Kong(モンスターバース)
もんすたーばーすのきんぐこんぐ
概要
モンスターバースシリーズにおけるキングコング。第2作『キングコング:髑髏島の巨神』で初登場し、以降ゴジラと並ぶシリーズの主役として活躍している。
グレイト・エイプと呼ばれる類人猿型の怪獣(タイタン)の一種で、学名はタイタヌス・コング(Titanus kong)。赤道直下の東太平洋に存在する髑髏島に棲息し、多くの巨大生物で構成された生態系の頂点に君臨し、先住民であるイーウィス族からは守護神として崇められている。
劇中はおろか各作品のタイトルにおいても一貫して“コング”と呼称されており(ただし『髑髏島の巨神』の邦画版におけるタイトルは“キングコング”と表記)、今のところ明確に“キングコング”と呼称されたことは一度もない。
これは恐らく、モンスターバースの世界には絶対的な力を持つ怪獣の王:ゴジラが君臨していることが関係していると思われる。
※以下、各作品の一部ネタバレを含みます
DATA
特徴及び生態
全体的な外見はゴリラに似ているが、最大の違いは体格である。最初に存在が確認された1973年時点で既にシロナガスクジラ並みの巨体を誇っていた(歴代では2番目の大きさ)が、当時のコングはまだ成長途中の亜成体(人間でいえば青年期、ゴリラでいえばまだブラックバックくらい)であった。51年後の2024年ではその3倍以上の巨体にまで成長を遂げており、歴代キングコングでは最大の身長となった(しかしながら後述の彼の両親に当たる個体達は73年時点の彼と変わらない体格だった模様)。
歩行形態も大抵の霊長類のような四足歩行ではなく、我々人類のような直立二足歩行で行動し(東宝版と同様)、その外見からむしろ猿人にも見える。とは言えその巨体から、長距離を疾走する際は多くの類人猿と同じナックルウォーキングによる四足歩行となる。
体毛の色はゴリラのような黒ではなく、むしろサバンナヒヒに似た茶褐色で、成長につれて顎部分などの体毛がさながら髭のように伸びている。胸部には、かつての戦いで負ったと思われる3本の引っ掻き傷がある。
他の霊長類とはいつ頃から分岐したかは不明だが、モンスターバースにおける地球では過去にワオキツネザルに似た怪獣サイズのキツネザル(参照)が棲息していたらしく、早い段階で既知の種とは異なる進化を遂げた種族の完成形と言える存在なのかもしれない。
食性は多くの類人猿と同じく雑食性とされるが、劇中では今のところ動物質の餌を食べる様子しか確認されておらず、肉食寄りの雑食なのではないかと考えられる。
後述の因縁からスカルクローラーをはじめ、縄張りである髑髏島の調和を乱す者には容赦なく攻撃を加える一面も持ち合わせているが、基本的にはゴリラのように温厚かつ慈悲深い性格で、時折見せる穏やかな顔つきや怒り顔など、喜怒哀楽がはっきりとして表情がとても豊かである。そのため、劇中では時としてコミカルな役回りを宛がわれることも。
イーウィス族も入植当初は他の生物と同じく脅威の一つとして恐れていたが、その事実を知ってからは共生関係を築き、自分達に安全な生活をもたらしてくれる守護神として崇拝している。
良くも悪くも自由奔放な一方、極めて誇り高い気質の持ち主で、例え怪獣達の王とも言える存在の指示であってもまず聞くことはなく、長年彼の研究に携わってきた人類言語学者アイリーン・アンドリュース曰く「コングは誰にも屈しない」と述べている。
かつて島内には多数の個体が棲息していたものの、地殻変動により地上へと這い上がってきたスカルクローラーとの長年にわたる生存競争の末、大型哺乳類故の繁殖力の低さが仇となったのか、イーウィス族の祖先が最初に髑髏島に入植した頃にはコングの両親2頭しか生き残っていなかった。その両親もコングが生まれてすぐにスカルクローラー達の強襲を受け、死闘の末に彼を守り切るが致命傷を負って他界している(これらの設定は国内未発売のアメコミ『Skull Island:The Birth of Kong』にて明かされている)。
