私は、死だ。私は、神に愛されしものを殺さねばならぬ。
……我が名はサリエリ。いいや。違う。私は、私は誰なのだ……
プロフィール
真名 | アントニオ・サリエリ |
---|---|
クラス | アヴェンジャー |
性別 | 男性 |
身長 | 181cm |
体重 | 65kg |
出典 | 『灰色の男』、モーツァルト暗殺伝説など |
地域 | 欧州 |
属性 | 混沌・悪・地 |
好きなもの | 音楽 |
嫌いなもの | モーツァルト |
設定担当 | 桜井光/異聞帯用設定:奈須きのこ |
ILLUST | PFALZ |
CV | 関俊彦 |
独り言が多い。ジャンヌ・ダルク・オルタや巌窟王とは波長が合う(と本人は思っている)。
ファントムとは波長が合わない。マリーの前では借りてきた猫のように大人しくなる。
概要
『Fate/Grand Order』に登場するアヴェンジャークラスのサーヴァント。レアリティは☆3。
第2部1章『永久凍土帝国 アナスタシア』に登場し、同章クリア後にストーリー召喚に追加される。
アマデウスと似通った仮面をつけた男。当初はアマデウス・オルタとしてその姿を現すが……?
奏章Ⅱ『不可逆廃棄孔 イド』では、ジャンヌ・オルタや平景清同様に、カルデアの彼が現地の一般人に憑依した形で登場。高校の音楽教師として主人公をサポートすることになる。
真名
イタリア出身の作曲家にして音楽家、「アントニオ・サリエリ」。
アマデウス同時代の音楽家として活躍し、その才能で神聖ローマ帝国の宮廷楽長にまで上り詰めた人物。ベートーベンやリストなど、数々の音楽家を育成した教育者でもある。
しかし、とある時期から「才能を妬んでアマデウスを殺害した」という事実無根の噂が流れ、民衆の間に広まってしまった。その結果、サーヴァントとして召喚されたサリエリは伝説に大きく影響された「無辜の怪物」と化した。アマデウス殺害の真犯人疑惑や『灰色の男』などの伝説・伝承を出典とした復讐者となっており、その在り方は生前から大きく歪められている。
人物
一人称は「私(わたし)」、外装展開時は「我」。
異形の仮面と鎧「慟哭外装」を纏った復讐者の英霊。平時は人間的な性格や意思が介在せず、マスターの命令に従い対象を速やかに仕留める優秀なサーヴァントであるという。
しかしアマデウスが近くにいると暴走、彼を殺害することに固執し意思疎通も困難になる。
また子供を避ける傾向にあり、彼らと触れ合うことに消極的な態度を見せる。
厳密に言えば、このサーヴァントはアントニオ・サリエリ本人ではなく「灰色の男」「モーツァルト暗殺伝説」といった醜聞・風説・デマがサリエリの形をして混ざり合ったもの。彼自身も「サリエリの殻を被った“人間の悪意の化身(かいぶつ)”こそ自分である」と自称する。
これまでの「無辜の怪物」スキルを持つサーヴァントたちが、英霊としての基盤があるうえでスキルに影響を受けていたのに対し、彼はこのスキルがあって初めてサーヴァント足り得る。
完全にサリエリの要素がないわけではなく、その霊基の中に「サリエリの自我」が混在しているらしい。本来の彼は穏和で思慮深く、真面目で落ち着いた性格の持ち主であることが窺える。子供を愛する熟練の教育者であり、数々の音楽家を育て上げた人格者であった。あまりのギャップに「怪物」としての彼を見慣れた人間からすると、戸惑いを覚えて霊基の異常を疑うほどである。
霊基の第1段階では「慟哭外装」を纏った仮面の怪人、第2段階では外装を纏っていないサリエリ自身の姿、第3段階では第1の意匠がさらに刺々しくなり怪物じみた形態へ変貌する。
またこの「慟哭外装」は遠隔操作が可能であるようで、幕間ではサリエリ本体が指揮をする最中にピアノの伴奏も流暢に弾けていることからそれなりの精密な動作ができる様子。
能力
立ち絵で持っている十字の長剣のような武器は「慈愛の剣(ミゼリコルデ)」と呼ばれる剣であり、本来瀕死の重傷を負った兵の介錯に使われるもの。劇中ではこれを使った戦闘を主体とする。
実は彼の標的とは霊基レベルで密接な関連を持っており、アマデウスの霊基に存在の危機が訪れるとサリエリの霊基は生前の音楽家としての側面を取り戻す。逆を言えば、万一にアマデウスが消滅した場合、その時点で「復讐の怪物サリエリ」も存在意義を失い、程なくして消滅してしまう。
