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双極性障害

そうきょくせいしょうがい

双極性障害(躁うつ病)とは精神疾患の一種である。気分が高揚し活発になる躁状態と、気分が落ち込み活動量が減る抑うつ状態が交互に現れる。
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症状

旧来の「躁うつ病」の名前でも認知されている。TSM-5-TRでは「双極症」と指す場合もある。


気分が高揚し、極端なまでに活発になる状態と、ひどく気分が落ち込み動けなくなるうつ(抑うつ)状態が、その時の状況や元々の人柄に関係なく交互に現れる。ごく簡単に言えば、「ものすごくハイテンションな状態」と「ものすごくローテンションな状態」が、交互にやってきて、しかも本人がコントロールできないという症状である。「交互に」と表現したが、気分の変化が同時に起こる(混合状態)場合もある。

躁とうつという気分障害の「双極」にある症状を両方持っていることから「双極性障害」と呼ばれる。

また、この躁とうつの間の「どちらにも偏っていない状態」では、至って普通で、健康な人となんら変わりない様子というのも特徴的である。

100人に1人は生涯のうちに双極性障害と診断されるが、潜在的にはそれ以上の可能性もある。


躁状態の度合いを医師や心理士が判断し、主に「双極Ⅰ型」と「双極Ⅱ型」に分類される。

Ⅰ型は昼も夜もなく動き回る、感情がコントロールできず周りに当たり散らすなど、社会生活に支障をきたすほどの重度の躁状態になる、Ⅱ型は(患者本人も自覚が薄いような)軽度の躁状態になると分けられている。


躁状態

(異常なまでに)気分が高揚しており、活発に動き回り、衝動的で享楽的な思考になる。もう一つの側面である「うつ」と比べると一見良いように感じるかもしれないが、実際にはそうではない。

躁状態は、アドレナリンノルアドレナリンドーパミンといった神経伝達物質が過剰に分泌されているため起こると考えられている。これらが過剰に出ていると、何に対しても非常に活動的になり、あらゆることを愉快に感じ「自分は何でもできる」と思い込んでしまうという状態になる。また、常に緊張しているため怒りっぽくなり、些細なことで激昂してしまう、ヒステリックになるという人も少なくない。

気分が変わりやすく、アイデアが次々と思い浮かぶ一方で、すぐに気が散って集中力が続かなくなるため、仕事や勉強に支障をきたすこともしばしばである。


「後で自分や周りの人が困るのはわかっているが、今の気持ちを抑えられない」という衝動性の高さもあるため、高額なローンを返すあてもないのに組む、目についたものを吟味せずとりあえず買うといった浪費や、射幸性の高いギャンブル・短絡的に快感を得ることができる薬物などの依存症に陥ってしまい、中には犯罪に手を染めてしまうこともある。そのため自己破産、失業などの経済面でのリスクもある。暴言・暴力に走ってしまったり、妄想を抱いてしまったりして、特に家族や親しい友人との人間関係のトラブルが起こることも多い。


少ししか休まなくても元気に動けると感じ、うつとは別の方向で「眠れない」と訴える人もいる。

心身共に動きが鈍るうつ状態に対して、何事に対しても活発である躁のほうが、むしろ自傷や自殺企図・実行のリスクは高い。また、気分が高揚しているため「自分は(こんなにも元気に動けるのだから)病気ではない」と考え、周りの忠告が耳に入らない、病院への通院や治療のための服薬を勝手にやめてしまう(のでより悪化する)ケースもある。


非常に活動的・能動的になり、人と話すときは饒舌で、見た目も派手になことから、関わりの薄い相手からは「ポジティブでエネルギッシュな人」と好意的に評価されることもあるが、発症する前の状態を知っている相手からすれば明らかに異質である。

患者本人も「躁の状態がありのままの自分」と思う人もいれば、躁の自分に嫌気が差す人もいる。


うつ状態(抑うつ)