そのため島内ではコング一頭が生息するのみとなっており(参照)、彼が死んだ時点でタイタヌス・コングという種族は絶滅が確定するという悲しい宿命を背負っている…かに思われたが、それはあくまで地上の個体群に限った話であり、『ゴジラvsコング』では怪獣達の起源とされる地下空洞世界にはまだ生き残り若しくは近縁種がいる可能性が示唆され、『新たなる帝国』でコングの同族が未調査の地下世界に数多く生き残っていたことが判明した。
能力
ゴリラ同様に前足が発達しており、成長後ではパンチ一発でマグニチュード4.2に達するという凄まじい腕力を誇る。格闘能力も優れており、複数体の相手に不意打ちを受けてもすぐに反撃し叩きのめす、威嚇してきた相手を反撃の隙を与える間もなく一撃でノックアウトする、そして曲がりなりにも多くの従者を持った歴戦の戦士である個体とほぼ互角に渡り合う等、同族の中でも凄まじい戦闘能力をもっている。
ただ、ゴジラなどの爬虫類型怪獣と異なり鱗による装甲がないためか防御力に欠け、人間の銃撃には難なく耐えるものの、ゴジラの熱戦には掠っただけで火傷し転倒。またゴジラが正面から食らっても大した影響がなかったシーモのフロストバイトブラストで重度の凍傷を発症し、戦闘不能に陥っている。
また、他の怪獣と比較して熱戦や電撃などの目立った特殊能力も持ち合わせていないがこれらを補う最大の武器は霊長類の特徴である高い知能と器用な手である。
例として樹木を引っこ抜いて棍棒や槍のように扱う際も、空気抵抗が少ないよう邪魔な枝や根をむしり取るなど、「道具を加工して使う」といった知能の高さが窺える。また、狩りを行う際にも予め仕掛けておいた罠に得物をおびき寄せて仕留めるといった行動を取ることもできる。
また、イーウィス族出身の聴覚障害を抱えた少女・ジアを介して手話を習得しており、彼女とは非常に正確な意思疎通を取ることができる。
コング以外では、地下空洞世界に生息していた個体群が古代人並みに高度な文明を持ち合わせていたらしく、2024年に初めて行われた調査では彼らによって築かれたと思われる宮殿が発見され、更にはゴジラの同族の背鰭と骨で造られた斧・通称コングアックスまでもが確認されている。
後に発見された他の種族も同様の文明を持っており、タイタヌス・コングを含め、グレイト・エイプという種族はその発達した知能を武器に他の怪獣達と渡り合っていたらしい。
『新たなる帝国』では片方の歯が虫歯になり、モナークの基地で抜歯と人工歯の移植を受けた(獣医のトラッパー曰く「エッフェル塔だって噛み砕ける」)。
ゴジラとの因縁
1973年に発見されてから46年間、同じく怪獣の一種でMONARCH設立のきっかけとなったタイタヌス・ゴジラとは特に接点はないと思われていた。
ところが2019年、髑髏島に怪獣達の起源があると推測したMONARCHによって島が再調査された結果、地下の洞窟でコングとゴジラの同族と思われる怪獣同士の太古の戦いを描いたとされる、衝撃的な構図の壁画が発見された。それを皮切りに、世界各地で似たような古代の絵画が発見され、日本からもとある二人の神が対峙する絵をゴジラとコングに置き換えた作品が発見されている。
KOMの後日談となるアメコミ『ゴジラ:ドミニオン』によると、遥か昔ゴジラの縄張りにして家(住処)だった島が、当時のコングの先祖(の別個体)との激しい縄張り争いの末に敗北して追放されたことがゴジラの回想において判明している(この島は髑髏島とは別である模様。なお、後にこのコングの別個体は別のタイタンに殺されたか否か不明だが既に死亡しており、地下空洞内に頭蓋骨だけが遺されていた)。
さらに起源を遡るとこのコングの先祖も元々は地下空洞世界の住人であったが、彼らを信奉する古代民族に唆されて当時地下空洞世界を支配していたタイタヌス・ゴジラに反逆するようになり、その身体の一部から斧など武器を作り出したり、挙げ句には本来はゴジラのみに利用が許されていた地球そのもののエネルギーにまで手を出すなど、その暴走の度合を深めていった。