モーション中では、「慈愛の剣」による剣術の他、剣を突き刺した状態で魔力を流し込んだり、バイオリンのように鳴らして斬撃を飛ばしたり、魔力による爪で引き裂いたりしている。
また、楽団を模した使い魔を召喚して、演奏に合わせて剣や槍、銃で攻撃させる。
因みに攻撃中に流れるSE音楽は全て史実のアントニオ・サリエリが作曲した曲から取られており、スキルやアタック時のメロディーは「レクイエム・ハ短調」より「怒りの日」「想い給え」、エクストラアタック時のチェンバロのメロディーは「ピアノ協奏曲ハ長調:第一楽章」の後半で流れる1フレーズである。
ステータス
マスター | 筋力 | 耐久 | 敏捷 | 魔力 | 幸運 | 宝具 |
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藤丸立香 | B | C | A | C | B | C |
本来なら戦闘に耐え得る肉体を持たないが、それを「慟哭外装」を鎧うことで補っている。
そのお陰で高い攻撃能力と敏捷性を獲得しているが、外装の力が強まることは風評被害の影響も強まるということを意味するので、サリエリをより怪物に近付けることも意味する。
保有スキル
復讐者(C) | アヴェンジャーのクラススキル。人の恨みと怨念を一身に集める在り方がスキルとなったもの。周囲からの敵意を向けられやすくなってしまうが、向けられた負の感情は直ちにアヴェンジャーの力へと変化する。 |
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忘却補正(B) | アヴェンジャーのクラススキル。人は多くを忘れる生き物だが、復讐者は決して忘れない。忘却の彼方より襲い来るアヴェンジャーの攻撃はクリティカル効果を強化させる。復讐者の中ではランクは平均的。 |
自己回復(魔力)(C) | アヴェンジャーのクラススキル。復讐が果たされるまでその魔力は延々と湧き続ける。微量ながらも魔力が毎ターン回復する。やや高ランク。 |
無辜の怪物(EX) | 生前の行いからのイメージによって、後に過去や在り方を捻じ曲げられ能力・姿が変貌してしまった。生前のサリエリは誰をも殺してはいない。だが、後年に流布された暗殺伝説が世界へと浸透するにつれ、アントニオ・サリエリは無辜の怪物と化す他に無かった。本来は別個のスキルである「自己否定」が融合し、一種の複合スキルとなっている。 |
慟哭外装(A) | サリエリは反英雄としての外殻・外装を纏う。これは、モーツァルトについての記録にしばしば登場する「灰色の男」――1791年7月に現れて「レクイエム・二短調」の作曲を依頼したという死神の如き存在と混ざり合い、習合したが故の能力である。戦闘時には、サリエリは自動的にこれを身に纏い、殺戮の戦闘装置として稼動する事となる。 |
燎原の火(B) | 呪わしい程に広まっていった風聞、モーツァルト暗殺伝説の流布は正しく、燎原の火の如くであったと云われる。アヴェンジャー・アントニオ・サリエリは、自らを生み出したに等しい人々の悪意、中傷、流言飛語、デマゴーグ、おぞましき囁きを自らの力とする。対象とした集団の精神を忽ち弱体化させる他、強烈な精神攻撃としても機能する。対象が魔術的防御手段を有していなければ、自死させる事も可能となる。 |
おぞましき燎原の火(A+) | 「燎原の火(B)」が変化したスキル。詳細不明。 |
宝具
至高の神よ、我を憐れみたまえ(ディオ・サンティシモ・ミゼルコディア・ディ・ミ)
- ランク:C
- 種別:対軍宝具
- レンジ:1~20
- 最大捕捉:50人
「行くぞ、公演の始まりだ!」
「我は死だ……我は神に愛されし者を殺すのだァ!『至高の神よ、我を憐れみたまえ(ディオ・サンティシモ・ミゼルコディア・ディ・ミ)』!!」
一箇の生物にとっては制御不能なまでに巨大な殺意を圧縮し、凝固させ、更には魔力と混ぜ込む事で、精神と肉体の双方を蝕む破滅の曲を奏でてみせる。言うなれば、敵陣営限定のほろびのうた。生前のアントニオ・サリエリが決して持ち得る筈のなかった、無辜の怪物たるサーヴァント――アヴェンジャークラス・サリエリだけが有する、絶技にして音楽宝具である。
