概要
金田一少年が解決した事件の一つ。
ノベルス版第8弾『邪宗館殺人事件』と関連する話で、小説を知らなくても楽しめる内容になっている。
小説の続きが漫画で描かれるという、『悲恋湖伝説殺人事件』(続編が『幽霊客船殺人事件』)の逆パターンに当たり、漫画版に小説版の人物が登場する設定は、『上海魚人伝説殺人事件』以来となる(1コマだけ出ていた能条や某事件で変装していた中村刑事も含めれば更に多い。オペラ座三部作はその都度事件の回数に触れられている)。
あらすじ
東京で発生した火祀コーポレーション社長の胴体切断事件。
火祀コーポレーション社長は、黒魔術の見立て人形そっくりに、電車に轢かれて真っ二つになったという。
幼なじみで旧友の井沢研太郎にその真相究明を依頼された金田一は、美雪と共に軽井沢にある火祀家所有の洋館『葡萄の館』(別名『ブードゥーの館』)へと足を運ぶ。
血の繋がりがない火祀家の三兄弟、黒魔術で発展したと語られる火祀家の闇…そして、月に1度行われる黒魔術の儀式に現れた仮面の男。
様々な思惑渦巻くなか黒魔術の儀式が始まった時、怨念に彩られた惨劇は動き出した!
登場人物
明智健悟(アニメのみ)
正野刑事
アニメ
アニメ版はOADとして第3シーズンのコミックス第3巻と第4巻の限定版に収録され、限定版はかわいいピンク色の箱。
『邪宗館殺人事件』がアニメ化されていないためか、原作の『邪宗館』関連の台詞がカットされている(原作も、小説『邪宗館』のイメージを崩さないように配慮した描写が多い)。また海崎深夜は未登場、原作に登場しない明智が一と電話をするシーンがある。
ある回想シーンがセピア色に染まっている、研太郎の「膝」が強調されている、研太郎が子供時代も今と同じ髪の色をしているなど、『邪宗館』を読んだ人にはピンと来る描写もある。
主題歌の『ROAD』を歌うのはプリキュアシリーズで有名な池田彩。
悲しい本編を見た後に聞くと、心が洗われる曲である。
火祀夏目役の彩夢は女優であり、声優初挑戦。ただ、演技はそんなに気にならないものだったが彩夢は2008年に『ALWAYS 続・三丁目の夕日』で第17回日本映画批評家大賞・審査員特別演技賞を受賞したことはあるものの、知名度やキャリア的になぜ起用されたのかよくわからない人選であった。
備考
- 『雪影村殺人事件』以来となる長編での怪人名なしのエピソード...と思われていたが連載20周年記念サイトでは「黒魔術の呪い」と紹介されていた。アニメ版でも踏襲されている。
- 『フィジカル以外が原因で、自分が真犯人だと思っている人物がいる』という珍しいパターンで、『蝋人形城殺人事件』にも似た設定のゲストが登場した。
- 『邪宗館殺人事件』が白と黒を対比する描写が多かったのに対し、この事件は赤と黒を対比する描写が目立っている(『邪宗館』は赤い鮮血を印象に残すシーンも存在する)。『血の繋がりがない家族』『呪いの館』『毒』『悲劇を招いた紙きれ』『スピリチュアルとフィジカル』がキーポイントな設定は共通。
- アニメ版にピンクと白の服を着た美雪を「着ていない」ように見せるけしからんカットが存在している(原作にも近いカットが存在し、色付きのアニメでより分かりやすくなった。パチンコ版では転んだいずみが裸エプロンに見えるサービスカットが追加され、美雪の私服が白のチューブトップと白のフレアスカート姿になった)。黒瓜先生の仮面も白に変更になり、美雪以外も白やピンクやベージュの服を着ていて、美雪と夏目の靴下がニーソックスに変更され、キャラクターの体つきがセクシーに描かれている。流石は人間の皮膚できた魔術灯である。『異人館ホテル殺人事件』のトリックのオマージュなのかもしれない。
- 劇中に出るカフェは、原作は『inn 喫茶 雨読茶房』で、アニメ版は『cafe 講談茶房』となっている。
- 『邪宗館殺人事件』は文章を使ったトリックが中心で、今回は図形を使ったトリックが中心で、真犯人のトラウマも、前者は文章が、後者は図形が関係している。
- 幼な妻のゲストが登場し、年の近い女性を嫌ってうんと年下の女性を好むアラサー男性ゲストが登場し、研太郎と星子の「大人っぽさ」「幼さ」を対比する描写が目立つが、外見年齢を利用したトリックは見当たらず、年齢が鍵になったのは後の『暗黒城殺人事件』である。
- 登場人物の顎が長く描かれており(主に研太郎と高遠)、アニメ版とスピンオフの『犯人たちの事件簿』でも連載当時の絵柄が再現され(流行りの絵柄だったらしく、なんとなくこの作品のような絵柄になっている)、アニメ版では宮野真守氏が召喚された。小説版の研太郎と普段の高遠はそこまで面長ではなく、漫画版もコマによっては普段の絵柄になっている。
- 金田一、美雪、研太郎、星子、夏目がゆるキャラのような顔芸をするシーン、SD化するシーンがあるが、アニメでは再現されなかった。
- 『金田一少年の事件簿外伝犯人たちの事件簿』『金田一少年の1泊2日小旅行』『CR金田一少年の事件簿~地獄の傀儡師~』でも取り上げられ、おぞましくてかわいい作風が一貫している。パチンコ版ではポルターガイストのオリジナルイベントが追加されている。
- 『犯人たちの事件簿』では、短編集を除けばこの事件が最後の事件となった(なぜか、『獄門塾殺人事件』のほうが掲載は後)。
関連タグ
エド・ゲイン…人間の皮膚でスタンドを作った食人鬼(クリック注意)
魔術列車殺人事件…パチンコ版では、なんと電車を使って『黒魔術殺人事件』まで到達する。