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ヤン艦隊

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やんかいたい

田中芳樹の小説『銀河英雄伝説』に登場する部隊。正式には自由惑星同盟軍第13艦隊であったが、功績を上げたことで通称だったこの呼び方が公的にも認められることになった。 後にエル・ファシル革命予備軍となった以降も「ヤン不正規隊」や「ヤン艦隊」と通称の方が有名で、正式名称で呼ばれる方が圧倒的に少ない。

部隊概要

第13艦隊

宇宙暦796年、アスターテ星域会戦に敗れた自由惑星同盟は会戦に参加した艦隊、第2・第4・第6各艦隊のうち手酷い損害を受けた第4、第6艦隊を廃止し、その残存艦艇に新造艦艇、新兵を加えた半個艦隊約6000隻をもって第13艦隊を新設し、司令官にはアスターテ星域会戦で第2艦隊の崩壊を防いで第4・第6各艦隊の生存者を救助したヤン・ウェンリーが、准将から少将に昇進の上任じられた。

ヤンは半個艦隊をもって難攻不落で知られるイゼルローン要塞攻略を命じられる。大戦力をもってしてもなしえなかった要塞の攻略にヤン本人も失敗を覚悟したが、大方の予想に反し無血で要塞を占領、この功績によりヤンは中将に昇進し、更に半壊状態の第2艦隊も廃止され、所属していた艦艇は第13艦隊に併合され、艦隊は正規の一個艦隊兵力を有するものに昇格した。

イゼルローン要塞占領を材料に銀河帝国との和平交渉にもちこもうとした統合作戦本部総長・シドニー・シトレ元帥の思惑は、しかし、主戦派が支配する同盟評議会に押し切られ、帝国領への大規模侵攻作戦が決定することとなった。

この大規模侵攻作戦に第13艦隊は第3・第5・第7・第8・第9・第10・第12の各艦隊とともに参加、しかし、帝国軍の焦土作戦により補給路を断たれた同盟軍各艦隊は各地で敗北した上、残存戦力で挑んだアムリッツァ星域会戦でも敗れ、3000万人の参加将兵のうち2000万人が戦死・行方不明となる大惨敗となった。

第13艦隊も3割の将兵を失ったが、最後まで前線に立ちつづけたことが評価され、第10艦隊の残存戦力を編入の上、最前線にあるイゼルローン要塞に駐留することを命じられることとなった。

イゼルローン駐留艦隊

イゼルローン要塞司令官兼同要塞駐留艦隊司令官としてヤンが大将に昇進、アムリッツァ星域会戦の責任をとらされて左遷されていたアレックス・キャゼルヌ少将、第10艦隊に配属されていたダスティ・アッテンボロー少将、ヤンの養子ユリアン・ミンツ軍曹らの他、帝国から亡命したウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ上級大将が客員提督(中将待遇)として加わり陣容が固まる。

救国軍事会議が起こしたクーデターの鎮圧、ガイエスブルグ要塞の撃退にもヤンは貢献したが昇進せず(ガイエスブルク要塞侵攻時は、直前まで査問会に引っ張り出されていた)、その直後に起こった帝国軍の一大侵攻のおり改めて元帥に昇進。このときラルフ・カールセンライオネル・モートン両中将の艦隊が一時的に指揮下に入っている。

