概要
次のようなイラストにつけられるタグ。
- 艦船擬人化ゲーム『艦隊これくしょん』(艦これ)において国土交通省(旧運輸省)の外局である海上保安庁が運用する船艇(海保船)をモチーフにした艦娘。現在のところ海保船としての姿が実装されているのは宗谷のみ。
- 『艦これ』の設定をベースに海保船を擬人化(オリジナル艦娘)したイラスト。
- 『艦これ』に登場する艦娘に、同名の海保船を元ネタにした艤装を装備させる現代化改修を施したイラスト。いわば改自の海保船版である。
- 海保船と艦娘を一緒に描いたイラスト(メイン画像)。
巡視船などの海保船は、「あきつしま」「みずほ」など旧海軍の軍艦(そしてそれら旧海軍艦の名前を引き継いだ海上自衛隊の自衛艦)と同名を名乗っている場合も多くある。ただし、近年は現役自衛艦と共通する船名は避けられる傾向になっている。また、通常は配備された地域に関係深い名前がつけられるため、自衛艦とは異なり配備変えにより船名が変更される場合がある。
元海軍艦の海保船について
史実では、海軍の特務艦「宗谷」が戦後海保の灯台補給船・巡視船(南極観測船任務含む)として活躍したこと、鵜来型海防艦4隻と日振型海防艦「生名」がおじか型巡視船として活躍したことが知られる。田中謙介プロデューサーも当初よりこれらの実装には前向きであり、『鎮守府生活のすゝめVOl.1』のインタビューで「鵜来型は大好きで必ず出したい」と語っていた。
しかし、旧海軍艦艇を継承した巡視船は長らく実装の兆しが見られなかった。日振型は2018年冬季イベントで実装されたが、「生名」は現時点でも実装されていない。
戦後海保船として就役した旧海軍艦船が艦船擬人化ゲームでほとんど取り扱われていないことについては「海保が戦争と結び付けられることを嫌がっているのでは」といった噂もあったが、これについては各ゲームの公式や海保関係者から一切の言及がないので憶測の域を出ない。
ところが、上記の理由から「実装不可能では」との憶測があった宗谷が2021年5月21日のアップデートで実装された。この際、宗谷の保存先である船の科学館はTwitter公式アカウントでアナウンスを行なっている。
その後同じく戦後巡視船「さつま」となった鵜来型海防艦鵜来も2022年8月26日~27日のアップデートで実装された。
実装済みの海保船これ
灯台補給船・巡視船「宗谷」(LL01→PL107)
元帝国海軍特務艦。旧海軍所属の船艇としては唯一現存している船である。
海上保安庁には、発足の翌年の1949年に編入され、灯台補給船を経て巡視船となったが、特務艦時代から船名を変えずに同名で通した(厳密には引揚船時代に一度「宗谷丸」に改名しているが、海保編入前に同じく灯台補給船候補となっていた同名の青函連絡船「宗谷丸」と区別するために元の名に戻されている)。海保に編入された他の旧海軍船艇の多くは船名を変更されているので、比較的珍しい(他に初代海上保安大学校練習船を務めた元海軍救難船「栗橋」(PL04→PL100)の例がある)ケースである。宗谷は往時の保安庁を代表する巡視船のフラッグシップとして国民に広く親しまれ、現在も除籍されないまま東京港で博物館船として保存されている。
実船の宗谷は上記のイラストのように、煙突に大きなコンパスマーク(海保のシンボルマーク)が掲げられているのだが、艦娘のデザインでは(下記のイラストのように)これが消されている。
名前のみ登場
おじか型巡視船「さつま」(PL-104)
元々鵜来らは1948年に中央気象台(現在の気象庁)によって塩釜東方1000km沖と室戸岬南方500km沖の2か所での気象定点観測船として運用されていたが、1953年11月の定点観測一時打ち切りと1954年の海上保安庁による再開(ただし室戸岬沖のみ)によって海上保安庁に編入された。宗谷と異なり元海防艦の巡視船はすべて海上保安庁編入時に改称している。その後も巡視船として任務に当たっていたが、元々戦時量産艦として建造されていた上に海上気象観測といういささか過酷な環境での任務に充当されていた事もあり、1965年に解役となった。