だが彼らの増長に遂に激怒したゴジラ達はタイタヌス・モスラと共に徹底的な反撃を開始、やがてタイタヌス・コング達は地下空洞世界を追放され、エネルギーの乏しい地上へと追いやられたといい、実質的に髑髏島はタイタヌス・コングにとっての流刑地でもあった。
以来ゴジラはタイタヌス・コングという種族を好敵手として警戒し、髑髏島にこそ近付かないものの、もし彼らが島の外に出れば縄張り侵害と見做して容赦なく殺すつもりでいるらしい。
更には、地下空洞世界に生息していた邪悪な欲望を持ったグレイト・エイプの一個体が、過去に群団を率いてゴジラのテリトリーの一部である地上にまで支配の手を伸ばそうとして衝突していたことを伝える記録も見つかった。最終的にゴジラによって彼らは一族ごと地下世界の奥深くに封印されたが、この戦いからコングの先祖のみならずグレイト・エイプすべてがゴジラから敵と見なされている可能性もある。
しかし、その末裔であるコングは物心付く前に両親を失って天涯孤独の身となり、誰からもそういった過去の経緯を教えられることが無かったため、自身とゴジラの関係についてはほとんど知らなかった。
劇中での活躍
※以下、公開中のものを含めた各作品のネタバレ注意
髑髏島の巨神
太平洋戦争真っ只中の1944年に、髑髏島に迷いこみながらもなおも死闘を繰り広げていたハンク・マーロウと碇軍平の前に争いを諫めるかのように突如出現し、2人を驚愕させた。
1973年、人工衛星により髑髏島を発見し、調査に赴いたランドサット・MONARCH・米国陸軍第三強襲ヘリコプター部隊「スカイデビルズ」からなる調査隊が、地質調査の名目で多数のサイズミック爆弾を投下し森を破壊したことに激怒して襲撃、全ヘリコプターを撃墜し多くの犠牲者を出し、生存者の一人であるスカイデビルズの指揮官プレストン・パッカードから憎悪されることになる(後に一行と合流したマーロウも述べているが、コングからしてみれば縄張りを荒らした余所者に対して正当防衛を行ったに過ぎず、しかもこの余波で地下に潜んでいたスカルクローラー達が地表へと出てきてしまうことになる)。
その後はヘリとの戦いで負った傷を癒すために入江に訪れ、水分補給とともに、獲物を待ち伏せしていたリバー・デビルを逆に返り討ちにして捕食したのち、地表に出て狩りをしていたスカルクローラーの掃討を行っていた。また、調査隊に同行した戦場カメラマンのメイソン・ウィーバーとは、撃墜したヘリの下敷きになっていたスケル・バッファローを共に助けたことで心を通わせることになる。
その後、復讐を目論むパッカードの罠にはまってナパームによる火攻めに遭い、倒れ込んだところを時限爆弾で爆殺されそうになる(意識を失ったのは火傷によるダメージではなく、一度の呼吸で大量の酸素を吸うために、ナパームによって周辺の酸素が大量に燃焼されたことで酸欠状態に陥ったため)。それを阻止しようと現れたウィーバー達の説得も受けパッカード以外の兵士たちは説き伏せられたが、爆発の余波で両親の仇でもあるスカルクローラーの大型個体スカルデビルが出現、皆が撤退する中で尚も一人その場に残って自身を抹殺しようとしたパッカードを葬り、スカルデビルに応戦することになる。
通常個体よりも強靭な巨体と俊敏性を誇るスカルデビルに苦戦するも、調査隊の加勢もあって形勢を立て直し、難破船のスクリューをメリケンサック代わりにしてスカルデビルの喉を引き裂く。この戦いの余波に巻き込まれ川に落ちたウィーバーを救うも、まだしぶとく生きていたスカルデビルに彼女ごと右腕を飲み込まれそうになるが、渾身の力を振り絞って逆にその舌ごと内臓を引き抜き、遂に勝利する。
ウィーバーを解放した後は、島を去る調査隊に向けて「ここへは二度と近づくな」と警告するかのようにドラミングを行い雄叫びを上げた。
それから22年後を描いた後日談『Skull Island:The Birth of Kong』では、少なく見積もって身長60m前後とこの時の倍近くまで成長を遂げている。
