概要
「エンドレスエイト」とは涼宮ハルヒシリーズの一編であり、原作第5巻『涼宮ハルヒの暴走』収録の短編でアニメ版では全8話の長編。その内容はエンドレスエイトのタイトル通り「8月17日~8月31日の15日間(※)が延々とループしてしまう」というもの。有名な「ループもの」エピソードである。
登場人物たちが作中で実際に繰り返された回数は15,000回を越える。(アニメ版単純計算:15日間×15532回=232980日=638年と110日)
※アニメ内でキョンは「1回のループ=14日間」として計算していたが、実際には15日間である。あえて言うなら、うち「1日間は自由行動(キョンの場合、手つかずの宿題に四苦八苦する)」なので「ハルヒ先導でまったく同じスケジュールを過ごさせられる期間が14日」として計算していた可能性もある。
あらすじ
夏休み。SOS団は様々な活動を行う。しかし涼宮ハルヒは「うーん。こんなんでよかったのかしら」と心残りに感じ無意識に時間をループさせてしまう。8月17日~8月31日の2週間を15498回(アニメでは15532回目)ループさせたあと、また同じように帰宅しようとしたハルヒにキョンがとった行動とは…?
2週間の日程
8/17 (月) | プール |
---|---|
8/18 (火) | 盆踊り・金魚すくい |
8/19 (水) | 昆虫採集 |
8/20 (木) | アルバイト |
8/21 (金) | 天体観測 |
8/22 (土) | バッティング練習 |
8/23 (日) | 花火大会 |
8/24 (月) | ハゼ釣り |
8/25 (火) | 肝試し |
8/26 (水) | 海水浴 |
8/27 (木) | 映画のハシゴ |
8/28 (金) | ボーリング |
8/29 (土) | カラオケ |
8/30 (日) | 野鳥観察 |
8/31 (月) | キョンが???に気付かないと17日に戻されてしまう |
地獄
アニメ版は2009年に放送。タイトル通り「8週連続で、ほぼ同じ話を放送する」という前代未聞の実験的な手法を敢行し賛否を巻き起こした。2期の新作は14話なので半数以上がこのエンドレスエイトである。
放送当時はいつ終わるかも不明であり、ファンは2ヶ月間ほぼ同じストーリーを視聴し続けることとなった。
まさに生き地獄。
放映当時のpixivにおいては、この記事の初版にただ一言「→地獄」と記され、
また投稿イラストも数多く、怒り剥き出しのものから、上山道郎氏の「のび太の終わらない夏休み」のように見事なネタに昇華したものまで様々であった。
投稿した作品の意図はどうあれ、このような二次創作を続けているうちは「ハルヒを見限ったわけではない」という、ファンの精神力が試される8週耐久レースでもあった。
そのような特殊な話なので、コアなファンもおり毎回違う点もあるので、比較してみると面白いかもしれない。(服装、スタイル、カメラワーク、ハルヒのやりたい事リストの書き方など)
なお話は同じであるが演出・絵コンテ・作画監督スタッフは8話とも異なり(最初と最後のⅠとⅧのみ同じ)、デザインやレイアウトも全て変えている。アフレコも8回行っている。
同じ話でも演出・カットで見方・雰囲気が変わるのを見てみるのも楽しみ方のひとつである。
長門有希の視点
登場人物中唯一、長門有希だけはこのループ現象を完全に記憶しており、苦痛に感じているような素ぶりは一切見せないが……。
エンドレスエイトⅠ ループに気づかず(この時点ですでに15,000回以上のループ?)
