概要
鷹の能力を持ったバダン帝国の改造人間にして、トカゲロイドに続く新型改造人間『UFOサイボーグ』第2号。
小説『仮面ライダーZX オリジナルストーリー』(著:平山亨)によれば、中東戦線で『アラブの鷹』と恐れられた名戦闘パイロット「無双盟」という名の男性が改造された姿とされており、戦闘機を使って風見志郎たちと壮絶な空中戦を展開した。
羽根を敵目掛けて投げつける『羽手裏剣』や鉄をも切り裂く鋭い爪と偃月刀を武器とする。
全幅7mもの脱着式の翼を装備し、グライダーのように音も無く滑空することが出来る。この翼の先端は太い樹木を簡単に切り倒してしまう鋭いカッターとなっており、滑空しながら敵を切り裂く戦法を得意としているが、逆にこの翼を破壊されるとたちどころに弱体化してしまうという弱点を持っている。
その頭脳には暗闇大使により過去の歴代悪の組織の戦闘データがインプットされており、かつてデストロンのツバサ一族に仮面ライダーV3が苦戦したという情報をもとにV3に襲いかかるが、仮面ライダーZXがV3の救援に駆けつけた事で形勢は逆転。
最後はV3の『逆タイフーン』で墜落させられたところを、ZXの『ZXイナズマキック』で片翼を破壊され、爆死した。
その後、最終決戦で再生怪人軍団の1人として登場した。
仮面ライダーSPIRITSでの設定
「勝負だカザミイイイ!!」
かつてバダン総統JUDOたちが製作したと推測される改造人間プラント『黒いピラミッド』から3万体の改造素体を回収する任務を帯び、エジプトで暗躍していた鷹の能力を持つバダンの改造人間。SPIRITSの第1部・第4話、第5話「熱砂のプライド」に登場。
人間態は“落ちた鷹”という意味の「ベガ」という青年。褐色の肌とサングラスが特徴的。
なお、人間態時は常にサングラスを掛けているが、これは目元が怪人態のまま(鷹の様な猛禽類の目)であるためで、正体を隠すためだと推測される。
デザイン的には体がより人間の体形に近くなっているほか、原作では脱着式だった翼が最初から備わっている良い設定に変更されている。
主な能力は翼から爆発する羽根を敵目掛けて発射する『羽手裏剣』で、その威力は一撃でアンドロイドの王妃を破壊したほど。
V3との最終決戦で、飛行能力を持たない彼を相手に有利に戦闘を展開するが、最後は『V3マッハキック』で体を寸断され敗北。どこか満足気な表情を浮かべながら絶命した。
実は貧しい盗掘者たちが暮らしている村で生まれ育ち、家族を養うための大金と家族の安全の保証を条件にバダンへとその身を売り渡した(事実上、家族を人質に取られていた)という経緯を持っている。
そのような経緯があるからか根っからの悪党という訳ではなく、無関係な人間については誰も直接手を掛ける事はなかった(志郎を油断させる意味もあっただろうが、ピラミッドの調査員達を一度助けている)。同じ改造人間としての悲しみを背負った志郎に対しても奇妙な友情を見せていた。
また、自身で破壊した王妃のアンドロイドに対しても「ワリィなぁ」と同情の念を述べてたり、幹部同士での会合でヤマアラシロイド=ニードルがリーダーに決まった時も「ヘェ…別にいいけど」と一人だけ全く興味無さげなリアクションをしているなど、バダンへの忠誠心はほぼ皆無。
彼もまたバラロイド=ロッサやドクガロイド=フレイ・ボーヒネンと同じくバダンの被害者の一人と言える。
その憎みきれない人間臭さや、村枝氏のアレンジの格好良さも相まって、「SPIRITS」でも人気の高い人物の一人。
志郎との最期の会話は胸に迫ること必至である。
もう少し早く志郎と出会えていたなら、自分の過ちに気付いてライダーマン(結城丈二)のような頼もしい仲間になれたかもしれない…。
「(家族と)会ってないのか?」
ケ……
会えるかよ… こんな体で…
あんたもそうだろう
カザ……ミ……
「そうかも…な」
「だが…今はこの身体がプライドだ」
余談
- 鷹をモチーフにしたライダー怪人は『仮面ライダーガッチャード』に登場するホークマルガムまで39年間間を開けることになる(設定だけなら『仮面ライダー剣』のホークアンデッドもいる)。