概要
『ジョジョの奇妙な冒険』でスタンドの概念が登場した第3部「スターダストクルセイダース」から登場するラスボスが共通して使う(文字通りの意味での)必殺技である。
「ラスボスがスタンドで直接本体を貫通する以上のパワーで腹パンする」という至ってシンプルな攻撃だが主人公側キャラの死因になっている事も珍しくなく、これを受けたキャラは大半がそのまま絶命している。
やり方
- スタンドを出します
- 相手の腹を打ち抜く程度に腹パンをかまします
- おしまい
貫通腹パンの歴史
以下、本編のネタバレになるので注意。
※貫通腹パンが死因になった者は斜め文字
第3部
被害者:花京院典明
「これが………『世界』だ……花京院」
記念すべき初代貫通腹パン使用者。エジプトでの最終決戦にて使用。
全方位からのエメラルドスプラッシュをザ・ワールドで回避した後貫通腹パンをかましつつ吹っ飛ばした。その後わずかながらも生き長らえていたが、当時は回復役のスタンド使いがいなかったのもあり、「DIOの能力が『時間停止』である」というダイイングメッセージをジョセフに残し死亡した。
第4部
被害者:虹村形兆
「この弓と矢は俺がいただくぜ虹村形兆 あんたにこの矢で貫かれてスタンドの才能を引き出されたこの俺がな!」
ラスボスではないが、似た構図の貫通腹パンが存在する為記載。
仗助達が虹村兄弟に『弓と矢』の情報について聞き出している際に、『弓と矢』を持っていた形兆に対してコンセントからの不意打ちという形で使用(因みに億泰も共に始末するつもりであったが、そちらは形兆がすんでのところで庇い失敗に終わっている)。
形兆のスタンド「バッド・カンパニー」による抵抗も許さず、彼をコンセントから電線に引きずり込んで感電死させ、まんまと『弓と矢』を奪い取った。
因みに、下記の康一などの例と同様、珍しく貫通腹パンが直接の死因となった例では無い。
被害者:広瀬康一
「野郎ォーーーーーーッ!!」
使用はシアーハートアタック戦。
シアーハートアタックを完全にではないものの破られ、平穏な日常の崩壊とともに屈辱を味あわされた事に逆ギレし康一をいたぶり、さらに康一の挑発に乗った事で貫通腹パンをかました。
幸い遅れてやってきた仗助のクレイジー・ダイヤモンドに即刻治療され一命は取り留めたものの、治療にも時間がかかる呼吸停止の重傷という有様だった。
第5部
被害者:ブローノ・ブチャラティ、レオーネ・アバッキオ、ジャン=ピエール・ポルナレフ、トリッシュ・ウナ(肉体はグイード・ミスタ)
「誰だろうとわたしの永遠の絶頂をおびやかす者は許さない 決して 確実に消え去ってもらう」
「やはり生まれ故郷はいい…ついてる」
「逃がさんッ!」
初戦であるブチャラティ戦、サルディニア島でのアバッキオ急襲、コロッセオでのポルナレフとの再戦、そしてスタンドの矢を巡っての最終決戦と4度にも渡る。
うち前者3人はこれが原因で肉体的に死亡している。アバッキオだけが完全退場となったのは「貫通腹パン→スタンドを引っ込める→サッカーで遊ぶ子供達の群れに紛れ込んで逃げる」までを消しとばした分の時間が経過している事や、ブチャラティとナランチャが囮の子供に気を取られ、ジョルノとミスタは離れた岩陰からアバッキオを観察していてそこまでたどり着くのに時間がかかったためだと思われる。
「おまえはッ わたしを本気で怒らせたッ!!」
トリッシュに対しては、レクイエムの能力で彼女に憑依した状態で使用。彼女も一命こそ取り留めたものの、これを食らった時は3部のジョセフ同様(死んでないのに)魂が分離し天に昇っていく演出がなされ、相当な危篤状態だった事には変わりない。なおこの際は、自身の憑依先を殴り飛ばして肉体を強制的に動かす所謂「移動技」として使用しており、憑依先の肉体を通してディアボロ自身の精神にも多少ダメージが入っていた。間接的とはいえ「自分自身に貫通腹パンをかましたラスボス」は当然ながら彼が初めてである。
第6部
ホワイトスネイクだけで3回、スタンドの形態変化も含めると歴代最多となる5回の貫通腹パンをプッチ1人で行っている。
「案内してくれて礼を言うぞ『フー・ファイターズ』 本物の『ウェザー・リポート』が追い付く前に…ここに来れたことをな」