同作では調査隊の生存メンバーであるヒューストン・ブルックスとサン・リンの息子で、数名の仲間達と共に髑髏島に赴いたアーロン・ブルックスの前に現れ、当初は自身を見下していた彼の認識を改めさせている。
キング・オブ・モンスターズ
MONARCHにその存在が確認されてから46年が経過した2019年では、直接登場はせずライブ映像という形で登場する。
南極に眠っていた宇宙由来の外来種ギドラが覚醒し、彼によって世界各地の怪獣たちが復活・暴れ回る中、コング自身は縄張りである髑髏島の外のことには一切興味がなく、そもそもゴジラとギドラの両種を王として認めていなかったこともあって、そのまま髑髏島に留まり暴れまわっていたスカルクローラー等の他の怪獣たちの対処に当たっていた。
エンドロールでは、髑髏島が怪獣たちの起源と考えて再調査に訪れたMONARCHによって、前述した壁画が発見された。
しかし、後日談となる2021年を描いた『Kingdom Kong』では、服従しなかったことを恨んだギドラの呪いかのように、ギドラの呼びかけに応じて地下空洞世界から這い上がってきた怪獣・カマソッソが、髑髏島を新たな縄張りにするために、生前のギドラが太平洋上に残した嵐を呼び寄せて襲来するというとんでもない事態が発生する。
死闘の末に何とかこれを撃破したコングだったが、嵐はその後も島に消えることなく残り、髑髏島のイーウィス族はジア以外全滅するという最悪の結果となり、彼の王国は壊滅的な被害を被ることとなってしまった。
ゴジラVSコング
カマソッソへの苦い勝利から3年が経過した2024年、未だに止まないギドラの嵐で髑髏島の生態系が崩壊してしまったため、ゴジラからの保護も兼ねてMONARCHが島内に設置した第236前哨基地に収容されることとなる。以降は立体映像によりかつての島の環境に近づけたドーム内で飼育され、アイリーンが責任者として彼の研究・監視を担っていた。
同じく一族最後の生き残りとなってしまったジアとは心を通わせる一方、紛い物でしかない窮屈な牢獄を作って自分を閉じ込めたMONARCHへは苛立ちと不信感を募らせており、樹木を投擲して基地の天井を壊すなど、荒れた態度を見せるようになっていた。アイリーン達も既にコングを基地内で保護できないことは理解していたが、彼を他の地域に移動させればゴジラを呼び寄せて戦うことは確実だったため、それでも施設内に留めて置く他がなかった。
そんな中、大手テクノロジー企業エイペックス・サイバネティクスとの合同調査を依頼されていた元職員の地質学者ネイサン・リンドから、コングの遺伝子に刻まれている帰巣本能を利用して「怪獣達の本来の生息環境である地下空洞世界にコングを移送する」計画が持ちかけられる。
アイリーンはエイペックス社がコングを兵器として利用しようとしていると考え最初は反対するも、これ以上はこの髑髏島で彼を養えず、安住の地である地下空洞に移動させるしかないと解っていたことから最終的には承諾。
コングは鎮静剤を注入する特殊な拘束具で拘束され、慣れ親しんだ髑髏島から地下空洞世界の入り口のある南極まで、ゴジラの活動域を避けながら海上輸送で移送されることになる。
仮にゴジラに気付かれた場合、「戦いになればどちらかが服従するまで終わらない」と確実に殺し合いに発展することが危惧された。
その後は順調に南下を続けるが、タスマン海沖にて遂に察知してきたゴジラの襲撃を受ける。応戦しようにも四肢を拘束されていた状態だったために身動きが取れなかったが、ネイサンの機転で拘束を解かれてゴジラと初めての戦闘を開始する。しかし海上で足場は護衛艦隊の甲板上のみという、陸上生物のコングにとっては不利な戦場となり、水陸両用のゴジラによって次第に追い詰められ、尻尾を巻き付けられて海底深くまで引きずり込まれそうになるも、間一髪のところで爆雷の投下でゴジラが怯んだ隙に脱出する。その後はネイサンが全艦隊のエンジンを停止させる「死んだふり作戦」でゴジラが撤退したことで事なきを得る。
