概要
オリジナルの模倣品・代替品が、オリジナルとは別の魅力・需要を持ち、個性として確立してしまう現象。
コンセプトが同じなのに、作品の世界観や立ち位置によって別キャラ化する現象だ。
作中での「焼きそば」を食べたいときと「カップ焼きそば」を食べたいときは違う。これらは既に別の食べものという話から。
ラーメン、カップラーメンを例えに使わないのは、語感をより強めるためだろう。
オリジナルと模造品が別物になるケース
「カップ焼きそば」は「焼きそば」の模造品だが、「焼きそば」と「カップ焼きそば」は年を重ねるごとに別の進化を遂げてゆき、それぞれが別の加工食品になっている。
似たような例は、特に食べ物関係(「カニ」と「カニカマ」、鳥肉と「がんもどき」、「バター」と「マーガリン」が今は別の食べ物)でよくあり、創作作品では、元々パクリ(もしくはオマージュ)だったのが、そのうち別の個性を獲得して全く別人と化す場合がそれに当たる。変身前と変身後が別のキャラとして人気を確立したケース、一時的に登場させたオマージュキャラがファンによって作られた二次設定で掘り下げられ、オリジナルをほったらかして有名になったケースを言う。
キャラクターの例
- アルセーヌ・ルパンのライバルとしてモーリス・ルブランが創作したシャーロック・ホームズのパロディキャラハーロック・ショームズ(エルロック・ショルメと表記されることも)が、性格や設定、外見もホームズと差別化され別人に(しかし、日本語訳のルパンものではショームズはホームズと訳されてしまうことが多く、原作のホームズを知る人には違和感を感じさせる結果となっている)。
- KOFのボスキャラ「ゲーニッツ」が一瞬女体化しただけの存在だった「ゲニ子」が、二次元でキャラ付けされてそれぞれ別のキャラに。
- ポケモン初代の主人公「レッド」のアニメ版キャラだった「サトシ」が別人に
- 「ロックマン」の海外版だった「Megaman」が全くの別キャラとしてゲームに登場
- 凪白みとが描いた「江風(アズールレーン)」と「白上フブキ」がアズールレーンで共演
- 『FREEDOM_DiVE↓』に登場するくらんてとセルフアレンジ曲に登場するスカイフェザー。両者ともに作曲者(セルフアレンジの方は更に別の作曲者が関係している)が一緒。
ゲーム、スポーツの例
- 「テイルズオブシリーズ」と同じスタッフが基礎を作った「スターオーシャン」がそれぞれ別方向に進化
- 「モンスターハンター(携帯機)」のオンライン版だった「モンスターハンターフロンティア」が別物に
- 「マクロス」や「ダグラム」のコピーだった戦闘ロボット群「メック」が、「バトルテックシリーズ」として展開を続けた結果、現在まで続く独自のコンテンツとして成立
- 「ゴルフ」の簡略版として作った「ゲートボール」「パークゴルフ」が全く違う層向けのゲームに
- 「マージャン」の簡略版として作った「ドンジャラ」が違う種類のゲームになる
- 「サッカー」の室内版競技として作られた「フットサル」が全く別の進化を遂げる。
もはや作者じゃないとモチーフに気付かない例
- 「ナポリタン」をヒントに作られた「メトロポリタン美術館」
- 「かりあげクン」をヒントに命名された「からあげクン」
- 「長州力」をヒントに命名された「消臭力」
- 自身が住んでいた沿線の私鉄「小田急」をヒントに命名された「オバQ」
- 後付けで「マンガドローイングアプリケーション」というルビを振られ、略称が同じソフト(MedibangPaintPro)が作られた「mdiapp」
あ、もう好きにしてください。
pixivにおいて
pixivでは、外見のよく似た別のキャラクターを並べて描いているイラストに付けられる。似たような外見・性格・設定を持つキャラを並べた場合や、元ネタとパクリ(オマージュ)キャラを並べることが多い。
- 同じような見た目のキャラは世の中に数多くいるが、「それぞれの作品・世界観ごとに違った魅力がある」こと、また「単に性質が似ているだけのキャラを読者が勝手にオマージュだと断定する行為は双方に失礼」だということを留意しておく必要がある。
