「だいたい何でわざわざ(偉大なる航路の)入り口へ向かう必要があるんだ。(東の海からは)南へ下ればどっからでも入れるんじゃねェのか?」
その後
「今この船はあんたがさっき言った通り南へ流れちゃったの!!」
ゾロ
「へェ、じゃあ”偉大なる航路”に入ったのか?」
ナミ
「それができたら誰でもやってるわよ!!!」
概要
『ONEPIECE』の舞台となる惑星(作中には地球という名称は出てきていない)は赤い土の大陸(レッドライン)と呼ばれる唯一の大陸が星を一周して南東と北西で半球が分けられている。そして東の海(イーストブルー)と南の海(サウスブルー)、西の海(ウエストブルー)と北の海(ノースブルー)のそれぞれの海域と赤い土の大陸を交差する形で偉大なる航路(グランドライン)が通っている。
この偉大なる航路はさらに2つの海域に挟み込まれる配置になっているが、その海域こそ無風の海域「凪の帯(カームベルト)」である(赤い土の大陸で遮られているため厳密には4カ所に位置しているといえる)。
ここは嵐の一つも起きず常に凪しかない穏やかな海であり、ただでさえ帆船は移動しづらい。そしてそれ以上に問題なのが、この海は至るところが海王類の巣である点。それも100mを超える大型な部類のものたちばかりでありこの海に入った者はほぼ確実に海王類に襲われてしまう。無理に通ろうとした者はまず間違いなく消息不明となる。
極めて危険度の高い海域であるため、突入しての航海など以ての外で、空を長距離飛んだり、赤い土の大陸を登ったり、地底を移動できなければ5つの海の行き来は極めて困難(例外は後述)。
海を避け陸路から移動しようにも赤い土の大陸は雲に届くような高さで絶壁となっている場所がほとんどであるうえ、偉大なる航路の前半の終着点に面する部分は世界政府の聖地「マリージョア」と世界の治安組織である海軍本部がすぐそばに位置するため、検挙対象である海賊に至っては陸路を使う方法すらなくリヴァース・マウンテンを登るしか偉大なる航路へ入ることはできない(船で偉大なる航路から帰還した者も登場しているがリヴァース・マウンテンは一方通行な運河でありどうやって出るのかは詳しく描写されていない)。
海王類は一部を除いた人間以外の生物にも脅威なためニュース・クーはここを通過・来訪することはなく、動物の協力を仰ぐのも躊躇われたりもした。
本編では、麦わらの一味が偉大なる航路へ入る直前にうっかり凪の帯に入り込んでしまうエピソードが描かれ(上記のゾロとナミのやりとりはそのシーンのもの)、大型海王類の大群に遭遇し危機に陥るも、何とか命からがら凪の帯から脱出する事が出来た。
テレビアニメ版ではオリジナルエピソード『千年竜伝説編』の序盤でこのシーンが扱われ、船に同乗していたアピスが機転を利かせて、海王類の鼻毛を引っこ抜きくしゃみを誘発させ、その勢いを利用しメリー号を飛ばして凪の帯から脱出させた。
地理
女ヶ島
南の海側内に存在する島。女性だけの戦闘民族である九蛇の国家アマゾン・リリーが築かれている。海の危険性から生存者が漂着することはまずないうえ男子禁制の地であるため男がたどり着けても即死罪、まず生きて帰ることはない。世界政府にも島の海岸から3キロ圏内に入るのを禁止する協定を結ばせている。
この近辺には遊蛇(ユダ)と呼ばれる巨大な海蛇が生息している。九蛇の船が海王類に襲われないのは遊蛇に引かせているためである。
インペルダウン
女ヶ島から北西に向かっていった先の海底に建造されている世界政府所有の世界最大の海底監獄にして世界政府3大機関の一つ。世界中から凶悪な犯罪者が連れてこられ、数多の生き地獄を味わいほとんどが外界を再び見ることなく果てて行く。環境の過酷さ、職員らの恐ろしさに加え海面下に位置するため地下の壁を破るのは勿論、入口のある海上に万が一出て来れても軍艦に乗り込めない限り海王類が群がる海に阻まれこれこそが最大の防御壁と称されている。更に正義の門という3大機関のある海域への入口がありインペルダウン内部の操作室で開けなければ脱獄は不可能。
