概要
少年漫画などの王道を行く冒険物語では、主人公とその仲間達が、悪の親玉だったり乗り越えるべき最大の壁だったりするラスボスを倒して完結する。
しかし、数々の作品が作られていく中で、当然そうした構造にひねりを加えたものも作られるようになった。
いわゆる、「物語の主人公なんだけど、人格や立ち回りが(特に物語終盤にて)ラスボスっぽい」状態。
つまり、ラスボスというと「世界を攻撃する・滅ぼそうとしている」「世界を支配しようとしている」「主人公に立ちはだかる、劇中における最強の敵」といった要素があるのだが、本来ラスボスが持つべきそうした要素をもつ主人公も時折いる。
ちなみにラスボスっぽい主人公とはいっても、主人公が「最後に戦う敵(正しい意味でのラストボス)」も別に用意されていることも多い。
ラスボス系主人公と呼ばれる場合によくあるケース
圧倒的な強さを持つ
最後の障壁であるラスボスたるもの、圧倒的な強さを持っていなければならない。
よくある冒険物語では、「力で勝るラスボスを、仲間達との絆・連携や作戦で勝利する」「主人公が奇跡の力・進化をするまではラスボスの方が強い」など、単純な力では主人公よりラスボスの方が強いことが多い。
なので、主人公が普段から圧倒的な強さを持っていると、逆に主人公がラスボスみたいなこととなり、立ち向かう敵の方に同情したくなる場合も。
精神的に完成しており、覚悟を決めている
ラスボスは、犠牲を出してでも・(私欲か大望かはそれぞれだが)人から悪と言われても叶えたい目標を持っていることが多い。
なので主人公が(主に終盤に)なんらかの決意・目的を秘め、自分の命は勿論、ある程度の犠牲も受け入れて歩む場合、当然犠牲がでる側から見れば「悪役」であり、「主人公」「ラスボス」が両立する。
要素としては哀しき悪役とも似ている。
将来、「世界の敵」になる?
SFやファンタジー作品にて、予言・予知・未来予測・未来からのタイムスリップによる警告などで、将来の主人公が、将来「世界を滅ぼす」といった危険な存在になることが分かっている場合。
こうした物語の場合、普通の主人公がいつどこでどうやって危険な存在に転じるのか、またそれは回避できるのか否かが話の肝となりスリリングな展開を生む。
「世界の敵」になることを選ぶ
童話『泣いた赤鬼』での青鬼のように、自分があえて悪役になることで目的を達成するもの。
悪役(ラスボス)を買って出ることで、民衆・人物達の一致団結を狙ったりする場合など。
『コードギアス反逆のルルーシュR2』が有名なこともあり、こうした展開について「○○レクイエム」と例えられることもある。
「魔王」
まおゆうのように魔王を主人公としたり、主人公が「異世界転移・転生」により異世界での魔王になったりする作品が2010年代以降激増した。
作品数の増加により、魔王である主人公も良心的な性格ではなく、私欲で行動したりなんらかの理由で人間を攻撃・蹂躙したりとラスボスらしいものもある。
よくラスボス系主人公と言われるキャラクター
※物語終盤のネタバレ注意。
漫画原作
“新世界”を目指し、デスノートを用いて多くの犯罪者・自分の障害・不利益となる者の殺害を行っていく。
英国王立国教騎士団「ヘルシング機関」に吸血鬼でありながら所属し、人間に味方(臣従)し、吸血鬼やナチス、イスカリオテ機関の神父を狩るスゴ腕のハンター。
あまりにも強いため、敵側が彼を倒すために挑んでいるような感じになっていた。
何かと土俵上での奇行や暴言が目立つ横綱で、自身が敗れたら引退すると宣言。角界すべてを敵に回しながら連戦連勝し、結局本場所では負けずじまいであった。
終盤、始祖の巨人の力を手にしたエレンは、パラディ島以外の全てを踏み潰す地鳴らしに出る。
世界のあらゆるものを踏み潰していく光景は人々にとって悪夢だった。
