曖昧さ回避
・『MSV』シリーズや漫画『プラモ狂四郎』等に登場した機体、および関連機→本項にて解説。
・『機動戦士ガンダムサンダーボルト』に登場した機体→パーフェクト・ガンダム
機体データ
型式番号 | RX-78 / PF-78-1 |
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所属 | 地球連邦軍 |
開発 | 地球連邦軍 |
生産形態 | 試作機または計画機 |
頭頂高 | 18.0m |
本体重量 | 76.4t |
出力 | 1,380kW |
装甲材質 | ルナ・チタニウム合金 |
固定武装 | 60mmバルカン砲×2、ビーム・サーベル×3、360mmキャノン砲(ショルダーキャノン)、2連装ハンドビーム・ガン、シールド、機雷投下ユニット |
※データは『MSV』などでの設定におけるもの。
解説
ガンダムに追加装甲や大型バックパック、2連装ハンドビーム・ガン、大型キャノン砲(作品によってビームだったり実弾だったりする)などを装備したモビルスーツ(MS)。シールドはアームバンドで固定され、裏面上部には予備のビームサーベルを三本、下部に機雷およびそのラックを装備している。
ジオングの完成形であるパーフェクトジオングと対をなす機体である。
アニメ『機動戦士ガンダム』製作中にアニメーターの板野一郎が描いた落書きから始まり、漫画『プラモ狂四郎』に登場したことで人気を博した。初稿である「落書き」にはパーフェクトジオングも同時に描かれているので、双方ともに同時期に初稿が描かれたこととなる。
宇宙世紀の世界観に基づいた『MSV』シリーズに於いては、フルアーマーガンダムとは別の設計チームによるガンダムの性能向上案で、存在する画像は「公式な発表では一年戦争時のものとされているが、実際はCGによるフェイクではないかと疑われている」と設定されている。
また、各種グレードに於けるプラモデル化や、様々なゲーム作品への参戦を繰り返し、初出から30余年の月日を経てアニメ『ガンダムビルドファイターズ』最終回において初の映像作品登場を果たした。
『プラモ狂四郎』では、主人公京田四郎の制作したガンプラとして初登場し、全身に増設された装備から、ほぼフルスクラッチに近い機体として位置づけられている(最初に製作する際、シールド裏のアームバンドは壊れた腕時計のバンドを流用していた。後にプラ製のフルスクラッチバンドに変更される。下記作り方も参照)。
また、ショルダーキャノン内部には水鉄砲が内蔵されており、これを用いて電飾を施したパーフェクトジオングを倒した。
装備追加に伴う機体重量の増加に対応するべくバーニアを増設し機動力を強化しているが、それら装備をパージする事が出来ない事から運動性は低く、また追加装備から戦闘スタイルが読み解かれるというリスクも負っている。
実際、サッキー竹田のパーフェクトジオングと戦った後の、ジオン少年隊のパーフェクトザクとの対戦では、当初は装甲無しの通常のザクの運動性に翻弄され、アーマーを装着した状態のパーフェクトザク(フルアーマーザク)の前に敗北する。
そして、ストリームベースの小田雅弘との模擬戦でも、小田が駆る「セミアーマードガンダム」(通常のRX-78ガンダムに、ポリウレタン樹脂で一体成形した胸部簡易装甲を装着したもの)との戦いで、上記の弱点を突かれ敗北する。
後に続くパーフェクトガンダムⅢことレッドウォーリアはその反省点を活かす形で制作されており、またパーフェクトガンダム自体も装甲のパージ機能が加えられるなど、アップデートが加えられていった。
ちなみに「コミックボンボン」誌上で、実際に1/144スケールのガンダムを改造した作例が掲載。その作り方も同時に掲載されたが、
:足をバルサで箱を作り覆ってしまう。
:肩はバルサまたはプラ板張り合わせの箱を削り出し。
:背中のバーニアパーツなどは、他のプラモデルから流用。
:二連装ハンドビームのバンドは、父親の腕時計から(これは実際には無理だったらしく、作例では「2mmの角プラ材」に変更されている)。
……と、メイン読者である児童層にとっては技術的にも経済的にもほぼ不可能な代物だった。
バリエーション
パーフェクトガンダムVer.Ka.
