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水原一平氏の違法賭博問題の編集履歴

2024-04-12 15:51:33 バージョン

水原一平氏の違法賭博問題

みずはらいっぺいしのいほうとばくもんだい

2024年に、MLBのシーズン開幕前に発覚した水原一平氏に関する一大スキャンダル。

概要

2024年3月2021日韓国ソウルドジャースvsパドレスMLB開幕戦が行われた。


しかし、その最中の3月21日早朝、アメリカのスポーツメディア:ESPNが、ドジャースのエース:大谷翔平選手の専属通訳を務めていた水原一平がドジャースを解雇されたというニュースを報じた。この衝撃的な一報は世界中を駆け巡り、野球ファンに衝撃を与えた。

しかも、解雇の理由は、大谷選手の一部資産の着服並びに横領というとんでもないもの。これにより、大谷選手の代理人弁護士からも、窃盗の疑いで告訴されることになった。


いったい水原氏の身に何があったのか?


経緯

その後、メディアの取材や水原氏を含む関係者の証言から、以下のような事情が明らかになった。


2021年、水原氏は遠征先のカジノで、違法賭博のブックメーカー(胴元)であるマシュー・ボウヤーという男性と知り合った。水原氏はボウヤー氏に勧められるままにスポーツ賭博を始めたものの、元よりギャンブルの才能がなかった水原氏は負けが込み続け、同年の年末までに100万ドル(日本円でおよそ1億5千万円)の借金を背負うことになった。

水原氏は家族知人から借金をしながらもなんとか返済を試みたものの、賭博そのものをやめることはできず、負債は2023年末には450万ドル(日本円でおよそ6億8千万円)にまで膨れ上がり、最早自力での返済は不可能な領域にまで到達していた。

このため、水原氏は大谷の資金を使って借金の返済を試みた…というのが大まかなシナリオのようだ。


なお、ボウヤー氏は水原氏が大谷選手の関係者であることを知っており、端っから大谷選手の多額の資産を当てに水原氏から金を毟り取る算段であったと言われている


その後、FBIが違法賭博の捜査ならびに摘発を進める中で、ボウヤー氏の口座に大谷名義の金の振り込みがあることを突き止め、ほぼ同時期に別ルートでこのことに気づいたESPNが真相を確かめようと水原氏に取材をしたところ、この一件が発覚したというわけである(一説には、FBIがメディアに情報を流したのではないかとも言われている)。


疑念

ところが、この一件には、いくつか不可解な点が見受けられ、それがこの事件の謎や疑念を深めている。


  • 大谷選手はこのことを知っていたのか?

当初、水原氏はESPNの取材に対して、「二度とギャンブルに手を出さないという条件で、大谷選手に借金を肩代わりしてもらった」と証言していた。しかし、何故かその翌日にはこの証言を撤回し、「大谷選手は今までこのことを一切知らなかった。すべて自分がやった」と主張。困惑した記者に「いったいどういうことですか?我々に噓を付いていたのですか?」と問い詰められた際にも「そうです」と即答したという。

後日、大谷選手自身も声明発表の中で、「水原氏が白状するまで、自分の金が横領されていたことは知らなかった」と主張している。

このため、現在では「大谷選手は自分の金が使われていることはおろか、そもそも水原氏が借金を抱えていることすら知らなかった」という主張が有力視されている。しかし、その場合最初の水原氏の証言はいったい何だったのかという新たな疑問が生じることになる。我が身可愛さに保身へと走り、ついあのような虚偽の証言をしてしまったということなのだろうか?


  • 誰がどうやって送金したのか?