1,2回目は緑色の赤ちゃん争奪戦にて使用。F・Fがウェザーを連れて徐倫+アナスイと合流、しかしこのウェザーは幻覚能力で化けていたホワイトスネイクだったためまんまと出し抜かれてしまい、アナスイは背中を手刀で貫かれ、立て続けにF・Fは頭を真っ二つに割られ(腹パンではないのでノーカン)、徐倫は右腕ごと腹をブチ抜かれた。徐倫は直前右腕でガードしていたため致命傷には至らなかったが、アナスイは瀕死の重傷を負いF・Fの犠牲が無ければ確実に死んでいたと思われる。
「このわたしに3日後の新月に『天国へ行け』と押し上げてくれている…じゃなきゃあわたしは敗れていた」
3回目はプッチVS記憶を取り戻したウェザー戦で使用。両足を切断されながらもプッチをあと一歩のところまで追い詰めるウェザーだったが、そこに突如ヴェルサスの運転する車が突っ込み土埃が舞って視界が塞がれてしまう。そのどさくさに紛れて背後から貫通腹パンしウェザーを死に至らしめた。
被害者:空条徐倫
「いいか我がスタンドよ 改めて言うが裏返しは一撃だけだぞ それ以上は決して撃ってはならん 腕や脚への攻撃とはわけが違う…… パンチは必ず一発だけだ」
4回目はケープ・カナベラルの地にてホワイトスネイクが進化したC-MOONが使用(厳密には体を貫通していないが心臓までは貫通しているので掲載)。徐倫の心臓めがけて「触れた物体を裏返しにする」パンチを放ち、徐倫を死に至らしめた…と思われたが、殴られた心臓を「裏表」の概念がないメビウスの輪の形に変えるという徐倫の奇策により生還、絶命させるまでには至らなかった。
被害者:ナルシソ・アナスイ
5回目はC-MOONがさらに進化したメイド・イン・ヘブンが使用。目にも留まらぬスピードで徐倫ら5人を翻弄、プッチの宣言通り真っ先にアナスイを狙い手刀を背中から貫通させ殺害する。しかしその手刀はメイド・イン・ヘブンがストーン・フリーを利用して行った攻撃だった為、承太郎のスタープラチナが『二手』遅れる大きな要因となった。そこより先は……もはや何も語るまい。
主人公勢で貫通腹パンを使用した例
第3部
被害者:DIO
スタープラチナがザ・ワールドの時間停止にわずかながらも干渉出来る事をDIOが知らない事を利用し、貫通腹パンをかましている。
しかし相手が血を吸う事で即効回復能力のある吸血鬼というのもあり、致命打には至らなかった。
第4部
被害者:東方朋子、コンビニ店員と強盗
実は吉良より使用回数が多い。後者に至っては前代未聞の腹パン二枚抜きを達成している。ただしいずれもクレイジー・ダイヤモンドによる瞬間修復を前提としており、本人に殺意はない。祖父・良平を通じて「失われた命は戻らない」ことを学んで以降、上記のような無茶な使い方はしなくなった。
「今…コーヒーからおふくろの口の中に入っていくのがみえた」
前者は恐らく後にも先にもないであろう主人公が母親に叩き込んだパンチで、救助を目的とした一撃。
殺人鬼片桐安十郎のスタンド「アクア・ネックレス」がコーヒーから朋子の体内に侵入した際、急遽その場でガラス瓶を手に持ち背後から攻撃をした。
瓶を割りつつパンチをし、物を「直す」能力により「戻す手が腹部を通過すると同時に」瓶を修復。体内にいたアクア・ネックレスを瓶の中に閉じ込める事に成功した。また、同時に朋子の傷と服も一瞬で修復している。
絵面のインパクトもあるが、仗助の親譲りの人外染みた発想と判断力、攻撃に気付かないほどの速度で完全に治す脅威の治癒能力を完璧に描いたワンシーンであり、印象深い場面となっている。
第5部
被害者:セッコ、(ヴィネガー・ドッピオ)
ブチャラティの奇策により聴覚を奪われ、圧倒的形勢不利になったセッコがたまたま近くにいたドッピオを人質に取った際に使用。ドッピオをそのまま貫通してセッコにパンチを放ったが、それはセッコ自身の能力で自滅を誘う為だった。ドッピオはスティッキィ・フィンガーズの能力でジッパー越しにパンチが貫通しただけで無傷で済んでおり、彼自身もエピタフの未来予知でこの結果を予め知っていたので避けるような事はしなかった。そのドッピオこそがかつて貫通腹パンでブチャラティを一度死に至らしめ、部下を殺害したラスボスであるとも知らずに……
ちなみにセッコはこの後最低のゲスと一緒に仲良くゴミ収集車送りとなった。
先駆け的戦法?
