概要
1977年9月14日生まれ、広島県呉市出身。身長151cm、血液型はA型。
本名及び旧芸名は松木美愛子(まつきみえこ)。愛称は「みゆみゆ」。ファンからは芸名の苗字の読みを少し変えた「まつらいさん」とも呼ばれた。
生前は、アクセント(デビュー期〜2002年)⇒81プロデュース(2002年〜永眠)所属。1998年、ゲーム『御神楽少女探偵団』でデビュー以来、他界するまでアニメやゲーム作品を中心に活動した。
生涯
特色
おっとりとしたソプラノの声質の持ち主。またネイティブ広島弁(安芸弁)スピーカーとあって、『咲-Saki-』で染谷まこを演じることになった白石涼子を指導したことがある。後に続編である『咲-saki- 全国編』において、広島県代表である佐々野いちごを演じた。
人物像
不動産屋の令嬢として生まれ、中学・高校は地元の名門・広島女学院に通い、慶應義塾大学環境情報学部卒という凄まじい経歴の持ち主。
慶大に進んだのは「声優の勉強をするために上京すると言ったら親に反対され、大学進学を条件に許された」というもの。いかに堅い家庭環境で育ったかが伺える。
実家の堅さは、声優として大成してからも、「30代半ばを過ぎても未婚という事で、実家では針のむしろになっている」などとラジオでネタにしているほどだった。
「金田朋子の保護者の1人」と言う事になっていたが、共に『ザ☆ネットスター!』に出演した際、金田の暴走を止めるために藤原喜明か菊地毅(両者ともに頭突きを得意技にしているプロレスラー)かというレベルの豪快な頭突きを食らわした事も。
兄さん兼父さん兼母さんに櫻井孝宏と鈴村健一がいた。また小野坂昌也からは、公式ブログを開設するに当たり「他の声優のブログみたいに自分の写真は載せるような事はしないで、食い物と飼っている猫だけ載せろ」とアドバイスを受けている。新婚早々の西村ちなみの家族旅行について行き、西村の夫をベッドから追い出して西村と一緒のベッドで寝たという伝説もある。
2014年1月15日、可愛がっていた後輩の阿澄佳奈がブログで入籍したことを発表し、それを見た松来は1時間足らずで発狂したとも取れるツイートをして、一躍話題になった。
結婚願望を抱きながらずるずると独身生活を送っていて、気が付けば後輩どころか、あの金田朋子や儀武ゆう子にすら先を越されても、自分の番組で長妻樹里や後藤沙緒里に逆に結婚運を占われて大惨事に陥っても、結婚の夢を諦めていなかったが……。
早すぎた最期
2015年7月、病気治療のため無期限休養を発表。同年初頭から高熱が続いたり、息苦しく感じたりするなど体調不良に見舞われ、6月30日に入院。精密検査の結果、成人慢性活動性EBウイルス感染症(略称:CAEBV)という、現時点で世界的に症例が少なく、治療法も未確立で、最悪の場合、死に至る極めて特異な難病にかかっていることが判明したためだった。
これにより、予定していた『蒼穹のファフナー』初回放送記念イベント(7月4日、東京)を欠席、2007年以来続けてきたバースデーライブも中止された。
一方、『プリズマ☆イリヤ』第3期のマジカルサファイア役や『下ネタという概念が存在しない退屈な世界」のアンナ・錦ノ宮役などの出演が決まっていた役柄については、休養前には既に全ての収録を済ませており、そのまま放送された。
一時は帰宅が許されるほど好転の兆しが見られたが、悪性リンパ腫を併発し再入院、その後治療の甲斐なく、10月27日に入院先の都内の病院で帰らぬ人となった。意識が朦朧とする中、病床を訪れた家族や関係者たちの呼びかけに応ずるように、息を引き取るまで何度も首を縦に振り続けたという。
入院中に更新したブログの記事では復帰への意欲を語ると共に、相変わらず結婚願望を見せていたが、遂にどちらの夢も叶わなかった。
遺族・関係者の意向により、近親者による密葬で済ませた後、初七日に当る11月2日に、所属先の81プロデュース公式サイトより亡くなった事実が公表された。
翌2016年9月発売の『ペルソナ5』の御船千早役が遺作となった(死去後に放送開始されたアニメ版では照井春佳が担当)。
病名及び死因については、復帰後の公表を念頭に置いていた松来の意向で、休業時から四十九日明けの12月15日まで伏せられていた(該当記事)。
38歳という余りにも短すぎる生涯、休養発表からわずか4ヶ月での急逝、そして高い人気を持ったままの他界に、多くのファンと同業者が涙し、pixivでも彼女の死を惜しんだ絵師たちからの追悼イラストが、次々と寄せられた。⇒松来未祐さん追悼イラスト、さよなら、藤吉さん。
『御神楽少女探偵団』の主人公として、松来のデビューに立ち会った津田英佑は、