※ しかし、デ・ジャヴ描写(長門有希の落胆ぶりへのキョンの気づきや朝比奈みくるが察した異常事態等)が無い回のため、一番最初もしくは、かなりの序盤とも考えられる。
エンドレスエイトⅡ 15,498回目(原作小説ではこの回で脱出)
エンドレスエイトⅢ 15,499回目(Ⅱの直後)
エンドレスエイトⅣ 15,513回目(Ⅲから更に14回ループ)
エンドレスエイトⅤ 15,521回目(Ⅳから更に8回ループ)
エンドレスエイトⅥ 15,524回目(Ⅴから3ループ後)
エンドレスエイトⅦ 15,527回目(Ⅵから3ループ後)
エンドレスエイトⅧ 15,532回目(Ⅶから5ループ後)
盆踊りに行かなかったパターン 2回(2,391回目と、11,054回目)
金魚すくいをしなかったパターン 437回
アルバイトを行ったパターン 9,025回~9,056回
(→さらに6つのアルバイトパターンがあるが、劇中で描かれているのは風船配りだけ。他はレジ打ち、荷物運び、ビラ配り、電話番)
キョンの宿題を手伝ったパターンは、僅か1回。
と、8回のエピソードだけでも、最低でも34回のループをしている。
長門はこの約638年を経験していることになる。もはやおばあさんを通り越して仙人レベルである。
各話リストと相違点
※Ⅰ~ⅧとついているのはDVD・Blu-rayでのタイトルで、放送では8話ともタイトルは「エンドレスエイト」だけだった。
エンドレスエイトⅠ
- アニメ第12話(エンドレスエイト1回目)。
- キョンたちがループしていることに気づかないという話。原作を読んでないファンはただの日常回に見えたかもしれない。
- 脚本はフルメタル・パニック原作者の賀東招ニ。賀東は『射手座の日』も担当している。
- 「おーばー♪」 「やーだー」
- ハルヒ・みくる・長門が一緒に飛び込む。
- ハルヒと長門が水泳で競争している。
- 長門が退屈そうに座っていない
- 古泉がちょっと失礼と予定を見ない
- 「せめて調べてから決行してくれ」
- 「なぜ俺がいつも払う羽目になるんだ?」
- キョンが帰る長門に声をかけない
- 古典的な民族衣装
- キョンが祭りの会場に既視感を感じない
- キョンがおごってやろうとするシーンがない
- 宇宙人だけに
- 射的を逆にもつ長門
- わたあめ
- まるっきり終わってない
- 「イエスだね!」「柿崎ぃ!」
- 「団長の権利をーー」「うわいらね」
- 長門がへび花火をしている。
- 長門が勢いよくヘラクレスオオカブトを捕まえている。
- セミの天ぷら
- 美談っぽいが
- キョンの尻が子供に蹴られる
- 日当の配分がーー
- 長門が体育着
- アイスがソーダ
- 脱皮したヘビの気持ち
- ゲロゲーロ
- 駅前に集まらない
- ケプラーの時代
- タコみたいなバケモン
- バッティング・花火大会・ハゼ釣り大会・肝試し・映画のはしご・海水浴・ボーリング・カラオケのカット
- 5人で肝試し
- ボーリングで長門が12345432・・・の繰り返しのスコアを出している
- 電車で寝る4人
- キョンが妹とゲームしている(キョンにしては珍しくリラックスした笑顔)。
- キョンが宿題を途中までやる
エンドレスエイトⅡ
- アニメ第13話(エンドレスエイト2回目)。
- 今回が15498回目。
- キョンたちがループしてることに気づくが、脱出に失敗するというシークエンスの話。
- ループしてる回数が原作と同じ15498回目。
- 「おーばー♪」 「嫌であります」
- 「お前らも乗ってきてるのか?」
- 「ブースト!」
- ハルヒがみくるをプールに落とす。
- 潜水するキョンと古泉。
- 「あっつい、あっつい、あっつうぅい!」
- ハルヒの蹴ったビーチボールがみくるの顔面に当たる
- 夏休みの予定が箇条書き
- 「了解しました」
- 「また払いは俺か」
- 「なんで声をかけたんだ」のセリフのとき早足
- 古泉がリボンをつける
- 「赤くなって3倍かわいい!」
- お面の会話より先に花火の会話がある
- 「団長の権利をーー」「いらん」
- 長門がヒメタイコウチを捕まえている。
- パンドラの箱
- アイスがオレンジ
- 長門が珍しくTシャツ姿
- ハルヒの笑顔を見るキョン
- キョンがうつ伏せで寝ている
- 「そんなことないぞ」
- 顔を近づける古泉
- 「拒否権を発動するぜ パス1だ」