  • イゼルローン要塞兼イゼルローン駐留艦隊司令官ヤン・ウェンリー(大将→元帥)
  • 司令官付副官フレデリカ・グリーンヒル(大尉→少佐)
  • 司令官付従兵ユリアン・ミンツ(兵長待遇→中尉)
  • 要塞事務監アレックス・キャゼルヌ(少将→中将)…ヤン不在時には司令官代理を兼ねる。
  • 要塞防御指揮官ワルター・フォン・シェーンコップ(少将→中将)
  • 薔薇の騎士連隊連隊長カスパー・リンツ(中佐→大佐)
  • 薔薇の騎士連隊副連隊長ライナー・ブルームハルト(少佐→中佐)
  • 駐留艦隊副司令エドウィン・フィッシャー(少将→中将)
  • 駐留艦隊参謀長ムライ(少将→中将)
  • 駐留艦隊副参謀長フョードル・パトリチェフ(准将→少将)
  • 駐留艦隊情報主任幕僚バグダッシュ(中佐→大佐)…元救国軍事会議のメンバー。
  • 駐留艦隊分艦隊司令ダスティ・アッテンボロー(少将→中将)
  • アッテンボロー分艦隊参謀ラオ(中佐→大佐)…元第2艦隊司令・パエッタ中将の幕僚。
  • 駐留艦隊分艦隊司令グエン・バン・ヒュー(少将)…第8次イゼルローン要塞攻防戦で戦死。
  • 客員提督ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ(帝国軍上級大将→中将待遇)
  • 客員提督付副官ベルンハルト・フォン・シュナイダー(帝国軍中佐→大尉待遇)。
  • 第1空戦隊隊長オリビエ・ポプラン(少佐→中佐)
  • 第2空戦隊長イワン・コーネフ(少佐→中佐)…バーミリオン星域会戦で戦死。
  • 第2空戦隊副隊長コールドウェル(大尉)…イワン・コーネフ戦死後、隊長に昇格。
  • 第1空戦隊隊員カーテローゼ・フォン・クロイツェル(伍長)
  • ルイ・マシュンゴ(准尉→少尉)「ヤン・ウェンリー査問会」に同行する護衛官。後、ユリアンのフェザーン駐在武官就任にも同行。

エル・ファシル革命予備軍→イゼルローン共和政府軍

「バーラトの和約」後にイゼルローン駐留艦隊は一時解体されるが、ヤンの謀殺を狙った帝国軍高等弁務官ヘルムート・レンネンカンプ上級大将が反撃にあい拉致される事件が起きる。

この事態を知った皇帝ラインハルト・フォン・ローエングラムは「バーラトの和約」を破棄、最後の決戦に臨む同盟軍宇宙艦隊総参謀長チュン・ウー・チェン大将はムライ、フィッシャー、パトリチェフに5560隻の艦船を譲渡、逃亡するヤンを追わせた。

宇宙歴800年1月、帝国に追われるヤンは惑星エル・ファシルに招かれ革命予備軍を組織、コルネリアス・ルッツ上級大将率いる帝国軍からイゼルローン要塞を再奪取した。

ほぼ同時期、ラインハルトはアレクサンドル・ビュコック元帥率いる同盟軍最後の艦隊をマルアデッタで破り、その直後にイゼルローン要塞がヤンに落とされたことを知る。

2月20日、惑星ハイネセン占領後にラインハルトは「冬バラ園の勅令」を発布、自由惑星同盟が滅亡したことを全銀河に公表する。

4月20日から5月18日までイゼルローン回廊で革命予備軍と帝国軍の戦いが行われ(回廊の戦い)、その渦中の5月7日フィッシャーが戦死。

6月1日、ラインハルトとの会見に臨んだヤンが地球教のテロにあい死亡、随員のパトリチェフ、ブルームハルトもヤンを守ろうとして死亡したことにより、戦意を失ったイゼルローン軍に不穏な空気が流れる。

これらの動きに危惧を覚えたムライは不穏分子を引きつれてイゼルローンを離脱。ユリアン・ミンツを軍事司令官、フレデリカ・グリーンヒル・ヤンを政治指導者にし、要塞には100万人弱が残ることとなった。

宇宙暦801年、帝国との最後の戦いに帝国総旗艦ブリュンヒルト侵入作戦を決行。分艦隊を率いるメルカッツが戦死、ブリュンヒルト侵入を果たしたシェーンコップ、マシュンゴ、薔薇の騎士連隊の大半もラインハルトの停戦命令が出るまでに戦死した。