カトキハジメが手がける一連のイラストシリーズ『GUNDAM FIX』内においてアレンジされたパーフェクトガンダム。
「もしも『プラモ狂四郎』が21世紀の漫画だったら」というコンセプトに基づきリファインされており、『ガンダム・センチネル』などを彷彿とさせるアレンジが施されている。
また、「SDガンダム BB戦士」で商品化された際には、頭部に装着する増加装甲「ヘッドギア」が新たに設定されている。
フルアーマーガンダム(パーフェクトガンダムⅡ)
『MSV』に登場するフルアーマーガンダムと同仕様の機体。
『プラモ狂四郎』では、ストリームベースとの特訓で指摘された「装甲や武装を任意で外すことが出来ない為、機体のバランスが崩れている」という初代パーフェクトガンダムの欠点を補うべく、狂四郎が小田から貰った設計図を元に新たに作り上げた機体。
フルアーマーガンダムは元々パーフェクトガンダムを『MSV』に登場させるため当機をリファインしたもので、『プラモ狂四郎』作中に登場させるにあたり「パーフェクトガンダムⅡ」(初使用時は「ガンダム増加ウェポンシステム」と呼称)の別名が与えられた。
『MSV』に登場するそれはモスグリーン系のカラーリングを持つが、狂四郎の機体は青を基調とする。
この重装甲、および装甲パージ機能を用い、パーフェクトザクを含むジオン少年隊と再戦。黒幕である蔵井明市郎操るゴッドタイガーをも相手にして、完勝した。
『狂四郎』に象徴されるガンプラブームへのオマージュとして『機動戦士ガンダム サンダーボルト』に登場するフルアーマーガンダムはこれと同様のカラーリングが施されている。
ボンボン連載時、初登場時のみ「ストロングガンダム」の呼称があったが、定着はしなかった様子。
後のワールドシミュレーション大会地区予選では、青系カラーリングの、装甲脱着不可能な市販キット(当時バンダイが発売していた1/144スケールキットと同仕様)で山根のグフと対戦した。当時の狂四郎は、派手な外装と重装甲に傾倒しており、運動性と機動性に拘り改造を重ねていた山根のグフの前に敗北する。
更にその後、牛若三兄弟との対戦時。狂四郎とトリオを組んだロムの乗機になった。
レッドウォーリア(パーフェクトガンダムⅢ)
狂四郎がパーフェクトガンダム、パーフェクトガンダムⅡを経て作り上げたガンダム。真紅のボディとハイパーバズーカ、小型のシールドを装備しているのが特徴。
詳細はレッドウォーリアの項目を参照。
上記パーフェクトガンダムⅡの後に登場しており、パーフェクトガンダムⅠ/Ⅱに比べて軽装かつ運動性に重点が置かれている。狂四郎が外装と重武装への傾倒を改め、運動性と機動性の重要さに目を向けて作り出したものという経緯がある。
後に牛若三兄弟との対戦時、ロム同様に狂四郎とトリオを組んだグズ鉄の乗機になった。
HCMパーフェクトガンダム(パーフェクトガンダムⅣ)
最終決戦において狂四郎が製作したパーフェクトガンダムⅣ。
狂四郎が自身の模型経験と技術を結集させ、いままでのH=C=M(ハイコンプリートモデル)の長所を一つにまとめて作り上げた究極のガンダム。装甲には真鍮線を溶接したフレーム骨格を内蔵しており高い防御力を持つ。
と、鳴り物入りで登場したものの、重装甲が仇となってジ・Oの機動力に追いつけないという理由で早々に装甲を外してしまい、追加装甲が施された状態での戦闘がないため印象が薄い。
なお、素体はガンダムの可動部分を徹底的に増やしたスーパーアクションモデル。更にコアファイターは機首がドリルと化したドリルファイターに改造されている。
デザイン協力は藤田一己。
後に藤田氏本人の手によりリファインされ、フルアーマーガンダムMk-Ⅱとして『Ζ-MSV』に組み込まれている。※こちらは、Gジェネレーションシリーズのガンプラにてラインナップされた。