こちらも当初、水原氏は「自分が見ている前で、大谷選手自身がパソコンを操作し、指定された口座に複数回に渡って送金を行った」と証言したが、翌日に撤回している。

しかし、電子送金には、セキュリティのために本人確認やパスワードの二段階認証等の複雑な手順があるはずで、水原氏が本当に単独で送金を行えたのかは疑わしいという意見も多い

水原氏も大谷選手も具体的な送金方法については現時点で一切明かしておらず、これが本事件に対して大きな疑念が向けられる一因となっている。


加えて、「信用のおける人物だからといって、側近1人だけに金の管理を任せたりするだろうか」「いくら金を稼いでいるからといって、450万ドルもの大金が手元から無くなっていたのならばさすがに気付くのではないか?」という点も事件の不可解さに拍車をかけている。

これらの疑問点や、水原氏の一番最初の証言から、「実際に違法賭博に手を出していたのは大谷選手の方で、水原氏はスケープゴートにされたのではないのか?」とする推測もある。


  • なぜ開幕戦のタイミングで報道されたのか?

これもしばしばファンの間からは疑問視されることが多い。


シーズン開幕という選手にとっては一番大事な時期にこんなスキャンダルが発覚すれば、当然シーズン本番に向けた調整に大きな影響が出ることは避けられない。大谷選手やドジャースへの当てつけや嫌がらせと取られても不思議ではなく、一部では「大谷選手が活躍したり注目されたりすることを快く思わない勢力が裏で糸を引いており、大谷選手と水原氏はハメられたのではないのか?」という見方もある。

もちろん、何の根拠もないただの陰謀論ではあるのだが、アメリカ国内では未だに東洋人への差別が根強く残っている(※)こと、どこの国でも国技で外国から来た選手が自国の選手を凌ぐ活躍をすれば一定数それに対するやっかみが生じるであろうことを考えればまったく考えられない話ではない。


また、ドジャースはオフシーズンに大谷選手をはじめ、山本由伸投手、タイラー・グラスノー投手、テオスカー・ヘルナンデス選手といった大物選手を次々に獲得したことで多くのファンから札束攻勢だと非難されたため、大谷選手に限らずドジャースそのものがメジャーリーグファンから相当なヘイトを買っていたことも事実である。

大谷選手のドジャースとの後払い契約にも税逃れへ悪用される可能性があるとの懸念の声があり、これがきっかけで当局から目をつけられてしまったのではないかとする見方もある。


※ 実際、アメリカ国内ではコロナ禍ウイルスの発生源がチャイナであるとする報道が広まったことから、東洋人へのヘイトクライムが増加したとされる。また、この問題が発覚する直前に行われたアカデミー賞の授賞式でも、受賞俳優プレゼンターを務めた東洋系の俳優をガン無視するかのような行動を取って国際的な批判を浴びるという事件が起きたばかりであり、アメリカ国内で東洋人に対する差別意識が未だに根強く残っている現実が浮き彫りになっている。



真相解明へ一歩前進

現地時間4月11日、アメリカの司法省が水原一平を銀行詐欺容疑で訴追したと発表した。


調査によると、水原は賭博で総額62億円近くの損失を出しており、その損失を埋め合わせるために大谷の貯金を盗んで利用していたとされる。

大谷の被害総額は最低でも24億円に上るという。



また、これまで謎に包まれていた大谷の口座のセキュリティ突破の方法や会計士等が気付けなかった原因についてだが、大谷の口座についての連絡先を水原のものに変更し(電話応対が必要な時は水原が大谷を騙って返答をしたり、直接面談する時も大谷側の都合で同席できないことにして対応していたという)、大谷の財務管理や担当会計士に日本語を使えるスタッフがいなかったことを利用してその口座について触れないように伝えて金銭関係の情報が入らないように工作していたとのことだった。


訴状の中にはとあるブックメーカーが連絡を拒絶しようとしている一平に対し、「(大谷の動向を監視していることをほのめかしながら)大谷に直接問い合わせられたくなかったら連絡をよこせ」といった脅しに近いメール内容も記載されていたという。最悪の場合大谷が人質に取られたり、命の危険にさらされていた可能性も否定できない。



