キタカミの里
きたかみのさと
概要
『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』の追加DLC『ゼロの秘宝』の前編『碧の仮面』の舞台となる山里。
また、後日談を描く『番外編』も存在する。
パルデア地方からは東に遠く離れた地であるとされ、行くためには長時間飛行機やバスに乗る必要がある。アカデミーからの参加者や地元の住民からも「海外」という呼称が使われていたり、パルデアと時差が現実世界でいう6時間もあることから、少なくともパルデアとはモデルとなったスペインと日本と同じくらいの距離くらい離れた場所にあるものと思われる。
ちなみに、ローディング画面ではカイリューが飛行機を追い越すシーンが描かれている。
田んぼやりんご園など日本の田舎を思わせるのどかな自然が広がり、水田には水・地面タイプの原種ウパーの他にも、各フィールドにはミミズズ、オトシドリ、リククラゲ第9世代発のポケモンの生息も確認できる。
周囲は野山に囲まれ、特に中央にそびえる鬼の頭のような「鬼が山」が印象的。
悪い鬼から里を救った「ともっこさま」と呼ばれるポケモンの昔話が伝わっており、彼らの石像やそれを伝える看板が置かれている。
また『オモテ祭り』という祭りも開催され、様々な屋台が出て賑わいを見せる。
パルデアのアカデミーは毎年他校と合同で林間学校を開催しており、今年の開催地としてキタカミの里が選ばれた。
主人公はそのメンバーに選ばれ、キタカミの里の歴史を紐解くオリエンテーリングに参加する他、様々な体験をする事になる。
また、ブルーベリー学園での交換留学や、テラパゴスに関する調査を一通り終えた後に、今度はパルデアの仲間たちを連れて、里に伝わる伝説の隠された謎を紐解いていくことになる。
学生達が宝探しに奔走するパルデア地方と異なり、フィールドに点在するトレーナーに学生キャラはほとんどいない。また、アローラのすがたのポケモンを使用するNPCもいる。
また、本来であればパルデア地方特有の現象であるはずのテラスタル現象が発生しているが、どうやら鬼が山山頂のてらす池の中に大きなテラスタル結晶があることと何か関係がある模様。
なぜパルデアから遠く離れた場所にエリアゼロに存在しているのと同じようなテラスタル結晶が存在しているのかは現時点では明らかになっていない。一応、ブライア先生が調査を行っている描写があることから、ポケモンの世界でもこの謎を解き明かそうという動きはあるようだが…?
田舎ということもあり、桃沢商店を始め、お店の殆どはLPを使った買い物ができない。
しかし、数回LPで払おうとして断られる事を繰り返すと、「管理人に相談してみる」という台詞が出て、ゲーム内時間で1日経つとすべての店でLPが使えるようになる。
また、里唯一のバス停に来るバスは一日に数本しかない(もっとも、主人公はマップから自由にパルデアとキタカミの里を行き来できるので全く影響はないのだが)。
パルデア地方の外にあるため、ケンタロスやウパー等の原種を孵化させることが可能。
ウパー系統はキタカミの里に生息している上に本編ストーリー中でもカラフシティでパルデアウパーと交換することで入手が可能なのでそこまで旨味はないが、原種ケンタロスに関してはストーリーの序盤から攻略中に使いたいのならここで孵化するのが一番早い(それ以外では「藍の円盤」でテラリウムドームのサバンナエリアに生息している野生の個体を入手する以外に方法がない)。
地名
名前 | モデル / 推測 | 備考 |
---|---|---|
キタカミセンター | 真山神社 | |
キタカミ街道 | ||
アップルヒルズ | 道の駅なみおかアップルヒル | |
ともっこプラザ | ||
フジが原 | ||
