曖昧さ回避
ワープロソフト「一太郎」について
ジャストシステムにより発売されている日本語ワープロソフト。1985年5月に初代の「一太郎」が発売された。
前身のPC-100「JS-WORD」時代から搭載されていた日本語入力ソフトATOKを同じMS-DOS上の他のソフトからも使えるFEP化したことで人気を得、一時は日本語ワープロソフトの市場をほぼ独占した時期もあった。
発売当初からハードウェアとしてのワープロからの移行者をメインターゲットのひとつにしており、日本語文書の入力に特化しており、印刷機能も充実している。また、InDesignなどDTPソフトに比べると日本語の校正機能に強く、縦書き文書の取り扱いに長けている。
Windowsへの対応の遅れ等からMicrosoft社のWordにシェアを奪われていったが、緻密な書式設定機能から、現在も多数の書類を取り扱う一部官公庁や大手企業における正式採用ソフトとされている。また、元々創業者が学生時代家庭教師のアルバイトをしていた経歴もあって、教育機関との連携に力を入れており、のちに教育事業にも参画している。
ほかにも、過去の文書資産がある、Wordの日本語文章機能(あるいはWindows標準のMS-IME)に不満があるなどの理由から継続して愛用しているユーザーも一定数存在する。意外なところでは小説など文芸系の同人誌の制作にもよく用いられている。
一方でWindows以外のプラットフォームへの対応はあまり積極的でない(MacOSとOS/2は1995年のVer.5、Linuxは2013年に対応版が出たものの、現在は開発・販売共に行っていない)。ソフトの独自形式でしか再現できない書式も多く、データ共有には難儀することになる。一応、Word2007までは一太郎文書を読み込めるようにするコンバータがついていたり、OpenOffice向けに一太郎文書を読み込めるようにする拡張機能が存在するため、ある程度は対応可能。専用ビューアを導入するのも手。
また、画像やテキストボックスなどオブジェクト貼り付け機能が少々独特かつ、描画機能なども弱いため多数の画像を用いてDTPソフトとして使うのにも慣れが必要である。表計算機能もあるにはあるがMicrosoft OfficeのVBAに比べると格段に劣り、互換性もないため、複雑な表を取り込んだ文書を作ることはできない。
ただし、これらの欠点を補う姉妹ソフトとして、図形や画像処理に特化したグラフィックソフト「花子」、表計算に特化した「三四郎」→「JustCalc」(※法人向けオフィスソフトスイート『JUST Office』の一つ)などが存在する。
パッケージは発売当初から日の丸をモチーフとした赤を基調としたデザインとなっている。
「一太郎」という名前は、創業者の浮川和宣が家庭教師時代に指導していた中学生の名前「太郎」に由来する。太郎少年は若くして病死してしまい、その死を悼んで、前身となるソフトに「jx-WORD太郎」とつけたのが始まりとなっている。また「太郎」というのが日本人男性の名前としても一般的であることから、「太郎よ、日本一になれ」という想いが込められている。
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