しかし護衛艦隊は全滅し、艦のエンジンを再始動させればゴジラが戻って来て同じ展開になるのは明白だったためこれ以上の海上輸送は不可能となり、ネイサンの発案で大量の輸送ヘリにぶら下げられたネットに乗せられた状態で南極まで移送させられることとなった。
南極到達時は初めての雪と寒さに動揺し、地下空洞世界への入り口に入るのを躊躇ったが、ジアを介してアイリーンから「あの先に同族が住まう真の故郷がある」と説得され、生まれて以来一度も会ったことのない同胞を求めて遂に地下空洞世界へ突入する。
そして地下空洞世界に到達後は、重力反転やワーバットの襲撃などといったトラブルに見舞われながらも、帰巣本能に従いながら空洞飛行探査船ヒーヴに乗り込んで同行した調査隊と共に順調に突き進んだ末に、かつて先祖達がが築いた宮殿に辿り着く。残念ながら既に宮殿は廃墟と化しており同族の姿を見つけることはできなかった。だが、そこで打ち捨てられていた斧・コングアックスを手に入れたコングは、此処こそが自分の真の故郷だと悟ったかのように玉座に座った。
しかし斧を遺跡の祭壇に収めた結果、図らずもゴジラの命の源である地球の核エネルギーを操作してしまい、香港へ上陸後にそれを察知したゴジラから、今までで最大レベルの放射熱線を地上から地下空洞世界まで放つというとんでもない挑発行為を受け、宮殿が崩壊するという災難に見舞われる。これに激怒したコングは、その核エネルギーを勝手に地上に転送した挙句にジア達を殺そうとしたエイペックス社の重役マイア・シモンズ(更に崩落する宮殿から脱出しようとした際に出口を遮っていたとはいえコングを銃撃した)を乗っていたヒーヴごと握り潰して処刑すると、斧を片手にゴジラの熱線で掘り進められた大穴を通って地上世界へ移動し香港へと脱出。二大怪獣による王座を賭けた決戦の火蓋が切られた。
二戦目はタスマン海での戦いと違い、高層ビルを飛び交いながら熱線をかわし、エルボードロップやドロップキックなどの肉弾戦や斧による攻撃などで互角の勝負を繰り広げる。熱線には苦しめられたが、地下空洞で手に入れた斧は受けた熱線を吸収して威力を増す効果があり、ゴジラの熱線を防ぎつつゴジラの頭部に斧を炸裂させることに成功、二戦目は勝利(ネイサンの目測)を勝ち取った。
しかしゴジラには決定打とはなっておらず、程なくして起き上がったゴジラと三戦目に突入。ビル影に隠れて背後から強襲することに成功したが、二戦目の最後の攻撃で斧は手元から無くなっており、更にゴジラに噛みつきからの振り払いによって高層ビルに叩き付けられた際に左肩を脱臼するなど次第に追い詰められ、噛みつきや爪による攻撃を幾度も受け、遂には何万tもの体重で踏みつけられたことで心臓に大ダメージを負って意識を失ってしまい、三戦目は完敗を喫する結果となった。
そのまま心肺停止の危機に見舞われたコングだったが、地上に戻ってきたネイサン達が自分達の乗ってきたヒーヴをAED代わりとして自爆させた電気ショックによって意識を取り戻す。
目覚めた彼の目に映ったのは、髑髏島が滅ぶ遠因となったギドラの死骸を用いてエイペックス社が開発したメカゴジラ(残留意思が覚醒したギドラに乗っ取られた状態の)によって、ゴジラが一方的に痛めつけられているという衝撃的な光景であった。ジアから「敵はゴジラではなくてあっち(メカゴジラ)」と説明を受け、本能的にメカゴジラが「調和を乱す存在」だと悟ったコングは、脱臼した左肩を再び近くのビルに叩き付けてはめ直すと、ゴジラを追い詰めるメカゴジラに戦意を向けながら介入し、トドメの一撃を食らわされそうになっていたゴジラをギリギリで救うとそのまま共闘してメカゴジラとの戦闘を開始する。
