アイドルマスターシリーズの他作品と異なり、原作ゲーム『アイドルマスターシンデレラガールズ』には物語の舞台となる芸能事務所についての設定が存在しない。
そのため、アニメ化にあたって初めて設定されたのがこの346プロダクションである。
あくまでも2015年放送版アニメのみの設定であることに注意されたい。
なお、本記事では他のアニメ作品と区別しやすいように、2015年放送版アニメをデレアニと呼称する。
プロダクション概要
漢字表記は「美城プロダクション」。元は映画制作・配給会社が前身で、芸能プロダクションとして古い歴史を持つ老舗であり、歌手や俳優が多数所属している。
社内に撮影設備を有するなど事務所の規模は初期の765プロや876プロとは比べ物にならず、会社の規模は961プロや建物が拡張し切った状態の765プロ以上。所属する芸能人を売り出すのみならず、映像コンテンツの企画立ち上げも行っているなど、その活動の幅も広い。
アイドル部門は、1話企画書によると本編の2年前に創立され、「シンデレラプロジェクト」(以下CPと表記)を始めとした複数の企画が存在しているようである。これに伴って複数のプロデューサーが所属しているのが確認でき、劇中に登場した人物としてはCPの担当プロデューサーの他にも佐久間まゆの担当プロデューサーが登場している。
第14話にて美城常務がアイドル事業部の統括重役に就任し、2ndシーズンのストーリー進行に大きな影響を及ぼす。
「○○部門」と記されている通り複数の部門からなるプロダクションらしく、少なくともモデル部門の存在が確認されている。
主な施設・設備
後述の通り、この建物自体は346プロダクションのオリジナルというわけではなく、アイドルマスターシンデレラガールズの事務所の建物のひとつである。
本館
巨大な正門をくぐった先にある城のような建物。内装もシャンデリアを備えた豪華な造りで、(ディズニーランドの)シンデレラ城を彷彿とさせる。壁などには、既にデビュー済みのアイドルのポスターなどが見られる。
オフィスビル
本館と渡り廊下で繋がれた、961プロをもはるかに超える大きさの巨大ビル。
シンデレラプロジェクトルーム
オフィスビル30階にある、シンデレラプロジェクトの活動拠点となる部屋。広い部屋の割に内装が質素だったが、第8話での本田未央の提案で各アイドルの私物が持ち込まれたことで彩りがついた。
内部には応接室も備えており、主に外部の人間がCPメンバーや関係者と交渉する際に使用される。
15話にて荷物が撤去された後も使用用途が定まっていなかったのか、24話の時点でもぬけの殻状態になっていた。
25話ラストでは新たなプロジェクトルームが設けられた。
プロデューサーオフィス
CPルームのそばにあるCPプロデューサー専用の個室。関係者がPを訪ねる際や、Pが担当アイドルと個別面談をする際もこの場所が使用される。
常務室
美城常務専用のオフィスルーム。
資料室
オフィスビル地下階にあるコンクリートむきだしの壁や天井で囲まれた部屋。
常務による全プロジェクト白紙化に伴う大規模な社屋改装にあたり、CPの待機場所として割り当てられた。Pのオフィスも兼用となる。
長い間使われていなかったのか清掃が行き届いておらず埃のたまった殺風景な部屋だったが、CPメンバーが自主的に清掃活動を行ったことで新たな活動拠点らしい姿に生まれ変わった。
25話エピローグではプロジェクトルームの再移転に伴い、ホワイトボードにはプロジェクトメンバーの惜別とも取れる個性溢れる書き込みが行われ、埃防止などの為にソファーなどには布が敷かれた。
別館
オフィスビルと渡り廊下で繋がれた福利厚生施設。外観は4階建てだが、案内図によると8階まであるらしい。所属アイドルのためのロッカールームやレッスン用の設備があり、他にエステルームや浴場、サウナなども完備されている。
トレーニングルーム
所属アイドルがダンスレッスンや基礎トレーニングで使用する部屋。ベテラントレーナーの青木聖が管理している。
撮影スタジオ
所属アイドルのアーティスト写真撮影専用のスタジオ。楽屋さながらのメイクスペースも完備。
レッスンルーム
所属アイドルがボーカルレッスンで使用する防音室。トレーナーの青木明が管理している。
サウンドブース
録音機材を備えた防音室で、楽曲やラジオの収録に使用される。
中庭
緑あふれる広い中庭。緒方智絵里が四葉のクローバーを探していたり、三村かな子とピクニックしていたりする。
噴水広場
神崎蘭子のお気に入りの場所。
346カフェ
敷地内に店舗を構えるオープンカフェ。安部菜々が臨時でアルバイトをしている。
女子寮
社屋のある敷地から離れたところに位置する所属アイドル専用の女子寮。地方から来た学生アイドルの何人かはここで暮らしている。1人1部屋の個室完備で、食堂や大浴場も備えている。
劇中で判明している寮生は以下の通りである。
第11話では普段は自宅から通う多田李衣菜が自身とソリが合わない前川みくと親睦を深めるために共同生活を行っていた。
リアル346プロ企画
詳細は公式ページおよび当該記事参照。要は企業等とのコラボ・タイアップ企画である。
余談
元ネタは原作のカード内で描写されている事務所ではなく、原作ゲームにおけるシステムとしての「プロダクション」であると思われる。