ボンボン誌上の改造作例のパーフェクトガンダム
パーフェクトガンダムの1/144スケールキットが発売されたのを記念して、コミックボンボン1984年9月号の1/144パーフェクトガンダム発売記念企画では、当時のモデラーたちによる様々な改造作例が掲載された。
以下、各作例。
小田雅弘氏の作例。パーフェクトガンダムのランドセルに、1/144スケールネオファムのスリングパニアーを上下逆にして取り付けたもの。両腕の武装は省かれている。スリングパニアーは可動。ガンダムの顔以外はストレート組みで、グリーンをアクセントにクリーム系の色彩になっている。
小沢勝三氏の作例。パーフェクトガンダムに、フルアーマーガンダムのランドセル、右手の二連ビーム砲と左手の小型シールドを、それぞれ取り付けたもの。全身を赤銅色一色で塗装し、ドライブラシによる汚しが入れられている。ランドセルのショルダーキャノン内にはスプリングを内蔵し、爪楊枝を発射する事が可能。
- ARVガンダム
川口克己氏の作例。パーフェクトガンダムのキット全身を改造し、バイファムの敵方の、ARVに仕立てたもの。腕はガッシュ、大腿部カバーはウグのキットから流用。顔面部もくりぬき、アクリル球を入れ、肩ブロックと腰部をパテで修正。モビルスプリングを各部に取り付けている。ガンダムおよび元キットの面影はほとんど残っていない。
- VF-1Sガンダム
草刈健一氏の作例。ランドセルとシールドとパイプを用いず、ストレート組みした後に、背中にストライクバルキリーのブースターパックとショルダーキャノンを装着。色彩は白をベースに、黒とミディアムブルー。
- オーラバトラーガンダム
石井二郎氏の作例。全身にパテを盛りつけ、ダンバインのオーラバトラーに似た印象のデザインラインにしている。ボチューンのキットからオーラコンバーターを、ズワースからシールドを流用。赤色に全身を塗装している。こちらも、ほとんど元キットおよびガンダムの印象は残っていない。
(上記三体の画像はこちら)
- ブラックパーフェクトガンダム
津田誠氏の作例。バイファムのウェアパペット「トゥインクルヘッド」のキットからパーツを流用。肩パーツをヘルメットにして装着、ロケットガンは銃身を延長し持たせている。全身の塗装はフラットブラック。バックパックも改造している。
- 大魔神ガンダム
外川祐氏の作例。大映「大魔神」に似せたガンダム……といった姿にしている。プラ板で兜、肩当、腰部装甲を作り、ファンドを盛り付けて削り出している。本体部にもモールドを掘りこんでいる。腰に剣の鞘を帯び、右手に宝剣を持っているものの、関節部を接着しているために可動部はほとんどなし。ランドセルもRX-78ガンダムのものに。色彩は茶色を重ね、ドライブラシを全身にかけている。ガンダムの面影は、顔と腰部のみ。
- パーフェクトGM
近藤和久氏の作例(モデラーではないが、当時ボンボンの新人まんが大賞を取得したため、特別枠で依頼され参加)。キットの頭部をGMと交換した以外はストレート組みだが、グレーを基調として、全身に流用デカールを貼ってマーキングを施している。
(上記三体の画像はこちら)
将頑駄無
パーフェクトガンダムを元にデザインされたSD武者。
『プラモ狂四郎』の後継作品である漫画『超戦士ガンダム野郎』では、豪多亜留が使用する3×3クロス(さざんくろす)シリーズ3番目の機体として、パーツ換装とパージを駆使する事でパーフェクトガンダム、RX-78ガンダムへ多段変化を行う機体として登場している。
詳細は将頑駄無を参照。
キングガンダムⅡ世
将頑駄無と同じくパーフェクトガンダムモチーフの騎士ガンダム。
『SDガンダム外伝』2作目にあたる「円卓の騎士編」主人公の最終形態。また、強化段階で「フルアーマー」なる鎧も纏っている。
