概要
『ウルトラマン超闘士激伝』第2部「ヤプール編」のラスボスであり、ヤプール次元全てのヤプール人を指揮するヤプールの王。作中では単に「ヤプール」と称される場合彼の事を指し、それ以外のヤプール人の部下はヤプールコマンドと呼ばれる(スーパー戦隊シリーズや仮面ライダーシリーズで言うところの戦闘員ポジションにあたる)。
かつて(何十年か前、と本人が語っているので恐らく30~31世紀ごろ)闘士ウルトラマンエースが戦ったヤプール(本家シリーズの個体)は彼らの一族の中で最下層の落ちこぼれにすぎず、末端のヤプールコマンドすら、それを凌駕する実力を有する。
彼らの住むヤプール次元は超高熱、超高圧、超重力の三重苦が宇宙全てを覆い尽くす地獄の如き環境であり、超獣はそのヤプール次元でも生活できるように改造された種族である(前述の落ちこぼれヤプールは地球の前線基地で超獣を作っていたため、その生き残りであるバキシムやエースキラーはヤプール次元の事情を知らなかった)。そのヤプール次元がいよいよ滅亡の危機に瀕したため、全ヤプール族の移住をかけM78宇宙に侵攻を掛ける。
さらに、ヤプール本人のような自力でヤプール次元の環境に適応した者達にとってはM78宇宙の、彼らから見て生ぬるい環境は却って力の暴発を招く(過酷な環境に耐えるために割かれていた力が抑えを失うため。彼自身や怪僧マザロンの暴走がこれにあたる)ため、M78宇宙の環境をヤプール次元のそれに作り変えるべく次元連結システム“テリブルゲート”による環境改造も企てていた。
すなわち、彼のM78宇宙侵攻の目的は落ちこぼれヤプールのような領土的野心によるものではなく、ヤプール次元の住人達の存続のためであり、そのことからもわかるように、彼自身の性格は本家のような邪悪な人物ではなく、むしろ君主・武人気質と言える。
実際、「ヤプール次元の弱肉強食なあり方が気に入っている」と血の気の多い発言こそしているが、戦いにおいては覚醒した超闘士ウルトラマンタロウの前に劣勢になった時でも卑怯な手段に頼ることなく自らの力のみで堂々と戦い抜き、さらには敗北後、自身にとどめを刺そうとした闘士ウルトラセブンへ助命を請うた腹心のスフィンクスに対しては「誇りを汚すな」「戦って果てた方が故郷の士気が上がる」と激高すらしている。
こうした人柄と力が物を言うヤプール次元で絶対的な力を示してきたことから前述のスフィンクスを始め部下からの忠誠も厚いようで、スフィンクスは「たとえ他次元侵略が失敗に終わっても彼が健在なら同胞達は決して絶望したりしない」とまで言い切っている。
形態
ループ星人ヤンド
所謂ヤプール人に似た姿。溢れ出る戦闘力と凶暴性を抑え込むために特殊な防護服を着用しており、この形態ではオカマじみた軟派な言動をとる。常に浮遊する椅子に座っているが、これは重力を軽減しているのではなく、逆に自分自身に猛烈な重力をかけて弱体化させている。滅茶苦茶弱体化した姿にも拘らず、本拠地のマイナス宇宙メビウス星での戦いでは一撃でメフィラス大魔王を吹き飛ばすほどの戦闘力を発揮した。
宇宙有数の大富豪のフリをして第2回銀河最強武闘会を開催し、部下の女ヤプールやアンチラ星人と結託し、自身を脅かす存在になる「超闘士」のサーチ・アンド・デストロイを目論む。裏で大会を操る傍ら、大会本戦にマザロンを出場させ、彼に超闘士候補を始末させようとするも、あまりに策を弄しすぎたがために超闘士ウルトラマンの覚醒を招く結果となってしまった。
結局マザロンはウルトラマンと刺し違えたたため、目的は一応完遂。本性を現したヤンドはヤプール次元に戻り、全軍での侵攻を開始する。
なお、偽名はドン・ヤプールを逆さから読んだもの。
言うまでもなく、モデルはその後の形態変化も含めてド●ゴンボールのフ●ーザである。
闘士ヤプール
超闘士タロウとの戦いで防護服が破壊されたことに伴い、本来の凶暴性を取り戻した首領ヤプールが、装鉄鋼を装着した姿。
『ウルトラマンA』などに登場する巨大ヤプールに準拠した外見をしている。装鉄鋼はマザロン同様、有り余る力を抑え込むための拘束具にすぎず、当然ながらループ星人ヤンドの比ではないほどの戦闘力を有する。メフィラス大魔王を始めとしたM78宇宙の精鋭達の一斉攻撃でも傷つけるどころか隙を作ることすらできず、更には気合一発で惑星全てを覆い尽くすほどの衝撃波を放つこともできるが、どちらかといえば光線技より武闘を好む。
暴走態
闘士ウルトラセブン、闘士ウルトラマンエース、メフィラス大魔王の三者が装鉄鋼を破壊したためにパワーがセーブしきれなくなった姿。肉体は闘士ヤプールの3倍近い巨体に膨れあがり、角や鉤爪、長い尾を生やした悪鬼の如き姿と化す。本来ならメフィラスらのもくろみ通り5分と生きていられないほど肉体を酷使しているらしいが、勿論それに準じて戦闘力も膨れ上がっている。精神を思い切り集中すれば1分ほどでパワーをセーブできるらしい。
精神世界から闘士ウルトラマンの激励を受けて真の超闘士の戦闘スタイルへと完全覚醒したタロウに敗れたかに思えたが…?