第2部以前にはスタンド能力の概念がなかったが、それに似たような戦法はあった。
第2部
被害者:ロギンズ
貫通パンチではなく波紋法の欠点である肺にキックをかます事で即死させている。「急所を物理攻撃の一撃で突いて殺す」という点ではある意味貫通腹パンの先駆けとも言える。
被害者:リサリサ
影武者を囮にしつつ、こちらもパンチではなく光の刃でリサリサの急所を突き刺し重傷を負わせている。さらに疲労しているジョセフを追い詰める人質に流用するため、わざとギリギリ死なない程度に生かしておくという最低のゲス行為を働いた。
被害者:ルドル・フォン・シュトロハイム、ドイツ軍兵士
「リスがァァァァァ!!」
究極生命体と化したカーズの右手が変化したリスが使用。シュトロハイムのどてっ腹にドリルの如く回転しながら貫通、続けざまに後ろにいたモブ兵士の腹に食らいついた。この時点でシュトロハイムは体の大部分を機械化していたため事なきを得たが、モブ兵士は腹を食い破られた後腹から顔まで牙で切り裂かれるというオーバーキルっぷり。元々このリスはカーズの右手なので直接貫通腹パンしている…とも言えなくもないか…?
他作品の貫通腹パン
- 孫悟空:『ドラゴンボール』…かめはめ波を撃った反作用で飛び上がり、その勢いでピッコロ大魔王を貫いて倒した。その後、同様の技が「龍拳」として登場。
- サカズキ:『ONEPIECE』…マリンフォード頂上戦争にてポートガス・D・エースの腹をマグマ化させた腕で貫いて内臓を焼き、致命傷を負わせ死に至らしめた。
- はたけカカシ:『NARUTO』…さらにもう一発
- グリムジョー・ジャガージャック:『BLEACH』…第6十刃の座を奪ったルピに対し使用。織姫に治してもらったばかりの左腕でルピの腹をブチ抜き、直後ゼロ距離で虚閃を放ち下半身から上を消し飛ばし殺害した。
- はぐれ悪魔超人コンビ:『キン肉マン』…サンシャインの体をアシュラマンが背中から打ち抜き、拳で押し飛ばされたパーツを弾丸としてぶつける「サンシャインマグナム」という技がある。
- ボボボーボ・ボーボボ他:『ボボボーボ・ボーボボ』…ところ天の助の体にパンチを打ち込み、拳で押し飛ばされたパーツをぶつける「ところてんマグナム」という技がある。上記の「サンシャインマグナム」のパロディ。
- 可楽:『鬼滅の刃』…半天狗の分裂体のうちの一体である可楽が禰豆子に対し、貫通腹パンならぬ貫通腹キックを炸裂させる。しかし禰豆子もまた鬼、腹を蹴り抜かれた程度では死なず逆に蹴り返して可楽の顎を粉砕した。
- エレン巨人体:『進撃の巨人』…トロスト区襲撃において巨人化能力を開花させたエレンが使用。かつて自身の脚を噛みちぎった大顔の無垢の巨人に対し口越しにうなじをブチ抜くパンチを放った。
- ウルトラマンA:『ウルトラマンA』…ドラゴリーの腹を「ウルトラパンチ」で貫いた。穴を開けたというより、サンシャインマグナムのように押し出す形。その後エースブレードで首を刎ねてからメタリウム光線で爆殺するオーバーキル。
- ウルトラマンタロウ:『ウルトラマンタロウ』…メフィラス星人二代目を「アトミックパンチ」でぶち抜き、ストリウム光線でトドメを刺した。
- ウルトラマンレオ:『ウルトラマンレオ』…ノースサタンの腹を「レオパンチ」で貫いて倒した。
- シャア専用ズゴック:『機動戦士ガンダム』…ジャブロー攻略戦において連邦軍の開発したモビルスーツ「ジム」の腹部のコックピットにアイアンネイルを突き刺し破壊している。
- T-800:『ターミネーター』…スカイネットにより未来から1984年の世界にタイムスリップしたT-800が使用。転送直後で素っ裸のため近くにいたゴロツキに服を要求するが、反撃に遭うも返り討ちにする。その際ゴロツキ一人の腹を右腕で貫き一瞬で絶命させた。映画の公開時期からしてDIOの初代貫通腹パンの元ネタの可能性アリ。
- 仮面ライダーWヒートジョーカー:『風都探偵』…空手の技術を利用し、ヒートの炎とジョーカーの格闘能力を極限にまで高めたマキシマムドライブ『ジョーカーバックドラフト』にて2体のクラブ・ドーパントの胴体を貫通させメモリブレイクしている。