その煌びやかすぎる装飾は円卓の騎士のアニメ化を阻んだが、劇場版『聖機兵物語』ではアクションシーンはないものの冒頭に登場している。
詳細はキングガンダムⅡ世を参照。
Gキャリアー
「SDガンダム BB戦士」でパーフェクトガンダムの支援メカとして設定された戦闘機型の機体。
パーフェクトガンダムの各種武装やアーマー、脚部などを装着した「Gキャリアー パーフェクトVer.」と、ガンダムのバックパックと脚部を装着した「Gキャリアー ガンダムVer.」の2形態を取ることができるほか、フルアーマーガンダム用支援メカ「Gベース」と合体することも可能。
なお、機体名の読みは「ガンキャリアー」だが、『プラモ狂四郎』に登場するガンキャリアーとは別物である。
関連イラスト
立体物(パーフェクトガンダムのみ)
ガンプラ
- 旧キット
『プラモ狂四郎』展開時では1/144及び1/100スケールの物がそれぞれ発売。1/144スケールのものは同スケールのガンプラでは初めてポリキャップを使用していることと、単色成型が普通の中で白と赤、ポリキャップと同じ材質の動力パイプの黒の三色成型となっている。装甲のパージは不可能。1/100スケールは装甲のパージが可能で1/100ガンダムのバージョンアップ的な意味合いも兼ねている。
1/100スケールの物はフルアーマーガンダム共々マスターグレード化されている。
- MG版
左下に狂四郎のイラストが描かれたパッケージで発売。装甲脱着が可能な上に、素体のガンダムも完成度が高くモデラーの中では人気の高いMG RX-78-2としても知られており、ガンダムグッズ専門店「ガンダムベース」限定で素体のみ「RX-78-2ガンダム(パーフェクトガンダムVer.)」として発売された事もあるほど(本当に素体だけなのでビームサーベル以外の武装は他から持ってくる必要がある)。
しかし2017年に模型店や家電量販店での一般販売を終了。モデラーの間で長らく絶版品となったと囁かれていたが、2021年にガンダムベース限定での再販が入荷告知という形で突然発表された。
以降もバンダイの公式販売店やWeb通販に販路を限定した形で販売されている。
これについては川口名人こと川口克己氏によれば、版権料の関係らしい(プラモ狂四郎の版権は講談社にもあるため)。
- HGUC版
2023年現在もHGUC版の発売はされておらず、装甲のフルスクラッチや旧キットとのニコイチで再現するモデラーが多いが、B-CLUBが発売した『HGUC 021 RX-78-2ガンダム』用のカスタムレジンキットが存在しており、これでパーフェクトガンダムを再現できる。
- SDガンダム
BB戦士で最初期に300円のものが発売。BB戦士ガンダム発売とほぼ同じ意味合いを持っていた。後にVer.Ka.デザインを踏襲したリアルBB戦士もラインナップされた。元祖SDガンダムではフルアーマーガンダムとの装甲セットになっていた。
その他
- フィギュア
カトキハジメによる「GFF(ガンダムフィックスフィギュレーション)」でもリファインされたデザインで立体化。
ROBOT魂VerANIMEでも2020年4月に発売。装甲脱着ギミックの他、プラモ狂四郎作中のフェイスパーツが付属。
食玩「GUNDAM Mini Figure Selection」シリーズのキャンペーン商品としてラインナップ。※キャンペーン終了の為 現在、入手困難
余談
本機の元ネタはアニメーターの板野一郎氏が描いた落書きである事は知る人ぞ知る事で、それがクラフト団の目に止まり、プラモ狂四郎での登場と相成ったのである。
関連項目
フルアーマーガンダム レッドウォーリア パーフェクトジオング
ACE3:隠し機体として登場。パイロットは京田四郎で、デザインはMG版で併せてRX-78もパーフェクトガンダムの中身のデザインとなっている。