檀黎斗王
だんくろとおう
「私は檀黎斗。だが、オーズの力を手に入れ、その名前は過去となった。
今の私は……檀黎斗王だァァァァァ!ハァッハッハッハァァァ!」
概要
『仮面ライダージオウ』EP09・EP10にて登場する檀黎斗の新たなる名称の一つ。
エグゼイドの物語が消滅した後、タイムジャッカーのウールによりアナザーオーズとなった檀黎斗が自称している。
「王」の名の通り、金と黒の豪華絢爛な衣装に身を包んでいる。
一般的感覚からすると「王」は人の範疇であるため「神」よりも下に感じるが、本人曰く「神を超える王」とのことなので、本人的には「神すら支配下とする王様」というつもりなのかもしれない。他作品でも従来登場していた「神」より格上扱いの「王」の名称が付けられた存在は少なくない。
アナザーオーズの能力の一部として、意に添わぬ者にセルメダルを投げつけることで屑ヤミーに似た怪人(※テレビ朝日公式サイトの表記)に吸収させ奴隷にする力を有する。また、依り代なしでもセルメダルを自在に屑ヤミーに似た怪人に変えることが可能(割る必要はない)。
活躍
変身後の姿であるアナザーオーズも参照。
- EP09「ゲンムマスター2016」
2018年に城にとある国会議員を拉致し、自身が社長を務める「檀ファウンデーション」の日本からの独立を宣言。
テレビを見て興味を持ったソウゴ達が城外で屑ヤミーと戦っていることに気付き、三人と対面して自慢げに名乗った流れでアナザーオーズに変身する。
明光院ゲイツには「魔王」、ソウゴ以外の人間を王とは認めないウォズには「僭称者」と呼ばれ、ツクヨミからは「なんかこいつヤバそう」と警戒心を持たれる始末だったが、王を目指すソウゴだけは彼に興味を示し、自分が王様になる為の勉強をしようと接触。それに対して黎斗王も「自分が王として君臨する以上、彼が王になるのは無理。私を見ていればいつか諦めがつくだろう」という考えから敢えてソウゴが家来になる事を許可する。
一方、檀ファウンデーションの服飾部門に勤務している泉比奈には「ゾンビ」をテーマに自身の衣装を作らせようとしたが、黎斗王の強引なやり方に反抗される。逆に彼女を気に入り妃にしようとしたが、抵抗されたため投獄。
彼女が入れられた城の牢屋には、黎斗王が誘拐し人質にしたというある国会議員も幽閉されており……。
- EP10「タカとトラとバッタ2010」
前話でゲイツを退けたソウゴを王室直属の騎士団長に任命して「ポチ」と名づけ、自身は日本の独立のみならず全ての人間を支配してこの国の頂点に立ち「檀黎斗大王」となる野望を膨らませていく。
そんな中、比奈が拉致した国会議員・火野映司と共に脱獄。映司は黎斗王の横暴を止めようとするも、王道を邪魔する者としてソウゴと屑ヤミーに映司達を任せ、その場を去った。
しかし、「良い魔王になるための勉強」の為にわざと軍門に入っていたソウゴは映司の「たくさんの人と手を繋ぐ」という理念に共感。逆に黎斗王の「下等な人間は自身に触れる事すら許されない」と言う傲慢な態度には嫌悪感を抱かれ、反旗を翻されてしまう。
アナザーオーズに変身してソウゴを始末しようとするが、咄嗟に映司がソウゴを救助。
その後は比奈の活躍で城外まで吹き飛ばされてしまい、ジオウがアナザーオーズが誕生した2010年へ向かうのを許してしまう。
2010年、黎斗はスランプに陥ってしまい当時の社長だった正宗を見返す事が出来ず、逆に正宗に強いプレッシャーを掛けられていた。欲望を曝け出してヒステリーを起こしていた所で時間が止まり、「神の力を手にした」と勘違いしたところに現れたウールにアナザーウォッチを埋め込まれ、アナザーオーズに変貌していたのだった……。
(ここから先の結末はアナザーオーズの記事を参照)
オリジナルからの改変
OOOの時代(2010年~2011年)はエグゼイドの時間軸で見ても重要な年代であるため、エグゼイドの歴史が消滅したことで檀黎斗の歴史・思想も変わっている様子。
一方で父親である正宗のことは、エグゼイドの時と同様本作でも「パパ」と呼んでいるなど共通点もある(この呼び方を進言したのは岩永氏とのこと)。
具体的にはバグスターが誕生しなかったことで、「究極のゲーム」を思いつくことが出来なかったことが最も大きいだろう。
小説『マイティノベルX』によれば黎斗は2000年時点(中学生時代)で既にヒットゲームを何本も生み出した天才ゲームクリエイターであったが、檀コーポレーションは幻夢コーポレーションとは異なり「国内シェアトップ」等とは明言されていないことから、ある種ゲーム会社として「一発屋」になってしまったと思われる。
自らの思想を実現するバグスターウイルスが無ければ、生命すら操る「神」の力もまさに幻の夢であり、黎斗は2010年時点で「神の才能」が限界に達してスランプに陥り、プレッシャーを与えてくる父親を(表面上すら)見返すことができなくなっていた。
「私なら出来る!私は不滅だ!私の神の才能に不可能は無い!
