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オオクニヌシ

おおくにぬし

国津神の長。経営神。スサノオ命の子孫でもあり、荒ぶる八十神を平定して日本の国土経営の礎を築いたのち、伯母であるアマテラス大神の使いであるニニギ命に国を譲った。経営を行ったことから商業等の神として名を馳せている。
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曖昧さ回避編集

  1. 日本神話』に登場する神。本項で解説。
  2. 女神転生シリーズ』に登場するキャラクター。本項で解説。
  3. パズル&ドラゴンズ』に登場するキャラクター。⇒オオクニヌシ(パズドラ)

概要編集

オオクニヌシ(歴史的仮名遣では、おほくにぬし)は、日本神話に登場する神の一柱。


大国主命。大穴牟遅神(オオナムヂノカミ)、大穴持命(オオアナモチノミコト)大物主命(オオモノヌシノミコト)、葦原醜男(あしはらしこを)、八千矛神(ヤチホコノカミ)などをはじめ、多くの別名を持つ(大物主はオオクニヌシの和魂を指し、葦原醜男は武力の神としての一面を指す)。


主な祀社は島根県出雲大社奈良県大神神社(三輪神社)など。東京都府中市の大國魂神社をはじめ全国各地の神社で祀られる大國魂大神もオオクニヌシと同神とされることが多い。また、北海道の神社には「開拓三神」の一柱としてよく祀られている。特に有名なのが商売繁盛。国土経営や開発を行ったことによる。


天津神の主宰神である天照大神に対し、国津神の主宰神とされる。大地の神、開発の神としての性格に加え、水の神、商業神、稲作の神、酒造りの神、医療の神、武力の神、雷神など複雑な神格を持つ。これはさまざまな地域の土着の守護神が習合したためであるともされる。特に商売繁盛として崇められる事は有名である。


「大国」はダイコクとも読めることから、同じ音である大黒天(大黒様)と習合して民間信仰に浸透している(オオクニヌシが「因幡の素兎」で大きな袋を担いでいる事から、後に大黒天も袋を担ぐ姿で描かれるようになった)。どちらも経営や商売の神様として共通している。


イザナミとは同じ大地の神といっても全く性格が異なる。黄泉の国の主宰者で死の神・地母神としての性格が強いイザナミに対し、オオクニヌシは土地から文化や富を生み出す商業神、開発神としての性格が強い。


多くの妻を持ったエピソードは主神格であるオオクニヌシの血筋を豪族達も箔をつけたいという説があり、似たようなエピソードにギリシャ神話ゼウスがいる。


経歴編集

変わり者のオオクニヌシ編集

日本書紀』では三貴神の一柱であるスサノオの息子、『古事記』などではスサノオの六代目の子孫とされる。彼の上には八十神(ヤソガミ)と呼ばれる多くの兄神がおり、スサノオの荒々しい性格を強く継いだせいなのか、乱暴で横柄な神がほとんどであった。

ある時、八十神が八上比売に求婚へ行くにあたり、オオクニヌシも後についていくことになった。途中、因幡国(現在の鳥取県西部)にて毛を抜き取られ、泣いている兎と出会う。どうやら、隠岐島から本州へ渡るのにワニ(サメのことと思われる)を騙し、怒られて毛を全部抜かれたというのだ(自業自得だろというツッコミはしないでおこう)。八十神は早く八上比売に会いたかったがゆえに兎に嘘の治し方を教えたが、オオクニヌシは正しい治し方を教えた。すると兎はオオクニヌシに八上比売と結ばれることを予言し、その通りになった。これが有名な因幡の白兎である。


因幡の白兎からもわかる通り、オオクニヌシは非常に柔和な性格だったため、乱暴な兄たちとはそりが合わなかった。さらに求婚相手の八上比売をとられたことから、真っ先に抹殺の標的とされ、母親の刺国若比売と神産巣日神の協力によって蘇生するが、再び謀殺されてしまう。再び蘇生させ刺国若比売からの助言を受けて大屋毘子神の木の国(紀の国、現在の和歌山県)に行くことを進めたが、そこにも八十神達が押し寄せたため、根の国(黄泉)に逃げ込むこととなる。


父・スサノオとの黄泉暮らし編集

八十神たちの騒乱から逃れたオオクニヌシは、根の国の王となっていたスサノオのもとで生活することとなる。そこでオオクニヌシを出迎えたスサノオの娘スセリヒメと互いに一目惚れし、想い合うようになる。

