「楽しんでもらえた?我が大魔術を!」
概要
『風都探偵』第87話「死神はlの顔3/奇怪なる魔人」から登場した「笑い」の記憶を持つドーパント。
「園咲琉兵衛の最後の知恵袋」とされていた博物館の特別顧問である「L・A・S・T」の4人に、かつて自分達が園咲琉兵衛と共に発掘した「死仮面」を1人ずつに園咲琉兵衛の名を使って送り、その相手に引き攣ったような笑顔の状態で衰弱死させていた。
メモリの影響なのか変身者の内に秘めた狂気が解放されたのか、一人称を「我輩」にする尊大の口調に変化している上、とにかくジョークを絶やさない多弁な性格で「ウヒョホホホ!」と不気味な笑い声をあげる。しかし、その殆どは不謹慎にもほどがあり、人の死をネタに笑い飛ばす様は翔太郎からもギャグセンスが「絶望的に合わない」と怒りを抱くほど。
周囲の気流を無視して蠢くマントを羽織り、常に1輪の花を咲かす頭巾、腕にグローブを着け、下半身はビキニパンツを纏った(マントと頭巾以外の衣服のような部位には、笑顔のプリントが施されている)筋骨隆々とした道化師と、人によっては面白おかしく、或いは品がないと嫌悪感を露にするような姿をしている。
性質
悪ふざけそのものの外観ながら、その巨躯に見合った怪力に加え、笑顔の中心にある1つ目からは熱線の放射(本人曰く「ニコニコビーム!」)を可能とする。
Wとの最初の闘いでは、マッスルポーズとともに筋肉を肥大化させる、大ダメージを受けると体が小さくなる、恐竜展のポスターからティラノサウルスを出現させる、袋小路を曲がった途端に姿が消失する等、カートゥーンを思わせる不可思議な現象を多数起こしてみせ、翻弄した。
ネタバレ注意
真の能力
何よりも特筆すべきは見た目でも言動でもなく、その特殊能力「ライブテクスチャー」である。
自身の皮膚をあらゆる人や物に加工できるそれは、ラーフ最大の特徴たる能力であり、巨大な恐竜や人間の擬態、挙げ句はテラードラゴンまで再現が可能となっている。ダメージを受けて縮んだように見えたのも、実は気付かれないように自分の皮を他の場所に貼り付けていたから。
ちなみにテラードラゴンを再現する際、パンツの中に手を突っ込んで取り出すという「笑い」を通り越して公式が病気レベルの下ネタ描写になっている。
自らを「究極のエンターテイナー」と称しており、そのふざけた身なりも含め『「人を笑わせるもの(=笑いの記憶)」ならば大体できる』の所以が上記のライブテクスチャーであると考えられる。最早なんでもありとも評せる能力だが、その実態はかつての園咲家が使っていたゴールドメモリの一種であり、その格に違わぬ強さを誇っている事実が分かるだろう。
綿密に練られた仕掛けに相手を嵌めてその真価を発揮する、ドーパントの中でも比較的トリッキーなカテゴリーに属している。
ただし、弱点としてこれらの作り出したものは、自身が持っているパワーまでしか出せない(ただし、ラーフのパワー自体はドーパントの中でも怪力の部類に入るため、よほど規格外の怪物でも作らない限り露呈しない上、問題にもならない)。即ち相手を綿密に仕掛けに嵌めてこそ真価を発揮する能力である為、何もない空間で不意打ちを食らうと、その力を十二分に発揮できない。
更に、実は上記の画像の姿も作り物であり、殺人の道具でもある死仮面の裏に、電子工学的な幾何学模様があるスライムのような皮が擬態しており、それこそがラーフの本体である。
以上の事実から、ライブテクスチャーによる変幻自在な撹乱戦法と、持ち前の怪力によるゴリ押しの両立が可能と、前回のドーパントと逆にサイクロンジョーカーエクストリームでないと撃破が困難なドーパントと評価できる。
正体(ネタバレ注意!)
「わからないかい、キョーコ...」
「笑顔のためさ。」
その正体は「L・A・S・T」の1人(=L)であり、2件目の事件の被害者と思われていた、電子工学と生物学の権威ルーク・ランカスター。
「ライブテクスチャー」の力で自身の擬態を生み出して、自らの死を偽装していた。
以下更なる事件の真相につき閲覧注意‼
かつて琉兵衛がガイアメモリの開発の協力者として、さり気なく「L.A.S.T」のメンバーを誘った際(翔太郎は「この時、琉兵衛は既にテラーのメモリの力を手にしていたのではないか」と推測している)、他の3人が得体の知れない恐怖感に囚われる中で、唯1人ルークだけが某人物の様に、琉兵衛が醸し出す狂気に魅了され、彼の胸中を見抜いた琉兵衛は自身の死後、死仮面とラーフメモリを彼の許へと届くようにしていた。
そして、それらを受け取ったルークは「自身こそが旧組織の後継者に選ばれた」と確信。ある目的の為「L.A.S.T」のメンバー達の頭脳を欲し、次々にメンバー達の許に死仮面を送りつけてその知識を吸収し、衰弱死させていたのが事件の真相である。よって裏風都とは全く関係のない、数少ないドーパントでもある(但し、万灯は彼の存在自体は認知しており、裏風都へのスカウト対象としても見ていた)。
ちなみに、犠牲者がいかにも笑い死にしたかのような状態になるのは、知識をデータ化して吸い取る際に表情筋が上に引っ張られる為である。
尚、『知識をデータ化して吸い取る』能力は元々ラーフに備わっていた物ではなく、ルークがハイドープとして目覚めて得た能力である。
最後はサイクロンジョーカーエクストリームの『ビッカールナチャージブレイク』でテラードラゴンを模したライブテクスチャーを撃破され焦っていた所を、既に検索で本体の居場所を掴んでいたWに死仮面をそのまま叩き斬られ、驚愕と絶望のままにメモリブレイクされた(半分に斬られていたが、変身者の排出の際は仮面は1つになっている)。
余談
デザインコンセプトは怪人二十面相の様な、不気味な笑い顔の(黄金の)仮面(お恐らくは旧ポプラ社版の背表紙のイラスト)。
琉兵衛は使用すると命に係わるゴールドランクのメモリを送っているにもかかわらず、毒素を濾過する為に必要なガイアドライバーは送っていない。
本当に『後継者として指名』する為の行為なら、一緒に送りそうなものだが……(園咲冴子のように直挿をした前例もあるが詳細は不明。メタ的には『描くスペースがなかった』ためか?)。
ちなみにコネクタは右の首筋。
また外国人が変身するドーパントはドクター・プロスペクト/アイズ・ドーパントについで2人目である。
関連タグ(ネタバレ込み)
仮面ライダーエデン:目立った特殊能力を持たないものの、変身者の緻密な作戦によって、本来のスペック以上の強さを発揮したヴィラン繋り。どちらも『本職が科学者』『ヒーローと同じツールを用いている』共通項がある。
ラーフ、ケートゥ:決戦の際に本体を仮面=首に隠し、皮=体だけを戦わせていた為、このラーフとのダブルミーニングも考えられる。