何故なら!私は天才で、やがて『檀黎斗神』を名乗る男なのだからぁぁぁ!」
なお、正史で黎斗に初めての嫉妬や屈辱を味わわせた永夢のファンレターはバグスター等とは関係ない永夢個人の行動であることから、歴史改変の影響を受けたかどうかは不明。一応、永夢の幼少期の家庭環境は父親の仕事の都合もあるが、ファンレターの前後ではバグスターウイルスが関わり始めているため、永夢サイドは正史と家庭環境が多少は変わっている可能性もある(アナザーエグゼイドの歴史では心構えも原典に近い状態で医者にもなっているため、父親が医療関係者とはいえ、少なくともあちらの歴史ではファンレターと例の事件があった可能性は高い)。
正史と同じくとてつもない程の歪んだ欲望を持ち、挙句の果てに「王」を自称する辺り、黎斗自身の傲慢な本質は変わっていないようにも思われるが、原典ではゲームマスターとしての才能を崇められたい「自己顕示欲」が強かったのに対し、こちらは人々の上に立つ「権力欲」「支配欲」の塊であり欲望のベクトルが大きく変わっている。
この変化に関してエグゼイド本編の視聴者からは「正宗の血が表面化した姿」と評されたほか、アナザーオーズの力を手に入れた際にウールが告げた「惜しいなぁ、君の才能をゲームなんかに使うなんて。世界の王になってよ」という台詞も関係している事が本編で示唆されている。
裏を返せば、これらの事実から「己の才能を他者に誇示するという自己顕示欲」に突き動かされ、前番組の顔出し出演からマイティノベルXまで突っ走り続けた『エグゼイド』正史における檀黎斗が様々な人やバグスターウイルスとの巡り合いや、「自分を叱ってくれる存在」に出会えたことなど、いかに多くの出会いと危ういバランスの元に成り立っていたかを己が身を以って証明したともいえる。
余談
黎斗王の衣装は、岩永氏が聞いたところによれば織田信長のような和洋折衷のイメージとのこと(『アニメージュ』2018年12月号より)。
『OOO』とは劇場版にてクローンが登場した縁があり、『ジオウ』第9話冒頭でも偉人としての彼が紹介されている。
「岩永氏」がオーズ編に出演という事から、彼が登場するとわかるまで岩永洋昭氏が演じる伊達明が登場すると思っていたファンもいた様子(その伊達さんは後に登場するのだが)。
エグゼイド原典における檀黎斗の当初のキャラクターや再登場のタイミングは今とは違うものだったのだが、 初のテレビドラマ出演とは思えない岩永氏の怪演により大幅な路線変更が行われたという経緯がある。
そのことからジオウにおける檀黎斗王の扱いを「路線変更前の檀黎斗」のそれであると考察する者もいる。
彼が「王」を担当し、オーズの本来の変身者である火野映司も登場するため、時の王であるジオウを含めて「王×王×王」で「オーズ」になるともとれる。これを意図したのか、EP09のラストカットは分割された画面に3人の笑顔が並ぶというものであった。
実は歴史改変の影響でレジェンドキャストが仮面ライダーの記憶を失っていく中、檀黎斗はエグゼイドの歴史と共に仮面ライダーとしての記憶を失った後に再び仮面ライダーやアナザーライダーと関わってその存在を認識しており「一度は切れた仮面ライダーとの接点が再び繋がった」唯一のレジェンドキャストとなっている。
加えて、原典における檀黎斗も人知を超えた未知のコンピュータウイルスをきっかけにその神の才能を目覚めさせ、本編終了後も暗躍を続けていたことから、ジオウの世界の檀黎斗も一連の経験をバネに再起し、究極のゲームに負けずとも劣らない新たな何かを作り出してくれる事を期待している声は未だに強い。
発表時