昨晩まで敵対していたのが嘘だったかのような連携を行う両者だったが、昨晩の戦いのダメージの影響とメカゴジラの圧倒的な力の前にすぐに追い詰められる。しかし、エイペックス社に潜入していたマディソン率いるチームの一人であるジョシュ・バレンタインの機転(制御システムのコンピューターにウィスキーをぶっかける)でメカゴジラとリンクしている制御システムがショートさせられたことで、メカゴジラが機械のバグを起こして一瞬怯んだ隙に、機転を利かせたゴジラにより熱線で強化された斧で猛反撃しメカゴジラの全身を切り刻んで大破させ、最後はその怪力でメカゴジラの頭を神経ケーブルごと引き千切り、完全に機能を停止させることに成功する。
戦いが終わり満身創痍になりながらも、接近するゴジラに対して戦意を失わず斧を掲げるコングだったが、ゴジラは攻撃する素振りを見せなかった。それを見たコングは斧を捨て、ゴジラもまた雄叫びを数度上げると踵を返し、静かに南シナ海の海中へと泳ぎ去っていった。
その後再び地下空洞世界へと帰還したコングは、ジア達に真の故郷に辿り着けたことを喜ぶ仕草を見せながら、新たな王国にて雄叫びを響かせるのであった。
ゴジラxコング:新たなる帝国
新たな故郷となった地下空洞世界で狩りと縄張りの防衛に明け暮れる日々を悠々自適に暮らしていたコングだったが、同じ種族の仲間がいない状況は変わっておらず自身が孤独であることを実感させられる度にどこか物悲しい感情を隠せない日々が続いていた。
虫歯の治療をモナークの基地で受ける為に一度地上に出て抜歯と人工歯の移植を受けたある日、住処に帰ったコングは以前狩場に仕掛けていた落とし穴が未探索の地域に繋がっていたことを知る。そこに何者かの気配を感じ、コングアックスを片手に足を踏み入れたコングは同じ種族のタイタン、グレイト・エイプの群れに襲撃される。これを返り討ちにしたコングは、その中でまだ子供である個体・スーコに彼らの住処までの道案内をさせた。道中、スーコに騙されて湖で海蛇型のタイタン・ドラウンヴァイパーに襲われるも逆にこれを仕留め返し、その場から逃げ出したスーコを叱ることなく狩った獲物の肉を分け与えたことでコングはスーコから信頼されるようになっていった。
長旅の末、たどり着いたコングを待っていたのは雄と雌、子供から老いた者関係なく恐怖と暴力の前にひれ伏しながら重労働を科せられているスーコの同族たちという衝撃的な光景だった。そして運んでいる大岩を落とした個体を痛めつけた監督のグレイト・エイプを躊躇なく殴り伏せた彼の前に、彼らを暴政の元に支配している邪悪な王・スカーキングがその姿を現した。
コングの銀歯を見て、突然現れたよそ者が歯抜けである事を笑ったスカーキングは、他のグレイトエイプたちにも彼を笑うよう強制する。周囲から怯えながらの笑い声があがる中、態度が気に入られず威嚇されたスーコを老いたグレイト・エイプが彼を庇った。するとスカーキングはその懇願を受け入れたかと思いきや、彼を溶岩の中に蹴り落としてしまう。
彼が家族だったのかあるいはそれに並ぶ関係だったのか、自分を庇ってくれた者を目の前で葬られて嘆き悲しむスーコ。それを見て怒りが爆発したコングは、彼らを嘲笑いながら苦しめるスカーキングに戦いを挑んだ。しかし、戦闘経験の差と背骨で作られた鞭・ウィップスラッシュを使いこなすスカーキングは思いのほか強く、更には相手が切り札として従えていていた白い巨体を持つ伝説のタイタン・シーモを見せしめのように差し向けられる。コングはシーモが放った冷凍光線・フロストバイトブラストをコングアックスで必死に防ぐも、右腕が凍りつき組織や神経が傷ついた重度の凍傷を負ってしまう。武器を持てなくなりとどめを刺されそうになった瞬間、コングはスーコが見つけた抜け穴を通ってその場から撤退。自分の縄張りまでなんとか逃げ、事前に仕掛けていた罠へ追っ手を誘導するが、罠をワン・アイに見破られ、窮地に立たされる。スーコが罠を起動させたことで追手をどうにかやり過ごしたものの、コングは最早安全ではなくなった住処から離れざるを得なくなってしまう。
