概要
2000年代にマイル競走を中心にJRAで活躍した元競走馬・種牡馬。
主な勝ち鞍は2004年皐月賞、2006年天皇賞(秋)、2006・07年マイルチャンピオンシップ連覇、2007年安田記念。
2006年、2007年の最優秀短距離馬。
先行からのロングスパート、馬体を併せられると差し返していく負けん気の強さが特徴。
種牡馬としては11頭のGⅠ馬を輩出。
2006年のマイラーズカップ以降主戦を務めた安藤勝己騎手は「突き刺さるような加速」「俺に一番合っている」と評価していた。
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ヒーロー列伝
速さと強さの理想、才能と努力の結実、未踏の頂点に君臨。
≪「ヒーロー列伝」No.64≫
名馬の肖像
リーダーの矜持
駄々をこねる
ふいに咳き込む
みんなを振り回し
気遣いを強いる
だがこの御曹司は
暗愚ではなかった
難局を乗り越え
実績を作り
時代を率いることで
周囲を黙らせていく
≪2018年皐月賞≫
略歴
2001年
- 4月8日、社台ファーム(北海道千歳市)で誕生。
- 父・サンデーサイレンス、母・スカーレットブーケ(母父ノーザンテースト)。スカーレットインクに始まるスカーレット一族の一員。全兄にスリリングサンデー、全姉にダイワルージュ、3/4妹(祖父が父と同じ)にダイワスカーレットがいる。
- 馬主は当初大和商事(株)だったが、2004年12月に大城敬三個人の名義に変更された。
- 社台の当歳馬たちの間ではガキ大将的存在で、体が大きく、力が強く、気性が荒く、人間相手でも気に入らなければ徹底的に反抗し、殺気のこもった目で睨みつけてくるので中々育成調教が進まなかった。
2003年
- 夏に社台の山元トレーニングセンターに送られたが、手に負えないので送り返されてきた。牡馬担当主任の東礼治郎がホッカイドウ競馬の五十嵐冬樹騎手(ブリーダーズゴールドカップで社台生産馬イングランディーレに騎乗)に「ちょっとヤキを入れてやってください」と頼み、五十嵐が厳しく追い込んだところ、ダイワメジャーは多少従順になった。
- 秋に美浦トレーニングセンターの上原博之厩舎に入厩。
- 12月28日、中山競馬場の2歳新馬戦(芝1600m)で菊沢隆徳騎手を鞍上にデビュー。大暴れした末パドックで地面に腹這いになって抵抗し、出走取消を打診されるほどだったが、どうにか出走しモンスターロードの2着。馬主の大城はダイワメジャーの気性難について知らされていなかったので非常に驚いた。
2004年
- 1月17日、中山競馬場の歳未勝利戦(ダート1800m)で初勝利。
- 2月29日、3歳500万下(ダート1800m)はフルオブファイトの4着に敗れた。
- 3月21日、スプリングステークスではブラックタイドの3着に敗れるが、皐月賞の優先出走権を得た。
- 4月18日、前年にネオユニヴァースで勝利したミルコ・デムーロ騎手を鞍上に皐月賞に出走。単勝10番人気。最終直線でメイショウボーラーを躱して先頭に立ち、ホッカイドウ競馬から参戦のコスモバルク(五十嵐冬樹騎手)の猛追を凌いで優勝した。1勝馬の皐月賞勝利はクモノハナ以来54年ぶり。ダイワメジャーはこの頃から喘鳴症(喉鳴り)を発症した。
- 5月30日、東京優駿に出走。単勝4番人気。レースではレコード勝ちした1番人気・キングカメハメハの6着に敗れた。この後秋まで休養に入る。
- 9月26日、柴田善臣騎手を鞍上にオールカマーに出走し、トーセンダンディの9着に敗れた。
