上野東京ライン
うえのとうきょうらいん
概要
1973年から休止していた東北本線の東京〜上野間の列車線を2015年に復活させ、同区間を介して東海道線と東北本線を直通している運行系統。
路線図でのラインカラーは紫で、路線記号は直通先各線のJUやJTを使用する。
山手線の東側の上野駅高架ホームから、京浜東北線・山手線と並行する電車留置線の一部(かつて列車線だった部分)を改良し、取り壊された部分は一部新築することによって東京駅東海道線ホームに接続して、南北直通を復活させた。
歴史
新幹線建設の関係で1973年に廃止されたかつての上野-東京間の列車線であったが、国鉄時代から復活の構想があり、宇都宮線・高崎線・常磐快速線から東京・品川・横浜への乗り換えなしアクセスと、ほとんどの区間で並行する京浜東北線の混雑緩和を目的に再建設された。
2015年3月14日に復活開業したが、もっと早ければ東京駅にて新幹線とカシオペアや北斗星といった寝台特急との共演ができたかもしれない。
実は先祖返り
東北本線の起点は1909年制定時の秋葉原駅を経て、電車線(現在の京浜東北線および山手線)の延伸によって1925年に東京駅となり、4年おくれて列車線(現在の宇都宮線)も1928年に東京駅に延伸された。なお、電車線は京浜東北線や山手線として独立した運転系統を有することになる。
一方、列車線については戦後に単線化される。単線化後も線路2本のまま東京駅から北上するが、片方は縦列駐車前提の長い留置線であり、列車を運行できるのはもう片方だけであった。2015年の上野東京ラインより格段に数は少ないながらも東海道~東北(高崎・上越)・常磐線直通が運行されており、高崎発富士行きの115系普通列車や常磐線列車の新橋駅や有楽町駅の発着があった(当時は今と違い、東京駅で列車番号が変わっていた)。
だが1973年に、東京-上野の東北本線列車線が廃線となる。理由は東北新幹線の東京乗り入れルートに敷地を拠出する必要が出て、東京駅の神田寄りの機回し線分を残し狭軌線路を剥がさねばならなくなったためである。
その後、秋葉原あたりまで新幹線のルートの直上を通す形で復活・さらに複線化したのが、現在上野東京ラインが通っている線路である。
列車線の旅客列車運行は終戦後に各地で運行された連合軍専用列車の1つ「ヤンキーリミテッド」号が最初の事例となる。これを境に「はつかり」等々の上野発着優等列車が次々と東京へ延長されていった。
路線の特徴
前述のように大宮~横浜間はほとんどの区間が京浜東北線に並行しており(赤羽~上野間は別線)、この区間では各駅停車の京浜東北線(田端~品川間は山手線)に対し上野東京ラインは実質「快速」の役割を果たしている。
2021年3月13日ダイヤ改正で、日中の上野東京ラインは湘南新宿ラインの追い抜きがなくなったので、湘南新宿ライン快速通過駅については武蔵小杉駅で湘南新宿ラインに乗車するメリットがなくなった。2022年3月12日ダイヤ改正では宇都宮線黒磯発着が廃止された。
南北直通路線という意味では、山手線の新宿経由で運行する湘南新宿ラインと役割が共通する部分があるが、あちらは横須賀線への直通列車もある。
湘南新宿ライン同様、宇都宮線・高崎線~東海道線系統の全列車にグリーン車2両(4・5号車)を連結しているほか、常磐線方面ではE531系使用列車に限りグリーン車がついている。
運行形態
前述のように宇都宮線・高崎線~東海道線の系統はグリーン車を連結した湘南色帯の電車が使用され、日中は宇都宮線~東海道線と高崎線~東海道線が3本/hずつ運行されている。高崎線・東海道線系統の特急列車は一部の臨時列車を除いて運行されない。
常磐快速線方面は時間帯によって異なり、日中はグリーン車連結した青帯の中距離電車として品川~土浦間の普通・特別快速が1本/hずつ運行するが、それ以外の時間帯はさらにグリーン車のない緑帯の快速電車も品川-取手/成田間の運行を行う。特急は「ひたち」のほとんどの列車と、「ときわ」の日中の列車と夜間の下りの一部が品川発着で運行される。
上野東京ライン開業による変化
大宮側からすると、上野止まりが無くなったことで京浜方面へのアクセスが大幅に向上した。さらに、京浜東北線や山手線への乗り換えが不要となったことによりこの2路線の混雑が緩和された。
また、常磐線側でもつくばエクスプレスや東武野田線から常磐線に乗り換える人が増えたほか、TXの追い上げで利用者が低迷していた常磐線快速の利用者を取り戻したという意見もある。
また先述の通り首都圏南北を縦貫する系統ということで湘南新宿ラインとの間で利用者が分離し、品鶴線内での混雑緩和に繋がっている。