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解説編集

「自走」を意味するイタリア語の単語「Semovente」。


pixivでは第二次世界大戦期のイタリアで開発されたM40型セモヴェンテに端を発する、一連の系列自走砲を指して用いられる場合が多い。


開発編集

偵察に行ってたトキが戻って来ました(´・ω・`)m13/40
影響元のIII号突撃砲原型となったM13/40

1939年末ごろ、ドイツIII号突撃砲の影響を受けたイタリア軍は、フィアット・アンサルド社に75mm砲搭載の歩兵支援向け自走砲開発を指示した。


設計はM13/40中戦車の車体を流用して実施され、1940年12月にモックアップが完成した時点で、軍はこの自走砲を「Semovente M40 da 75/18」(M40式自走18口径75mm砲)として制式化。

1941年2月には試作車が完成、砲撃試験の後、増産が開始された。


特徴編集

火力編集

ほとんどの生産車輌は、主武装として1934年式の18口径75mm砲を搭載した。

弾名弾種初速垂直装甲に対する貫徹力(距離)
Granata Perforate Modello 1932APCBC425m/s50mm(100m)、38mm(1,000m)
Effetto Pronto SpecialeHEAT400m/s120mm(全距離)

旋回範囲は前方に限定され、低初速で射貫能力が低く、有効射程も短いなど弱点は多かったが、強力な対戦車榴弾を用いればあらゆる連合軍戦車の装甲を貫くことが出来た



防御力編集

正面装甲厚は最大で25mm装甲板×2枚重ねの50mm。(M40/M41/M42)

対戦車砲や軽戦車相手なら十分だが、中戦車の75mm砲相手には不十分な程度の防御力を発揮した。

ただし、装甲板の品質が悪かったこと、それらが鋲で接合されていたことにより、被弾時の衝撃でヒビが入る、鋲が衝撃で車内に飛び散って乗員に被害を与えるなどの危険性があった。


とはいえ、当時のイタリア軍で数的主力となっていたCV33やM13/40と比べれば断然強固ではある。


運用・実戦と評価編集

ドイツ軍の突撃砲と同様、歩兵支援向けに開発された車輌ではあったものの、その優秀な対戦車戦闘能力のために、実際の戦場ではもっぱら駆逐戦車として運用された。


北アフリカ戦線編集

この戦線における初期の枢軸軍の戦車は貧弱だった。

というのも、イタリア軍はもちろん、救援に駆けつけたドイツアフリカ軍団でさえも低火力なIII号戦車と対戦車戦闘能力の低いIV号戦車短砲身型しか配備していなかったのだ。


このため、イギリス軍が投入したマチルダ歩兵戦車などの重装甲車輌への対抗手段は、8.8cm高射砲など機動力の低い野砲に限られてしまっていた。


1942年、このような状況の北アフリカへ送られたセモヴェンテda75/18は、すぐに現地のイタリア軍、ひいては枢軸軍全体にとって重要な存在となり、前線で高評価を得ることとなる。

開発時に想定された歩兵支援に加え、対戦車戦闘も十分こなせる大火力は、連合軍にとってドイツ軍のティーガーIや8.8cm高射砲、IV号戦車長砲身型に次ぐ大きな脅威となった。

イタリア戦線編集

1943年7月から始まったイタリア本土の戦いでも、セモヴェンテはイタリア軍の最高戦力として同年9月3日のイタリア降伏まで連合軍と交戦した。

しかし、セモヴェンテの戦いはそこで終わらなかった。


イタリア降伏後、連合軍の北進を防ぐべく北イタリアへ進駐したドイツは、イタリア軍の兵器を接収し、残された兵器工場のいくつかを稼働させ続けた。

これらの手段によりドイツ軍で、そしてイタリア社会共和国の国民共和国陸軍で運用されることとなったセモヴェンテは、枢軸軍のイタリア戦線を支え続けることとなる。

パルチザン編集

ドイツ占領政策の不満を原因に、1944年頃から北イタリアの各地で発生した反乱運動では、セモヴェンテは鎮圧側と反乱勢力側の両者によって運用された。


1944年にトリノで発生した労働者の大規模蜂起では、反乱勢力が拠点とする兵器工場に残されていたセモヴェンテ2輌を使用し、工場制圧のため攻撃してきた鎮圧部隊の戦車を撃破する戦果を挙げている。


系列車輌の型式編集

daに続く斜線に隔てられた2つの数字は、それぞれ搭載砲の「砲口径/砲身長(口径)」を示す。(例:da 75/18 = 18口径75mm砲)