「松来未祐が38歳になっていた事にものすごく驚いた。。あの時確か10代だったような気が。。あの時確かデビューだったような気が。。『御神楽少女探偵団』、、もうそんな前なのか。。」
(2015-11-02 16:04)
松来が出演した最後のTVアニメ作品である『下ネタという概念が存在しない退屈な世界』で主演を務めた小林裕介は、
「まだ信じられないです・・・たった1度の共演でしたが、本当に優しくしてくださいました。」
(2015-11-02 13:11)
と、それぞれ本人のツイッターアカウントで哀悼の念を示した。
そして、その深い悲しみは、レギュラー番組だった『(有)チェリーベル』が、「櫻井と鈴村と松来の3人でこその『チェリーベル』」として、訃報公表直後の11月6日放送分を持って終了したことにも象徴された。
その死を超えて
現在でも、pixivでは松来への追悼イラストが投稿されており、中には松来本人と同じく彼女が結婚する事(もしくは、自分こそが結婚相手になる事)を望んでいたファンも多かった様だ。
松来の他界した後にそれを示すかのように、こんなイラストを投稿した者もいる。
また、遺族たちも、彼女の死因を明かしてからは、彼女と同じくCAEBVで苦しんでいる患者のために病気についてもっと世間に知ってもらえることを願い、「難病の患者に対する医療等に関する法律」に基づく難病指定を訴えている。EBウイルス感染症はもともと小児病として知られ、日本人の90%が幼少時に発病しかつ自然治癒→抗体生成を経験しているが、成人CAEBVは上述の通り患者が極めて少ない(それも東アジア地域に集中しているため、医学先進国である欧米での研究は進んでいない)上に症例が多彩であり、重篤な症状になってから初めて判明するケースが多い。治療方法も模索状態であり、患者会では難病指定を求めているが、2016年8月現在では、未だに指定されていない。
2016年3月12日に行われた「第10回声優アワード」では、2015年に他界した声優全員へ特別功労賞が送られ、大塚周夫(1月15日)、愛川欽也(4月15日)、たてかべ和也(6月18日)、白川澄子(11月26日)といった大御所と並んで、松来もその中に含まれていた。同年度でパーソナリティー賞を受賞した鈴村は、改めて生前の彼女に対する感謝の気持ちをスピーチで語った。
39歳の誕生日と1周忌が迫った2016年9月11日には、東京の科学技術館サイエンスホールにて愛悼イベント『39!(サンキュー)未祐ちゃん』が開催された。
イベントでは、バースデーライブやソロCDのジャケットで使用した衣装、遺族や友人などから提供されたポスター・パンフレット・写真が展示され、CAEBVから生還した元患者や研究者の講演、バースデーライブで松来のバックを務めた「三十路バンド」と西村、儀武、阿澄、榊原ゆい、水沢史絵、広橋涼、高橋美佳子ら友人たちによるライブなどが行われ、献血・骨髄ドナー登録会も開かれた。
公式サイトのイラストは松来と縁深い蒼樹うめ、ヤマヲミが担当。蒼樹はサプライズゲストとしてライブにも登場した。
日本テレビ系列ほかで放送されているバラエティ番組「ザ!世界仰天ニュース」の2017年5月9日放送分(日本テレビ系列全27局および六本木のお友達約1局にて。なお、お台場のお友達約2局や赤坂のお友達約1局でも後日放送)において初めてメディアで取り上げられ、体調が崩れた際も確実に診断してもらえる病院が探しても見つからなかったことや、呉にいる兄ともHLAの型が一致しなかったことなど、壮絶な闘病生活が明らかにされている。
主な出演作
イラスト無し
シャーロット・ディマンディウス@ハンドレッド(初回限定版付録ドラマCD) *4
小春ちゃん(長山小春)(2代目)@ちびまる子ちゃん
※1 『A's』では、水樹奈々と同じく1人2役。
脚注
- *1 後任は下屋則子(没後に放映されたテレビアニメシリーズ『テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス』での担当)。
- *2 後任は小清水亜美(没後の2017年9月にリリースの『英雄伝説 閃の軌跡III』での担当)。
- *3 後任はかかずゆみ(没後、2016年夏アニメとして放送された第4期『ドライ!!』以降での担当)。
- *4 後任は堀江由衣(没後に制作・発表分の全メディア作品での担当)。
- *5 遺作。余談だが、最初に発表された発売日は死去前の2014年冬の発売予定だった。アニメ版では照井春佳が担当。
最後に一言
「今年も胸を張って言えます。私は、私に生まれて幸せです。本当にありがとう。」
By.天国の松来未祐から
関連タグ
さよなら、藤吉さん(持ち役の1つだった『さよなら絶望先生』の藤吉晴美に特化したタグ)