概要
正式名称はKAMEN RIDER DRAGON KNIGHT(カメンライダードラゴンナイト)。
「パワーレンジャー」シリーズと同様に、日本版の戦闘パートを新規撮影されたシーンと織りまぜながら流用し、変身前のドラマパートを現地の俳優が演じる制作方式を用いている。
アメリカで製作された仮面ライダーシリーズとしては『仮面ライダーBLACKRX』をベースとした「マスクド・ライダー」に次いで2作目となる。
また、この作品では原典である『仮面ライダー龍騎』で秋山蓮(仮面ライダーナイト)役を演じていた松田悟志が本作における同じポジションであるレン(仮面ライダーウイングナイト)の日本語吹き替えを演じているのを始め、主要人物の日本語吹き替えを担当しているキャストの多くが平成ライダー一期に出演経験のある俳優・声優であるという特徴がある。
TVシリーズのその後を描いた小説版『KAMEN RIDER DRAGON KNIGHT 2WORLD 1HEARTS』が発売されている。
「龍騎」との違い
基本的な設定は原作と同じだが、若干の違いがある。
大きな違いは下記の通り。
- 戦いの舞台がミラーワールドではなく、後述の「ベンタラ」という地球のパラレルワールドという設定。そのため鏡を抜けた先の風景は元の場所と全く異なることが多く(ところどころ日本っぽいのは気にしてはいけない)、左右反転も基本的にしていない。これにより、ライダーの変身にも時間制限なし。
- 戦いに敗れてもライダーは死なない。その代わりに「ベント」という現象が追加され、敗れたライダーはアドベント空間と言う異次元に冷凍睡眠の状態で飛ばされてしまう。後に、本来は傷つき倒れたライダーを保護する為の空間だったが、アドベント空間に行けるアドベントマスターが行方不明になってしまった為、牢獄となってしまったことが明かされる。
- カードデッキは決して破壊されない。デッキには使用者のDNAパターンが記録されており、登録されたDNAの保持者しか変身できない。
- 変身者がベントされても、その契約モンスターは解放されない。ただし、任意に解放する事は可能。解放されたモンスターはただ彷徨うだけの存在で、人間は襲わない。
- 変身ポーズは全員共通。カードデッキを左手で高く持つだけでベルトが出現して(鏡は不要)、「KAMEN RIDER!(カァメンライダァ!)」と叫んでからカードデッキを装着すると変身する(日本語吹替でも変身する時にはカァメンライダァ発音で統一)。
本作では神崎兄妹に当たる「ミラーワールドの創造主」は存在せず、悪の宇宙人ゼイビアックス将軍という巨悪に立ち向かうという設定になっている。戦うフィールドも鏡の中の世界ではなく、現実の地球の並行世界、通称ベンタラと呼ばれる空間である。
ゼイビアックスは既にベンタラを侵略した後、そのパラレルワールドである地球に目をつけ、さらなる侵攻を開始しようとしているというのが物語の始まりである。
上記にある通り戦いに敗れたライダーは死亡するのではなく、魂が「ベント」という亜空間に幽閉されてしまう。これはアメリカの子供向け番組の規制によるものだが、この設定により「龍騎」とは異なる一本の連続ストーリーが作り出されている。
「戦わなければベントされるぞ!」
「僕はベントするのもベントされるのもイヤだ!」
この連続ストーリーが難解、いくら言葉で誤魔化しても人が死ぬような展開、暗めなストーリーなので、明快な内容で人気を得ているパワーレンジャーとは対象的にアメリカではイマイチ人気が出なかったのだが、「龍騎」で提示された「多くの人を救う為に一人を犠牲にする事と、一人を救う為に多くの人を苦しめる事と、どちらが正しいのか?」という疑問に対して、主人公キット・テイラーはハッキリとした結論を示して仲間を牽引し、14人がかりでラスボスを撃退し、見事な大団円を成し遂げている。
そのためか、本来はアメリカの子供達がターゲットであったはずなのだが、それを差し置いて日本の特撮ファンにコアな人気を博し、続編小説が日本のみの書き下ろしで登場するという事態となった。
登場人物
仮面ライダー
カッコ内は日本版での名称。
キット達の周辺人物
トレント・モーズリー
レイシー・シェリダン
ゼイビアックス
余談
ドラゴンナイト原語版のOPが独特の味を醸し出している。
出だしから「仮面ライダードラゴンナイト」を連呼する、流石アメリカと言わざる得ないほどド直球のシロモノとなっており、ネットではドラゴンナイトといえばコレというほど有名なネタとして扱われる。
よく「クァーメライダー ドラゲンッナイッ!」と表記されるがオンドゥル語ではなくて、こんな内容。
KAMEN RIDER Dragon Knight! together we can fight the fight!
KAMEN RIDER Dragon Knight! together we can fight the fight, so Let's Ride!
とはいえ、上記の通り作風を丸っと変えねばならぬほど表現規制と挑戦が厳しいアメリカでは当然の成り行きかもしれない。そう考えるとドラゴンナイトという作品自体を象徴しているようで、何とも感慨深く思えてくる…
「レッツラァーーーイ…」
また、日本語吹き替え版のOP『DIVE INTO THE MIRROR』(defspiral作)も一聴の価値がある。
イントロは龍騎の「Alive A life」を髣髴とさせるものだが、そこから急転して上記ドラゴンナイトOPの主旋律が流れ、サビで最高潮に達する。
無限の世界に飛び込め今
(クァーメライダー ドラゲンッナイッ!)
閉ざされたドア開いて
(トゥギャザー ウィーキャン ファイトゥファイッ!)
こんな感じで芸が細かい。