M40編集

M13/40車体原型。

  • da 75/18:生産数60輌。
  • da 75/32:主武装を32口径75mm砲に、エンジンをM41のものと同型に変更。生産数25輌。なお、この車輌をM41とする情報は誤り。

M41編集

14/41車体原型。

  • da 75/18:生産数162輌で、系列車輌としては最多。

M42編集

M15/42車体原型。

  • da 75/18:生産数66輌。
  • da 75/34:生産数は少なくとも145輌。接頭型式がM42Mとなることもある。

M43 (M42L / M42T)編集

カルパッチョ生誕祭2021

M15/42車体原型だが、より大型の砲を搭載するために寸法が拡大されている。正面装甲は最大75mmに増厚された。

  • da 105/25:

生産数121輌。低い車高と大柄の車体から「Bassoto(ダックスフント)」という愛称があった。

  • da 75/46:ドイツの指示により1944年から11輌生産。傾斜と空間を付与する装甲厚25mmの増加装甲が正面及び側面に追加され、実質装甲厚は最大100mm以上となった。

その他の「セモヴェンテ」編集

セモヴェンテという単語はあくまでも自走砲を意味する言葉であり、この名を冠するイタリア軍兵器は多い。

ここでは、他のセモヴェンテたちについて紹介する。


Semovente L3 da 47/32編集

L3/35軽戦車原型のオープントップ対戦車自走砲。1939年から開発開始、1940年に試作車が完成。

小型すぎたことや装甲が皆無などの問題点により、試作のみに終わった。


Semovente L40 da 47/32編集

佳作兵器

L6/40軽戦車原型のオープントップ対戦車自走砲。L3 da 47/32に代わって1940年から開発が開始され、1941年に実用化し、1943年までに約400輌が生産された。

独軍呼称「Sturmgeschütz L/40 da 47/32 770(i)」。


Semovente M41M da 90/53編集

セモヴェンテ da 90/53

ドイツの8.8cm高射砲にも匹敵する高性能な53口径90mm砲を搭載した、オープントップの対戦車自走砲。

M14/41中戦車の基本設計が流用されているが原型はほぼない。

また、自走砲本体に弾薬搭載スペースがほぼ無かったため、L6/40軽戦車改造の弾薬運搬車とセットで運用された。

1942年4月には制式化されていたが、翌年6月までに総数30輌しか生産されなかった。

そのほとんどはシチリア守備隊に配備され、1943年7月の連合軍の同島上陸時にM4シャーマンを10輌近く撃破した。

独軍呼称「Beute Gepanzerte Selbstfahrlafette 9,0 cm KwK L/53 801(i)」。


Semovente da 149/40編集

ソ連製KV-2の152mm砲に匹敵する大口径かつ砲身長6mという超巨砲「40口径149mm砲」を搭載する、オープントップの自走砲。

P40重戦車の基本設計が流用されているが、原型はほぼない。

独軍呼称「Selbstfahrlette M43 mit 15 cm L/42 854(i)」。

生産されたのは試作車の1輌のみ。


登場作品編集

映画編集

  • 『砂漠の戦場エル・アラメン』

1969年の伊仏合作映画。M13/40とともに実車が登場する。


アニメ編集

諜報活動はそろそろ・・・

アンツィオ高校によって運用されるM41型セモヴェンテが登場。

テレビシリーズ第7話で初登場、OVA「これが本当のアンツィオ戦です!」で主にカルパッチョの搭乗車として活躍した。

最終章にも登場したが目立った活躍は上げられなかった。


ゲーム編集

シリーズ皆勤(?)の戦車。

初代PS「コンバットチョロQ」では「M40 75-18 セモベンテ」が登場。「イタリア軍の数少ない成功例」と解説されているが、敵タンクとしては登場しない。

PS2「新コンバットチョロQ」では「セモベンテM42L」という名前で登場するがグラフィックも解説もセモベンテda75/18のそれ。「首都奪回!!」でM15/42と共に敵タンクとして登場する。「バトルゲート」で対決し、勝利すると使用可能になる。

自走砲専用「H」カテゴリーの武装を装備可能。

そしてGBA「コンバットチョロQ アドバンス大作戦」では明らかに誤記の「149センチ砲」を搭載する「セモベンテda149/40」が登場。ちなみに説明書にはセモベンテda75/18が描かれている。

長射程の間接武器とプレイヤーサイドの初期装備では行動を大きく制限される密林地帯での行動に優れる密林戦闘型タンクが特徴。

敵タンクとして登場する際には特にサブウェポン・オプションは装備していない。


関連項目編集

イタリア III号突撃砲 突撃砲 自走砲 対戦車自走砲


表記揺れ:セモベンテ

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