- バッティング・肝試し・ボーリング・カラオケのカット
- ハルヒとみくるで肝試しで他3人が驚かす役、長門がお化けのコスプレ
エンドレスエイトⅢ
- アニメ第14話(エンドレスエイト3回目)。
- 今回が15499回目。
- 同じくキョンたちがループしてることに気づくが、脱出に失敗するというシークエンスの話。
- キョンの妹が宿題をやっている。
- 「おーばー♪」「なんだあ?」
- ハルヒ単独で飛び込む
- 古泉も華麗に飛び込む
- 潜水するキョンと古泉
- ランチシーンが1カット
- 長門が退屈そうなシーンで立っている。
- ハルヒの蹴ったビーチボールがみくるの顔面に当たる
- キョンが帰る長門に声をかけない
- 「エクセレントッ!」「朝比奈さん、いい!、朝比奈さん!」
- 「食いもんとかどうだ」のセリフが無い-
- たこやきをあげるシーンが無い。
- 長門がお面を顔面(正面)に被っている。
- キョンがハルヒに背中を貸す
- 「あんじぇりがいだ!」
- ハルヒの演説のあとに拍手
- パラメータのセリフが無い
- 虫取りが静止画になっている。
- 長門がオオゴマダラを捕まえている。
- 「死ぬかと思った、つーか死ぬ」
- ハルヒがアイスを持っていない
- ゲロゲーロ
- キョンがうつ伏せで寝ている
- 「もしかしなくても」
- 「当たり前だ!すぐ行く!」
- 「我々は同じ時間を永遠とループしてるのですよ」をなぜか3回繰り返す古泉
- 「壊れちゃう」
- 火星人の会話がない
- 望遠鏡を覗き込む長門
- 「断固辞退する」
- バッティング・花火大会・ハゼ釣り・肝試し・映画のはしご・海水浴・ボーリング・カラオケのカッ
- 肝試しがどこかの館
- カラオケのカットが多い
- 繰り返しに気づいていたのセリフがない
- ハルヒの脇見せ
- 時計に合わせて回るカットで終わる。
- キョンがチャート式数1+Aを机に置いている
エンドレスエイトⅣ
- アニメ第15話(エンドレスエイト4回目)。
- 今回が15513回目。
- 同じくキョンたちがループしてることに気づくが、脱出に失敗するというシークエンスの話。
- 「自転車に乗ってくんだろ?」
- 空を見上げるキョン
- キョンが帽子をかぶっている
- 「おまえらどこ停めてんだ?」
- 「鬼、羅刹!」
- プール時にハルヒがトレードマークのカチューシャを外している。
- ハルヒ単独で飛び込む
- 長門がセパレート型の水着
- 古泉がパーカーを着ている
- 「変なの。あ、いつもか」
- 男子小学生とも遊んでいる。
- 「あいつあんなとこにいたのか」
- ハルヒのセリフをキョンが言う。
- キョンの顔にビーチボールをぶつける
- ランチシーンがない
- 予定を見るシーンでキョンと古泉の目が合う
- 長門がクリームメロンソーダを飲んでいる
- 「また払いは俺かよ」「遅れたらおごりってーー」
- キョンが自転車の鍵をあける
- キョンが店の前で長門に声をかけている
- 「遅いって・・・うお!おお!」「朝比奈さん、イイ!イイ1」
- ハルヒが金魚すくいを探す
- 「ハルヒよ」「ん?」
- 団長の権利の会話がない
- 天はなんと不公平なのか
- なんでこんなやつの頭がーーのセリフが無い
- キョンが帽子を被ってる
- 長門が雌雄同体のノコギリクワガタを捕まえている。
- 余命少ないセミ
- 箱を開けたパンドラ
- パージしたヴァーチェ
- アイスがソーダ
- ハルヒの笑顔を見るキョン
- 1回キョンが電話を切る
- 「すぐ行く、すーぐ行く」
- 古泉の説明中にハルヒの白いワンピース姿のカットが入る
- みくるからの説明がない
- 望遠鏡を下から覗き込む長門
- 「てこでも動かんぜ」
- 行ったところの説明が映画館でのカット
- 飛行機のカット
- キョンが飛行機の絵を描いてる
エンドレスエイトⅤ
- アニメ第16話(エンドレスエイト5回目)。
- 今回が15521回目。
- 同じくキョンたちがループしてることに気づくが、脱出に失敗するというシークエンスの話。
- 「苦い!もう一杯!!」
- 「おーばー♪」「あーあ」
- 「おまえらも乗ってきてるのか?」
- 「超能力禁止!」
- 古泉がハイレグビキニを着ている。
- 単独で飛び込むハルヒ
- 長門がスク水
- ペットボトルで飲むキョン
- この回だけ水中サッカーではなく水中ドッジボール