同様の症状を示すうつ病と同じく、人間らしい生活への意欲が失われてしまい、感情の動きが鈍くなってしまう。このため、元々楽しく遊べていた趣味に打ち込めなくなったり、布団から出るのも億劫だと思ったり、といった人もいる。躁状態と同じく集中力の低下や焦燥感といった症状も見られる。

うつ状態では、常に憂鬱な気分を抱えており、物事に対する意欲が低下してしまう。疲れが取れず、食欲も減り、寝付けない・あるいは眠り過ぎてしまうといった身体的な症状が重いこともある。


「自分には価値がない」「自分は許される存在ではない」というような自罰的な思考に囚われてしまい、「消えたい、死んでしまいたい」という希死念慮を抱えていることも多い。とくに双極性障害の場合「躁」状態の時に起こした失態や、再び躁転してしまった時に起こす問題への不安から余計に自分を責めてしまう人もいる。


もともとの性格や生活習慣にもよるが、うつのほうが症状として目立つ、また躁状態に関して本人の自覚が薄いケースは多く(特に躁が軽度のⅡ型)、うつ病と診断を受けた後に実は双極性障害であることが発覚することもある。


原因

双極性障害の原因はまだ解明されていない。しかし精神疾患の中でも双極性障害はの異常などの身体的な要因が原因と考えられている。そのためうつ病や適応障害などの精神的・環境的な要因が大きい精神疾患と違い、ストレスが発症のきっかけや悪化の原因になることはあっても発症の直接的な原因になることはないと考えられている。

また双極性障害の患者は双極性障害の家族歴を持つことが多い。双子では同じ遺伝子を持つ一卵性双生児の方が2人とも発症するリスクが高いという研究結果も存在するため、遺伝の影響が大きいと見られる。


治療

治療法としてはリチウムなどの薬を服用する薬物療法が一般的である。しかし双極性障害の治療薬のほとんどは副作用が強く扱いにくいため、一定のリスクも伴うこととなる。

たとえば、双極性障害の症状の一つとして「注意散漫になる」「忘れっぽい(記憶が飛ぶ)」という記憶・注意・判断力などの認知機能障害があるが、これは治療薬の副作用としても引き起こされる場合がある。

症状が類似するうつ病に有効な抗うつ剤が、双極性障害における抑うつにおいては効果が出ない、さらに躁転や急速交代化(※通常、躁期⇔躁でもうつでもない正常な維持期⇔うつ期という形で症状が切り替わるのが、切り替わる期間が急に短くなってしまうこと)など悪化を招くということも多く、基本的には気分安定剤や抗精神病薬が用いられる。


先述した通り、発症原因が精神的な要因ではないと考えられているため、各心理療法やカウンセリングなどの精神療法だけでは大きな効果は望めないと言われている。しかし、「双極性障害」がどのような病気であるか、今はどのような状況でどのように治療していくのか、ということをしっかりと患者自身が理解することも治療には必要であり、冷静に状況を見極め、患者の気分を整理するためのカウンセリングも重要である。


双極性障害は再発しやすい病気と言われている。再発は過労やストレスなど外部からの要因がきっかけとなることもある一方で、あるアンケートでは再発の原因について「薬を医師の指示通り服用しなかった」ためという回答が最も多く、「自分はもう良くなったから飲まなくて良い」と考えたり、逆に「飲めるような元気もない」という状態だったりといったことも考えられる。→すまいるナビゲーターの記事


発症していた、もしくは発症していた可能性がある有名人


※1…北杜夫は自身が精神科医師でもあり、自らの病状を著作で明らかにすることで「躁うつ病」を一般に知らしめた。

※2…ゴッホには他にも統合失調症説、てんかん説がある。

※3…漱石は生前の診断では「神経衰弱」とされていた。他にも統合失調症説、うつ病説などがある。


関連タグ

精神疾患 難病 

誤診が多い病気・障害:ADHD(衝動性、注意散漫などが類似する) うつ病 薬物中毒 多重人格


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