解説
「スペースオペラ」とは、宇宙を舞台にした冒険活劇である。個人的な冒険ばかりでなく、戦争のような大規模なものも含む。
現在ではやや解釈を広げて、「宇宙を舞台とするSFのうち、科学考証よりも娯楽性を優先した作品」を指す。
科学は障害?
何故娯楽性にとって科学考証が障害となるのか。
例えば宇宙の戦闘をSF(サイエンスフィクション)としてサイエンスの視点で見てみよう。すると「空気が無いため炎や煙が出ず、爆発が非常に地味」「音が他の戦艦や戦闘機まで伝わらない」など、エンターテイメントとして重要な要素が欠落してしまう。そのため、特に映画やアニメの場合は科学的考証を無視せざるを得ない。
他にも、宇宙戦艦が攻撃で破損し傾斜し始めると、床も傾いて乗員がスッ転んだり(そもそも無重力空間で傾斜も何もあったものではない)、キャノピー一枚隔てて真空であるにもかかわらず宇宙服も着ずに戦闘機に乗るなど、突っ込みどころもかなりある。
とはいえ、これらの不都合や非科学的要素に納得のいく説明をつけることは「SF」のひとつの醍醐味である。また、科学考証がなされていないのではなく、多くの場合は徹底した考証の上でストーリーや演出といった娯楽性を重視した結果「あえて無視されている」ことも忘れてはならない。基本的には十分な科学考証の基、演出上必要なものを拾い上げながら物語は紡がれていく。
『STARWARS』シリーズを監督したジョージ・ルーカスがインタビューの際に語った「I can’t suddenly have spaceships flying around without any sound anymore because I’ve already done it.」などは、そうした特徴を端的に表しているだろう。
さらには、『レンズマン』『キャプテンフューチャー』『火星シリーズ』など古典的なスペースオペラの多くは当時の科学技術にあわせて考証されていることも理解しておくべきだろう。現在の我々の眼からみて荒唐無稽であるからといって、その諸作品を「科学的に正しくない」と断じるのはいささか不公平ともいえる。
スペースオペラの魅力
しかしそんな小難しい事は考えずに見るならば、その壮大さと大迫力には他ジャンルと一線を画す物がある。たとえば、
- 広大な宇宙空間に浮かぶ巨大構造物
- 光速で飛んでも数年~数万年以上もかかる広大な世界を舞台として使える
- 光年単位の移動を一瞬で解決するワープ航法
- 重力から解き放たれた挙動を活かしたバトルアクション
- 地球とは違う惑星、太陽系とは違う星系、そしてそこにある未知の生態系や物理条件の違いから来る特異な現象
- 宇宙という、全く違う生活環境によって生まれる新人類や、他の惑星から来た異星人との交流
こうして、SFの中でも特に宇宙を扱った主要なジャンルの一つとしてスペースオペラは多くの作品を生み出してきた。
歴史的背景
語源は、石鹸会社がスポンサーにつくタイプのありふれたメロドラマを揶揄した「ソープオペラ」から。使われ始めた当初は「またお定まりの大宇宙戦争だぜヤレヤレ」といった侮蔑的なニュアンスを多分に含んでいた。
「ホースオペラ(西部劇)」が元とも言われ、こちらは馬と拳銃の代わりに宇宙船を駆り光線銃を構えたヒーローが活躍する(安っぽい)冒険活劇という意味である(ゲーマーのための読書案内20080213)。
現代では「宇宙SF」とほとんど同義で用いられるケースも多い。
また世間的には徹底的に考証されたハードSFと見なされていても、作者自身はスペースオペラであると分類している場合もある。
「スペースオペラ」作品
「原作」を基準として記載する。
海外作品
「スタートレックシリーズ」
「スターゲイトシリーズ」
「スターウルフ」
「ペリー・ローダン」
「レンズマン」
「バビロン5」
「惑星大戦争」
「ジェイムスン教授」
「パズルガールズ」
日本:アニメ・マンガ・特撮
「宇宙戦艦ヤマトシリーズ」
「宇宙のガズゥ」
「機動戦士ガンダムシリーズ」
「超時空要塞マクロスシリーズ:マクロス」
「コブラ」
「マップス」
「敵は海賊」
「機動戦艦ナデシコ」
「AKB0048」
日本:小説・ライトノベル
「妖精作戦」
「銀河英雄伝説」
「星界の紋章」
日本:ゲーム(同人も含む)
「R-TYPE」
「スターオーシャンシリーズ」
「無限航路」
「Almagest」