- 女子小学生が今回はおらず会場のアナウンスがある。
- 「春先からいろいろー」が無い
- 『夏休み中にしなきゃダメなこと』
- 「追って連絡します」「了解しました」
- キョンが店の前で長門に声をかけている
- キョンが長門に声をかける時に駆ける
- 浴衣を買うシーンが無い
- 「食いもんとかどうだ」
- 「団長の権利をーー」「いらん」
- 長門がへび花火をしている。
- 長門有希と朝比奈みくるが、深夜の公園でナンパされているシーンがある。
- 長門がヤンバルテナガコガネを捕まえている
- キョンがセミにかけられる
- ハルヒが探検家ルック
- 箱を開けたパンドラ
- 尻を蹴られるキョン
- 長門は体育着
- ビーム受けた零号機
- アイスがソーダ
- キョン視点のカメラ「こっちみんな」
- 「アイス落ちますよ」
- 「おかけになった電話番号はーー」「なんですと!?」
- 古泉が腕時計を見せる
- キョンがループの年数を携帯で計算している。
- 「ふーん、だが断る」
- キョンと長門で肝試し
- 長門は気づいていたの会話が肝試し
- 遊びに行ったところの説明が回転遊具。
- キョンがハルヒの予定メモに8の字を書いている(ハルヒ「落書きしちゃダメよ~」)。
- ハルヒが帰るセリフが繰り返される
- 時計の針に合わせて画面が回る
エンドレスエイトⅥ
- アニメ第17話(エンドレスエイト6回目)。
- 今回が15524回目。
- 同じくキョンたちがループしてることに気づくが、脱出に失敗するというシークエンスの話。
- 「おーばー♪」「・・・」
- 「おまえらも乗ってきてるのか?」
- 「人多!」
- みくると飛び込むハルヒ
- 浮き輪を持つ古泉
- 潜水するキョンと古泉
- ハルヒのセリフがエコー
- 女子小学生がおらず女優がいる。
- ハルヒの蹴ったビーチボールがみくるの顔面に当たる。「ファ!?」沈むみくる。
- みくるが顔にハンカチを置いている
- 全員が別れるシーンが無い
- キョンが長門に声をかける時に自転車で行く
- 「行っていいいぞ」
- 「朝比奈さん う~!」
- 長門がお面を正面から被ってキョンに見せる
- 「ハルヒよ」「ん?」
- 「団長の権利をーー」「いらね」
- たこやきをあげる場所が出店の前。
- 長門がへび花火をしている。
- 箱を開けたパンドラ
- 長門が体育着
- アッザムリーダーから開放された気分
- アイスがソーダ
- ハルヒの笑顔を見るキョン
- キョンが起こされるシーンがない
- 古泉によるハルヒのモノマネ
- キョンによるハルヒのモノマネ
- 「その言葉を待っていたぜ ってやるか!」
- 火星人の会話がない
- 花火大会・ハゼ釣り・肝試し・映画館のはしご・ボーリング・カラオケのカット
- みくる以外の4人でお化け 今回は長門は制服
- キョンがチャート式数1+Aを机に置いている
エンドレスエイトⅦ
- アニメ第18話(エンドレスエイト7回目)。
- 今回が15527回目。
- 同じくキョンたちがループしてることに気づくが、脱出に失敗するというシークエンスの話。
- 「おーばー♪」「だから一言も・・」
- 「おまえらも乗ってきてるのか?」
- みくると飛び込むハルヒ。
- ハルヒと長門が競争している。
- 古泉と潜水するキョン
- 「ハッーー!」
- ハルヒとキョンが同時にセリフを言う
- 「あ、うん」「もういいの?」
- 「また払いは俺か・・・」
- 「すまん」
- みくるがデコ出し
- 古泉が甚平を着ている
- 「朝比奈さん、回って回って!」
- 「ハルヒよ」「ん?」
- 「スリーデイズ!?」
- 「団長の権利をーー」「いらん」
- 長門がへび花火をしている。
- 箱を開けたパンドラ
- アイスがいちご
- ハルヒの笑顔を見るキョン
- キョンがうつ伏せで寝ている
- 「おのれおのーれ」
- 「アイラブユー この支配からの卒業!」
- 行ったところの説明が空とトンボ
エンドレスエイトⅧ
- アニメ第19話(エンドレスエイト8回目)。
- 今回が15532回目。
- キョンたちがループしていることに気づき、脱出に成功するシークエンスの話。
- 「おーばー♪」
- 「できることなら聞きたくないが、なんのお願いだ?」
- 単独で飛び込むハルヒ
- 「控えおろう」
- みくるを肩車するハルヒ
- ハルヒと長門が競争している。
- ビーチボールを頭にぶつけるみくる。