なお、上述の宗谷とは第一次・第五次南極観測任務からの帰還時にそれぞれ九州沖でさつまが出迎えたという縁がある。前者は宗谷と同行していた海鷹丸から撮影された記録映画に収録されている。また後者においては宗谷から南極の氷2箱を託されている。
2022年8月現在、ゲーム中ではさつまとしての姿は実装されていないものの、鵜来自身が「戦後の平和な海をおじか型巡視船『さつま』としても護りました」と語るボイスが実装されている。
オリジナル艦娘
灯台補給船・巡視船「宗谷」(LL01→PL107)
上記の「宗谷(艦隊これくしょん)」実装前に投稿されていたオリジナル艦娘。
特に以下に示すフラット氏によるものはMMD化がなされている関係もあり、派生作品が多数投稿された。
なお宗谷に関しては作者独自の世界観に基づいた作品も多く投稿されている。艦これとは無関係の宗谷の擬人化イラストに「海保船これ」や「オリジナル艦娘」などのタグをつけないようにしよう。
巡視船「こじま」(PL106)
元帝国海軍鵜来型海防艦「志賀」。米陸軍に接収され一時連絡船となったが、間もなく日本に返還され上記の鵜来らとともに気象台(現在の気象庁)定点観測船を務めた。1954年海上保安庁に編入され、栗橋の跡をついで海上保安大学校練習船となる。
1965年に除籍された後も千葉市で海洋公民館としてその姿をとどめていた。周辺の埋め立てで池に浮かぶ姿に変じ、1998年に老朽化により解体されたが、日本海軍の艦艇としては最後まで水上に存在していた(宗谷含む特務艦艇は艦船令に定められた艦艇に含まれていない)。
ちなみに、巡視船で保存船となったのは「宗谷」と「こじま」の2隻だけであった。
現代化改修
巡視船「あきつしま」(PLH32)
(しきしま型巡視船二番船)
1940年の「戦艦比叡」以来、長く途絶えていた御召し艦(船)の大役を75年ぶりに賜ることとなった船。
2015年4月に行われた、天皇皇后パラオ戦没者慰霊の際に、海上保安庁最大の船であり、ヘリコプターの運用が可能だった事から御宿泊船に抜擢された。
巡視艇「きたかみ」(PM02)
巡視船「しきなみ」(PC25)(現「ともなみ」)
※現在は第七管区への転属に伴い船名が変更されている。
放射能調査艇「きぬがさ」(MS01)
消防船「ひりゅう」(FL01)
絵はまだ投稿されていないが、『艦これ』に登場する艦娘の元ネタの軍艦と同じ名前を持つ船
巡視艇
「きよしも」(駆逐艦「清霜」)、「しらつゆ」(駆逐艦「白露」)、「はつはる」(駆逐艦「初春」)、「たにかぜ」(駆逐艦「谷風」)「わかば」(駆逐艦「若葉」)、「むつき」(駆逐艦「睦月」、「はるさめ」(駆逐艦「春雨」)、「むらさめ(駆逐艦「村雨」)、「すずかぜ」(駆逐艦「涼風」)、「はまかぜ」(駆逐艦「浜風」)、「さつき」(駆逐艦「皐月」、「はつかぜ」(駆逐艦「初風」、「ゆきかぜ」(駆逐艦「雪風」)、「しまかぜ」(駆逐艦「島風」)
など…
巡視船
「きそ」(軽巡洋艦「木曾」)、「ゆうばり」(軽巡洋艦「夕張」、「ちとせ」(軽空母「千歳)、「くまの」(航空巡洋艦「熊野」)、「くま」(軽巡洋艦「球磨」)、「てんりゆう」(軽巡洋艦「天龍」)、「いすず」(軽巡洋艦「五十鈴」)、「もがみ」(航空巡洋艦「最上」)、「おおよど」(軽巡洋艦「大淀」)、「とね」(重巡洋艦「利根」)、「ながら」(軽巡洋艦「長良」、「あぶくま」(軽巡洋艦「阿武隈」)、「やはぎ」(軽巡洋艦「矢矧」)、「みずほ」(水上機母艦『瑞穂』)、「ふそう」(戦艦『扶桑』)、「みかづき」(駆逐艦「三日月」)、「あかつき」(駆逐艦「暁」)、「かとり」(練習巡洋艦「香取」)
など…
※海保の「きそ」の船名は、軽巡洋艦の艦名の由来である木曾川ではなく木曽山脈に由来する。
その他
「あおば」(実習艇・重巡洋艦「青葉」)
「なち」(消防艇・重巡洋艦「那智」)
「はやしお」(測量船・駆逐艦「早潮」)
※海保の「なち」の船名は、重巡洋艦の艦名の由来である那智山ではなく那智の滝に由来する。