概要
プリキュアシリーズ第10作『ドキドキ!プリキュア』の長編映画。
プリキュア映画恒例となった主人公格プリキュアのスーパープリキュア化もあり、今作ではキュアハートがキュアハート・エンゲージモードになる。
例年通り本編上映前にはキャラクターたちによるミラクルライトの説明が行われる。
中心となるテーマは「子ども時代の思い出」であり、マナたちの小学生時代が再現されるストーリーである。タイトルの「マナ結婚」という要素は未来の可能性世界の一つとしてマナの結婚式のシーンが終盤に少し描かれるだけで、本筋にはほとんど関わってこない。
タイトルと内容が乖離していることについては柴田宏明プロデューサーや伊藤尚往監督などの主要スタッフも認めており、釈明という形でインタビューで経緯を答えている。
それによると、作中で思い出として描かれる「子ども時代」はメイン視聴者である女児たちにとっては現在進行形の時代であるため、それを懐かしいものとして演出しても当の子供達にはピンとこないのではないかという懸念により、「過去の思い出」に対比させる「未来の希望」というテーマを後付けで加えたということ。そして、女児にとって理解しやすい未来の憧れイメージとして結婚式とウェディングドレスというものが採用されることとなった。
児童受けが悪いことを自覚しながらも「思い出」というテーマに拘っているのは、プリキュアシリーズは親子が一緒に楽しめるものを目指すという意気込みからであり、つまりは映画を一緒に見に来る親世代へのメッセージの色合いが強い。そして、ウェディングドレスが三世代に受け継がれるという設定は過去と未来という二つのテーマを繋げるものであり、映画を見ている親子の双方に向けた絆のテーマとなる。
この映画タイトルから子供時代の郷愁をメインテーマになることはまず思いつかないろうが、過去の世界が舞台になることは映画公開のかなり前から様々なメディアで紹介されているため、視聴者を騙すような意図はない。ただタイトルについては変更の議論がギリギリまでされていたらしく、6月中頃に現在のタイトルで映画公開予定リストに載せられたにもかかわらず、6月下旬に「映画 ドキドキ!プリキュア(仮)」と未定の形に訂正されている。そして7月初旬になって再び現在のタイトルの形で公式からプレスリリースが出され公式サイトもオープンしたことで正式決定となった。
「過去の思い出」というメインテーマやキャラクターの死の描写、そしてプリキュアシリーズとしては初めて「プリキュアが戦闘で血を流す」という若干過激なシーンが描かれる等、プリキュア映画の中では比較的シリアスな作風になっている。
監督を務めた伊藤尚往は『ふたりはプリキュア』『ふたりはプリキュアMax Heart』の各話演出を経て『デジモンセイバーズ』のシリーズディレクターを務めており、同作のプロデューサーだった柴田宏明、シリーズ構成の山口亮太と約6年半ぶりにトリオを組む事となった。
あらすじ
祖母・母と受け継がれてきたウエディングドレスを見てキュンキュンしていたマナ。親子三代で思い出を受け継ぐと意気込み、いつか着ることを夢見て眠りに就く。その夜、大貝町では家具をはじめとする様々な物が宙を舞う事件が発生。犯人はマシューを名乗り、人々に忘れ去られ過去の物となったガラクタの恨みを吐きながら町の人たちを「オモイデの世界」へと閉じ込めてしまう。更にマナの名を呼び、何故か執心するマシュー。圧倒的なパワーでエースを除く4人のプリキュアを破った後、マナたちもオモイデの世界へと閉じ込めてしまった。過去を再現したオモイデの世界でマナは、今は亡き祖母や昔飼っていた愛犬と再会するが六花やありすがいないことに気づく。楽しかった過去の中でずっと生きたいという思いと、仲間たちと過ごす筈の未来への希望にジレンマを感じながら、プリキュアたちは大切な思い出と未来のためにマシューたちに立ち向かっていく。
スタッフ
登場キャラクター(レギュラー)
プリキュア
なぜかマシューに名指しで狙われ、楽しかった過去を再現した「オモイデの世界」に閉じ込められてしまう。「現在の記憶」へとつながるありすや六花の存在が消された世界で、始めは現実世界に帰ろうとあがくが、マロやいすずとの幻想との別れを惜しみ現実世界への帰還をためらってしまう。