詳細は該当記事を参照。
ゲーム上での性能
アヴェンジャー初の☆3。《Quick:1/Arts:2/Buster:2》のセイバー型カード構成。
宝具と合わせて自前でArtsチェインを狙うことも可能。スキルはハロエリ以来二人目となる「無辜の怪物(EX)」、Arts強化の「慟哭外装(A)」、防御力ダウンの「燎原の火(B)」とアヴェンジャーらしく攻撃的な構成。なおいずれも効果は回数制という珍しい特徴を有している。
第1スキル「無辜の怪物(EX)」は「自身に毎ターンスター獲得状態を付与(3T)&クリティカル威力アップ(3回/5T)」を付与する効果。最大まで強化すれば毎ターンスターを10個獲得、クリティカル威力を30%(クラススキル「忘却補正」も加わるので実質38%)上昇させられる。クリティカル威力アップはクリティカルが発生した時に回数を消費する。自分で星を出してクリ威力を上げられるがスター集中率が低いので、効果を十全に活かすには何らかの工夫が必要となってくる。
第2スキル「慟哭外装(A)」は「自身のArts性能をアップ(3回/5T)」。
第1スキル同様に、宝具を含めたArtsカードの攻撃で回数を消費する効果。
第3スキル「燎原の火(B)」は「敵単体の防御力をダウン(3回/5T)」。最大まで強化すれば30%ダウンさせられるので弱体耐性が低い相手にはかなりの効果を発揮する。回数制を活かすため、自身の全体宝具で消費してしまうよりクリティカル攻撃や単体宝具などをぶつけていきたい。
宝具「至高の神よ、我を憐れみたまえ」は上述の通り。追加効果のArts耐性ダウンは宝具攻撃後に付与されるため宝具のダメージは上がらない。続けてのA攻撃宝具・Aクリアタックでダメージを稼いでいくのがいいだろう。ただし、デメリットでパーティ全体のスター発生率が下がるため、スターの供給手段を攻撃によるスター発生に頼っている場合は注意が必要となる。
クリティカルアタッカーながらスター集中率が低い&集中率UPスキルを持っていないため、その辺りを何とかできるサーヴァントと組ませよう。スキルでArtsを強化して、スターを大量に出せて、宝具含めArts4枚持ちでAチェインの組み易いヤツと相性は抜群である……そう、アマデウスとか。
キャスギルも合わせて関パを組むと中々のシナジーを発揮する。その他アンデルセン、マーリン等と組み合わせて更なるクリティカル向上を目指すのも良いだろう。体力面を補うこともできる。
2021年6月23日に幕間の物語が追加され、クリアすることで第3スキルが「おぞましき燎原の火(A+)」に強化される。強化後は「敵単体の防御力ダウン(3回/5T)+自身のスター集中度をアップ(1T)&クリティカル威力をアップ(1T)」となり、前述の欠点をカバーするような内容となっている。
関連人物
生前
神に選ばれたもの。本来ならば、確執を乗り越えて確かな友情を築いた友人であった、と語る。
しかしサーヴァントとしてのサリエリはその在り方ゆえ彼に出会えば必ず殺しにかかるのだろう。
第2部1章では、疲労困憊で消滅寸前の彼からある「呪い」を掛けられる。
所持サーヴァントに彼がいる場合、オリジナル笑顔と言わんばかりの狂気に満ちた表情を向けるが、当人はそんなサリエリの外装を見て「仮面の変身ヒーローみたいだ」と笑っていた。
彼女の前では借りてきた猫のように大人しくなる。
これは彼女の兄であるヨーゼフ2世によって宮廷に召し抱えられ出世できたことに起因している。彼女自身とも音楽を通じて交流があったらしい。実際にイベント等では「アマデウスなどが原因で暴れそうに→マリーの登場でスンッ……と落ち着く」という流れが半ばお約束になっている。
ヨーゼフ2世
上述したマリーの兄にして、神聖ローマ皇帝。
サリエリのピアノや歌声を絶賛しており、宮廷楽長の地位を与えた。
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン、フランツ・リスト、フランツ・シューベルト
音楽家としての教え子達。全員、優れた音楽家として大成し、サリエリのことを慕っていた。
その結果、英霊としての知名度は彼らに埋もれてしまったために、霊基の格が及ばない模様。
Fate/Grand Order
