列車種別の1つで、「特急」の派生種別にあたる。停車駅の違いのほか、他路線への直通運転を行うため、通常の「特急」と区別することになった。日本国内で運行しているのは下記の通り。
阪神電気鉄道・山陽電気鉄道
阪神本線・阪神神戸高速線・山陽電気鉄道本線を経由して運転される列車。JR西日本が運行している新快速・快速列車への対抗策として1998年より運行を開始した(同時に阪急神戸線から山陽電気鉄道方面への乗り入れが終了)。
現在のダイヤではラッシュ時に毎時5本が、日中は毎時4本が設定され、両社間の最速達列車としての位置づけにある。また、早朝深夜には区間運転の列車も設定されている。
なお、直通特急の種別表示は2種類あり、種別が「赤」の直通特急は阪神神戸三宮駅~山陽板宿駅間も通過運転をするのに対し、種別が「黄」の直通特急は阪神神戸三宮駅~山陽板宿駅間を各駅に停車する。これは、日中のダイヤで阪神が10分ヘッド・山陽が15分ヘッドを組んでいるので間隔調整が必要になった為。
- 1998年設定当初
- 最速87分(尼崎・甲子園・魚崎・月見山・舞子公園通過)だったが、尼崎付近で信号待ちを喰らっていた為、後述の通り、理論上では86分運転も可能だった。
- 甲子園停車は休日全列車と平日の早朝と夕方以降。
- 2001年
- 尼崎と魚崎が停車駅に加わり、同時に神戸高速を各停で走る便(黄幕)も登場。
- 淡路花博でしばしば臨時停車していた舞子公園に休日のみ停車するようになった。
- 最速88分で、停車駅が2駅増えたのに所要時間の増大が1分に留まったのは、尼崎の前後で発生していた信号待ちを尼崎停車で相殺した為であり、実質的なタイムロスは魚崎停車のみ。
- 直通特急の魚崎停車と入れ替わる形で快速急行の魚崎停車が2009年まで取り止められた為、直通特急への乗客の一点集中、それに伴う快速急行の空気輸送が発生した。(余談だが、類似例は同年に阪急京都線でも起こっている)
- 2009年
- 2006年
- 朝ラッシュと夕方に荒井と白浜の宮に追加停車するようになった。滝の茶屋とは停車時間帯が微妙に異なる為、後述の複雑怪奇な停車パターンの原因となった。
- 2016年
- 黄幕の各停区間が三宮~板宿間に変更されたが、所要時間は変わらなかった。
- 度重なる停車駅追加と阪神と山陽のダイヤが噛み合わない時間帯も合わさって、平日夕方に112分かかる赤幕の便が存在する。あたかも直通特急が直通特急に抜かされるダイヤなのでは?と錯覚してしまうが、梅田発車時点で次の直特が(阪神特急を挟んで)24分後なので一応姫路まで逃げ切っている。黄幕でも110分の便がある。
山陽の時刻表が赤幕と黄幕で時刻の表示方法を変える事で追加停車の記号の種類を抑えているが、阪神は全て赤表示で、下り追加停車の記号が6種類と多い。しかも同じ形の記号を白黒反転させて使い回しており、見間違えやすい。平日夕方は阪神10分間隔と山陽12分間隔の時間調整及び山陽区間の3駅の追加停車時間帯の微妙な違いが祟って4種類がランダムで組まれ、複雑怪奇と化している。
2009年以降の阪神時刻表で記されている6種類の下り追加停車パターンを以下に示す。
- 滝の茶屋停車
- 荒井・白浜の宮停車
- 滝の茶屋・荒井・白浜の宮停車
- 三宮~板宿間各停・滝の茶屋停車(黄幕)
- 三宮~板宿間各停・荒井・白浜の宮停車(黄幕)
- 三宮~板宿間各停・滝の茶屋・荒井・白浜の宮停車(黄幕)
使用車両
全列車6両編成。
- 阪神からは赤胴車の8000系、9000系、9300系、1000系が使用される。
- 山陽電鉄からは5000系・5030系、6000系が使用される。相互直通運転に伴う車両使用料の関係で、山陽電鉄車両の運用本数が阪神車両の運用本数よりも多い。
