曖昧さ回避
- 『ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン』最終回の副題(サブタイトル)。
- 言葉自体の意味は「この素晴らしい世界」「なんて素晴らしい世界」などと解釈・表現される。
- 制作や創作では採用される語句の一つであり、世界的にはルイ・アームストロングの歌曲『What a Wonderful World』が有名。
本稿では1.について解説する。
概要
『ジョジョの奇妙な冒険』第6部『ストーンオーシャン』最終回の副題(サブタイトル)。
原作・TVアニメ版とも共通。
時間が加速し、宇宙が一巡しかけた世界での一人の少年と天国を求めた神父の最後の戦いの決着、そして後日談が描かれる。
特に副題(サブタイトル)「ホワット・ア・ワンダフル・ワールド」は、終盤にとある少年が体験した希望の物語が印象的である。
備考・余談
『ジョジョの奇妙な冒険』第6部『ストーンオーシャン』最終回「ホワット・ア・ワンダフル・ワールド」は、仲間たちから託された希望を更に先へ進めたエンポリオ少年が最悪・プッチ神父と戦い決着、そして後日談となる奇蹟体験で幕を閉じる物語。
奇妙なことに、この数奇な冒険譚の始まりである第1部は、土砂降りの雨の日に事故が起こり、因縁が幕を開けた。そして第6部も、強い雨の日に事故を起こし、因縁へと巻き込まれていった。
この日、運命にひとまず終止符を打ったこの日もまた、雨は降っていた。優しい、愛でるような雨が。運命は変わっていた。ヒッチハイカーを拾い、事故を起こさずに虹のかかった晴れ間へと、彼らは進んでいった。まるで深い深い眠りから目覚めたように。
徐倫、ウェザー、F.F(エフ・エフ)、エルメェス、アナスイ、それに承太郎と、去ってしまった仲間たち…。
けれど、もう居ない最愛の人たちと再び巡り会えたと理解する悲しさ、嬉しさ、誇らしさ、美しさ、言葉に出来ない情緒で、涙が溢れる感動場面で終幕するっ…。
終わりの変更点
最終回「ホワット・ア・ワンダフル・ワールド」の終わり場面は、連載版・書籍版・アニメ版とで、徐々に変更点が加味されている。
- 連載版では、ヒッチハイカーが旧世界の仲間たちに相当する人達が乗る車へ駆け寄る画で完結。また此処から始まる、希望的観測を思わせる描写。
- 書籍版では、依然として雨が降り続ける天候で車が走る画と、雨空にはウェザー、アナスイ、エルメェス、承太郎、徐倫の並びが重なる感動的な一枚画で完結。連載版よりも更に、どうなるか分からないけど、きっとうまくいく道へ進んでいくだろうと希望がある構図になっている。
- アニメ版では、書籍版を基に細部へ原作補填されてる箇所が多数。分かりやすい差異に、物語の終わりを飾る感動的な一枚画にF.F(エフ・エフ)が加えられている。また背景の奥には雨空の境界、車が走る車道の先は晴れ間があり、更に注目すると虹が出ている天候も加筆されている。
この他、映像作品の制限へ調整をした登場人物たちの台詞や噺語(ナレーション)、色付きの製作物ならではの描写、原作と比較して奇妙な冒険譚を楽しむのもまた一興。
一世紀以上にわたる物語への一区切り
『ジョジョの奇妙な冒険』とは─────
何世代にも受け継がれたディオ・ブランドーとジョースター家の因縁の物語
壮大な運命が決着される(ひとまずはね)この構成から、アニメ版『ストーンオーシャン』の最終回エンディングでは第1部~第6部までの画が連続する独自演出となっている。各部の重要な一幕や仲間たちが揃っている場面を芸術的な色遣いが彩る画面に、その世界を越えていく流れ星 ──主人公の一族を象徴する存在── の軌跡。そして少年が壮絶な死闘の決着後に目覚めたバス停の場面で、彼に星がたどり着き、この素晴らしい世界は一度終着する。
背景音楽には英国のバンド「YES」のアルバム「こわれもの」より『Roundabout』(回り道)が用いられている。この曲は、2012年10月の記念すべきテレビアニメ「ジョジョの奇妙な冒険」の始まりで抜擢されたEDテーマ曲である。『Roundabout』の歌詞は奇しくも、どこかディオ・ブランドーとジョースター家の運命を感じさせる。
因みに、アニメ版『ストーンオーシャン』の最終回がTV放送されたのは2023年4月8日。原作『ストーンオーシャン』が連載を終了したのは2003年4月8日で、最終話の掲載から放送はちょうど20年の月日が経っている。更に余談だが、2023年4月8日は放送地区により天候は雨のち晴れだった。つまり作中の最終場面と類似する気象状況とみれるかも。
時と場、なにか運命的な力を感じないか?
引用
原作者・荒木飛呂彦は洋楽に関連した名称などを作品に盛り込む制作で有名。本最終回ならば、1967年に発表されたルイ・アームストロングの楽曲「What a Wonderful World』が元ネタになってるのだろう。本曲は「この素晴らしき世界」の邦題でも有名な世界的名曲である。
そして「World」は、本作品群においてジョジョの代名詞ともいえるジョースター家の宿敵・DIOや「ジョジョ」の1人・空条承太郎が所有するスタンド能力「ザ・ワールド」 / 「スタープラチナ・ザ・ワールド」から、親和性も感じられる語句である。
世界の姿
ここでちょっぴり野暮な話。
エンポリオ少年が立つ世界は、本当にその位置にあるのか?
その根拠(エビデンス)には、前章での神妙な一幕にある。それは警察官だったとあるギャングが遭遇した奇妙な体験、その場所にある乗り物。
元警察官、レオーネ・アバッキオは数刻前まで命に関わる事態に陥っていたが、次の場面では場所が変わり、体の傷が無い状態になっていた。
今いる場所が何処なのかを決定づける乗り物に「バス」を提示される。近くへいたお巡りさんに「ここは終点」であると…。
まったく異なる場所へ変わる展開、この一幕に共通する存在として「バス」が登場する。これらの要素を「ホワット・ア・ワンダフル・ワールド」へ照らし合わせると、エンポリオ少年が立つ世界は何処であるのか…。
だが同じ。
どの世界でも、心で通じる相手に出会える感動は不変(おなじ)であり、姿形ではなく生き様へも命は宿るように、最愛の貴方へ「会えた」という、悲しくて喜ばしい、確かに「知性」を通じて「精神(ココロ)」で理解できる大切さ。
世界の味方(なかみ)はそれぞれだから、
味方(なかま)の素晴らしさは一つでない、
思い想いの重力(おもい)が働く、理屈でない理屈があるっ!
関連項目
アイリン アナキス エルディス ヒッチハイカー アイリンの父
最後に
本話を制作するに構想元にしたと思われるルイ・アームストロングの名曲『What a Wonderful World』は、名称だけでなく歌詞やオフィシャルビデオにも、『ストーンオーシャン』最終話の内容を想起させる事柄がある。
その参考部分例、そしてジョジョの作中場面を加味した翻訳(解釈)をしてみると─────
" Yes, I think to myself "
" What a wonderful world… "
『 ああ 僕の心に通じたよ 』
『 とても運命的で、素晴らしい 希望(あい)のある世界(いんりょく)を感じるよ… 』