※他の用例は「インテル」を参照。
Intel Corporation
1968年創業の大手半導体メーカー。アメリカ合衆国カリフォルニア州サンタクララ(シリコンバレーの一角)に本社を置く。日本拠点はつくば市に置いていたが、2016年に閉鎖して東京本社に集約する事になった。
パソコン向けCPUのトップメーカーとして、1980年代から2010年代前半にかけて製造・設計の両部門で業界に絶大な影響力を誇っていた。近年はファウンドリ(半導体受託製造)の台湾TSMCに製造技術で水をあけられ、宿命のライバルであるCPU・GPUメーカーAMDの他、「謎のAI半導体メーカー」ことNVIDIA、Snapdragonを手がけるQualcommといったファブレスメーカー、そしてAppleシリコンを独自開発するAppleなどの台頭により過去ほどの影響力はないものの、自作PCユーザーにはお馴染みの存在である。CPU・GPU・SoCのほか、フラッシュメモリやマザーボードのメーカーとしても知られている。初期はDRAM製造をメインの事業としていたが、1980年代に日本企業の攻勢により撤退した。
代表的なブランドはIntel_Atomシリーズ、Intel_Processorシリーズ、Coreシリーズ、Xeon/XeonMax(一般消費者向けではなく、サーバーやワークステーション用)シリーズなど。
日本法人のキャッチコピー「インテル入ってる」が有名で、このフレーズは英文のIntel insideに訳されて全世界的に使われることになった。
社風
社是に Risk Taking(冒険)というものがあり、中庸よりも極端を好む企業文化がある。現行の手法が効果的でないと結論すると、現状に改良を加えるという中間解を選ばずに、全面的な方針転換を行うことが多い。複雑過ぎて性能が出なかったiAPX 432、高クロックに特化したあまり電気ヒーターと化したPentium4など、意欲作なのだが色々とやりすぎた結果、失敗作を生み出す性向があり、変態企業の一つに数えられる。
製造部門
近年の半導体業界では、設計を行う企業(ファブレスメーカー)と製造を行う企業は別々なのが一般的なのだが、インテルは長らく頑なに自社設計・自社生産にこだわっていた。しかし、半導体業界の地殻変動を背景に、2010年代に入ってからは半導体製造請負(ファウンドリ)事業にも乗り出している。
2014年の「Broadwell」で14nmプロセスを導入以降、完全新世代の10nmプロセスは2015年出荷を予定したが延期を重ね、ようやく2018年に「Cannon Lake」として出荷したが歩留まりは壊滅的で、最適化の進んだ14nm++と並行出荷を余儀なくされた。だが製造プロセスは各社独自のものであり、同じ数値のプロセスであっても単純に比較することはできない。Intelは自社の10nmプロセスは他社の7nmプロセスを超える性能として、改良版10nmのブランド名は「Intel 7」という名称に変更された。現在ではIntel 7の次世代の「Intel 4」が最先端プロセスとなっている。
現在では先端チップであってもCPU・SoCの自社生産にはこだわっておらず、Intel_ArcはTSMC N6(6nm)で製造されている。かつてIntelがCPU・チップセット両方に最先端プロセスを使用したらキャパオーバーになって品薄になったという過去があるので、その反省を活かして自社工場と他社工場をうまく使い分けていると思われる。また、MeteorLakeはチップレット方式(CPUやGPUなどをそれぞれ単位で製造し、後から合体させること)が採用され、IntelとTSMCの両方の製造プロセスを混在させ、それぞれの得意分野に最適なプロセスを割り当てている。
現行の製品
メインストリーム向けCPU…第14世代Coreシリーズ(RaptorLakeRefresh)
モバイル向けCPU…第1世代Core/Core Ultraシリーズ(MeteorLake)
サーバー向けCPU…第5世代Xeon・XeonMaxシリーズ(EmeraldRapids)
メインストリーム向けGPU…第1世代Intel_Arc(Alchemist)
サーバー向けGPU…第1世代Intel_Data_Center_GPU_Max(PonteVecchio)
クラウド向けGPU…第1世代Intel_Data_Center_GPU_Flex(ArcticSoundM)
今後の予定
- 第6世代サーバー向けCPUEmeraldRapids、SierraForestが2024年に予定されている。
- 2024年に第2世代Core/Core Ultraプロセッサ(LunarLake)が予定されている
- 2024年に第2世代ArcBattlemageの投入が予定されている。
x86系以外の命令セットの製品
IntelのCPU製品のメインは一貫してx86/x64命令セットを採用しているが、過去にはそれ以外の命令セットを採用した製品も手がけている。
何故かだいたい黒歴史化している。
- iAPX 432
8080の後釜として投入しようとしたが、あれやこれやの機能を詰め込みすぎた結果、構造が異常なまでに複雑化し、ダイ面積の肥大化によりチップを3つに分けざるを得なくなったことに加え、実行効率の低下、互換性のなさのトリプルパンチで爆死。
- i860
コンパイラの使用を前提に、回路をシンプル化して性能を出すRISCの流行に乗っかろうと、i432から大きく方向を転換し開発。一般的なRISCからさらに機能を大きく絞りこみ、命令パイプラインの最適化もコンパイラに頼る設計だった。下手にIntelのオリジナリティを出そうとしたことが仇となり、最適化が困難でカタログスペックに遠く及ばない性能しか出せず爆死。
ただ、画面のピクセル描画のような限定された環境ではうまく動作し、ピクサーのRenderManやNeXTの専用ビデオカードのような成功例も一応ある。
- i960
iAPX 432とi860の惨敗を踏まえて投入されたRISCプロセッサ。i860よりは良い設計だったが、他社のRISCプロセッサに比べてコレといった長所もなかった。i860で繋がりがあったNeXTで使ってもらおうとしたが、同社はIBMのPowerPCを選んだ(結局NeXTはハードウェア事業をキヤノンに売却し、PowerPC搭載のNeXTマシンは日の目を見なかったが)。成り行きで組み込み向けのプロセッサとなり、ネットワーク向けのコントローラやRAIDコントローラなどでそこそこの活躍を見せるも、DECからお買い上げしたStrongARMと競合しあえなく廃盤に。
- Itanium
サーバー向けVILWプロセッサ。ヒューレット・パッカード(HP)のPA-RISC後継で、HPとの共同開発。初代Itaniumは、当初1999年発売予定だったものが、開発が2年ほど遅れて2001年発売。VLIWの設計に起因する最適化の難しさや、x86エミュレーションの遅さ、対応ソフトウェアの少なさなどが原因で徐々にジリ貧に追い込まれてしまった。
- StrongARM
ARMアーキテクチャベース。訴訟問題の関係でDECから購入した。
i860/i960を駆逐し、それらの用途で取って代わったほか、携帯情報端末などにも採用された。後に自社開発のXScaleに置き換えられた。
- XScale
StrongARMの後継として投入。改めてARMからライセンスを受けた。PDA向けや組み込み向けでそれなりに採用されたが、PDA市場の失速などに伴いMarvellに売却された。
- Horse creek
SiFive開発のP550コアを搭載したRISC-V SoC。DDR5やPCIe Gen5などを装備した意欲的な設計になっていたが、立ち消え状態になっている。結局、P550を搭載したSoCはESWIN EIC77シリーズに先を越された。
関連タグ
Atom Celeron Pentium Intel_Processor IntelCore Xeon
コピープロテクト(開発した著作権保護技術)
インテル入ってる…キャッチコピー
インテル チック・タック…戦略の1つ
AMD NVIDIA Apple_inc. Qualcomm ARM IBM TSMC …ライバル
シマノ…別名「自転車業界のインテル」