麻雀漫画の主人公……なのだが、この二人に関しては強すぎるが故に彼らの視点、心情が描かれるのでは無く、向かい合って麻雀をしている相手か、周囲の観戦者らの視点で物語が進むのが殆ど。「バカな!何故そんな待ちで!」「何なんだこいつは」と戦慄するのも相手側か観戦者、場合によってはナレーション。そして仮に相手に勝利を確信するような引き・運・待ちが来ていたとしても「御無礼」「来たぜぬるりと」「意外と臆病だな」などの言葉と共に大逆転の和了(アガリ)を決め、相手を奈落の底へ突き落とす。
アニメ
終盤、“悪逆皇帝”を名乗り、世界中の人々の憎しみを自分に集め自らを討たせることで歴史のリセットと再スタートを狙った“ゼロレクイエム”を行った。
無論世界は恒久平和になったわけではないが、紅月カレンは「色んな憎しみや悪事はほとんどあなた一人に押し付けられて。(中略)でも、だからこそ、皆は過去にとらわれず先に進めるのかもしれない。もちろん、色んな問題は残っているけど。それでも――――」と述べている。
ゼロレクイエム後の1年間は、人類史上、戦争がなかった「奇蹟の明日」として後年評価された。
4つの次元の物語にて、遊矢の体内に宿っていたズァークの意識が顕現。
ラスボスとしてモンスター「覇王龍ズァーク」を操り、勝ち続けるためにデュエリスト達を圧倒した。
小説
初登場時は一般人どころかその残り滓にすぎないトーチという存在であった。しかし偶然手に入れたミステスという特性と、ヒロインと数々の戦いを共に経験していくうちに成長。
終盤にて自らの意思でラスボス的存在と融合し、ヒロインと旧友達の前に立ち塞がった。
特撮
「世界の破壊者」。並行世界を行き来し、仮面ライダーの世界を“破壊”して再構成していく。
破壊者ゆえに他の仮面ライダーから敵視され、終盤、自分が破壊者と自覚した士は、ディケイド激情態として仮面ライダー達をカードに封印していく。
- 千翼(仮面ライダーアマゾンズseason2)
溶原性細胞の発生源となるオリジナルであることが判明し命を狙われる結果となるも、本人は「生きたい」という思いを抱いた末に…。
将来、「最低最悪の魔王オーマジオウ」になると言われた少年。
終盤、アナザーディケイドとの戦いで自身がオーマジオウになる道を選び…。
人工知能搭載人型ロボ・ヒューマギアを主力とする大企業・飛電インテリジェンスの若き社長。
物語終盤、今作のヒロインたる秘書型ヒューマギア・イズを滅と言うヒューマギアに破壊され、その悲しみや怒り、憎しみから新たなるアーク(ゼロワンにおける絶対悪・悪意の化身)へと覚醒。仮面ライダーアークワンに変身し…。
ゲーム
黒幕「遥けし彼の地より出る者」の理解を得るべく障害となる「三種の神器」の能力を奪う。
斎祀を乗っ取り「血の螺旋に狂うアッシュ」となる。
お互いが憎しみあっているだけでなく、世界を相手に戦争を吹っ掛けることも平気でやっている。
謎の多かった主人公だが、物語終盤にて自身の正体が神であり世界に厄災をもたらす存在であることが判明。最終決戦を終えた後、今までの仲間に見守られながら自ら封印されることを選択した。
ほとんどの作品のストーリーにおいて、最初のステージとともに最終ステージ「ナンデモアリ」の担当として様々な姿で登場するが、最近の作品だとガチガチのラスボスとして登場するように…。
なお、そもそもの初登場はスーパーマリオランド2 6つの金貨におけるラスボスである。
ラスボス系ヒロイン
ヒロインがラスボスを務めるケース。
主人公とヒロインに愛憎がある場合が多く、いわゆるヤンデレ的なキャラクターが多い。
またギャルゲーの場合、攻略する難易度が一番高いヒロインのことも指す。キャラクターに関しては個別記事で参照。
関連タグ
まるでラスボスのようだ ※主人公です どう見ても悪役 チートキャラ