「忙しい両親が揃って見に来てくれるピアノコンクールの日」を再現したオモイデの世界に閉じ込められてしまう。こちらではマナの存在が消されている。幸福な日々に溺れる中で中学生だった本当の自分の記憶が薄れていきマナたちのことを忘れていたが、そこで同じく閉じ込められていたありすと会い、妖精たちとの再会もあって現実世界の事を思い出す。そして、マナを救うためにキュアロゼッタとともにマシューが差し向けた刺客と激闘を繰り広げる。
再現されたオモイデの世界は「父親との初めての外出(社交デビュー)の日」。六花と同じく封じられていた記憶を取り戻し、キュアダイヤモンドと共に戦う。
初期の脚本ではありすとマナの初めての出会いに関わる事件をオモイデの鍵とする予定だったが、尺の関係で割愛したとのこと。そのプロットはTV本編の第33話に流用された。
再現されたオモイデの世界は「初めてプリキュアとして認められアン王女からラビーズを貰った式典の日」。アン王女や王国が偽物だと気付いていたが、平和だったトランプ王国をまた見れたことで心が揺らいでいた。しかし、仲間との絆を思い返して立ち上がり、未来のためにマシューが差し向けた刺客マネキンカーマインと死闘を繰り広げる。
この映画が公開された時期のTV本編では亜久里はプリキュアチームの一員として馴染んでいるのだが、この映画では初期の頃の「神出鬼没の助っ人戦士」という立ち位置に戻っており、プリキュアチームとは距離を置いている。上述のキュアソードのオモイデの世界までは一切登場せず、マネキンカーマインと戦うキュアソードのピンチに突如乱入し、キュアソードに助力する。この時、王女の幻想が居た場所付近に現れて王女の台詞を引き継ぐようにキュアソードを叱咤するという演出がある。登場時点で既に変身しており、変身前の姿での登場シーンはごくわずか。変身及び単独必殺技のバンクシーンもなく、最後はキュアソードとともに倒されてしまう。
この微妙な扱いには理由があり、伊藤監督へのインタビュー記事(関連リンクの節を参照)によると「あれは、ある意味しょうがないんですよ。シナリオの段階で、まだTVシリーズでのキュアエースの立ち位置がそんなに決まってなかったので。」ということ。このあたりについてはキュアエースの項目にも詳しいが、放映開始当初は「5人目のプリキュア」を登場させる予定がなかったため、映画のシナリオを作っている時点ではキュアエースの存在が想定されてなかったのである。
妖精
マナを現実世界に連れ戻すために自らマナのオモイデの世界へと飛び込む。マナを現実世界に戻そうとするが、過去を思い出して悲しい表情を見せるマナに何も言えなくなってしまう。
六花を連れ戻すため、ランスと共にオモイデの世界へと飛び込み、六花の記憶が戻る決め手となった。
ラケルと共にオモイデの世界へ飛び込み、ありすの記憶が戻る決め手となった。
真琴たちを助けるために他の妖精を連れてマシューの飛行船に侵入した。DBの姿ではグライダースーツを使った滑空や追手に対する格闘などアクションシーンも披露した。オモイデの世界に飛び込んだ時は、悩むキュアソードに対して絆を思い出すように叱咤した。
キュアエースと同じタイミングで登場。出番は少ないが、魔法を使ってミラクルライトを皆に授ける。
その他のレギュラーキャラクター
ピンチに陥ったありす達のもとへ車で駆けつけるが、逆に車を破壊されてオモイデの世界に吸収されてしまう。
マナのクラスメイト。結婚に夢を馳せるマナをからかうも、その後のやり取りで赤面してしまいマナの事が好きなのかと逆にからかわれる。
マナが閉じ込められたオモイデの世界でも小学生の姿で登場。
- 百田(声・桜井翼)
二階堂といつもつるんでいる男子学生。二階堂と共にオモイデの世界にも登場。
小学生の頃、捨てられていたマロを拾い、里親を探すためにマナに相談していた。
本編での登場はないが、マナの未来のイメージを描いたOP映像に登場する。なんとマナの結婚相手がイーラだったという衝撃の展開……と思いきや夢オチ。台詞も全くないまま、夢の中でプリキュアたちにやられてしまった。
登場キャラクター(オリジナルゲスト)
※独立項目があるキャラクターの詳細は各リンク先の項目へ※
主要なゲストキャラクター
本作の敵キャラ。何故かマナを狙う謎の青年。街の人間たちを「オモイデの世界」に閉じ込める。
- ベベル(声・?)