少なくとも、大谷が賭博に関わっていた可能性は政府機関によって否定される形となり、大谷は潔白を証明されたが、同時に水原の行動の悪質さも明らかになっており、実刑、それも非常に重い罪に問われる可能性が高まった。



水原は事件発覚後日本では行方不明扱いとなっていたが、韓国からアメリカに戻った後、警察当局に呼び止められていた(逮捕はされていなかった)ことも判明している。




今後の影響

大谷翔平選手

仮に大谷選手が送金に関して何らかの関わりを持っていた場合、コミッショナー判断により、MLBから何かしらの処罰が下される可能性があった。実際、過去にはピート・ローズ氏が自身が監督していたチームを対象とした違法賭博へ関与したがためにMLBから永久追放されるという厳罰を下されたこともある(なお、ローズ氏は今回の一件に関して、「1970~80年代の自分にも通訳がいれば良かった。そうすれば無罪放免だった」と皮肉を述べていたとか)。


ただ、今のところ大谷選手自身が賭博を行った形跡はなく、むしろ被害者の立場であるため処分される可能性はないという見方が有力である。


とはいえ、大谷選手は、これまで「不祥事やスキャンダルとは良くも悪くも全く無縁で清廉潔白な野球青年」「二刀流を含めて他の選手とは一線を明らかに画している稀代且つ不世出なユニコーンというイメージがなまじっか強かっただけに、今回の一件で「野球以外に関しては脇が余りにも甘く、資産管理が杜撰ルーズ大人」「アスリートとしては間違いなく超一流でありメガスーパースターであることに疑いの余地は全くないが、一社会人としてはまだ青いと言わざるを得ないというマイナスなイメージが付き、評判が大きく下がってしまったことは正直否めない。

加えて、無罪だとしても賭博事件が解決されるまでは、FBI・IRS(内向歳入庁。ジャパンの国税庁に相当する連邦政府機関)・MLB機構からの執拗な調査や事情聴取がシーズン中に複数回行われることが予想されており、それらが原因で彼のメンタルパフォーマンスに悪影響が出るのではないのかと危惧されている(後に、FBIは違法な送金に関与している可能性は低いとして大谷選手を捜査対象から外している)。また、水原がアンダーグラウンドな人物・組織と関係を持っていたことが明るみになった事で、今度は大谷自身も危害を加えられないかどうかも不安視される。



ただし不幸中の幸いなのは、ドジャースのフロント幹部達やデイヴ・ロバーツ監督を筆頭に、ムーキー・ベッツ選手、フレディ・フリーマン選手、マックス・マンシー選手、エンリケ・ヘルナンデス選手、テオスカー・ヘルナンデス選手、ジョー・ケリー投手など彼のチームメイト達がとばっちりを受けた彼を擁護してくれることを約束したことだろう。

加えて、彼の伴侶でもある真美子夫人愛犬デコピンが傍にいてくれることが彼の何よりの心の拠り所となるに違いない。


アメリカ野球殿堂入りのハードル

また、今回の一件により、彼の人生最大なでもあるマリアーノ・リヴェラ氏以来の2人目の得票率100%でのアメリカ野球殿堂入り」にも影を落とす可能性が高まったと囁かれている。


実力・実績共に申し分が全くない上記のローズ氏やバリー・ボンズ氏、マーク・マグワイア氏、アレックス・ロドリゲス氏、サミー・ソーサ氏、カート・シリング氏、ロジャー・クレメンス氏ではあるものの………



など、素行人間性に難が有りすぎて殿堂入りに必要な75%以上の得票率を最後まで得られず、殿堂入りは夢のまた夢に終わってしまった


ヤンキースの歴代生え抜きキャプテンのなかでも人格者と謳われており、野手としてメジャー史上初の満票による殿堂入りが期待されていたデレク・ジーター氏ですら最終的に得票率99.7%に留まり、反対票を投じたたった一人の記者の犯人捜しがアメリカ中で躍起になって行われたほどの社会現象となってしまった(もっとも、当の本人は殿堂入りできたことにすっかり満足しており、むしろ彼の満票当選を一日千秋の想いで待ち焦がれていたニューヨークメディアやヤンキースファンが必要以上に激昂し暴れまくっていた)。


