概要
- 花弁が淡黄色あるいは白みがかった淡緑色に色付く、人の手が加えられた改良品種『里桜』(サトザクラ)の別称。里桜は黄系統の花色を持つ桜の群称でもあり、品種によって鬱金(ウコン)や御衣黄(ギョイコウ)、胡蝶(コチョウ)などの固有名を持つ。
- 鬱金桜を心から愛した松本治六郎(まつもと じろくろう)が、京都伏見の蔵元『澤屋』(さわや)から暖簾分けを許された際に譲り受けた銘柄および商標、並びに大手日本酒製造会社『黄桜株式会社』(前・黄桜酒造株式会社)の略称。
- ガモウひろしによる漫画作品『とっても!ラッキーマン』の登場人物→世主黄桜
- スパイク・チュンソフトによる推理ゲーム作品『ダンガンロンパ3』の登場人物→黄桜公一
- バンダイナムコエンターテインメントによるトレーディングカードゲーム作品『バトルスピリッツソードアイズ』の登場人物→キザクラ・ククリ
- 秋田県由利本荘市のご当地キャラクター→黄桜すい
- 『黒子のバスケ』の黄瀬涼太と桜井良のBLカップリングタグ→黒バス【腐】
など
以下は、最も一般的な概要2.について説明を記載するものである。
かっぱ黄桜
黄桜酒造の代名詞でもある『カッパ家族』の歴史は意外に古く、日本初のテレビCMとされている「『精工舎(現・SEIKO)』の時報」が1953年(昭和28年)に放映された僅か6年後には黄桜CMの第一弾を発表し、さらに2年後の1961年(昭和36年)には「かっぱっぱルンパッパ かっぱ黄桜かっぱっぱ」のユニークな歌詞で一世を風靡したCMソング『かっぱの唄』を挿入した第二弾を発表している。
関東圏で馴染みの深い伊豆の温泉リゾートホテル『ハトヤホテル』が、「伊東に行くならハ・ト・ヤ 電話は4126(ヨイフロ)」で視聴者の心を掴んだ名物CMの放映を開始したのが同じく1961年である事から、いかに黄桜が同業者に先んじてテレビという媒体を先取りし、且つテレビおよびCMソング黎明期から存在しているかが窺い知れる。
この河童をデザインしたのは漫画家の清水崑であり、元々は朝日新聞出版の情報週刊誌『週刊朝日』で掲載していた漫画『かっぱ川太郎』『かっぱ天国』に由来する。このうち、後者に目を留めた黄桜酒造二代目社長の松本司郎(まつもと しろう)がその愛嬌ある作風を痛く気に入って清水に掛け合い、1955年から正式に黄桜酒造のマスコットキャラクターとして採用された。
しかし、1956年以後は清水本人ではなくその座を譲り受けた漫画家の小島功が担当しており、実際にCM用デザインを手掛けたのは小島である。清水の生前までは温かみのある作風を忠実に再現した一方、清水病没後の1976年以降は自身のライフワークとなった代表作『仙人部落』『ヒゲとボイン』で表した乳首を強調する豊満な胸、くっきり整った目鼻立ち、くびれた腰付き、見えそうで見えない股間など男心をくすぐる官能的な女性像を取り入れ、現在に続く「セクシーな女河童」を確立した。
なお、落語家の林家木久扇(初代林家木久蔵)は清水の下に入門した弟子の一人であり、一度は本名の『豊田洋』(とよた ひろし)でプロ漫画家の道を歩んだものの、デビューから2年後に声帯模写や形態模写などのものまねの上手さを見出され、知己を得ていた三代目桂三木助への弟子入りを勧められた。この「漫画家から落語家に転身した奇妙な経歴」は自伝的新作落語『彦六伝』(ひころくでん)で語られている。