最終形態
ヤプール次元における本来の姿(メイン画像参照)。本人の言によるとM78宇宙では自力での変身は難しかったらしく、劇中で変身できたのは完全に起動したテリブルゲートによってエネルギーの供給・制御及びM78宇宙の環境の影響でバランスを崩しかけていた体質の再調整を受けたため。
比較的ウルトラ戦士に似た姿をしているが、ヤプールはこのことについて、ウルトラ戦士がヒューマノイドタイプの生物からウルトラスパークによって現在の姿に進化したように、ヤプール次元の過酷な環境によって同様の進化を遂げたのだろうと推察している。更に筋肉を増強、且つ全身に光線エネルギーを張り巡らせることで、光線技が一切使えなくなる代わりに光線系の攻撃を無効化できる格闘特化形態へのタイプチェンジ能力も有する。
小指一本でエースキラーを破壊可能なほどの頑強な肉体と、宇宙トップクラスの闘士たちですら見ることも敵わないようなスピードを有するが、最後はかつてのハイパーゼットンと闘士ウルトラマンの闘いから光線無効化能力の攻略法(光線エネルギーの膜にこちらの光線が阻まれるのなら、その膜を拳で貫いた内側で光線をお見舞いすればいい)を見出したタロウに敗れる。
敗北後、ヤプールを通じてダメージが伝わったテリブルゲートが暴走、ヤプール次元の全エネルギーがM78宇宙に流出しヤプール次元が消滅する危機にさらされるも、タロウが仲間たちのエネルギーを受けて放ったコスモミラクル光線でテリブルゲートは破壊され、ヤプール次元は救われる。味方のみならず敵であったヤプール軍まで救ったタロウの強さと優しさに敬服し、最後は二度とM78宇宙に攻め込まないと約束し、タロウに感謝しつつ元の次元に還って行った。
関連項目
新章ネタバレ
新章においてかつての部下である闘士ヤプール(闘士ウルトラマンエースが戦ったヤプール)がエンペラ星人配下として復活したことを受けて、一部の読者からは首領ヤプールが怒るんじゃないかと言われていたのだが……。
ネット配信版66話「魂の絆」にて、スフィンクスの力を借りることでわずかな時間のみであるがM78宇宙へと再来し、前述の最終形態かつタイプチェンジした後の姿で登場した。
かつてのそれ以上にマッシブになった肉体から繰り出されるパンチの一発だけで、ほぼ大破していたとはいえ究極超獣戦艦を粉砕する実力を見せつけた上に、危機に陥ったウルトラ戦士たちを光線無効化能力で救うなど、わずか一話限りの登場ながら頼もしい味方として戦ってくれている。
また、ヤプール次元のその後にもわずかながら触れており、超闘士ウルトラマンタロウがあちらの世界では子供でも名前を知っている英雄であり、復興の支えになっていることなどをタロウ本人に告げている。
最後には、今回の来訪がかつての部下の復活により発生したヤプール次元での天変地異の解決とM78宇宙にこれ以上迷惑をかけないためのものであったことを明かしたうえで、上記のその後について語った後ウルトラ戦士の勝利を疑わないことと、今度の再会はヤプール次元の完全復興後にと約束したうえでスフィンクスを連れて帰還。それまで武術の試合以外での戦いを嫌っていたタロウが、初めて過去の戦いをよかったと思える魂の絆を示してくれた。
なお、この再登場時には首領ヤプールとは呼ばれずにヤプール王と表現されている。
…やはり首領では悪役にしか見えないからだろうか。