曖昧さ回避
キャラクター名
- 畠中恵による時代劇小説『しゃばけ』の主人公。⇨しゃばけ
- つのだじろうによる漫画、およびそれを原作としたアニメ・テレビドラマ『うしろの百太郎』の主人公。⇨後一太郎
- ロボットアニメ『無敵超人ザンボット3』の登場人物。⇨神一太郎
実在人物
概要
ジャストシステムにより発売されている日本語ワープロソフト。英文ワープロを後付けで日本語対応させたWordと違い、ワープロ専用機の乗り換えユーザーをターゲットに据えたことから、日本語文書の入力に特化しており、縦書き文書の取り扱いに長け、印刷機能も充実している。InDesignなどのDTPソフトに迫る緻密な日本語書式設定機能を有しながら、日本語の校正機能に優れているのはワープロソフトならではの特長である。
MS-DOSが主流であった1980年代末から1990年代初頭には『国民機』PC-9800シリーズ、表計算/データベースソフトLotus1-2-3とともに日本のオフィスにおける標準的な環境として絶対的な地位を築いていた。だが、1990年代中盤から普及が進んだWindows環境への対応が遅れ、Microsoft OfficeのWordに地位を奪われる。
しかし、一部官公庁や大手企業ではその後も標準文書形式として指定していたところもあり、現在でも警察などの法人ユースの需要が根強く、個人ユースでも定評のある同社のインプットメソッド「ATOK」に加え、普通に買えば一パック数万はするプロ仕様のフォント(ヒラギノ、筑紫書体シリーズなど。macOSではいずれも標準添付だが...)を同梱していることから、小説家などのプロ著述家、文芸系の同人誌の制作にもよく用いられるなど、Windows環境では一定のユーザーを確保している。
歴史
前身は、1983年10月に発売されたNECのパソコンPC-100に標準搭載された「JS-WORD」である。このPC-100は日本で初めてマウスを使うGUIを持っていたため、NECがジャストシステムに専用のワープロの開発を要請し、漢字変換ソフト「KTIS」(ATOKの前身)とともにバンドルされたのである。しかし、肝心のPC-100は全くと言っていいほど売れず、1984年12月に出たIBM JXシリーズ用の「jX-WORD」は当時としては一般的な文字ベースのインターフェースになっている。1985年5月に「jx-WORD太郎」としてPC-9801に移植された。
「一太郎」となったのは同年8月からで、ATOKをFEP化(MS-DOS上の他のソフトからも使える)したことで人気を得、1987年に発売された「一太郎Ver.3」でコピープロテクトをやめ、その完成度の高さから標準ワープロソフトとして不動の地位を得た。次のVer.4は独自ウィンドウシステムのジャストウィンドウをはじめとする意欲的な新機能をたくさん取り入れたために当初の予定より遅れて1989年にリリースされた。このバージョンはバグが多かった上、当時としては高いスペックのパソコンを要求したため、軽量版の「一太郎dash」というバージョンが用意され、個人ユーザーやノートパソコンユーザーには広く使われた。
1992年に発売され急激に台頭したWindows3.1に対しては、開発元がジャストウィンドウ推しであったため対応が遅れた。遅まきがらVer.5とVer.6をWindowsに対応させたものの、マイクロソフトが一太郎(を含む他社ワープロソフト)からの乗り換えサービス付きで売り出したWordに脅かされるようになる。Wordそのものは日本語ワープロとしては一太郎に対する優位点はあまりなかったものの、Macintoshで鍛えられた表計算ソフトExcelとのタッグは強力だった。ジャストシステムは「一太郎Office」として「三四郎」(JUST Calcの前身)と、グラフィックソフト「花子」などとの同梱製品「一太郎Office」で対抗したものの、Excelに対しては力不足だったと言わざるを得ない。そしてジャストシステムがWindows95への対応にもたついている間にMicrosoftがWindowsPCにOfficeをバンドルさせたことで、一太郎からシェアを奪っていった。
なお、一太郎Officeは「Justsystem Office」への改称を経ていったん終息したが、法人向け製品としては「JUST Suite」 ⇨ 「Just Office」「Just Government」として提供が続いている(
個人向け最終版は「JUST Suite 2010」)。
Word・Excel・PowerPointユーザーへの注意点
一太郎独自形式でしか再現できない書式も多く、Wordとのデータ共有には難儀する。一応、Word2007までは一太郎文書を読み込めるようにするコンバータがついていたり、OpenOffice向けに一太郎文書を読み込めるようにする拡張機能が存在するため、ある程度は対応可能。専用ビューアを導入するのも手。
表計算機能もあるにはあるがMicrosoft OfficeのVBAに比べると格段に劣る。ただし、表枠作成ツールを使って本格的な表を作ることはできる(というか一太郎の表計算機能は表枠作成ツールのおまけでしかない)。
また、スライドショー機能や簡易作図機能やオブジェクト貼り付け機能があるので、簡易DTPソフト、あるいはプレゼンテーションソフトとして使うことも可能であるが、オブジェクト貼り付け機能の操作性が少々独特なので慣れが必要である。
これらの機能を補う姉妹ソフトとして、図形や画像処理に特化したグラフィックソフト「花子」、表計算に特化した「三四郎」→「JustCalc」、プレゼンテーションソフト「JustFocus」などが用意されている。
Wordとの違い
- インデントを気にせず任意の部分から文字入力ができる。
- 一つの文書に複数文書(シート)をまとめることができる。作った見積書、花子で作ったプレゼン資料などの文書を1つにまとめて編集・保存できる。
- 標準保存形式が独自のjtdなどの規格となっている(docx形式での保存も可能だが、レイアウトが崩れることがある)
- 独自形式のショートカットキーを持つ(Windows標準のキーボードショートカットとは異なる)。
余談
DOS/Windows以外のプラットフォームへの対応はあまり積極的でない(Classic MacOSとOS/2は1995年、Linuxは2013年に対応版が出たものの、その後は開発・販売ともに行っていない)。その一方でJavaプラットフォームには一太郎Arkという互換ソフトを出していたり、iPadおよびiPhoneには「一太郎Pad」なる互換アプリ(いずれもデスクトップ版の一太郎とは別物だが)を用意している。
パッケージは発売当初から日の丸をモチーフとした赤を基調としたデザインとなっている。
「一太郎」という名前は、創業者の浮川和宣が家庭教師時代に指導していた中学生の名前「太郎」に由来する。太郎少年は若くして病死してしまい、その死を悼んで、前身となるソフトに「jx-WORD太郎」とつけたのが始まりとなっている。また「太郎」というのが日本人男性の名前としても一般的であることから、「太郎よ、日本一になれ」という想いが込められている。