フグ科
ふぐか
硬骨魚綱フグ目に属する魚グループの総称。漢字表記は『河豚』または『鰒』。
豚と表される通り、膨らんだ丸い体型に愛嬌のある表情が特徴で、デフォルメされたマスコットやモチーフとしてしばしば用いられる。
魚類の中では極めて異例な特徴を持っている。一番の特徴は胃が変化した膨張嚢で、水を飲み込み大きさを何倍にも膨らむことによって敵から身を守ることができる。その影響で鱗が棘状に変化し皮膚が薄くなり、肋骨も無くなっている。
泳ぎ方も変わっており、尾鰭以外の鰭を使って泳ぐ(普通の魚は尾鰭を使うことでスピードを調整している)。フグは比較的温厚な性格で、大きな移動が必要がないからと言われている。主に海底の海老や貝などを砕いて食べる。
大多数は海水魚だが、一部汽水や淡水に棲むフグも存在する。
淡水性フグの一部は観賞魚として人気が高い。
危険な毒『テトロドトキシン』
剽軽な外見とは裏腹に、アルカロイド系の猛毒テトロドトキシン(通称フグ毒)を体内に含むことで知られる。
毒は内臓や皮膚など一部にのみ存在する種から体全体に毒がたまる種まで様々であり、肝臓・卵巣が最も毒性が強い。また、肉自体や精巣(白子)は無毒の種が多い。卵巣に毒が多い理由は、無防備な稚魚に毒の鎧を纏わせ、天敵に食べられたときに毒を察知させて吐き出させるため。
フグ毒生成のメカニズムについては、フグが餌としているヒトデや貝が由来とする説や、フグの腸内細菌がフグ毒を生成している説などがあるが、餌や季節によっては無毒のフグが育つ事もあるという。但し、少なくともフグ毒は自分で作れないことが分かっている。
なお、ヒトデ、ナマコ、甲殻類などにはフグ毒は効かないと言われているが、これは対応する神経がないからではという見解がある。
テトロドトキシンを服用した場合、全身の神経が麻痺して呼吸困難となり、人工呼吸など即座の救命処置がなされなかった場合は死に至る。
この為、素人による調理は大変危険である。
また、このテトロドトキシンは熱に強いため煮ようと焼こうと毒が残り、知らずに食べて死に至るケースも多くある。
だが、テトロドトキシンは医療用の麻酔薬として使用される場合もあり、ブードゥー教など一部の宗教では毒薬や麻薬の材料とされていた。
生ける屍として知られるゾンビの正体も、テトロドトキシンによってトランス状態に陥った人間だったのではないかという説がある。
テトロドトキシンはフグ特有の毒ではなく、ヒョウモンダコやスベスベマンジュウガニ、ヒトデ、一部の両生類も持っている事がある。
エサの管理を徹底して養殖を行う事で無毒ふぐを生み出すことに成功した事例もあるが、法律や利権の関係もあり一般流通はしていない。また、無毒ふぐはストレスに極端に弱いため、テトロドトキシンがふぐの精神衛生を保つのに必要ではないかと言われている。
猛毒の魚として知られる一方で、一部の種は高級食材として扱われる事が多いのも特徴である。
毒を含む部位を除去し、洗浄した上での刺身や、鍋料理に使われる。
ただし、調理には専用の免許である都道府県が発行する「ふぐ調理師免許」(自治体により多少名称が異なる場合がある)が必要となる。ふぐ調理師免許は都道府県毎に試験内容や取得手順が異なる。東京都や山口県などは実技試験があるものの、セミナーを受けるだけで取得できる都道府県もある。
にもかかわらず、現在も素人の調理による中毒や死亡事故が後を絶たない。
また、2年ほど塩漬けにした後に加工することで食用可能とした糠漬けや粕漬けが金沢や佐渡の一部の業者で製造・販売されている。
しかし、無毒化のメカニズムは未だ解明されておらず、出荷前の検査はマウスに毒見させるのだとか。
これは、明治時代に日本で最初にフグ食を解禁したのが同市であり、以降フグを専門とする料亭が繁栄したためである。
特に関西圏ではフグそのものを指して「テッポウ」(鉄砲)と呼ぶが、それは「当たれば死ぬ」事への洒落である。
なお、山口県(特に下関市)や九州(特に北部九州)では濁らずに「フク」と呼ばれる(縁起の良い魚の意味合いから「福」を掛け合わせている可能性もある)。
また、同じ九州でも長崎県島原地方では「がんば【島原地方の方言で「棺桶(ガン)を(ば)そばに置いてでも食べたい」の略】」と呼ばれている。
大型のフグは非常に発達した顎と鋭い歯を持っており、硬いものでも易々と噛み切ってしまう。
取り扱いの際には絶対に口に指を入れない事。
また、ネット上ではイルカにつつかれたりする等の画像がきっかけで『不遇なフグ』として有名。
テトロドトキシンはイルカには効果が薄いようで、海水で薄めることで人間でいうとドラッグをやる感覚でフグ毒を吸っていることがある。
実物は怖いが、写真やふぐ提灯やぬいぐるみにすると非常にかわいい。
ベビースキーマで丸くてお腹が白くて水玉模様でなにこのかわいい生き物。サメと同様に、マスコットの世界では愛嬌のある動物になっている。
他の魚と一緒に飼うと他の魚をいじめたり、ストレスを感じるとテトロドトキシンを吐いて他の魚を死なせることがあるので注意が必要。
知能は魚の中でも高いようで、餌をくれる人間の識別や人間の行動に対して従う様子が見られる。
どうぶつの森シリーズでは「とびだせ」より登場したが、レア度が高く釣れにくい割に売値が125ベルと全魚の中でもトップクラスの低価格なハズレ枠だった。
一方で次回作あつまれ」では5000ベルと飛躍的に売値が上がっている。