概要
映画『クレヨンしんちゃん』の第29弾。
しんちゃんの声優が交代して初のかすかべ防衛隊メインのクレしん映画となる。
また、春映画として公開されるアニメ映画シリーズにはミステリーマンガの金字塔として名高い『名探偵コナン』(配給元もクレしん映画と同じ)が存在する為、ミステリーに題材をとった事で、奇しくもライバル映画の一つと直接対決と言う形になった為、アニメファンの多くから注目されることになった。
しかしながら、当初は2021年4月23日公開予定だった所、新型コロナウイルスの影響により公開日前日に延期になり、同年の7月30日に公開されることになった。夏映画として登場するのは『アクション仮面VSハイグレ魔王』以来およそ28年ぶりとなる。
『名探偵コナン 緋色の弾丸』の方は従来の作品と同じく4月(『天カス』の本来の公開日より1週早く)に公開された為、本作と公開時期が数ヶ月ずれることになった(ただし、『緋色の弾丸』は1年遅れでの公開であり、新たな公開日も1週遅れていたら再延期の可能性もあった)。
あらすじ
超エリート校私立天下統一カスカベ学園通称「天カス学園」に体験入学することになったしんのすけたち「かすかべ防衛隊」のメンバーたち。
ところが、しんのすけの態度に激怒し、入学を台無しにされたトオルはそのまま寮を飛び出してしまう。そんな中、壊れた時計塔の中で尻に奇妙な噛み痕が付いて気絶した風間くんを発見する。
そして翌朝、彼は究極のおバカに変貌していた。実は天カス学園では謎の吸ケツ鬼に襲われた人間がおバカ化する怪事件が起きていた。
しんのすけたちは風間くんを助けるべく、事件の調査を開始する。
物語の構成
本作の構成はクレしん映画の中でもかなり異質の構成になっており、ストーリーの構成により、ラスボス・黒幕・元凶、そして事件の犯人が個別に存在している。
特にラストは、まさかのキャラクターがラスボスとして立ちはだかるという展開により、クレしんファンに多くの衝撃を与えた。
また、その練り込まれたミステリー要素から、劇場公開時には数回に渡って本作を観るファンもいたほど。
物語の特徴
本作は歴代クレしん映画の中でも、特に様々な要素が組み込まれた作品となる。
学園ものとミステリーと言う縦軸をベースに、AIによる徹底した管理体制と極端な格差社会と言うディストピア要素に加え、多数のゲストキャラクターを取り扱い、彼らの悩みを描いた群像劇要素、そして風間くんとしんちゃんの友情ものと言うキャラクター映画と言う、中々の詰め込み具合である。
特にディストピア要素は、オトナ帝国の逆襲をはじめとしてクレしん映画の中でも度々取り上げられる要素であり、この辺りは伝統要素といえる。また、本作は歴代のクレしん映画の中でもギャグ要素が強く、ヤキニクロードやB級グルメサバイバルに匹敵する。ちなみに、両作のようにグルメ要素が物語のキーの一つになっている点も共通している。
以上のことから、一種のクレしん映画の集大成的作品と言える。
評価
公開当初から高い評価を受けた作品。物語の特徴にもあるように、本作は奇想天外ながらもしっかりとしたトリックを練り、ストーリーにおいてしっかりと伏線を張った上でそれらを回収するというきっちりとしたミステリー展開を広げている。
その上で、かすかべ防衛隊のメンバーとそれぞれのゲストキャラクターとの絡みを広げて、ラストにそれが全て収束するというストーリー展開から、前作のラクガキングダムや逆襲のロボとーちゃんといった近年のクレしん映画の名作に並ぶ名作として評価されている。
天カス学園
本作における舞台。
正式名称を私立天下統一カスカベ学園。
敷地内には老朽化した旧校舎と、最新のデジタル機器とAIによる管理体制によって効率化された教育システムが徹底されている。
ゲストキャラクター
- 学園長(膨萩椋美)(CV:山口太郎)
- オツムン(CV:佐久間レイ)
- 阿月チシオ(CV:広橋涼)
- 豆沢サスガ(CV:村瀬歩)
- ろろ(CV:齋藤彩夏)
- 脇野スミコ(CV:亀井芳子)
- 番長(半公木切太郎)(CV:稲田徹)
- 寺盛アゲハ(CV:仲里依紗)
- フワちゃん(CV:フワちゃん)*本人役
- ヨーヨー(CV:長田庄平(チョコレートプラネット))
- 給食袋(CV:松尾駿(チョコレートプラネット))
本作におけるヴィラン。彼に襲われた被害者は尻に何かに噛みつかれたような痕が残り、おバカ(ガキンチョ)になる。
余談
『クレヨンしんちゃん』が学園ドラマになるのは「これが青春!らしいゾ」以来、およそ18年ぶりとなる。
関連動画
予告編1
予告編2
関連タグ
えんぴつしんちゃん:「しんちゃんたちが小学校に入学したら?」と言う仮定の下、小学校でしんちゃんたちが様々な騒動を起こすエピソードシリーズ。2021年4月24日には本作の公開記念に合わせて新作が放送。
しくじり先生:今回の映画宣伝の一環として2021年4月19日日に本作が取り上げられる(なお、講師役は映画でゲスト声優として出演しているチョコレートプラネットが担当)。授業内容は初期の頃に取り上げられた下ネタ中心アニメから不評人気が上がってきていたが新監督がやってきて大人が楽しめる2本の映画を紹介して子供が楽しむおバカなクレしんから大人が楽しむ物語性が高いのクレしんをみせ本作が国民向けアニメを生み出した理由となった。
最後にしんのすけがやってきて映画の宣伝を行った。