで拡大してしまった。
全出力を以っての敵陣吶喊。
ただのそれだけで衝撃波を生み出し、剣の一振りで横隊を薙ぎ払い、一歩の踏み込みで兵士を小枝の如く撥ね跳ばす。トドメに敵陣中央へ渾身の一振りを叩き込むが、その覇気とエネルギーは宝具の名を体現する壮絶さを示す。是即ち覇の顕在也。
ゲーム上での性能
最大HP | 13770 |
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最大ATK | 11613 |
カード配分 | B3・Q1・A1 |
スキル1 | 未来予知(A) / 自身に回避状態付与&クリティカル威力アップ(各1T) |
スキル1(強化後) | 未来予知(A++) / 同上&スター集中度アップ(1T) |
スキル2 | 戦術躯体(B) / 自身のQuick性能アップ&Buster性能アップ(各3T)+クリティカル威力アップ(1T) |
スキル3 | 覇王の武(A) / 自身に毎ターンスター獲得状態を付与&無敵貫通付与(各3T) |
宝具 | Quick:自身の宝具威力アップ(1T)<オーバーチャージで効果アップ>&敵全体に強力な攻撃 |
☆5バーサーカーとしてはおよそ中間域のステータスを有する。
カード配分は《Quick:1/Arts:1/Buster:3》のバーサーカーの定形、各攻撃のヒット数は〔Q:6Hit、A:4Hit、B:3Hit、EX:5Hit〕で、バーサーカーにしてはスター生産能力に秀でており、NP効率も悪くはない。
彼の性能を簡潔に述べると、自前でスターを生成し威力を上げたクリティカルで殴るというもの。
スキルは、クリティカル威力アップを2つ持ち、スター獲得状態で自前でスターを稼ぐなど、クリティカルに特化した独特のスキルラインナップをしている。
宝具は宝具威力アップを事前に挟むため、宝具Lv1でもそれなりの威力を発揮できる。Braveチェインも含めれば、それなりの数のスターを稼ぎ出し、「覇王の武」も含めれば味方全体にスターを行き渡せることも可能。
ある程度雑に起用しても無難に戦ってくれるが、やはりスキルにあるクリティカル威力アップを活かすことで真価を発揮する。
実装からしばらくはスター集中率がワーストクラスのバーサーカーでありながらスター集中スキルを持ち合わせてないのがネックとなっていたが、幕間の物語クリア後にスキル「未来予知」の強化で追加された。これにより、十分なスターとカードが配られているタイミングでスキルを重ねれば強烈なクリティカルを喰らわせる事が可能となった。
なお、宝具攻撃時のNPチャージ量が控えめであり、実装から評価を得た「Wスカディ・システム」による宝具3連射はほとんどできないといっていい。尤も、これができてしまうと大半の全体宝具持ちのサーヴァントが軒並み彼の下位互換になりかねないため妥当な判断と言える。仮に49%のNP回収が容易にできた場合周回最強クラスの復讐鬼の立場が危うくなる。
NPチャージ能力は低いが火力は申し分ないため、高速周回の際は2,3ターン目に宝具を撃つタイプと言える。
関連人物
生前
かつて共にいた最愛の愛人。常人には理解できない思考回路を持つ人造人間だった項羽と、真祖として人々から迫害されてきた虞美人は「人ならざる者同士」として想いを寄せ合い、その愛を貫き通し、汎人類史でも異聞帯でも彼女を独り残してきてしまった事を「生涯ただ一つの無念」と評する程に悔やんでいた。
カルデアに召喚された彼は「汎人類史の項羽をベースに異聞帯項羽の戦闘能力が付加されたもの」であるため虞美人の事を知っており、はっきり「妻」と呼び、虞美人からは「項羽様」と呼ばれている。
史実においては項羽の最期、垓下の戦いにおいて名前とわずかなエピソードがあるのみで、いつ項羽と出会ったかどころかどう別れたかすら定かではなく、後世に創作された人物という説がかなり有力なほどで、ぶっちゃけいてもいなくても変わらない人物である。
しかし項羽と虞美人の別離の場面は、項羽の鮮烈な最期と合わせて創作の分野で人気が高く、多くの詩作や劇の題材となっている。
Fate世界における製作者。汎人類史では項梁が奪い取り甥としての立場を与えたが、異聞帯ではそのまま始皇帝に運用されていた。
虞美人を屈服させるためだけに自害を命じられる(項羽は即座に実行しかけた)など、扱いは使い捨ての兵器のそれである。
始皇帝と虞美人の約定で途中で虞美人に譲渡され、最後は虞美人のために創造主の意向に反した。
