概要
プロデューサーはスティーブン・スピルバーグが担当し、監督はジョー・ダンテ。1990年には続編の『グレムリン2 新・種・誕・生(Gremlins 2 The New Batch)』が制作された。
現代では同作に登場するモンスターを指すようになった。ジョー・ダンテによれば、1943年のディズニーの漫画『gremlins』に影響を蒙ったそうである。原案担当は「家の屋根裏で鼠が走る音を聞いてびっくりした」という体験から着想を得たと語っている。
あらすじ
発明家の父親、ランダルはチャイナタウンの骨董店で見たこともない生物『モグワイ』を発見し、息子のビリーにクリスマスのプレゼントとして贈ることにする。
愛嬌のあるモグワイにビリーはギズモと名付け、すぐに仲良くなるのだが飼育の際には守らなければならない3つのルールがあり、それを破った時、恐ろしい事態が待ち受けていたのだった…。
登場人物
“ビリー”ウィリアム・ペルツァー
本作の主人公。善良だが気弱な銀行員。イラストが趣味で、劇中でも描いていた。
ギズモとすぐに親しくなるが、やや迂闊な面があり、水に濡らしてしまう。しかも、その件で増殖したモグワイ達の奸計で時計を止められていたこともあり、夜中の12時以降に食事をさせてしまう。
グレムリン達が暴走しだしてからは、騒動を収束させるために行動し、勇敢に成長する。
“ケイト”キャサリン・ベリンジャー
本作のヒロイン。幼い頃、父がサンタに扮して煙突で死亡したという過去から、クリスマスにトラウマを抱いている。(その他、リンカーン記念日にリンカーンの格好をした露出狂に遭遇するなど、子供の頃にやたらとロクデモない目に遭っているらしく、続篇では「○○が嫌いな理由の話は、もういい」と言われるまでになる)
ビリーとは以前より知り合いで、お互いに憎からず想い合っていた。
働いてるパブに大量のグレムリンが押しかけ、その接客に奮闘する羽目に陥りながらも、グレムリンの弱点に気づいてパブを脱出し、ビリーと合流。彼と共に行動するようになった後、恋仲になる。続編ではビリーとともにニューヨークに出て働いている。
ランダル
ビリーの父。彼が息子のプレゼントに、骨董店からギズモを買い取った所から話が始まる。
発明家だが、その製品の性能にムラがある。
リン
ビリーの母。大らかな性格でギズモのこともすぐに受け入れたが、ビリーの部屋に不審な物音(グレムリン達が騒ぎ出した)が聞こえれば、包丁を持って立ち向かう勇敢な女傑。
暴走したグレムリンを、巧みにキッチンの道具を使って見事に返り討ち…どころか虐殺していった機転の持ち主。
バーニー
ビリーが飼っている雑種犬。ビリーはこっそり自分の勤め先の銀行にも連れて行くことがあったが、自分を目の敵にするディーグル夫人に怒って飛びかかったために危うくビリーをクビ寸前に追い込んでしまう。
ギズモとはすぐに仲良くなるが、グレムリンへの変容を目論むモグワイ達によって酷い目に遭わされ、物語の中盤からは一時的に親戚の元へ預けられることになる。
ピート・ファウンテン
ペルツァー家の隣に住む少年。
ビリーとは仲が良く、ギズモのことも気に入るが、自分が誤ってこぼした水滴がギズモにかかってしまい、モグワイが水に濡れると増殖することに気づかせた。
ロイ・ハンソン
化学教師。ビリーが分裂したモグワイの件で相談に行き、その1体をモルモットとして預かった。
その預かったモグワイの扱いから、何やら危ない裏の顔が表に出るが、その件に根に持ったモルモットがグレムリンになった時は盛大な報復が待っていた。
マレー・フッターマン
ビリーの近所に住む失業中の農夫。かつて第二次世界大戦で従軍していた。
騒動が起きる以前からグレムリンの存在を信じていた唯一の人物で、「外国製品の中には(本義の)グレムリンが潜んでいる」、「飛行機墜落はグレムリンのせい」等と語り、外国製品を嫌っている。劇中でも、TVの受信状態が悪い原因を「外国製だからだ」と言っていた(ちなみに日本製のTVらしい)。
除雪車を暴走させたグレムリンに自宅を襲撃され、妻のシェイラと共に病院に運び込まれるが、幸いにも一命を取り留めた。
2作目にも、夫婦で登場。健在な様子を見せていた。
ルビー・ディーグル
町一番の金持ちで有力者。ビリーの勤め先の銀行の実質的なオーナーでもある。
猫好きで、自宅では多数の猫を飼っている。しかし気難しく、お世辞にも性格は良くないため、町の人々からは恐れられ嫌われている。ビリーの事も、父親ともども負け犬のクズと言い切っており、気に入らない様子。また、犬を嫌っており、バーニーの事も機会があったら始末してやるとビリーに言っている。
(ちなみにビリーは、『ディーグルの顔をしたドラゴンを、自分が騎士になって討伐。ケイト姫を助け出す』というイラストを、劇中で描いている)。
