軍記物語とも。
概要
日本においては平安時代の戦乱を描いた『将門記』や『陸奥話記』等が編まれて以来、中世以降盛んになった。
合戦(=戦争)の様子と、その前後の権謀術数や裏話しが大小の脚色を交えて紡がれているのが特徴で、代表作に源平合戦をもとにした『平家物語』や南北朝の争いを基にした『太平記』などがある。
海外でも騎士道物語や十字軍の遠征を題材にしたもの、『史記』や『隋唐演義』、『岳飛伝』などの歴代中華王朝の興亡に関するものなどがあるが、編纂者の意向で脚色されている部分があるという点では日本と同じなので、考証等の資料に用いるには注意が必要でもある。
『隋唐演義』と『岳飛伝』の現代和訳を行った田中芳樹いわく、「時間経過もキャラの行動範囲もすべてがメチャクチャ(意訳)」とのこと。
正史として扱われることもあるが、一方で上記の理由で創作との境界は非常に曖昧。
エンタメ作品としての「軍記もの」
上記の『軍記物語』と俗称される「事実を基にしたフィクション」から派生して、現在でも、史実とは関係ないファンタジー作品等でも戦記や叙事詩的な雰囲気を持つ作品は「軍記もの」と俗称されることがある。その場合、多くは虚構・実在を問わず、国家間の興亡やその前後で発生する権謀術数や戦争、その狭間でうごめく英雄や梟雄たちの栄枯盛衰が描かれているのが最大の特徴である。
ただし、その多くは仮想戦記(ミリタリーSF)や伝奇作品、ハイファンタジー等に包括されているケースが多く、なぜか軍記もの単体として扱われている事例は少ない。著者や批評家の趣向(軍事関連へのアレルギーect)によっては歴史ものや冒険小説として扱われるケースもある。
近年では大河ファンタジーなんて概念も発生しているが、これが定着していくかは未知数といえる。
「軍記もの」に属するとされる作品
- アリソンシリーズ
- アルスラーン戦記
- 皇国の守護者
- 国姓爺合戦
- 三国志演義と関連作品
- 将国のアルタイル
- 水滸伝
- 精霊の守り人
- 戦国自衛隊
- ゼロの使い魔
- 椿説弓張月
- デルフィニア戦記
- ドリフターズ
- 南総里見八犬伝
- ファイアーエムブレムシリーズ
- ミスマルカ興国物語
- 幼女戦記
- ロード・オブ・ザ・リング(指輪物語)
※他にもあったら追記をお願いします。