概要
特務艦娘の中の一つで、2015年8月10日の『反撃!第二次SN作戦』により初登場した艦娘のグループである(ただし後述のように、定義次第ではサービス開始当初から存在していたとも言える)。それ以前は補給艦として扱われる艦は敵の輸送ワ級のみであった。
補給艦という艦種自体は他の艦艇に燃料や武器弾薬などを補給する目的で運用された艦艇であり、日本海軍においては運送艦のうち宗谷などの補給能力を持たない艦を除いた以下の5種類の艦が該当する。
この意味においては間宮及び伊良湖も補給艦に分類されうる。ただし、この2隻に関しては艦これ内においてはアイテム扱いとなっており、出撃可能な艦としては2021年現在、給油艦に分類される2隻のみが補給艦娘として扱われる。尚、ゲーム内では給油艦以外の補給艦娘は実装されていないものの、史実では艦船への補給能力を持たなかった宗谷が(海保時代の姿も含めて)補給艦と同等な運用が可能なことから、仮に実装された場合は給油艦以外の補給艦も給油艦と同様のシステムが与えられる可能性は考えられる(大和型の46cm砲砲身運搬を専門とする給兵艦樫野も、少なくとも史実の宗谷同様に通常の貨物輸送に従事できる能力はあるため、可能性はゼロではない)。
以下、主に海域出撃可能な艦娘について述べる事とする。
速吸に関しては通常海域の最奥エリア(6-4)、神威は大型艦建造可能となっている為、イベント海域限定のドロップ入手艦ではなくなっている。
能力
神威は軽巡洋艦並みの低燃費なのに対し、速吸は長門型戦艦並に燃費が悪い。その一方で弾薬消費量は双方共に非常に少ないため、あきつ丸や明石などの特務艦娘と同じような運用方法が見込まれる。
戦闘能力は他の特務艦娘同様に低いが、現在実装されている補給艦娘は改造することで速吸なら艦攻と水上爆撃機を、神威も水上爆撃機をそれぞれ装備することが可能でソナーも搭載できる為、対潜能力は低くはないようだ。また、大発や内火艇も搭載できるので遠征やイベント海域の兵站輸送作戦での活躍も期待できる。
艦種固有の能力として、「洋上補給装備」を装備した状態で艦隊に編成して出撃し、各艦の残資材量が平均25%以下の状態で進撃を選択した場合に『洋上補給』を実行する。効果は艦隊全員の燃料と弾薬を以下のように(端数切り捨て)回復させる。連合艦隊編成時には第一第二艦隊の双方に効果がある。
・通常艦隊:1個使用【+25%】2個使用【+36%】3個使用【+47%】
・連合艦隊:1個使用【+15%】2個使用【+27.5%】3個使用【+40%】
※同時使用は最大3個までで、補強増設を加えて最大4個装備していても3個しか消費されない。
『艦これ』の仕様上、燃料・弾薬が40%(夜戦に突入せずに3戦で60%消費)以下になると、攻撃力と回避率が低下するというデメリットが存在する。補給艦娘はこのリスクを回避し、長期戦でも艦娘達の戦力を維持する能力を持っているのだ。
しかし、道中戦闘回数と潜水艦マス・空襲戦マス等での燃料・弾薬の消費量の違いによってボスマスに到達しても残資源量が平均25%以下にならないことがままあった為、2016年4月1日のアップデートで補給艦が洋上補給を1個以上装備していればボスマスの前で洋上補給を実行する否かの選択肢が現れ、「許可」「却下」のうち「許可」を選択すれば任意で補給できるようになった。
なお、この洋上補給は母港に備蓄している燃料・弾薬を消費しているので、母港に燃料・弾薬が残っていないと旗艦から順に上から補給可能な艦までしか行われず、母港の燃料・弾薬が【0】だと選択肢も出現せず当然補給は行われない。
洋上補給自体、課金アイテム化されており、かと言って初期装備として持ってくる速吸をドロップして入手しようにも現状イベント海域と通常海域最深部の6-4ボスマスのみという観点から数を揃えにくく、無課金・低課金を心掛ける提督は安易な使用を避けた方が良いだろう。この難点は、2016年9月16日のアップデートで洋上補給が入手できるマンスリー任務が追加された事である程度は解消された。