- キョンと古泉が潜水する。
- 「おいしい いちごにおいしい!」
- ハルヒとキョンが同時にセリフを言う
- 活動予定表
- 「だれの予定表だ?」「わたしたちの!」
- 「せめて調べてから決行してくれ」
- 「追って涼宮さんに連絡します」
- いきなり翌日盆踊り会場がーー
- 浴衣を買うシーンが無い
- 「食いもんとかどうだ?」のセリフが無い
- 「破っちゃいかんだろ」
- 長門がへび花火をしている。
- 「無茶しやがって…」
- 丈夫で長持ち
- 「団長の権利をーー」「まったく欲しくない称号だ」
- 長門がパプアキンイロクワガタを捕まえている
- 虫並みの知能
- キョンの網にセミが残る
- 我が団長斡旋の
- ガマン大会であります
- アイスがオレンジ
- ハルヒの笑顔を見るキョン
- ひとつの緊急事態
- 古泉おまえはころす
- 「俺のターン。拒否権を発動」
- 火星人の会話がない
- 行ったところの説明がカエルと雨宿りしてるカット
- 爪楊枝に刺したたこ焼きがセミの串刺しになった。
全話共通・相違点
- 長門が某宇宙人のようなお面を被ってる。デザインは異なる。
- ハルヒと他の4人のクレジットが数行ずつ離れていく(Ⅷでもとに戻る)。
- タイトルロゴの位置が異なる。
- 演出・絵コンテ・作画監督スタッフが各話異なる(最初と最後のⅠとⅧのみ同じ)。
- 2話から7話まで脚本が監督の武本康弘(おそらくほぼ同じ脚本なため名義を同じにしたと思われる)。
そして感動へ
実に8回も同じエピソードを見せられた視聴者。今回こそは今回こそはとこの地獄の終焉への望みを託していた。そうしてやってきたエンドレスエイトⅧ。解決の方法を見つけ壮大な音楽とともに語るキョン。驚く長門。そしてなによりハルヒの指ツンツンのかわいさ。こうしてリアルタイムで見ていた視聴者は感動とともにある種のカタルシスを得たのである。
キョン「今の俺があるのは先に二週間を過ごしていたその俺達のおかげだろう。そうでも思ってやらなければ、ハルヒになかったことにされている彼らの夏がまるで無駄だったと言わんばかりじゃないか」
原作者・谷川流のコメント
走り幅跳びの助走に42.195キロぐらいかけてしまったごときエンドレスエイトですが、これでようやく踏切地点に到着した感じがします。来たる長編エピソードのへのアプローチランがこれにて終わり、いよいよここからがジャンプしたアニメーションハルヒはどれだけの滞空時間を経、いったいどこに着地するのでしょうかーー(後略)(「月刊ニュータイプ2009年9月号18-19頁」)
アルバイトの回数の謎
Ⅳ「今回が15553回目に該当する」「アルバイトを行ったのが9031回であるがその内容は6つに分岐する」
Ⅴ「今回が15521回目に該当する」「アルバイトを行ったのが9048回であるがその内容は6つに分岐する」
アニメ版で長門は、今はループしてる数が何回目かというキョンの質問に、「Ⅳ(4)」では15513回と答え、「Ⅴ(5)」では15521回と答えている。そのうちアルバイトを行った回数は「Ⅳ」で9031回、「Ⅴ」で9048回と答えた。つまり「Ⅳ」と「Ⅴ」の間で繰り返しシークエンスが8回しか増えていないのに、アルバイトは「17回」に増えていることになる。これはどういうことだろうか。
話数 | 繰り返し回数 | アルバイトの回数 | ||
---|---|---|---|---|
Ⅱ | 15498 | 9025 | - | - |
Ⅲ | 15499 | 9026 | ||
Ⅳ | 15513 | 9031 | ||
Ⅴ | 15521 | 9048 | ||
Ⅵ | 15524 | 言及せず | ||
Ⅶ | 15527 | 9052 | ||
Ⅷ | 15532 | 9056 |
話間 | 前回からの回数 | 前回からのアルバイトの回数 |
---|---|---|
Ⅱ→Ⅲ | 1 | 1 |
Ⅲ→Ⅳ | 14 | 5 |
Ⅳ→Ⅴ | 8 | 17 |
Ⅴ→Ⅵ | 3 | ? |
Ⅵ→Ⅶ | 3 | ? |
Ⅶ→Ⅷ | 5 | 4 |
1.バイトを2回以上している
1シークエンスで2回バイトしたという説。しかしこの前の盆踊りの説明で「パターンが」と説明しているのでこの回数はアルバイトの回数ではなく、アルバイトを行ったパターンのシークエンスの数とも考えられる。