フジの池 | 岩手県久慈市久慈渓流 不老泉 | 看板の文言より。キタカミ六選の1つ |
楽土の荒地 | ||
キタカミ原生地域 | 白神山地または和賀岳 | 東北の原生地域より |
ありがたい輪 | 環状列石 | 縄文時代に東北~北海道で作られたストーンサークル。キタカミ六選の1つ |
とこしえの森 | 白神山地 | サザレのイベントより推測 |
舞出山道 | ||
落合川原 | 青森県田子町または秋田県横手市 | 同様の地名がある。キタカミ六選の1つ |
鬼角峡谷 | 厳美渓など | キタカミ六選の1つ |
恐れ穴 | ||
鬼が山 | 恐山 | |
地獄谷 | 地獄谷 | キタカミ六選の1つ |
てらす池 | 宇曽利湖 | 根拠はモデルについてを参照。キタカミ六選の1つ |
ひやみず洞 | 龍泉洞 |
考察
里の中で使用されている文字がLEGENDSアルセウスで使用されていた文字と酷似しており、ヒスイガーディを模した狛犬のような石像も確認され、ヒスイ地方と何らかの関係がある可能性がある。
また、しろすじのバスラオとその進化系であるイダイトウが生息している他、ヒスイ地方から海を渡ってきたことが推測されているポケモンも存在しており、生態系においてもヒスイ地方とはかなり密接な繋がりがあることが推測できる。
シンオウ地方出身で、ヒスイ地方についても語るキャラクターも登場している。
モデルについて
キタカミの里出身であるスグリが「わやじゃ(すごく、たくさん、ヤバい)」「けっぱる(頑張る)」と北海道・東北の方言を使っていることからも、東北地方がモデルであることは間違いないだろう。「わや」は中国地方にも同じ方言があるが、「めちゃくちゃ」という意味があるため会話の文面的に東北弁の方が自然である。
東北地方は、外伝作の『ポケモンレンジャーバトナージ』で青森県の一部がアルミア地方で使われたのみで、東北地方全体をモデルにした舞台はこちらも今まで登場したことはない。
このため、今回のDLCはその補完的な意味も兼ねているとも考えられる。
また、仮に東北地方がモデルになっているとした前提では、北海道をモデルとしたシンオウ(及び、シンオウで使われていなかった渡島半島をモデルにしたアルミア)地方とカントー地方の間の土地の可能性が高く、地理的にどういった関係にあるのかも気になるところ。
現時点ではカントーとシンオウとの位置関係について公式からの言及はないものの、シンオウ地方とは繋がりが仄めかされている描写が多々存在するため、隣接しているかは不明なものの地理的にはかなり近い場所にあるとみて間違いなさそうである。
ガチグマ(アカツキ)の図鑑説明を見るにキタカミとシンオウは陸続きではないこともうかがえ、こちらも東北地方と一致している。
ただ、相違点もあり、現実の東北は全体的に寒冷な気候だが、ジニア先生によると「キタカミの里の夏は白衣の中がビショビショになるくらいには蒸し暑い」とのこと。実際、サザレのように薄着のキャラクターも登場している。
現実の東北のうち日本海側の山形県や秋田県は地形の影響で夏の気温は上がりやすいため、その要素が盛り込まれている可能性もある。
実際、1933年に山形県で観測された40.8℃という気温は2007年に更新されるまで日本で観測された最も高い気温であった。
- 共通事項
三県とも鬼にまつわる伝承が多くある(青森県弘前市の鬼神社、岩手県盛岡市の三ツ石神社、秋田県男鹿半島のナマハゲなど)。
- 青森県の要素
恐れ穴という地名と、てらす池や地獄谷の景観や死者に会えるという看板から、鬼が山のモデルは恐山と見られる。
てらす池は宇曽利湖同様にハート形をしており、赤い橋は太鼓橋と酷似している。池から続く川は正津川をモデルにしているとみられる。