また、同じく課金アイテムである「補強増設」によって追加されたスロットに洋上補給を装備する事で、本来のスロットに積むべき他の装備を外して戦力を落とす事無く洋上補給を利用できる。洋上補給を最大限に活用したいのであれば補給艦娘にスロットを増設してあげよう。(選択した難易度にもよるが)イベント海域突破報酬として何個かは無料配布されている事だし。
活躍の場
2016年夏季イベント『迎撃!第二次マレー沖海戦』E-4では、ボスマスへの道のりが最短でも9マスと長く、ほぼガス欠寸前の状態で凶悪な編成のボスと戦う事を余儀なくされたため、当時唯一の補給艦娘だった速吸による洋上補給の有無で突破率が大きく変化する事になった。しかしながら当初は、イベントの無い時期だと活用のしどころがあまり見当たらないのが実情であった。
最近ではクォータリー任務や限定任務で【2-4. 沖ノ島海域】への出撃を指定されるものが増えてきたが、序盤の難所として知られるMAP故に艦隊の錬度や編成とは無関係にボスマスの方角を中々指さない羅針盤に業を煮やし、補給艦娘を編成して洋上補給を装備させ本来ボスまで5戦のハズレルートである北西ルートを羅針盤が指し示しても構わず進軍し、洋上補給を使うことで燃料・弾薬のペナルティを打ち消して任務クリアを目指す提督も見受けられる。
また、毎月の【Extra Operation】3-5. 北方AL海域を、下ルートないし準下ルートで攻略する際のメンバーに組み込むパターンも最近では見受けられる。本来下ルートor準下ルートを通る編成では航空兵力は水上戦闘機か水上爆撃機に限られるのだが、速吸がルート分岐に影響しない為高火力の艦上攻撃機を導入する事が可能になり、道中突破及びボス撃破率を上げる事が可能となった。しかし、速吸自身は脆い為、旗艦に据えたり万が一に備えてダメコンを装備する等の工夫が必要となる。
第2期にアップデートしてからは、各海域の進攻ルートが変わったために3-2や3-4のルート固定に補給艦娘が関わるようになった。
当然だが、演習でこのカテゴリに含まれる艦娘を撃沈しても、敵補給艦ではない為出撃の補給艦関係の任務を達成する事はできない。
アーケードでは
2020年3月現在実装されているのは速吸のみ。ブラウザ版と同じく『洋上補給』の特殊能力を持つ。
「洋上補給装備」を装備した補給艦を編成していれば3回砲撃戦を行った後に『洋上補給』が可能になる。
補給を行った直後の砲撃戦では艦娘の能力が向上し、SP攻撃の発生率や回避率が上ることが公式から発表されている。
便利な効果ではあるのだが、いくつか問題がある。
まずアーケード版のステージは基本的に道中戦を1戦か2戦やって敵主力艦隊と戦うという設計になっているうえ、アーケード版は自分で進路を決めるゲームでなので、工夫次第でいくらでも道中戦を減らせるため、リスクを犯して道中戦の数を増やすメリットに乏しい。
そのため道中3戦というのが意外に難しく、意識しないと洋上補給自体ができない。
そして次が「洋上補給装備」の問題である。
ブラウザ版と同じ消費アイテムなのだが速吸の実装時点では速吸と速吸改の持参分と発令!第十一号作戦でのクリア特典でしか入手経路がなく、入手個数に限りがあった。元々が課金アイテムだったので入手手段がどうなるかが実装時点では不透明だったのである。
後に開発工廠での第二開発、第三開発で量産ができるようになったが、固定で入手可能な第三開発は開発個数に上限が設定されており、第二開発は開発ができるかがランダム。
そのため課金すれば手に入るブラウザ版よりも入手が厳しくなっており、気軽に使いづらくなったのである。
トドメに補給艦自体が低ステータスで戦力になりにくく、編成すると明確に足を引っ張る。
特に速力が重視されるアーケード版において速力が実装艦娘中最遅というのは致命的である。