スーコに支えられながらコングがたどり着いたのは、かつて共に共存しながらもジアを残して全滅したはずのイーウィス族が大勢で暮らしている集落だった。彼らはスカーキングが再び侵攻を始めようとしていることを察知しており、かつてその軍勢に立ち向かい今は地上の世界で王者として君臨しているゴジラに向けて救難信号を発していた。その発信源を追って来たアイリーン博士らモナークの調査部隊と合流したコングは、共に地下の世界に来ていたジアに「故郷を失った」と胸の内を伝えた。事の自体を理解したものの地上からの救援を呼べない状況下の中、アイリーン博士はある事を思い出す。
前作の事件の後、モナークはメカゴジラに匹敵する脅威が現れた際に備えてコングを人工の外骨格で強化する計画を立てていた。最終的には計画は凍結となったものの、その際に作られた試作品がスカーキングに破壊されていた前線基地の倉庫に保管されていたのだった。ダメージを受けた右腕に基地から回収された身体強化システムB.E.A.S.T.GLOVE(ビースト・グローブ)を装着されたことで再び戦えるようになったコングは、地上にまで支配の手を広げようと侵攻を始めたスカーキングを止めるべく因縁の相手であるゴジラと再び共闘することを決意する。
エジプトのピラミッドの麓に出現したポータルから地上に出たコングは迫る戦いに備えて進化をしていたゴジラを呼び寄せるように雄叫びを上げた。そしてゴジラが到着するとポータルに入るよう指示をするコングだったが、全く聞く耳を持たれないままゴジラに襲われてしまう。
- フォローしておくと、この時ゴジラを呼びつけるのに使った雄叫びは「アルファコール」と呼ばれるタイタンへの命令権であり、タイタンの王であるゴジラ以外が使用することは必然的にゴジラへの宣戦布告になる。
- さらにゴジラからすれば、コングとの関係は互いに領域に干渉しない限り続く休戦状態であることに加え、スカーキングの襲来を警戒してかなり気が立っている時である。そんな状況で領域を侵害された上に、かつての敵に喧嘩を売られたような立場であるため、ゴジラが怒って攻撃してきてもおかしくない行為でもあった。
説得を諦めたコングはゴジラと格闘を繰り広げた末に強化された腕力に任せて頭部を殴りつけ、尻尾を引っ張りながら気絶したゴジラをポータルに入れようとした。しかしゴジラは直ぐに目を覚ましてしまい、放射熱線でピラミッドが両断される程の猛反撃を開始。追い詰められたコングは香港での戦いの時と同じく胸を踏みつけられ、そのまま熱線でとどめを刺されそうになってしまう。しかし、間一髪のところでジアの願いを受けて復活したモスラが駆け付け、ゴジラはようやく落ち着きを取り戻した。共闘の準備が整い、コングはゴジラとモスラと共にスカーキングの魔の手が待つ地下空洞世界へ向かう。
地上へ通じるポータルが複数あるイーウィス族の集落に侵入していたスカーキングの軍勢の前に降り立った両者は、先程まで争っていたのがウソのように共に敵の軍団に向かって突撃。コングはゴジラの背中からスカーキングに、ゴジラはシーモに向かって飛び掛かり、壮絶な対決が幕を開けた。侵攻を足止めするためにイーウィス族が行った重力操作で、戦いの途中コングたちは空中に浮きながらの戦闘を余儀なくされる。空中に浮いた岩を飛び交いながら殴り合い、スーコとモスラによる援護と元に戻った重力によってグレイト・エイプの兵士が脱落していく中、スカーキングはシーモと共にポータルに突入。コングもゴジラとその後を追った。
ブラジルのリオデジャネイロに出たコングは、そこで念願の地上進出を果たして喜びのまま暴れまわるスカーキングに歯が抜ける程の一撃を加えた。自分と同じく歯抜けになった相手をコングは鼻で笑い、ゴジラと共に戦闘を再開する。その中でスカーキングはウィップラッシュをゴジラに破壊され、残されたシーモを操る力を与える刃を巡りコングとの取っ組み合いとなる。必死の抵抗を受け、腕で首を絞めあげられるコング。そこに地下世界からスーコがコングアックスを持って駆け付け、刃を破壊したことで形成が逆転。コングは怒ってスーコを掴んだスカーキングを殴り飛ばし、ゴジラが尻尾で野球のごとく打ち返したところをキャッチ。追い詰められたスカーキングはシーモに命令をするも、苦痛による支配から解放された彼女が従うはずもなく逆に自身が氷漬けにされてしまう。そして最後にコングは片目を除いて身動き一つすらできなくなったスカーキングを地面に叩き付けて粉砕。数千から数万年に渡って同族を自らの欲望の為に苦しめてきた邪悪な王に引導を渡した。