作中に出てくる施設も、原作のゲーム要素が元ネタになっている物が多い。
例えばデレアニ2話でクールアイドルの川島瑞樹がエステを受けていたが、原作ゲームのプロダクション施設にエステルームが存在するのでそこから登場させたと思われる。カフェとサウナ施設も同様。
なお、原作内のプロダクションの規模は異様に大きく、『大手プロダクション』でもCランク、Bで『超大手』である。原作からのプロデューサーからは346はまだまだ小規模という声も根強い。
デレアニ以外での346プロ
デレアニと同時期に始動したスターライトステージはデレアニと原作の中間のようなパラレルワールドとして描かれており、背景や設定などで346プロに準拠した部分が度々見られるがデレアニのエピソードまでは反映されておらず、346の名前は原則的に出されない形になっている。
ただし、登場人物の台詞では一切触れられないが、イラストの中に描かれる事はある。
例を挙げると[Nation Blue]神崎蘭子や[Demolish]本田未央、[New bright stars]桐生つかさ(背景のレッスンルームに346のロゴがある)、[ラスティックピース]柳瀬美由紀(デレステ輸入によるイラスト拡張で描き足された寮のプレートが346のロゴに似ている)等。柳瀬美由紀のイラストは2019年、本田未央と桐生つかさのイラストは2022年と、デレステのサービス開始から長い時間が経っての登場のため、初期故の設定揺れというわけではない。
事務所の建物についてはソーシャルゲーム版シンデレラガールズの最終イベント『ラスト・シンデレラストーリー』でプロダクション事務所の移転を行いデレステ版の社屋に移転するエピソードを描写する事で一応の整合性を取っている。
デレステ以外でも作品内で346の名を使わないという点は一貫しており、コミカライズに至っては(デレステ以降の作品でも)そもそも明らかに346プロ(およびデレステ)と異なる舞台設定であることが多い。
他ブランド等との越境においても、「先方の事務所」(デレステ×ミリシタコラボ)「シンデレラの事務所」(星街すいせいコラボ)といった表現に留められていたり、シリーズオールスター的作品のポップリンクスやスターリットシーズンでも、シンデレラガールズ組だけプロダクションの名前を出さず、他作品のアシスタントが「○○○プロ事務員」という類の表記をされる横で千川ちひろだけ「しっかり者のアシスタント」「アシスタント(シンデレラ)」といった表記になっている。
アニメ版のシンデレラガールズ劇場やU149には346プロダクションの本館やオフィスビルにそっくりな建物が登場しており、デレステと同等以上に346プロ寄りである。
それでも、劇中には事務所名や事務所のロゴマークは登場しない。
例えば、デレアニやデレステの事務所の玄関には346のロゴマークと美城グループという名前が書かれた看板が設置されているが、アニメ版U149の看板にはどちらも書かれておらず、大きな空白になっている。また、最終回で開催されたライブのポスターにも事務所の名前やロゴマークは書かれていない。また、登場人物の台詞にも事務所の名前は出てこない。
一方でデレアニでは存在が語られるのみだった『会長』が登場し、『ミシロカフェ』も登場する(ただしデレアニでは346またはMISIRO、U149アニメではMISHIROと表記が異なる)同一世界だと解釈する余地も開かれている。
両作品の舞台が346プロなのか、それとも346プロに似た別の事務所なのかは視聴者の解釈に委ねられていると言えよう。
最もドラスティックに346プロ設定を否定したのは10周年記念アニメ『ETERNITY MEMORIES』であり、「ここにいるアイドルはそれぞれ別の世界から来た」という設定のもと、デレアニ世界から来たと思われる諸星きらりが「346プロ」と言うのに対し、デレアニで同じくメインの登場人物だった島村卯月や新田美波に「346プロを知らない」という旨の反応をさせている。
というように、作品の中ではそれなり以上に「346プロ」について区別が行われているが、
シリーズ中で現状唯一の例外かつ適当な代替呼称がない事もあって我々ユーザーはもちろん、声優陣(シンデレラガールズ内外問わず)やスタッフなど公式関係者の間でも「シンデレラガールズ」を表すワードや「他作品に揃えた数字付きのプロダクション名」として「346」の名が使われる事はしばしばある。
pixivでの扱い
pixivでは346プロの建物や施設等が描かれたイラストに「346プロ」タグが貼られている事が多い。
346プロタグを346プロ所属のアイドル集団という解釈で使用する場合、以前から存在しているモバマスオールスタータグとほぼ同じ意味を持つ事になるが、この解釈による「346プロ」タグの貼られたイラストは少ない。
便宜上の呼称として用いるとしても、ゲームとの設定の混同を嫌う人も少なからず存在するので注意を要する。
また、デレアニ終了後、制作会社との関係も無くなった後に追加された新アイドル7名(黒埼ちとせ、白雪千夜、砂塚あきら、辻野あかり、久川凪、久川颯、夢見りあむ)は是非以前に含めていいのかという点も意見が分かれるところである。