低ステータスな上に速吸は後述する事情から砲撃戦でも火力を出しにくく、戦力としてカウントしにくいのも辛い点。
と、ことごとくアーケード版の仕様に嫌われており、不遇寄りの立ち位置にいる。
特に『洋上補給』の仕様と「洋上補給装備」の入手経路の問題が大きく、その辺りが改善されないと活躍は難しいだろう。「洋上補給装備」の入手経路の都合上、『洋上補給』が必須になる海域をホイホイ出すわけにもいかないだろうし。
ちなみにアーケード版では航空攻撃のダメージ計算式に艦載機の搭載数が組み込まれている関係上、速吸改に艦攻を載せてもブラウザ版のような大和型を一撃で撃沈させうるダメージは出せなくなっている。
その上、速吸には中口径主砲や副砲を載せられず、射程を中射程にできないため、砲撃に参加しにくい。
そのため航空攻撃主体の速吸よりデフォルト中射程で砲撃メインの神威のほうがアーケード版の仕様に合致していると考えられる。
2020年3月現在、まだ神威はアーケード未実装ではあるが。
艦娘
海域出撃可能艦
給油艦カテゴリに分類される速吸と神威の2隻が実装されている。
風早型
- 改風早型補給艦 速吸
2015年8月10日の夏季イベント『反撃!第二次SN作戦』にて実装。運動部のマネージャーを思わせる出で立ち。先に述べた通り、Lv25で改造すると水上機に加えて艦攻を搭載可能になる。
神威型
- 神威型補給艦1番艦 神威
2017年春イベント『出撃!北東方面第五艦隊』で追加された2隻目の補給艦。改造すると水上機母艦となるが、再度改造した「神威改母」では水上機運用能力を保持したまま元の補給艦に戻る。
名前のせいかアットゥシを思わせる衣装を身につけている。しかし、彼女の生まれはサラトガと同じアメリカの造船所で、実は金剛と同じ帰国子女である。
アイテム扱いの艦
他の艦娘とは異なり海域出撃が不可能なため扱いが異なるものの、便宜上記載。こちらは給糧艦に分類される間宮と伊良湖の2隻が実装されている。
間宮
- 給糧艦 間宮
サービス開始当初から実装。
伊良湖
- 給糧艦 伊良湖
2014年9月26日のアップデートより実装。
未実装艦
上記以外の艦で、他の艦娘らからの言及がある補給艦は以下の例がある。
- 室戸型給炭艦2番艦 野島
朝潮の時報内に登場。南遣艦隊や連合艦隊などの附属として輸送任務に従事。ビスマルク海海戦において空襲により沈没。この時事前の約束(第八駆逐隊司令による「朝潮が護衛する限り見殺しにはしない。野島乗組員を救いにゆく」というもの)もあり生存者は朝潮に救助されたものの、直後にその朝潮も空襲により撃沈されてしまっている。
その他
給油艦として建造され、給油艦以外の艦種で就役した艦も存在する。以下は艦これに実装されている例である。
- 剣埼型給油艦2番艦 高崎
のちの瑞鳳。元々第二次補充計画(通称「②計画」)にて給油艦として計画され、給油艦「高崎」として進水したものの、艤装工事中に潜水母艦→空母と計画が二転三転し、最終的に就役時点では空母となっていた。ゲーム内では具体的な艦名こそ出さないものの、本人の装備換装・近代化改修・改造時のボイスで「高速給油艦とかに戻しちゃ駄目だからね」と発言している。なお、姉の祥鳳(剣埼)の方は潜水母艦として就役しているためか、給油艦時代を示唆するボイスは実装されていない(潜水母艦時代を示唆するかのようなボイスは存在するが)。
- 特2TL型陸軍輸送護衛空母 山汐丸
ゲーム上の画像では、特設護衛空母という表記となっているが、元がタンカーとして建造されたためか、内部的な実態としては補給艦扱いとなっている。
ドラム缶も大発動艇も装備できないが、一方で改になれば艦上戦闘機や、爆撃機を装備可能となる。ルート決定などで補給艦が必要になり、また制空値も欲しい場合は、制空を稼ぐ手段として候補となる。
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