史実では祖国・楚を滅ぼした怨敵。項羽は楚の名家である項家の御曹司であり、秦の侵略に激しく抵抗した名将・項燕の孫だった。
若き流浪の頃に行幸に接して始皇帝を見ており、「ヤツを倒し取って代わってくれるわ!」と叫ぶ。始皇帝本人を斃すことは叶わなかったが、秦帝国を文字通り灰塵に帰して祖国の仇に報いた。
ここから分かる通り、史実の項羽とFateにおける項羽は、名前だけ同じの全く別人と言っていい。
史実にて覇を競った相手であり、後の漢王朝を興す高祖。
「龍の因子」を持っていたらしく、項羽は彼に天下を統治させるべく様々な行動を行った。
史実においては共に秦と戦った同僚であり、後にライバルにもなったが、反秦の軍として戦っていた頃には義兄弟の契りを結んでいる。
始皇帝(機械化聖躯)を機能停止に追い込んだ刺客にして侠客。
異聞帯では戦闘のみでほとんど会話はなかったが、荊軻の方は人間とあまりにかけ離れた項羽の姿、そして「項羽が始皇帝に服従している」という、史実から見ればあり得ざる事態に「あれが項羽……?」と疑念を露わにしている。
史実においては、反秦の大先輩ともいえる存在。なお項羽は命知らずの壮士をことのほか愛しており、劉邦を救うべく宴に躍り込んだ樊繪に自ら肉や酒を進めるほどはしゃいだ。
Fate/Grand Order
始皇帝が治めてきた異聞帯を破壊する者。平定の世を作るために運用されてきた彼にとってカルデアの存在は容認できるものではなく、始皇帝が彼らを認めた後も虞美人が望む世界のために満身創痍の状態で戦いを挑み、敗れた。
一方で汎人類史側の項羽は主人公に召喚された自分が人馬型になっている事に驚き、主人公と一体どんな縁で結ばれたのかと疑問に思っていた。彼/彼女のことは「主導者」と呼ぶ。
『虚数大海戦 イマジナリ・スクランブル』では未来予知をした項羽が残した落書きを彼/彼女が解読し、それが虚数空間の攻略へとつながった。
『虚数大海戦 イマジナリ・スクランブル』にて共演。
バーサーカーである項羽をノーチラス号に乗せることに最初は不信感を抱いていたが、後の活躍で彼の評価を改め「ジェネラル」と敬意を払うまでになった。
余談
CVは山ちゃんこと山寺宏一氏。
声優界屈指の知名度を持つ大物の参入はマスター達を大層驚かせ、実装時点で「新手のポ●モンですか?」「夏の新作の主役はこいつですね」と言われたり、「若奥様と征服王で公安9課編成が出来るな」といった中の人ネタでもちょっとした盛り上がりを見せた。
以前は戦闘用グラフィックが異様にデカかった。
具体的には項羽より30センチ高いはずのダレイオス三世よりさらに一頭身高く、彼を真ん中に据えるとキャラクター3体分の幅を取るほどの可動域を持つことが判り、新宿のアヴェンジャーやロシア異聞帯の王辺りと並べると、もう画面の圧迫感がオカシイことになる。
しかし後のアップデートで縮小され、ダレイオス三世と同じくらいのサイズに収まった。
少し分かりにくいが第2部OPの新サーヴァントが映るパートの最後(カイニスが槍を振り上げた次のカット)にチラッとシルエットが映っている。2つのシルエットのうち、奥側の多腕のシルエットが項羽である。
なおのちにサーヴァントとして実装された虞美人との戦闘での相性は、あまりよくはない。両者とも基本他者からのバックアップを必要とする攻撃型であり、なおかつ速攻型の項羽と持久型の虞美人を同時に起用するとパーティーのコンセプトが取っ散らかってしまうため。宝具を含めカードにアーツが少なく、NP供給も困難になってしまう。
ちなみに中の人的に元奥さんである魔性菩薩とは相性が良い。クラス相性にて互いの不利を補える他、項羽がスターを稼いでキアラのクリティカルを補助し、逆にキアラが敵の強化状態を解除して項羽のバーサーカー故の打たれ弱さをカバーするなど虞美人よりずっと相性が良い。
関連イラスト
奥さんと一緒に描かれることが多い。
というよりFateにおいては本来の「西楚の覇王・項羽」としてのアイデンティティが全く無くなっており、更に始皇帝に造られ服従しているという設定にされたため、他に絡みやすいサーヴァントが少ないというのが実情。
腕の本数は4本だが第三再臨で本数が6本になるので描くときは注意。
関連タグ
Fate/GrandOrder Cosmos_in_the_Lostbelt 人智統合真国シン
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