このため、現在のpixiv百科事典の記事におけるカップ焼きそば現象のタグは本来の意味合いが薄れ、単に「似て非なるもの」 「他人の空似」といった意味合いでの使用例が非常に多くなっている。
- 「似ている」と感じるかどうかは個人の判断によるが、稀に作者自身が意識していたと言う場合や元ネタであると公言する場合もなくはない(例・葛城ミサトのデザインの元ネタは月野うさぎ)。逆に世間が似ていると指摘するが、作者が違うと公言する場合もあったり、双方同じ作品のオマージュなのに、片方が有名になりすぎたため、時期的な問題でパクリなどと風評被害を受ける例もあった。
- 同じ作者・キャラクターデザイナーが関わっているもの(例:則巻アラレとルッカ)は含まれない。
厳密には、ただ外見や性格が似ていたり、中の人が同じというだけではカップやきそば現象に当てはまらない点に注意を要する。
しかも、最近では例えば「髪の色や髪型が似てるだけ」というだけでカップやきそば現象だと持ち出すユーザーが非常に増えており、はたから見れば「全然似てないじゃん」という感想を持たれることも少なくないため、同タグの乱立にならないように控えよう。
また、アニメ化に伴い、原作同士だと似ても似つかないのに勝手に似たような風貌にされた例も多い。
具体例
各リンク先を参照。
- ※エンターテインメント作品のジャンル一覧 / 世界観 / 萌え要素
※元々は「現実」の延長線上の表現だったり、一つの作品の特徴(その作品にも影響元があるが)だったのに、一つのジャンルと化してしまったものが多い。
文化論・生物においての解釈
本来、同じ文化をもっていた人間の集団(社会)が、別の場所に移り住むことによって環境の変化により徐々に変化することがある。
移り住んだ土地の気候や風土に対応しようとしたり、あるいは元々いた原住民の文化を吸収するという「ニーズの違い」によって直感的には全く違うものと認識できるレベルの変化を起こすことはしばしばある。
たとえば、インドとイランの神話は元々共通のものであった。民族が大陸を移動した際に、イランに定住したものとインドに定住したものによって生活に「必要とされるもの」「欠乏するもの」などが変化したために、信仰する神(正義の神)と敵対する神(悪する神)が各々分かれた結果と考察されている(インド神話の神を表すデーヴァは、イラン神話ではダエーワと呼ばれ悪の存在だ)。
結果として、神話という起源を同じくするものが全く別のものとして確立するに至った訳だ。
そうでなくても、日本人がアメリカに帰化した際に生活スタイルが変化したり、外国の人が日本で生活する際に「日本で入手できるもの」「必要なものの代替」「日本で求められる態度・礼式」という変化から、その土地での生活のために変化する現象は普通にある。
生物の進化も、言い方を替えれば「環境のニーズが変化したから、スタイルを変える」という風に言うこともできる。
「環境の変化に適応する」とは「求めるニーズが替わったから、それに合わせる」というものであったりする。
そのため同じ種の生物集団が隔離され、一方は変化しないもののもう一方が別の道をたどり結果として大進化(完全に別種として確立するレベルの進化)を遂げるケースは生物学的にも多々見られる。
このように、起源を同じくするものがニーズの違いによって変化する「現象」はいたるところにある。
その中において、起源を同じくするキャラクターが別々の世界観や背景を持つことで変化するというのはある意味で必然でもある。
逆に、別々に進化したのに似たような生物相をもつオーストラリアの有袋類のように、‟全く違う起源からスタートしても、同じものになってしまう”という現象(収斂進化)も起こる。これはカップやきそば現象においても当てはまるため、安易な起源認定・同一視には注意が必要だ。
関連タグ
そっくりさん 他人のそら似 似たもの同士 共通点 完全に一致