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概要

古代から人間は様々な言語を話している事が知られているが、これらの中には現在も姿を変えつつ生き残っているものや、既に誰も使わなくなり死語と化した言語も存在する。

古代語の例

古代の定義は地域により様々ではあるが、ここでは紀元前にその地域で盛んに用いられた有力な言語(の一部)について記す事にする。

現在でも一般的に用いられているもの

現在でも母語話者数世界最多であり国連の公用語にも指定されている影響力のある言語ではあるが、同時にギネスブックに「現存する世界最古の言語」と認定された言語でもある。甲骨文字を使用していた時代から中国語は文章による記録がなされており、朝期に成立し漢朝期に標準化された漢文は20世紀初頭に白話(口語)が主体になるまで一貫して使われ続けていた……というか、台湾では*今でも公文書に漢文が用いられる事がある

現存する最古の文書は3500年前の古代ミケーネ文明で記録されたもので、ミノア語を綴るための文字である「線文字A」から派生した文字である「線文字B」によるものであった。その後外来のフェニキア文字をもとにギリシャ文字が成立し、ヘレニズムの頃には標準語であるコイネー(いわゆる古典ギリシャ語)が成立している。現在話されている現代ギリシャ口語は東ローマ帝国オスマン帝国の影響下でラテン語オスマン語の影響を受けた「デモティキ」であるが、司法の世界ではコイネーをもとに人工的に成立した現代ギリシャ文語「カサレヴサ」も用いられている。

古代イスラエル王国分裂後の南王国(ユダ王国)でユダヤ教聖書「タナハ」(いわゆる旧約聖書)に用いられている古典ヘブライ語が成立。その後は話し言葉としての利用は衰退したものの、書き言葉としてはなおも古典ヘブライ語による文学作品が書かれ続けるなど、完全な死語になるまでには至らなかった。現在話されている現代ヘブライ語は、この古典ヘブライ語を基にし人工的に構築されたものである。

新バビロニア王国やアケメネス朝ペルシア等で公用語として用いられた言語。イエスが日常的に使用していた言語としても有名。現在でもシリアやイラク等の中東で話されている。

メソポタミアを統一したアケメネス朝の頃から楔形文字による記録が行われており、ベヒストゥン碑文が知られている。その後はサーサーン朝期頃にパフラヴィー文字を用いたパフラヴィー語を経て、後にアラビア文字を用いる現代ペルシャ語に繋がっていく。

インド南部で用いられている言語であるが、少なくとも紀元前後には既に使われており、この頃の文書が残っている。

宗教用に残っているもの

ローマ帝国の公用語として成立し、帝国崩壊後も長らくヨーロッパ社会での公用語的位置にあった。現在でもカトリック教会で典礼用に用いられており、総本山のバチカン市国では公用語に指定されている。

  • エジプト語(コプト語)

古代エジプトの時代にヒエログリフによって書かれた古代エジプト語の印象が強いものの、プトレマイオス朝から東ローマ帝国の時代にかけてギリシャ語の影響を受けたコプト語が成立しており、ギリシャ文字をもとにしたコプト文字とともに、キリスト教コプト正教の典礼用にアラビア語とともに用いられている。

2500年前に標準語が規定されたサンスクリットは長きにわたってインド北部の文書公用語として用いられており、イスラム王朝や大英帝国による支配を経て地位が低下した後も、ヒンドゥー教仏教をはじめとするインド系宗教の典礼用に用いられ続けており、また現代のインドでも公用語のひとつに指定されている。現在のインドではヒンディー語などと同じデーヴァナーガリー文字によって記されているが、日本では6世紀頃に用いられていた梵字が依然として用いられる事が多い。

現在では完全に廃れたもの

現存する最古の文書を記録している言語として知られる、メソポタミアにおいてシュメール文明で用いられてきた言語。象形文字を粘土板に記録しやすいように簡略化した楔形文字を開発して用いていた事で知られる。約4000年前に既に口語としては死語となっていたものの、以降もメソポタミアにおいてはその後も用いられ続けたという。

シュメール語ののちに国際標準語となった言語。セム語であり、シュメール語とは言語系統が全く異なるが、多くの語彙を借用した。今日も国際共通語の一つであるアラビア語とはかなり近い親戚関係にあり、多くの語彙が共通している。

その他

  • ハラッパー語

インダス文明で用いられていた言語で、インダス文字による記録が残るものの、現存する文書があまりにも少ない事から、未だに解読には至っていない。

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