7月、イゼルローン要塞を引き渡すこと、惑星ハイネセンを中心とするバーラト星系に共和制自治を認めることで帝国との講和が成立する。

物語はここで終わることとなり、ヤン艦隊の解体も惑星ハイネセン帰還後に行われたと思われる。

  • イゼルローン革命予備軍司令官ヤン・ウェンリー(元帥)…地球教のテロにより死亡。
  • 司令官付副官→イゼルローン共和政府主席フレデリカ・グリーンヒル・ヤン(少佐)
  • 司令官付従兵→イゼルローン革命軍司令官ユリアン・ミンツ(中尉)
  • 要塞事務監アレックス・キャゼルヌ(中将)
  • 要塞防御指揮官ワルター・フォン・シェーンコップ(中将)…シヴァ星域会戦で戦死。
  • 薔薇の騎士連隊連隊長カスパー・リンツ(大佐)
  • 薔薇の騎士連隊副連隊長ライナー・ブルームハルト(中佐)…地球教のテロにより死亡。
  • 艦隊副司令エドウィン・フィッシャー(中将)…回廊の戦いで戦死。
  • 艦隊参謀長ムライ(中将)…ヤンの死後、イゼルローン要塞より離脱。
  • 艦隊副参謀長フョードル・パトリチェフ(少将)…地球教のテロにより死亡。
  • 分艦隊司令ダスティ・アッテンボロー(中将)
  • アッテンボロー分艦隊参謀ラオ(大佐)。
  • 分艦隊司令ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ(上級大将)…「バーラトの和約」成立直前、ヤンの依頼により少数の艦隊を率いて一時行方をくらますが、ヤン一派がイゼルローン要塞を再奪取したことで再合流する。シヴァ星域会戦で戦死。
  • メルカッツ分艦隊司令官付副官ベルンハルト・フォン・シュナイダー(中佐)
  • 分艦隊司令マリノ(准将)…フィッシャー中将戦死後、艦隊運用を任される。
  • 空戦隊隊長オリビエ・ポプラン(中佐)
  • 空戦隊副隊長コールドウェル(大尉)
  • 空戦隊隊員カーテローゼ・フォン・クロイツェル(伍長)
  • 革命軍情報主任幕僚バグダッシュ(大佐)
  • ルイ・マシュンゴ(少尉)…シヴァ星域会戦で戦死。
  • スーン・スール(少佐)…アレクサンドル・ビュコック元帥の副官。ビュコックよりヤンの配下につくよう命じられる。ヤンの死後、アッテンボローを補佐する。
  • 戦艦ユリシーズ艦長ニルソン(大佐)
  • 戦艦ユリシーズ副長エダ(中佐)
  • 戦艦ユリシーズ航法士官フィールズ(中尉)
  • ハムディ・アシュール(少佐)…「動くシャーウッドの森」艦隊が、「バーラトの和約」による主力艦爆破処分部隊を襲撃した際に参加。
  • ボリス・コーネフフェザーン自治領の独立商人。同盟の軍人ではないが資金調達と情報収集に協力、ユリアンとポプランの地球潜入にも同行する。

部隊所属艦

  • 初代旗艦ヒューべリオン…バーミリオン星域会戦までのヤン艦隊旗艦。イゼルローン革命予備軍成立後はメルカッツ分艦隊旗艦となるが、シヴァ星域海戦で戦没。
  • 二代目旗艦ユリシーズ…元々は第2艦隊(第4次ティアマト会戦)→第8艦隊(アムリッツァ星域海戦)→ヤン艦隊所属の標準型戦艦。
  • アガートラム/マナナン・マクリル(DNT)…フィッシャー分艦隊の初代旗艦。
  • シヴァ…「シャーウッドの森」艦隊の旗艦。後にフィッシャー分艦隊の2代目旗艦となるが、「回廊の戦い」で戦没。
  • トリグラフ…アッテンボロー分艦隊の初代旗艦。
  • マサソイト…アッテンボロー分艦隊の2代目旗艦。
  • マウリヤ/マウリア(石黒版)…グエン・バン・ヒュー分艦隊旗艦。第8次イゼルローン要塞攻防戦で戦没。
  • レダⅡ…巡航艦。査問会呼び出し、ハイネセン脱出、ラインハルトとの2度目の会談の時にヤンの乗艦となり、ヤン最後の乗艦時に沈没。

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