- 10月31日、天皇賞(秋)に出走し、ゼンノロブロイの17着(最下位)に敗れる。東京優駿以降の不振から2ちゃんねるで「ダメジャー」の蔑称が与えられる。喘鳴症の手術を受け、長い休養に入る。
2005年
- 4月3日、休養明けでダービー卿チャレンジトロフィーに出走し1着。
- 6月5日、安田記念に出走し、アサクサデンエンの8着に敗れた。
- 7月31日、横山典弘騎手を鞍上に関屋記念に出走し、サイドワインダーの2着に敗れた。
- 10月9日、毎日王冠に出走し、サンライズペガサスの5着に敗れた。
- 11月20日、クリストフ・ルメール騎手を鞍上にマイルチャンピオンシップに出走し、ハットトリックの2着に敗れた。
2006年
- 2月26日、ミルコ・デムーロ騎手を鞍上に中山記念に出走し、バランスオブゲームの2着に破れた。
- 4月15日、安藤勝己騎手を鞍上にマイラーズカップに出走し1着。
- 6月4日、安田記念に出走し、ブリッシュラックの5着に敗れた。
- 6月25日、四位洋文騎手を鞍上に宝塚記念に出走し、ディープインパクトの4着に敗れた。4枠4番4番人気で4着、騎手の姓が四位という4尽くしの珍記録となる。
- 10月8日、安藤勝己騎手を鞍上に毎日王冠に出走し1着。
- 10月29日、天皇賞(秋)に出走。単勝4番人気。レースは最後の直線で先頭に立つとスウィフトカレントの追い込みを凌いで1着。2年前の皐月賞以来のGⅠ勝利で、馬番は皐月賞と同じ7枠14番だった。
- 11月19日、マイルチャンピオンシップに出走。単勝1番人気。スタートから先頭に立ち、追い込んできたスーパーホーネットをクビ差抑え1番着。天皇賞とマイルチャンピオンシップの連覇はニッポーテイオー以来19年ぶりであった。
2007年
- 3月31日、招待を受けメイダン競馬場(アラブ首長国連邦)のドバイデューティフリーに出走。共に日本から参戦していたアドマイヤムーンの3着に敗れた。
- 6月3日、安田記念に出走し、最後の直線で逃げ粘るコンゴウリキシオーとの叩き合いを制し1着。安田記念三度目の正直であった。
- 6月24日、宝塚記念に出走し、アドマイヤムーンの12着に敗れた。2年ぶりに掲示板を外した。
- 10月7日、毎日王冠に出走し、チョウサンの3着に敗れた。
- 10月28日、天皇賞(秋)に出走。直線でエイシンデピュティの斜行の煽りを受けメイショウサムソンの9着に敗れた。
- 11月18日、マイルチャンピオンシップに出走し、スーパーホーネットの追撃を凌いで1着。史上5頭目の同競走連覇と春秋古馬マイルGI制覇を達成し、獲得賞金が10億円の大台に乗った。有馬記念を最後に今季限りでの引退が発表された。
- 12月23日、有馬記念でダイワスカーレットとの兄妹対決が実現した。安藤勝己騎手はダイワスカーレットの主戦だったため、ダイワメジャーにはミルコ・デムーロが騎乗。しかし9番人気のマツリダゴッホが優勝。ダイワスカーレットは2着、ダイワメジャーは3着に敗れた。
種牡馬時代
2008年
- 社台スタリオンステーションに繋養され、種牡馬となった。
- マイルの勝馬を多数輩出し、カレンブラックヒル、コパノリチャード、ブルドッグボス、メジャーエンブレム、レーヌミノル、アドマイヤマーズ、ノーヴァレンダ、レシステンシア、セリフォス、ダブルメジャー、アスコリピチェーノと11頭のGⅠ馬の父となった。
- 後継種牡馬としては、アドマイヤマーズが候補に挙がっている。
2023年
- 11月22日、種牡馬を引退。引き続き功労馬として社台スタリオンステーションで余生を送っている。
2024年