タライ海流
世界政府3大機関インペルダウン・旧マリンフォード(現G-1支部)・エニエス・ロビーの行き来に利用される政府専用の海流。それぞれの機関には巨大な出入り口「正義の門」が設置されており3つの門に囲われることで一周するように周っている。海流に乗ることで互いの移動は数時間で済み、機関の外からも2、3日短縮が可能となる。ただしあくまで3つの門の間を周る海流であるため門が開かれないままだと門に囲まれた海域を名前の通りたらい回しに流され続ける。政府に敵対する者なら当然逃亡を認められないので門の開閉を拒否され八方塞がりにされる。
そのため、例えインペルダウンを脱獄しようとこの門及び海軍本部かエニエス・ロビーのどちらかを突破できなければ政府から逃げ切れはしない(他2つは機関の外からの通路でもあるので直接外海に出れる)。
ルスカイナ
女ヶ島の北西に位置する無人島。「48季」という週に一度季節が変わる。大昔は国が存在したが生存競争に人間は破れ、現代では2年前時点のモンキー・D・ルフィでは歯が立たない巨大な猛獣が幾種も生息する地となった。ルフィはシルバーズ・レイリーの師事の元、この地で2年間の修行の時を過ごした。やがて猛獣達は実力を上げたルフィを島のボスと慕うようになり(おかげで食糧にされるのは免れたらしい…)彼が海賊として復帰した後もアマゾン・リリーの者達からはその報道を知らせてもらっている。
例外
入るだけでも命に関わる海域なのだがそれでもこの海を移動する方法を持ち合わせている者達も存在する。
有している軍艦の船底に海楼石が敷かれている。この石は海と同じエネルギーを発するので海中の生物からは海水と同じと認識されある程度のステルス機能となる(気配をかき消すだけなので視覚においては見つけられてしまう危険は残る)。
アマゾン・リリーを拠点とする九蛇の精鋭からなる海賊団。前掲の通り海賊船を遊蛇(ユダ)という2匹の有毒海蛇に引かせており、それにより海王類を退け航海を可能とする。なお、これが国唯一の船であるため、出入国には船長を兼任する女帝の許可が必要になる。ハートの海賊団は彼女達の助けを受け女ヶ島でルフィの静養をさせた(沿岸部に留まるだけの滞在だったが)。
元ロジャー海賊団副船長。世界を一周するのが過酷とされる偉大なる航路を唯一制覇した海賊団だった実力は未だ衰えきってはおらず、ルフィに再会しに女ヶ島に向かおうとしたが凪の海(カームベルト)に入る前に嵐に襲われて船が沈んだため、途中から自力で泳いできたことでこの海域を抜けている。しかも海王類を返り討ちにしたうえで息切れもなしである(平泳ぎは得意との本人談)。彼はかつてアマゾン・リリー現皇帝とその妹達を助けており恩人として島への上陸が認められる特例として扱われている。
クリークが偉大なる航路から東の海へ逃げて来た際に、小さな小舟(棺船)で凪の海を単なるヒマつぶしの為に渡って、追いかけて来たと思われる。
- アイランドクジラ
西の海に生息する世界一大きくなるクジラ。子供時代だと小舟程度だが成長しきるとサウザンドサニー号が瞳孔程度に見える大きさで名の通りちょっとした島の如くの大きさとなる。群れで北西半球側に位置する新世界の海域にもその姿を見せることがある。ラブーンがこの種類。
他に新魚人海賊団は北極からクラーケンを連れてきておりすぐにでも再び出向けると言及しており海王類を完全でなくとも回避する方法を知っている可能性が高い。
また上記で記述した通り長距離空か地底を移動可能であれば海から襲われるのは回避できる。