あずさ2号
あずさにごう
失恋した女性が心の傷を癒すために、新宿8時発の特急あずさ2号に乗って信濃(長野県)路へ向かう心情を現わした歌である。作詞の竜真知子によると女性の旅の目的地は大糸線経由で青木湖方面のイメージらしい。
「2号」が選ばれたのは当時のダイヤで「1号」は朝6時40分発のしかも不定期列車で、知名度的に低かったので、実質の1番列車である2号が選ばれている。
1995年に「あずさ2号(ニュー・ヴァージョン)」が発表された。
現在では新宿駅から西に向かって発車する下り「あずさ2号」は存在しない。これは旧国鉄の号数表記が歌の発表当時は始発駅を発車する順に「1号、2号、3号…」とつけられていた(このためあずさ2号は新宿発・(松本発(こちらも「8時ちょうど」)の2つが存在した)が、曲が出た翌年の1978年10月の国鉄ダイヤ改正(ゴー・サン・トオ)で列車の号数の付け方が変更され、奇数番号が下り、偶数番号が上りの列車になったためである(下りは1号、3号、5号となり、2号は上り(甲府発)のみの存在となった)。
これは、予約システム「MARS」の取扱の関係で、大量に指定席を捌くことになる東海道新幹線に合わせたものだ。この頃、まもなく東北新幹線が開業すると思われていた。実際には沿線の反対運動や労使闘争の駆け引きの材料にされ1982年までずれ込む。東京から各方面に向けて走る列車を「1号、3号、5号…」とつけているので、将来的にも新宿発松本行きのあずさ2号が復活する可能性は0に近い。
2002年、まだ特急「あずさ」そのものは廃止されていないのに「なつかしのあずさ2号」というリバイバル列車が運転されたのはこの為で、この列車はもちろん新宿発松本行きの列車であった(ただし、ダイヤは当時新宿発8時ちょうどの定期列車であった「スーパーあずさ3号」との兼ね合いで8時2分発となった)。列車名は「あずさ」ではなく「あずさ2号」とされ、ゲストに狩人本人も登場した。使用車両は当時引退が迫っていた183系で、ヘッドマークも1977年当時を再現した文字だけのマークを掲出した。
2004年には、この曲のアンサーソングとして「かいじ101号」(歌:SUPER BELL''Z)が作られている。ただし特急「かいじ」が誕生したのは1988年3月改正からで、それまでは東京・新宿~甲府・竜王間の列車も「あずさ」であった。
なお、SUPER BELL''Zは2012年にさらなるアンサーソングにあたる「しなの3号」も発表している。
「あずさ2号」の定期列車は存在し、2019年時点では松本発東京行として運行されていたが、2020年3月のJRグループダイヤ改正では、特急「富士回遊」併結便との兼ね合いもあって「あずさ」「かいじ」の号数を統一することになった。松本発東京行の「あずさ2号」が「あずさ4号」へ変更、この結果定期列車「あずさ2号」そのものが消滅することになった(こちらは前述の新宿発下り「あずさ」2号よりは復活の可能性はあるが、新宿駅到着の一番列車という兼ね合い上、甲府発の「かいじ」一番列車より早い「あずさ」の設定は時間帯的に難しいと思われる)。
先述の通り、「午前8時ちょうどに新宿を出発するあずさ2号」は存在しない。しかし号数や出発駅を限定しなければ、それに近い運行をする路線は実在する(した)。
ちなみに通信カラオケのDAMでこの曲を歌うと、183系・189系の「あずさ」の映像のほかに特急「あずさ」の特急券が映されるが、現行ダイヤで8時ちょうどになる「あずさ5号」が印字されている。
歴代新宿駅8時ちょうど発の特急あずさ
熊田雄一郎:美少女戦士セーラームーン(初代アニメ)のオリジナルキャラクター。火川神社の宮司見習い。劇中で本曲を熱唱し、視聴者の腹筋を崩壊させた。
邪神ちゃんドロップキック:ユキヲ氏の漫画作品。『あずさ2号』という名前のキャラクターが登場する。初登場回で主人公の邪神ちゃんが勝手に名付けたが、直後にこの世から旅立ってしまった悲劇のキャラクターである。
中野梓:言わずと知れたあずにゃん。一番絵が多い。ただし下の2人と違い、何故2号なのかが不明。作中で平沢憂が姉に変装した際、梓のあだ名を聞かれて「あずさ2号」と答えて変装がバレた。また梓は作中に登場した猫にあずにゃん2号と名付けた。
また、新宿駅の改修工事の際には、上りのあずさの終点が中野駅になっていた。これにより改修工事の時期は『特急中野行あずさ2号』が運行していた事になる。
江上椿:1号は三浦あずさ。アイマスつながり。ちなみに三浦あずさ役のたかはし智秋は『THE IDOLM@STER RADIO』内で「あずさ2号」をカバーしている。
岡本まなみ:三浦あずさに似ている度合いや実際にあずさ2号と呼ばれる頻度では上の椿ほどではないが、ゲームには椿よりも先に登場している。
2019年、東日本大震災とそれに伴う福島第一原子力発電所事故により、9年にわたって寸断されていた常磐線を2020年3月ダイヤ改正より全線で運転再開すると発表された。これに伴い、特急「ひたち」の3往復を、常磐線を全踏破し、異例の始発駅・終着駅とも新幹線駅となる仙台駅発着とすることが決まった。
サプライズはもうひとつあった。そのうち下り1便「ひたち3号」は8:00上野駅始発仙台行であった。上野駅は石川啄木の詩に始まり、石川さゆり『津軽海峡冬景色』、井沢八郎『あゝ上野駅』と多く歌われながら、2014年に『あけぼの』が廃止されて以降途絶えていた「上野始発の東北へ向かう列車」が復活することになったのである。
そして「3号」。上記の付番法に沿うと「2本目に上野方を始発する下り『ひたち』」である。
2020年3月14日、過去の悲痛な経験を乗り越えて、「ひたち3号」仙台行は上野駅地平ホーム17番線から、春まだ浅い“常磐路”(ときわじ)へと向かっていった。