アップルヒルズというりんご園があり、りんごの国内生産量第一位は青森県であることから、地名の由来は、道の駅なみおかアップルヒルと推測される。
ちなみに、青森ねぶた祭りにおいてピカチュウとオーガポンのねぶたが2023年8月3日〜6日に運行されたことがあり、公式も青森県をある程度意識していたことがうかがえる。
- 岩手県の要素
岩手県北上市には鬼剣舞(おにけんばい)という鬼のような仮面をつけて踊る伝統芸能があるため、それがモチーフだと思われる。“キタカミ”という名称もモチーフとなった北上市から付けられたものである可能性が高いだろう。
他三体の伝説も加味すると、そこに桃太郎伝説を混ぜた可能性が高い。桃太郎の伝説は岡山県発祥のものが有名だが、岩手県にも似た伝承が存在する。
- 秋田県の要素
オモテ祭りに登場するハナビラアイスは、秋田県を中心に販売されているババヘラアイスがモデルと思われる。
生息するポケモンについて
日本をイメージしているためか登場ポケモンも和風なものからありふれたモチーフのポケモンが多い。
水田を飛び交うヤンヤンマ、水路に生息するヘイガニやウパー(日本にウーパールーパーはいないのでイモリ役か)、夜の川辺を飛び回るイルミーゼとバルビート、草むらを這うアーボ、山野に住むイノムーやオドシシなどなど…これだけでも日本の田舎を表現できている事がわかる。
またスイリョクタウンの家屋にはプロパンガスや鎖樋などもある。
中には東北地方の文化や生態系を反映したポケモンも多く、冬季の猪苗代湖などに白鳥が渡ってくるからか、鬼角峡谷などにはスワンナの姿が、東北地方の名産品がりんごということもあってか、アップルヒルズのりんご園には、リンゴに擬態するカジッチュの姿が見られる。
さらにテラレイドバトルでは本州では絶滅した生物がモデルのポケモン(イダイトウ)が入手できる。
加えてキュウコンやダーテング、ルンパッパ、ユキワラシなど妖怪モチーフのポケモンの姿も確認できるが、実際の岩手県の遠野市は河童や座敷童子の伝承が有名である他、民俗学者の柳田国男が纏めた「遠野物語」には天狗などの伝承も収録されていたりする。
…とはいえ、意外にもケンホロウやオニスズメなど、如何にもなポケモンがいなかったりするが(俗に言う序盤鳥はホーホーしかいない)。
余談
キタカミの里自体はクリア前から入れるが、クリア後に入る場合はヤンヤンマやポチエナといったまだ進化していないポケモンさえもエリアゼロ上層の平均レベルくらいはあり(レベル55程度)、そんなポケモン達が平然と闊歩する魔境と化す。
しかもこれはスイリョクタウン周辺に限っての話であり、他のところへ行くと当たり前のようにレベル65以上の野生のポケモンがほっつき歩いていたり、挙げ句の果てにはレベル86の野生ポケモンの出現が確認できる始末。
勿論彼等の技もレベルに相応しいものとなっており、そこらのポケモンからハサミギロチンだのれんごくだのじしんだのストーンエッジだのと、普通に対戦でも使われるレベルの威力の技がバンバン飛んでくるため、育成中のポケモンを引き連れている場合などは要注意。
上記のようにヒスイ地方の関連がいくつも見られるため、もしかするとヒスイ地方の危険性を再認識することもあるかもしれない。
ちなみにクリア前のキタカミの里であればポケモン達のレベルは12〜30程度と割と良心的な範囲に収まっているが、唯一とこしえの森だけはクリア前のデータでもレベル50を上回るポケモン達がうろついているので注意。
いずれにせよ、楽しみたいのなら本編攻略中に導入する事をお勧めする。
畑などの場所に設置されているオブジェクトのコンテナや一輪車(猫車)などは主人公を追っているカメラ(スマホロトムの撮影モード中にその近くでの撮影時)が近づくと不自然な程半透明になっている。(まさかのチェックミス?)