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P40

ぴーくあらんた

第二次世界大戦期のイタリア製重戦車。他国基準からすれば中戦車に該当するが、イタリアでは重戦車。制式呼称は「Carro Armato Pesante 26/40」(26トン級1940年式重戦車)。
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もしかして:アメリカのP-40戦闘機


解説編集

 P40は、第二次世界大戦期のイタリア重戦車

 制式呼称の「Carro Armato Pesante 26/40」は26トン級1940年式重戦車という風に訳せる。


 性能的には他国の中戦車と同等...だが、戦前のカーデンロイド豆戦車から脈々と続いてきたイタリアにおける戦車開発の最高到達点ということで明らかに重戦車なほか、第二次世界大戦における最強のイタリア戦車でもあり、総じて考えればイタリアの基準ではどう考えても中戦車ではないことが明白となる。


 ただし、P40が実用化に至った時期は1943年で、これは不運にもイタリア降伏の直前。P40のイタリア軍における使用はほとんど無かった。

 しかし、イタリア降伏の後に北イタリアを占領したドイツ軍はP40の生産工場を接収し、Panzerkampfwagen P40 737(i)として自軍装備に制定。

 以降、ドイツとイタリア社会共和国の手により生産・運用が継続されたが、最終的な総生産数は100輌程度とごく少数に終わっている。


開発史編集

軽戦車L3M13/40(アンツィオ高校仕様)
CV33M13/40

 戦前、世界各国で一挙に加速していった戦車開発の分野。

 しかし、イタリアは国力的な制約のために他国に大きく後れを取る状況に陥っており、それは第二次世界大戦の開戦時点でも未だに旧式豆戦車CV33が数的主力、という状況からも明らかだった。

 イタリアの最高指導者たるドゥーチェムッソリーニもこれを大いに問題視、1940年に新たな重戦車を要望し、イタリア陸軍はこれを受けてフィアット・アンサルド社へ26トン級重戦車の開発を指示した。


 1941年末、既存のM13/40中戦車を拡大設計したような外見の試作1号車が完成。それまでのイタリア戦車の特徴が、このときはまだ色濃く受け継がれていた。

ソ連の弾きまくるヤベー奴

 しかし、独ソ戦の開戦直後にソ連赤軍が擁するT-34中戦車の情報で傾斜装甲の有用性が知られると、これに基づき設計されたP40試作4号車ではT-34に倣って車体各部に傾斜のかかった装甲配置が採られることに。


 この試作4号車の設計を基とする量産車の生産は1942年中には決定されたが、従来ではありえない規模の戦車とだけあって、エンジン選定や生産体制の確立が難航。生産開始は1943年からとなった。


火力編集

アンツィオは決して弱くない!

 試作1号車は山砲原型の18口径75mm砲(セモヴェンテda75/18のものと同型)を搭載したが、この砲は短砲身・低初速のため戦車戦にはあまり向いていなかった。

 そのため、以降の試作2~4号車はカノン砲原型の32口径75mm砲を、量産車はさらに砲身の延長された34口径75mm砲を搭載し、対装甲火力の向上が図られている。


弾種初速射貫装甲厚/射距離(対垂直装甲)装甲傾斜角=水平+60°の場合
徹甲弾637m/s70mm/500m,60mm/1000m55mm/500m,47mm/1000m
対戦車榴弾399m/s以上不明70mm/500m,70mm/1000m

(対戦車榴弾もとい成形炸薬弾は、着弾姿勢さえ適切なら射距離を問わず同じ装甲厚を射貫する)


防御力編集

アンチョビ

 T-34に倣い、イタリア戦車としては初めて本格的に傾斜で構成された装甲配置を取り入れて設計された。

 特に面積の広い車体前面上部は実装甲厚で50mmだったが、45度の傾斜により実質的に70mm厚以上の防御力を発揮。これは同時期の75mm級戦車砲・対戦車砲に対し、戦闘距離で十分対抗できるだけのものといえる。

 ただし、従来のイタリア戦車と同様に各々の装甲板は鋲で接合されていたため、被弾時の衝撃で鋲が車内に飛び散って乗員に被害を与える危険性がままあり、これは溶接を主体とするドイツやアメリカ、ソ連の戦車と比べて明確に劣る欠点だった。


機動力編集

 出力330馬力のディーゼルエンジンと車重26トンの組み合わせで発揮される出力重量比は当時の戦車としては平均的で、最高速度も40km/hと並。

 また、従来のイタリア戦車と同様の板バネ式ボギー型サスペンションは優れた地形追従性・走破性と乗り心地をもたらしている。


余談編集

  • 余生の明暗

 P40はイタリアにて2輌が現存しており、1輌はチェキニューラ戦車博物館、もう1輌はレッチェ騎兵学校に所在する。

 双方とも外見的に良好な状態で保存されており、時々イタリア軍の軍事パレードで登場することもあるなど、かなり恵まれた余生を送っているようだ。


 一方、同じ枢軸国だった日本では、三式中戦車例のアニメでの活躍後も未だにほぼ放置状態で劣化し続けている...。


  • 怪物

 ソ連重戦車KV-2の152mm砲に匹敵する大口径かつ砲身長6mという超巨砲「40口径149mm砲」を搭載するオープントップの自走砲としてセモヴェンテda149/40が1輌のみ試作されていた。これはP40の車台から開発されているが、ほとんど原型を留めていない。

 イタリア降伏後に接収したドイツ経由といういきさつで、この自走砲は現在アメリカ陸軍兵器博物館の所蔵品となっている。


  • 幻のP43

アンチョビ生誕祭2018

 P40の開発と同時期、フィアット・アンサルドではより本格的な重戦車としてP43の開発計画が進められていた。これはP40と共通の基本構造ながらより重装甲で、車重は30トンに達するとの試算があったらしい。

 また、P43の更なる発展型としてP43bis(上画像の戦車)の設計図も残されている。

 こちらはP40やP43から大幅に刷新された装甲配置に加え、独ティーガーI重戦車の8.8cm砲と同等の火力を発揮する90mm戦車砲を搭載、車重は35トン程度とされている。

 なお、一連の設計図には独パンター中戦車をイタリアで生産すべく縮小したものも存在し、こちらがP43bisと呼ばれる可能性もあったとか。


 ただ、いずれも終戦までにダウンスケール版モックアップや設計図の段階から脱しておらず、計画のみに終わった。


登場作品編集

アニメ編集

アンツィオ

ゲーム編集

  • コンバットチョロQシリーズ
    • コンバットチョロQ アドバンス大作戦:「P40重戦車」表記。中盤で仲間になるメタロ・ペサンテの初期装備として登場。「ヘヴィーカノン」と「Pタンク」で再現可能。射程はやや短いが火力に優れるヘヴィーカノンと、森林地帯での機動力に優れる頑丈なPタンクと実車に反して重戦車らしい防御型。敵タンクとして登場する際にはレーザーサイトで命中率を補い、範囲攻撃武器だが範囲内にランダム命中する特殊な武器大型ナパームを装備している。
  • World_of_TanksWorld_of_Tanks_Blitz
    • WoTにはP40とP43、P43bisに加え、その改良型としてP43terが登場。いずれも中戦車扱い...。
    • WoTbは後2者のみの登場となっている。
  • War Thunder
    • イタリアランクII中戦車としてP40が登場。中戦車...。

関連項目編集

イタリア 戦車 中戦車 重戦車

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