プロフィール
生年月日 | 2015年2月13日 |
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欧字表記 | Etario |
性別 | 牡 |
毛色 | 青鹿毛 |
父 | ステイゴールド |
母 | ホットチャチャ |
母の父 | カクタスリッジ |
生産 | ノーザンファーム(北海道安平町) |
主戦騎手 | 和田竜二、ミルコ・デムーロ、横山典弘など |
生涯戦績 | 17戦1勝 |
獲得賞金 | 2億448万2000円(本賞金+付加賞金)、6350万円(収得賞金) |
父ステイゴールドは、ご存じ稀代のシルバー・ブロンズコレクターとして独自の人気を獲得した馬だが、2000年に6歳にして目黒記念で重賞初制覇、さらに7歳を迎えた2001年には日経新春杯・ドバイシーマクラシックを制し、引退レースの香港ヴァーズでは渾身の末脚で逃げ馬を捉え切り、悲願のGⅠ制覇を果たしてターフを去った。年齢と経験を重ねて強さを本格化させた馬といえる。
引退後、種牡馬としてめざましい成績を残していたステイゴールドだが、2015年2月5日、大動脈破裂により現役種牡馬のまま21歳で急逝。馬産界や競馬ファンは悲しみにくれた。
その8日後の2月13日、残された種から一頭のステイゴールド産駒が生を受けた。
黒鹿毛の父よりも黒みが強い青鹿毛の毛色に生まれたエタリオウは、のちに父譲りのシルバーコレクターぶりから「ステイゴールドの後継者」「いや生まれ変わりなのでは……?」と競馬ファンに評される、珍記録を残すことになる。
エタリオウという馬名は、「得たり(うまくいった)、応」という掛け声から名付けたもの。
戦歴
2017年(2歳)
2017年(2歳)9月、栗東トレーニングセンター友道康夫厩舎からデビュー。新馬戦は4着も、2戦目の未勝利戦(京都芝2000m)にて和田竜二の騎乗で初勝利。
結果的にこれが生涯唯一の勝ち鞍となった……だけなら、厳しい競走の中で数多く淘汰されていく競走馬の一頭にすぎなかったのだが。
12月の1勝クラス戦は2着で、2歳シーズンを3戦1勝で終えた。
2018年(3歳)
2018年(3歳)、始動戦の梅花賞(1勝クラス・京都芝2400m)で2着、勝ったのは後に日経賞・ラジオNIKKEI賞と重賞2勝のメイショウテッコン。
続いてゆきやなぎ賞(1勝クラス・阪神芝2400m)でも2着、勝ったのはこの年のフローラステークス勝ち馬サトノワルキューレ。
これで3戦連続の2着となったが、勝ち馬が強かった、レース内容は悪くないと、4月に日本ダービーへのトライアル競走・青葉賞(GⅡ)に格上挑戦。するとここもゴーフォザサミットの2着。
見事に2着までに与えられる優先出走権を勝ち取り、夢の日本ダービーの舞台に立つこととなった。
迎えた5月27日の日本ダービー。既に重賞制覇を経験した馬が居並ぶ中、未勝利戦勝ち上がりのみのエタリオウの戦績は見劣りし、しかも「青葉賞からダービーへ向かった馬は本戦で勝てない」というジンクスもあり13番人気だった。
ところが、後方からレースを進めたエタリオウは最終直線で粘り強く脚を伸ばして先頭集団に追いすがり、ワグネリアンの4着と大健闘をみせた(日本ダービーの4着は3000万円の本賞金が入り、これはオープン競走の1着賞金よりも多い)。
夏の休養後、秋の初戦として菊花賞トライアルの神戸新聞杯(GⅡ)に出走。
「このエタリオウという馬、惜しいレースが続いているがきっとそのうち重賞が取れるはずだ」ダービーでの好走で評価は上向いており、青葉賞では7番人気、ダービーでは13番人気だったものがここでは3番人気に推された。
すると、ここでもワグネリアンの2着。
菊花賞の優先出走権をきっちり確保し、さらに2着による収得賞金加算で合計2600万円、勝ち鞍1勝のままオープン馬入りを果たした。(一人前の競走馬といえるオープン馬入りの仕組みは重賞の項目を参照。1勝の状態でオープン入りというのは、ないわけではないが珍しいパターンに入る。)
10月21日の菊花賞ではワグネリアン不在もあり2番人気。最終直線で先頭に抜け出したエタリオウ、ついに2勝目、それもクラシック競走制覇―――と思われたが、ゴール直前フィエールマンにハナ差かわされ2着。
結局この3歳シーズン、6戦0勝、2着5回。
もちろん、オープン馬入りを果たし、ダービーや菊花賞で好走し、そして賞金は年間1億4000万円以上を稼いだ。数多い同世代の馬の中では超優秀な部類の成績である。
しかし、ここまで好走できる能力がありながら、なぜあと一押し勝利に届かないのか、いったい誰に似たのやら―――そんな1年となった。
2019年(4歳)以降
2019年(4歳)始動戦として選んだのは日経賞(GⅡ)、前年に大レースで好走を続けたエタリオウは、力関係もあって生涯初の1番人気に推された。
……しかし、ここでも2着。しかも勝ったのは、前年に1勝クラス戦でもエタリオウを2着に押さえたメイショウテッコンであった。
エタリオウの2着ロードはこれが最後となった。
この2019年はその後、天皇賞(春)、宝塚記念、京都大賞典、ジャパンカップ、有馬記念と大レースにどんどん出走するが、馬券に絡めず(通算1勝の馬がジャパンカップや有馬に出ていること自体が十分に珍事ではあるが…)。
2020年(5歳)、5月の天皇賞(春)10着を最後に引退。
通算戦績17戦1勝、獲得本賞金1億9570万円(付加賞金込みで2億448万2000円)。これは生涯勝ち鞍1勝の馬としてJRA最高額である。
誰が呼んだか「最強の1勝馬」、姿も成績もステイゴールドの面影を感じさせる一頭であった。
引退後は、日高町のヴェルサイユリゾートファームに繋養されており、当初は乗馬になる予定だったがまさかの種牡馬入りが決まった。馬主のプライベート種牡馬ではあるが、ステイゴールド後継の一翼を担うこととなった。
ヴェルサイユリゾートファームの公開した動画では、勇ましく後ろ足で立ち上がる姿を見せている(それに反応したタニノギムレットが牧柵を蹴り壊す音も入っている)。
初年度となる2021年のの種付け頭数は4頭で、その相手の中にはなんと九冠牝馬アーモンドアイの半姉にあたる良血牝馬パンドラズホープ(父キングカメハメハ)が含まれている。
翌2022年、エタリオウを所有したGリビエール・レーシングが初の産駒となる母テゴナの牝馬(母父ジャスタウェイ)が誕生したことを3月に発表した。4月にはパンドラズホープの仔も誕生(こちらも牝馬)。
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シゲルピンクダイヤ:エタリオウの1世代下。こちらも未勝利戦勝ち上がりのあと2019年桜花賞2着・秋華賞3着など、2勝目を挙げられないまま約1億6000万円を稼いだ。奇しくも生涯たった1つの勝利をもたらした騎手は、エタリオウと同じく和田竜二である。