契約したマスター。
誕生日の際に「自分のような死神とではなく親しい人と過ごせ」と言ったりするなど、気にかけている。幕間で本来の自我が表出した際は、彼/彼女やマシュと音楽を楽しめないことを残念がった。
第2部1章で共演した相手で、サリエリの演奏のファン。
自身の演奏を絶賛されたことで「盾の乙女」と呼び、彼女の盾にサインしようとした。
異聞帯にて仕えさせられていた皇帝。彼を眠った状態に置くために演奏を続けていた。
最終決戦では取るに足らないはずのサリエリが奏でた魂の旋律が、雷帝を大いに揺さぶった。
同じアヴェンジャーとして波長が合う(と本人は思っている)。
ジャンヌ・オルタに関しては『惑う鳴鳳荘の考察』にて「音楽家と歌手」という役で共演。
そして、奏章Ⅱ『不可逆廃棄孔 イド』にて他のアヴェンジャー達共々共演を果たした。
同じく特定の個人に執着し、狂気に苛まれる音楽関係者。
マイルームボイス曰く、どういう理由か彼とは波長が合わない模様。
彼女の幕間にて、あちらからピアノのレッスンを依頼された。
しかし異形の手のせいでうまくいかず、彼女の言動もあって暴走しかけてしまった。
余談
史実のサリエリ
サリエリは一時は神聖ローマ・オーストリア帝国の宮廷楽長をつとめており、これは当時のヨーロッパ楽壇の頂点に位置する地位だった。ピアノの腕前もだが、歌声も彼を取り立てたマリーの兄であるヨーゼフ2世から気に入れられており、まさに音楽全般に秀でていた人物だった。教育者としても有能であり、彼の門下生にはモーツァルトの一番弟子であったジュスマイヤーやモーツァルトの息子であるフランツ・クサーヴァー・ヴォルフガング・モーツァルト、そしてベートーヴェンやリスト、シューベルトといった大物音楽家が名を連ね、サリエリ自身の宮廷楽長就任記念時には彼を如何に尊敬し敬っているかを称えた合唱曲が創られる位に慕われていたほどである。
音楽以外だと甘い物好きで趣味は読書、一人で散策すること。
そして彼はできる限り親切な行いを喜んだり、困窮者には自分の財布からお金を与えたり、自分が悪いことをしてしまった際はすぐに白状したり、時にやっかいなことが起った時には、丸く収める為に自分がやったと悪い振りをしたりと、幕間の通りマジで優しくていい人であった。
イタリア出身の伊達男ということもあって女性にもモテていたらしく、話好きで芸術の話題については尽きることがなかったそうな。史実のままのサリエリが召喚された場合、ロシアで垣間見せた優しい一面がいつでも見れたのかもしれない。実際に幕間ではその片鱗が見られる。
だが皮肉なことにこのサーヴァントの出典は「史実」ではなく、モーツァルト暗殺伝説、灰色の男などの「伝説・伝承」である。この伝説は生前から流布しておりそのことに心を痛めたサリエリが弟子に無実を訴えたところ、逆に弟子に疑惑を持たれてしまい彼の日記には「サリエリこそが暗殺の犯人である」と書かれてしまうことになり逆に信憑性が増す結果となった。
現代においてサリエリの知名度が高くなったのは映画『アマデウス』のヒットがきっかけ。この映画でのサリエリは天才のモーツァルトに嫉妬し苦悩する秀才として描かれる。この映画の登場によって本人の研究も進み、近年では彼自身の業績や曲も高く評価されるようになっている。
CVについて
サリエリのCVは関俊彦氏だがアマデウスのCVは関智一氏であり、同じ関同士である。
公式が狙ったのかどうかは定かではないが、NPCとしての戦闘ボイスを聞いて「そっちの関かよ!」と感じたマスターも多いのではないだろうか。なお、関俊彦氏は歌と楽器の演奏に定評があり(実際、若い頃にNHKの教育番組『ふえはうたう』で“ふえのおにいさん”として活動していたことがある)、もしかするとそちらを意識した上でのキャスティングだったのかも知れない。
キャラクターデザイン
第一再臨、および背面のイラストが絵師のPFALZ氏により公開され話題になった。モデルは氏が見たPVの登場人物の衣装をごちゃまぜに混ぜた感じであるとのこと(PFALZ氏のツイート)。
後にマテリアルにて、髪色や瞳の色が現在の姿と異なっている生前の姿が公開された。
サリエリ関連の話題はこちらも参照→サリエリ村
関連イラスト
【第一再臨】
【第二再臨】
【第三再臨】