パートナーが「オモイデの世界」へと浚われて呆然となっていたシャルルたちの前に現れた正体不明の妖精。マナたちをオモイデから取り戻す方法を教えてくれた。
相田マナの祖母。本来は故人で、マナのオモイデの世界に登場。
かつて相田家で飼われていた犬。マナに非常に懐いていたが現在は飼われていない。それについてマナは「色々あって」と言葉を濁している。
その他の敵キャラクター
マシューが仕向ける刺客の一人。両手足にタイヤを装備したガラクタ。手足のタイヤをローラースーツを使うようにして高速移動が可能。手のタイヤは投擲武器として使える。オモイデの世界を拒否した六花とありすを始末するべくシルバークロックとともに現れる。
マシューが仕向ける刺客の一人。壁掛け時計に手足が生えた姿をしたガラクタ。伸縮自在な蛇腹状の手足が武器。
マシューが仕向ける刺客の一人。洋紅色の衣装を着たマネキンのようなガラクタ。腕に巻き付けた帯を操って攻撃するほか、相手の攻撃を瞬時に読んで反撃するなど高い格闘能力を持つ。オモイデの世界を拒否した真琴を始末すべくあらわれる。
主題歌
OPテーマ「Happy Go Lucky!ドキドキ!プリキュア」
歌:黒沢ともよ
EDテーマ「ラブリンク」
歌:吉田仁美
テーマソング「たからもの」
歌:相田マナ・菱川六花・四葉ありす
入場者特典(チケット購入の中学生以下小人)
映画スペシャルデータカードダス
ドキドキ!ラブリー♥バイザー
イベントetc.
東京国際映画祭
第26回東京国際映画祭(開催期間2013年10月17日~25日)の特別招待作品に選ばれ、同月26日からのロードショー公開に先駆けワールド・プレミア上映されたほか、声優陣・プリキュアが同映画祭のオープニングを飾るグリーンカーペットにも登場した。
くりぃむクイズ ミラクル9
2013年10月30日のテレビ朝日系「くりぃむクイズ ミラクル9」に映画のPRを兼ねてキュアハート/相田マナ役・生天目仁美がマシュー役・谷原章介率いる俳優ナインの一員として回答者で出演した。
プリキュア役の声優がPRでバラエティ番組に出演するのは極めてレアケースである。
関連タグ
桃園ラブ:本編でだが、大好きだった故祖父の生きてた思い出の世界に閉じ込められた経験がある主人公キュア。
叛逆の物語←未来につなぐ希望のドレスの公開日と同じ日の2013年10月26日に同時上映された魔法少女アニメの劇場版で、この作品も過去に対する依存や愛をテーマにしている。
ベレル←これはいすゞ自動車が販売していた高級乗用車だが、名前に意外な秘密が…。
関連リンク
エキレビ