さらに原作ではその後「二種類以上が重複したパターンは三百六十回。順列組み合わせによるパターンは--」と長門の説明が続く。つまり1シークエンスで2回以上バイトしてても1回と数えているのである。
また他ではバイトを行わなかったシークエンスも多数ある(例えばⅢ→Ⅳは14回シークエンス中5回しかバイトに行っていない)にもかかわらずこの話の間だけ激増してるのは不自然である(平均して5分の3ほどしかバイトに行ってないにもかかわらずこのシークエンスだけ2倍以上)。
2.長門の数え間違い
長門もやっちゃうことがあるという説。
3.長門がバグった
後日の「消失」に繋がるかもしれないという説。
4.制作のミス
一番しょうもないパターンの説。
なぜ15532回なのか
なぜアニメ版では15532回の数なのか。哲学者・三浦俊彦東京大学教授によればジョン・ケージ作曲しの『Organ²/ASLSP』という曲にあるらしい。この曲は639年に渡って演奏する曲なのだが、この639年が15日間×15532回=638年と110日とほぼ639年に一致する。
その上、原作の15498回に17を2回足すと15532回(アニメ版の回数)だがさらに17を足すとぴったり639年になる(15532回+17=15549回 15549回×15日=233235日 233235日÷365=639年)。
前述のループ日数を15日ではなく14日で計算したのはこれを見破れないように隠したのかもしれない。
余談
- アニメ版のアテレコは(これも原作の設定どおり)毎回新録だった。そのため、ハルヒ役の平野綾のように「(元凶であり、1人だけループに気づいていない存在のため)毎回同じ演技をする」ことを目指していた者もいれば、キョン役の杉田智和のように「毎回違う演じ方やアドリブを盛り込む」ことで視聴者を退屈させない遊び心を入れていた者もいた。
- 公式サイトのエンドレスエイトの予定実行は原作準拠。確率で×が付いていたりついていなかったり。
- キョンの妹役のあおきさやかは「キョンくんでんわ~」のセリフを言うためだけにアフレコに通い続けた。
- 8話のトータル分で、劇場版「涼宮ハルヒの消失」に近い長さになる。
他作品でのループもの
「楽しい学園祭の前日」という同じ一日をレギュラーキャラが延々と繰り返し続ける世界に囚われるという実験的な内容でループものアニメの元祖となった押井守の「ビューティフル・ドリーマー」と構成が似ており、最大の元ネタとしてよく比較される。なお、涼宮ハルヒシリーズのゲーム化作品である「涼宮ハルヒの約束」「涼宮ハルヒの戸惑」もループを扱った作品である。
他作品は「ループもの」の項目を参照のこと。
ストーリー全体がループしているのではなくエンドレスエイトの様にあるストーリーの間のみ時間がループしている作品も存在しており、2000年に放映された未来戦隊タイムレンジャーのCase File 35にて、滝沢直人ことタイムファイヤーが体験している。
直人が変身アイテムにDセンサーを取り付けられた時点から、
- Dセンサーのセット、および説明を聞く
- 竜也と会い、病院に行く
- 竜也から、入院している子供(泰治くん)を励ますよう依頼される
- 子供の「明日なんて来なければいい」というフレーズとともに、病院がハッキングされる
- 川沿いのトタン屋根の小屋で、ハッキングの犯人であるロンダーズと遭遇
- ロンダーズの最初の攻撃で壊れたDセンサーとロンダーズのとどめの攻撃の化学反応で「時が巻き戻る」
という一連の出来事が直人が何をしようが必ず何度も何度も繰り返されたが、最終的に竜也ことタイムレッドがこの化学反応を起こす原因にとどめの攻撃を阻止することで無限ループから脱することができた。(太字部分は、視聴者目線の全ループで確認できた出来事)
- エンドレスエイトでは、SOS団メンバーの中で同じ時の繰り返しにハルヒだけ気づいてなかったが、こちらではタイムレンジャーのメンバーの内、気づいていたのは体験者の直人だけだった。(そもそもが、こちらで直人が無限ループに陥った原因はDセンサーに起因するものなので、他のみんなは端的に言えば、このループを作るパーツに過ぎなかったのかもしれない…)
- エンドレスエイトではハルヒが納得いく形のエンディングを作らないと終わらなかったが、こちらは一連の出来事の連鎖を無関係の誰かが止めれば終わらせられた。
滝沢直人「長い1日だった…。」