高利貸しも行っており、子供連れのシングルマザーでも容赦なく取り立てていた。
聖歌隊によるクリスマス・キャロルを毛嫌いしているが、聖歌隊に扮したグレムリンの群れを目の当たりにして、恐怖したあまりに錯乱。家に侵入した1匹のグレムリンに部屋の電気系統をいじられ、家の昇降機が暴走。勢いよく窓から吹き飛ばされる。
ちなみに家で飼っている猫たちの名前は、全て各国の通貨の単位である(ドル、フラン、ポンドなど)。
ウイング
骨董店の店主で東洋人。いささか気難しい性格。店の経営が芳しくなく、孫が勝手にギズモを売り飛ばしたところから話が始まる。
キャラクター
モグワイ
詳細は「モグワイ」を参照。
グレムリン
前述のように元々はグレムリンは存在せず、モグワイが深夜0時を過ぎてから食べ物を摂取することによってのみ、グレムリンはモグワイが繭に包まれ、変態する形で誕生する。
優しく大人しい性格のモグワイと違い、一旦グレムリン化した物は凶暴な性格となる。単に悪戯好きというレベルを超えて、明らかに人に危害を加えたり、場合によっては殺人等も平気で犯す(その場が楽しければ、仲間同士でも殺し合いのゲーム等に興じる)。
モグワイの時は体長30cm程度で、小型の哺乳類(リスザル)の様な愛らしい外見をしているが、グレムリン化すると体長は倍の70cmにもなり、外見も鱗で覆われた爬虫類っぽい感じとなる。また爪や歯も鋭く尖り、非常に残忍な性格となって、自堕落に暴飲暴食を楽しむ生態になる。
また、変態により体が大型化するので力なども強くなるが、それでも体格相応。反面知性はやや劣るほか、ミキサーで刻まれたり、電子レンジでチンされたり、キッチンナイフを頭部に刺されると結構あっさりと死ぬため、グレムリンの数が少数であれば人間でも(それこそ、ただの主婦であっても)勝ち目が無いわけではない。
しかし、前述の通りグレムリンは非常に残忍凶暴なうえ、意外と学習能力が高い(モグワイ時から引き続き人語を話すほか、集団で相手を襲う、電線や電話線を切断して人間を不利な状況に追い込む、銃やクロスボウ、チェーンソー、除雪車といった人間の武器や車両を使う、形勢不利になると逃げて増殖しようとする…等々)ため、大量に増殖したグレムリンは冗談抜きで人類の脅威となりうる。
この様に、グレムリンとモグワイは見た目も性格も全く別の生物と言って良いほど違うが、前段にある「3つのルール」は基本的にそのまま適用される。
即ち、光に当たれば死んでしまい、水に触れれば増殖する(この場合はグレムリンが増える。おまけに水を毛嫌いするモグワイと違い、必要とあらば自分から水場を探して自己増殖することも厭わない点も厄介)。ただし3番目の「真夜中過ぎの飲食」は、既に変身しているので変化は起きない。
しかし、グレムリン化も恐ろしいことではあるのだが、それ以外でも主人公の母親がグレムリンを倒すためにミキサーや電子レンジの使用も辞さないシーン始め、登場人物内にやたらと容赦がない武闘派な者がいる点や、対照的に本来ならば頼もしい戦力になってしかるべき警察に無能しかいない(警官がグレムリンに襲われている人を発見するも、見て見ぬふりをして逃げ出す始末。この手のパニック物では定番の描写であるが、それでもあんまりな体たらく)点、地味に死者も発生する点(明確に死んだと判明するのが「町一番の嫌われ者のクソババア」なのが不幸中の幸い…か?彼女は街の銀行の大口顧客と思われるので、ご町内経済への影響が懸念される)、ヒロインがクリスマスを嫌いになってしまった理由等、クリスマスの映画としても推されることがある本作は多くの者にトラウマを残している。
また、本作は本格的CG化前夜の時代の作品であるためか、特撮独特の(本作の場合、主にグレムリンの撮影用パペットの)生々しさもこの傾向に拍車をかけている。
余談
- ランダルが、発明家の見本市に赴いた際。その会場には「タイムマシン」に登場したタイムマシンや、「禁断の惑星」のロビー・ザ・ロボットが登場している。
- 最後のデパート内の植物売り場の中には、「人類SOS」に登場した食人植物・トリフィドが紛れ込んでいる。
- 2作目の劇中では、中盤にグレムリンたちが悪戯をした事で、映画そのものが止まってしまう。しかしそれに対し、プロレスラーのハルク・ホーガンがいきなり登場。「グレムリンども、いたずらしてないでとっとと続きを見せろ」と(画面に向かって)言い放ったために、続きが再開された。
- 同じく2作目には、グレムリンはある理由で様々なバリエーションが登場する。その中にコウモリの翼を持ったグレムリンも登場しており、ビルの中から壁を破り外に飛び出していったが、破った壁の穴の形が「バットマン」のバットマークになっている。