概要
戸塚慶文の漫画『アンデッドアンラック』に登場する否定者(ひていしゃ:否定能力が移行した人間)、および否定能力(超能力)の一つ。
UNTOUCHABLE-不可触-(アンタッチャブル)は、自己の「接触」を否定する。
「不可触」の理(ルール)
自己対象 強制発動型
「接触」の器に常時展開される不可視の空間が発生し、自身へあらゆる物が触れる事象を否定する。正確には自身の頭髪と外皮に接触する物体全てが対象であり、常に数mの球状として発動される。
なお自分自身に触れる事は可能で、腕組みや口を抑えるといった仕草はできる。
地面との接触も否定するため常に宙へ浮いた状態にもなる。作中の様子から、足を動かす事で移動はできるようだ。
生身で外部への干渉は出来なくなるが、例外として口を開けた部分に空間(エリア)へ穴が空くため、食事や呼吸は可能である。また器になった少女の活動している様子から、光や音などの光線・音波・電波といった波長類は対象外で、視覚・聴覚に支障はない模様(これらも効果対象内だと、見聞きできない生活となってしまう)。
下記で触れるように、四六時中の不自由な生き方を強いられる類型の異能。
不便な日常生活を強いられる
「接触」の器へ強制的に発動される不可視の空間によって、物を持つ事や、他者と触れることが不可能になり、否定能力が発現(移行)してから不便な日常生活を強いられる類型の能力者。
先ほど触れた不自由は序の口。さらに顕著な障害例として―
- 能力性質から衣服を着ることも出来ず全裸でいることを余儀なくされる。作中では、不可視の不可触空間なため晒される裸体を覆う球状の囲いや発明品で目隠しされている。これらが排除されても、髪を切る事さえ出来ない非日常で伸び続けた長い毛髪で局部が隠されるよう描かれる。
- 飲食は、唯一の抜け穴「開口した部位だけは空間(エリア)へ穴が空く」が通る物しか摂取できなくなる。作中ではチューブを通しての流動食や、口に入る大きさの細長い食品や一口サイズの料理(例:ロングケーキバーや寿司)など、限定的な物しか食べられない。そして「接触」の器自身は手掴みさえできない理屈──触手や触角とかもない球体空間に閉じ込められる──から、食事介助も必要となる。
- 入浴や体を洗うことは不可能な生活になるが、能力特性から菌や垢、老廃物も不可触エリア外に弾き飛ばされるため不潔ではないのが救い。認めるのは悔しいが、闇競売で解説されたようにあらゆる汚れを弾く理屈から、生活次第では綺麗な肌艶・髪質を保つ事も可能な鑑賞用として裏社会に狙われやすい危険性がある。
まだ作中で描写は無いが、虫歯・病気などに罹った場合は、不可触空間が障害となって専用道具による治療が必要にもなると想定される。そうしたら歯磨きも大変そうだ。
えっ?トイレはどうしてるかって?
年々広域化する不可触空間
「接触」の器へ強制発動する不可触空間は、否定能力が発現(移行)してから年々広がる性質もあり、更に感情の起伏へ連動して拡大・収縮もする。この理屈によって「接触」の器が長く生きる事は、少しずつ不自由も多くなる不合理を背負っている。
もし表社会を生きる「接触」の器ならば、ただでさえ生活・住居が広い空間が必要なのに、年月が経つほどにもっと大きな住処へ引っ越ししなければならない、牢獄のような窮屈さも味わうことになるだろう。
不可触の悲劇
否定者の悲劇はどれも悲惨な厄災であるが、特に「UNTOUCHABLE-不可触-」の悲劇はまざまざと異能力者になった不幸を思い知らされる変災となる。
否定能力が発現(移行)すると共に、強制的に形成される不可視の不可触空間。これが一般家庭で生きていた時に突然発生する事で、住んでいた家屋を圧壊や最愛の家族を圧殺する事故を起こしてしまう。否応ない殺人を犯した自責の念、始めは理屈の分からない否定能力の生活から、多大な罪の意識や容易く一触即発な事態を起こしてしまう否定の業を背負わされる災害例となる。
だけど生きて、直の触れ合いではない、心の触れ合いをしてくれる他者と巡り会えれば、一から生き直す余地もある「接触」の器。
例えば感情の起伏で領域変化する不可触空間(エリア)は、自己の感情≒脳波を任意に抑制・解放する事で、使い処により大切な人を守る武器にもなる。不自由な日常は、専用の発明品を開発できる組織へ所属できれば、いわゆる生活援助のような形で生き続けられる。
なにより「接触」の器となってしまった今の自分へ、笑いも哀れみもせず触れ合ってくれる誰かと出会えるかで、生き方は大きく変わる。
これは他の否定者にも通ずる事で、触らぬ神に祟り無しではない所感、いや大事な人を傷つけさせないために触れさせない卓越者へ成長する一幕も物語で描かれる。
「接触」の器
容易に他へ触れられない業を背負った「接触」の器。それでも主要人物たちと巡り会えた事で、特異な存在感で主人公たちとも触れ合う様子が物語られる。
また便宜に、作中で「不可触」の理と類似性があるも不成立な器も解説する。
ロシアの一般家庭で生まれ、5歳の誕生日会で「不可触」の業を背負わされた少女。否定能力が発現(移行)して間もない時期では、裏社会へ捕まった不幸も併せて、このまま生きてても良い事はないと深い悲愴感を抱いていた。この窮地を主要人物の1人・ビリーに助けられ、能力抑制も兼ねた発明品を造れる組織(ユニオン)へ所属し、徐々に心を癒していく。
関連項目
アンタッチャブル(芸人)・・・日本のコンビ芸人で、ピンでも活躍している方々。2021年2月には、名前繋がりでか本作「アンデッドアンラック」の密着取材で、コンビの1人が原作者の職場に来る事があった(なお、緊急地震速報のため放送延期になった)。