停車駅
- ここでは便宜上、通常の特急列車(阪神特急、山陽特急)も掲載。
- 山陽特急は早朝深夜のみの運転。
- 全列車通過の途中駅は省略。
- ◎は停車、△は一部停車、レは通過。
駅番号・駅名 | 阪神特急 | 山陽特急 | 直通特急(黄) | 直通特急(赤) | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
HS01 梅田 | ◎ | ◎ | ◎ | JR・地下鉄・阪急の各路線乗り換え | |
HS09 尼崎 | ◎ | ◎ | ◎ | 阪神なんば線(近鉄奈良線方面)乗り換え | |
HS14 甲子園 | ◎ | △ | △ | 直通特急は平日朝ラッシュ時の上り列車が通過 | |
HS17 西宮 | ◎ | ◎ | ◎ | ||
HS20 芦屋 | ◎ | ◎ | ◎ | ||
HS23 魚崎 | ◎ | ◎ | ◎ | 六甲ライナー乗り換え | |
HS25 御影 | ◎ | ◎ | ◎ | ||
HS32 (阪神)神戸三宮 | ◎ | ◎ | ◎ | JR・地下鉄各線、ポートライナー乗り換え | |
HS33 元町 | ◎ | ◎ | ◎ | ||
HS34 西元町 | ◎ | ◎ | レ | ||
HS35 高速神戸 | ◎ | ◎ | ◎ | 阪急電鉄(阪急神戸線方面)乗り換え | |
HS36 新開地 | ◎ | ◎ | ◎ | 神戸電鉄(有馬線方面)乗り換え | |
HS37 大開 | ◎ | ◎ | レ | ||
HS38 高速長田 | ◎ | ◎ | ◎ | ||
HS39・SY01 西代 | ◎ | ◎ | レ | ||
SY02 板宿 | ◎ | ◎ | ◎ | 地下鉄西神・山手線乗り換え | |
SY03 東須磨 | ◎ | レ | レ | ||
SY04 月見山 | ◎ | ◎ | ◎ | ||
SY05 須磨寺 | ◎ | レ | レ | ||
SY06 山陽須磨 | ◎ | ◎ | ◎ | ||
SY07 須磨浦公園 | ◎ | レ | レ | ||
SY09 滝の茶屋 | △ | △ | 朝ラッシュ時の上り・夕ラッシュ時以降の下りが停車 | ||
SY11 山陽垂水 | ◎ | ◎ | |||
SY13 舞子公園 | ◎ | ◎ | |||
SY17 山陽明石 | ◎ | ◎ | JR神戸線(山陽本線)乗り換え | ||
SY25 東二見 | ◎ | ◎ | ◎ | ||
SY31 高砂 | ◎ | ◎ | ◎ | ||
SY32 荒井 | レ | △ | △ | 直通特急は朝夕ラッシュ時に停車 | |
SY35 大塩 | ◎ | ◎ | ◎ | 上り列車は最後尾の車両がドアカット | |
SY38 白浜の宮 | レ | △ | △ | 直通特急は朝夕ラッシュ時に停車 | |
SY40 飾磨 | ◎ | ◎ | ◎ | 山陽電鉄網干線乗り換え | |
SY43 山陽姫路 | ◎ | ◎ | ◎ | JR山陽新幹線・在来線各線乗り換え |
阪急電鉄・大阪市営地下鉄
阪急各路線および大阪市営地下鉄堺筋線から阪急嵐山線方面へ運転されている直通特急はすべて臨時列車。春・秋の行楽シーズンに運行されている。なお、ホームの容量の関係で8両編成ではなく6両編成での運行となる。
停車駅
「あたご」(神戸線⇔京都線⇔嵐山線)
高速神戸駅-六甲駅-岡本駅-夙川駅-西宮北口駅-塚口駅-十三駅-淡路駅-桂駅~嵐山駅間各駅
「とげつ」(今津北線⇔神戸線⇔京都線⇔嵐山線)
宝塚駅~門戸厄神駅間各駅-塚口駅-十三駅-淡路駅-桂駅~嵐山駅間各駅
「ほづ」(地下鉄堺筋線⇔千里線⇔京都線⇔嵐山線)
天下茶屋駅-日本橋駅-天神橋筋六丁目駅-淡路駅-桂駅~嵐山駅間各駅