これが気に食わなかったスサノオは子孫のオオクニヌシにつらく当り、様々な危険な試練を彼に課すこととなる。それにもめげず、黄泉での暮らしを続けたオオクニヌシだったが、遂にスセリヒメとの駆け落ちを決行。その際に生太刀・生弓矢・天詔琴というスサノオ秘蔵の神器を持ち出す。

昼寝の隙を突かれたスサノオは烈火のごとく怒り、二人を追いかけまわす。しかし、黄泉津平坂の境に至って突然追うのをやめてしまう。オオクニヌシの強かさに頼もしさを覚えたスサノオは、黄泉を出ていく二人に「その大刀と弓矢で八十神を下して王となれ」と、荒い激励とともに二人を見送ったのだった。


八十神の王となる編集

オオクニヌシが根の国から持ち出した生大刀・生弓矢の二大神器で、八十神たちを川へ追い詰め倒した。

こうして国津神の王となり、スセリヒメを正妻に迎えてオオクニヌシは国津神の頂点に君臨することとなった。


たくさんの妻編集

正妻のスセリビメの他に、八上(八上郡)の八上比売を娶って木俣神を、高志(北陸)の沼河比売を娶って建御名方神を、沖島の多紀理毘売を娶って阿遅鋤高日子根神下照比売を、神屋楯比売を娶って事代主を、鳥取神を娶って鳥鳴海神を生んでいる。


国譲り編集

別天津神のひとりカミムスビの息子スクナヒコナと出会い、彼と協力して国を治めていたが、スクナヒコナは常世国に行ってしまった。

一人でどうすればいいのだと嘆くオオクニヌシの前に彼の幸魂・奇魂である大物主が現れ、今度は彼を祀りつつ天下を治めた。

しかし天照大神はスサノオとの誓約で生まれた自分の子に国を支配させたいと考え、天津神の会議で神々を地上に派遣することが決定された。

しかし一人目のアメノホヒは大国主に媚びへつらって帰って来ず、二人目のアメノワカヒコは大国主の娘の下照比売の夫になり、あわよくば自分がこの国の王になれたら、と考えて帰って来ず、三人目の雉女はワカヒコに帰ってこない理由を尋ねると、アメノサグメに唆されたワカヒコに射殺され、その矢は裏切者に当たれと投げ返され、ワカヒコは死んでしまった。

五、六人目のタケミカヅチアメノトリフネは役目を果たし、大国主と彼の子達に意向を尋ねた。事代主は国譲りを承諾して天津神を呪う天之逆手を打って隠れ、タケミナカタは力比べで決着をつけようとしたが、タケミカヅチに敗北して、須波(諏訪)で降参し、同地から出ないことを約束する。オオクニヌシは天津神側に壮麗な宮殿を建ててもらうことを条件に国譲りを行う旨を確認した。


余談編集

日本神話の神様が昔話の登場人物と共にゲームや小説などの創作に登場する際は基本的に古事記を参照にすることが多いがオオクニヌシは三貴子の子という世代として使いやすいためか珍しく日本書紀の設定(スサノオの息子)を参考にしている方が多い(その為、浦島太郎が出て来ると付いて来る事の多いトヨタマヒメは従姉妹関係となる)。


創作作品のオオクニヌシ編集

女神転生シリーズ編集

オオクニヌシ

オオクニヌシの名前で正式に悪魔として登場したのは『偽典・女神転生』だが、それ以前にも『女神転生2』にオオナムチ、『真・女神転生』にオオモノヌシとして登場している。


デザインは偽典の頃は出雲の蛇神オオナムチのイメージが色濃く人頭蛇身という異形だったが、『真・女神転生Ⅲ』以降は武装した美青年の姿で固定されている。


国造りの仲間であるスクナヒコナと絡むエピソードはほとんどなく、辛うじて『葛葉ライドウシリーズ』で作品を跨いで同じ目的を掲げる姿が描かれている。


記紀神話で八十神に二度殺されたり、イニシエーション的なエピソードが多い為かはわからないが、『女神転生シリーズ』のオオクニヌシは、黄泉との関連付けが強く、偽典では黄泉を支配する国津神の代表としてオセと戦い、『デビルサマナー 葛葉ライドウ対アバドン王』では別件依頼において常世神オオクニヌシとして顕現し、日本を死人の国にすることを宣言してライドウと刃を交えている。


デビルサバイバー オーバークロック』では追加シナリオのボスとして登場した。


Fateシリーズ編集

ロード・エルメロイⅡ世の冒険』にて、法術師・退魔の一族である夜劫家が持つ神體(神の欠片)として「オオナムチ」名義で登場。


関連タグ編集

日本神話 国津神

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