戦いが終わり、コングはスーコとシーモと共に残されたグレイト・エイプたちの元に帰還。スカーキングを倒し、シーモを優しく撫でる様を見て暴君からの解放を悟った彼らは、コングを一族の新たな王として向かえ入れた。
こうしてコングは、新たなる「故郷」と幼い頃に失った両親以来となる同族の仲間たちを手に入れたのであった。同時にその姿をもってして「王」としてもスカーキングに完全勝利する事となった。
余談
- 第2作はアジアを背景上の舞台としたためかコンセプトアートの段階では、2005年版コングの先祖であるギガントピテクスの毛並みをしたチンパンジー的なデザイン性が見られ、『猿の惑星』リブート三部作のシーザーや、『進撃の巨人』の獣の巨人とよく似ていた(参照)。
- ギガントピテクスとの関連性を思わせたり、かつての住民を他の生物から守った設定や、種族を宿敵に実質的な絶滅状態にさせられたが、その宿敵の舌を引っこ抜いて倒すという展開は、2005年のキングコングと似ている。
- 2005年版では、壁を作りキングコングと友好的な関係を築いたのは、映画に登場した原住民の以前にいた別の部族である。
- モーションキャプチャを演じたノタリー氏とケベル氏はそれぞれ『猿の惑星』リブート三部作にて、メインキャラであるチンパンジーのロケットとボノボのコバを演じている。同シリーズでは2005年版コングや2014年版ゴジラを演じたアンディ・サーキス氏が主人公シーザーを演じており、二人は彼から類人猿の動きなどを学んだらしい。
- サーキス氏が2005年版でコング役とランピー役を兼任したように、ケベル氏も第2作ではジャック・チャップマン役を兼任している。
- 第4作公開以前の初期設定では、身長約117.3メートル(385フィート)とより巨体に設定されていた(参照)。
- スマホゲーム「ゴジラバトルライン」にて早くもコラボとして最高レア度で参戦。フィールドが髑髏島のときに第3勢力で出現することも。強力なアタッカーであると同時にリーダー怪獣でもあり、リーダー時にはコングアックスを用いた必殺技「アース・ブレイク」が使える。
- 第4作での輸送中にマグロらしき大量の魚を餌として与えられる嫌なフラグを立て、結果としては敗北したが、本作でヴィランにフェイタリティを決めたのはコングであった。
- 実際メカゴジラへの勝利は結果として、髑髏島が滅ぶ遠因となったギドラや自身を利用したエイペックス社への復讐を果たし、何よりメカゴジラによって5年前の「神々の目覚め」が再び引き起こされる事態を防いたので、コングが正真正銘のキングコングに上り詰めたと称賛するファンも多い。
- ちなみに、脱臼をはめ治すシーンは「リーサル・ウェポン」シリーズの主人公:マーティン・リッグス刑事の特技のオマージュ(ただしこちらは右肩)であり、エンドクレジットの権利表記に「リーサル・ウェポン2」がクレジットされていた。また、これ以外にも様々な同作の小ネタが用意されていたらしいのだが、権利の関係などもあってか大多数が没になった。
- なおシリーズの映画に登場すると必ず食事シーンが描写され、2作目:リバー・デビル、4作目:上記の魚、5作目:ドラウンヴァイパーと何故か毎回水棲生物を食べている。なお水浴びシーンも必ずある。
- 第5作でアルファコールを安易に使っていたことから『KOM』でギドラのアルファコールを無視したのはギドラを王と認めていなかったのではなく、そもそもアルファコールがどういうものなのか分かっていなかった可能性が浮上した。