2025年には日本人選手初の殿堂入りが確実視されているイチロー氏も、今でこそ随分と丸くなったが、


  • 現役時代は第1回WBCの時に「向こう30年はジャパンに手は出せないな、という感じで(サウスコリアに)勝ちたいと思う」といった、好戦的&挑発的且つ敵を作りやすい物言いを意図的にブチかました
  • 気に入らない記者やインタヴュアーに対する不遜且つ傲慢な態度が批判された
  • 実績面でも安打こそ量産しまくったものの、キャリア通算OPSが.757とお世辞にも決して高くなかった(殿堂入りに必要な野手のキャリア通算OPSは最低でも.900以上を必須条件としている)

………などの理由から、得票率100%での殿堂入りはまず不可能と言われている(もっとも、当の本人は殿堂入りさえできれば、満票にはさほど拘っていない節すら感じられる模様)。


上記のジーター氏やイチロー氏の例も相まって、(2024年シーズンを含めて最低でもあと4シーズン、またはこのまま現役引退までMLBでプレイし続ければ)大谷選手の殿堂入りもほぼ既定路線ではあるものの、今回のスキャンダルで得票率100%での殿堂入りにケチが付き、そのハードルがさらに分厚く高くなってしまった可能性は残念ながら否めなくなってしまった(誰もやらないやれないことに挑戦したがり、それをモティヴェイションに変える大谷選手なら、ジーター氏やイチロー氏のように殿堂入りそのものに決して満足せず、満票での殿堂入りを狙っているのは想像に難くないであろう)。


水原一平氏

ドジャースが本拠地を置くカリフォルニア州はスポーツ賭博が法律により禁止されている他、MLBの規約においてもスポーツ賭博自体は禁止されていないものの、選手・スタッフ共に違法なルールの賭博に手を出すことは固く禁止されている。たとえ十分な貯えがあり、大谷選手の金に一切手を出さずに自腹で賭博を行っていたとしても、遅かれ早かれ彼の解雇は避けられなかったことだろう

また、これにより水原氏は逮捕・収監され、何かしらの法的な処罰を受けることは避けられないと思われる。


また、今回の一件が引き金となり、水原氏は学歴や経歴を詐称していた疑惑まで持ち上がっており、社会的な信用は最早完全に失墜してしまったと言って過言ではない。


一方で、水原氏はギャンブル依存症に陥っていたことも告白している。ギャンブル依存症の患者の中には、自分の実態をごまかすために虚言を述べるようになる者も少なくないことから、現在では水原氏がESPNの取材に対して最初に行った証言はすべて水原氏のでっち上げであろうとする見方が有力視されている。

幸いなことに、アメリカはギャンブル依存症への社会的理解や治療法が日本と比べてはるかに進んでいるため、法的な裁きを受けた後は何かしらの治療プログラムを受けつつ、社会復帰を目指していくことになるだろう。


道のりは険しいだろうが、いつの日か社会へと復帰し、己の罪としっかり向き合いながら人生をやり直してほしいものである。


関連項目

水原一平 大谷翔平 不祥事 スキャンダル

賭博ギャンブル ギャンブル依存症


ショーンK:今回の一件がきっかけとなり、過去に侵した学歴詐称が再注目され、SNS上でもトレンド入りしてしまった。ちなみに、こちらは騒動終結後に無事に社会復帰を果たしており、現在は反省して新たな人生を歩み始めている。


大谷ハラスメント:日本国内の毎日供給過多とも思われる大谷報道に対して疲れや苛立ちを感じている日本人も多い。中には大谷に対してヘイト的感情、誹謗中傷を行うような者もおり、今回の事件は彼らにとって大谷と日本メディアの報道姿勢を叩く絶好の機会になってしまった。

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