当初第EP09・10分のオリジナルキャストは黎斗のみが発表されており、本来の変身者・火野映司とヒロイン・泉比奈の登場は予告放映まで完全に伏せられ、あたかも「檀黎斗のみが登場する」かのようなミスリードがなされていた。
関連雑誌でも黎斗のみを取り上げ、撮影バレ等のイリーガルな情報漏洩すら無いという徹底ぶりである(一部から出演情報のリークはあったが、火野映司役の渡部秀が同時期の同制作会社の別番組に出演中だったこともあり、話を聞いた者も半信半疑であった。結果ガチバレとは捉えられず、EP09の予告放映後、視聴者が大騒ぎになったのは言うまでもない)。
サプライズの成功には、過去『ジオウ』に出演したライダー役のキャストは全員2週以上前に出演が告知されていたこと・主役のオリジナルキャスト出演が叶わなかった作品の存在による視聴者の先入観もあるが、何より本家『OOO』キャストを差し置いての単独登場もやりかねないと思わせてしまう黎斗の強烈なキャラクター及び公式からの扱いが、カモフラージュとして打ってつけだった点に他ならない。公式が黎斗の扱いを逆手に取ってきたとも言える(後に東映公式サイトで、サプライズは映司を演じた渡部秀氏の意向であったことも明かされた)。
余談も余談だが、この黎斗王によって黎斗の女性の好みは「叱ってくれる女の人」であるらしいことも判明した。
原作『エグゼイド』では、幼い頃に母親を亡くした件が側から見れば異常な倫理感を持つことに繋がっていたことや、その母親のデータを受け継いだデータ生命体が度々彼を母親のように叱り、黎斗も彼女を大切に扱っていたことを考えると割と妥当なのかもしれない(また『マイティノベルX』で明かされた過去によれば、幼少期から叱られてこなかったことが彼の人格形成に大きく影響があった可能性も示唆されている)。
なお、公式で行われた『君が選ぶ!欲しいDXライドウォッチ大投票タイム』ではレジェンドライダーゲーマーを除き、映像作品に登場したゲンムのほぼ全てのフォームが中間発表のトップ20位まで生き残っていた。この件について、岩永氏はTwitterで「モルモットのパワーはすごいね!!」とコメントしている。
ちなみに、そのトップ20位の中にはちゃっかり父と母もランクインしていたりする。よってエグゼイド勢はこの面子だけかつ1/4を檀一家が占めていることになる。
だが、「DXライドウォッチスペシャルセット」ではゲンム関係のライドウォッチはラインナップされなかった。
しかし、その後発表された「DXライドウォッチスペシャルセット2」にゾンビゲーマーのライドウォッチがランクイン。見事コンティニューを果たした。
関連タグ
檀黎斗:『エグゼイド』第30話以前の活躍等はこちらを参照されたし。
新檀黎斗:『エグゼイド』第30話~第42話の活躍等はこちらを参照されたし。
檀黎斗神:『エグゼイド』第42話以降、映画、Vシネマでの活躍等はこちらを参照されたし。
鏡像の城戸真司、栗原天音、矢車想:同じくアナザーライダーに変身したレジェンドキャスト達。
ゲンムライドウォッチ:本来の歴史で変身するはずだった仮面ライダーゲンムの力を宿したライドウォッチ。所持していたが2018年に紛失しゲイツに奪われる。
800年前の王︰小説仮面ライダーオーズのアンクの章にて仮面ライダーオーズに変身する王。一部では檀黎斗王という名前は彼が由来ではないかと言われている。
仮面ライダーブレイド:仮面ライダーゲンム以外でかつて檀黎斗が変身したライダーの一つ。キングフォームという強化フォームがある。
超テンション社長Yes!:30分前の世界の前期EDの歌詞のワンフレーズ。たとえどんなに歴史が変わろうと、彼程この言葉が相応しい者はいない事に変わりは無いだろう。
オーマジオウ:彼の目指した「神を超えた王」に最も近い存在……かもしれない。