クレオン「残念でした! ワンダーランドに出口はありません! 一生、ここで幸せなデスライフを送りな!」
データ
属性/物質型モンスター
分類/宝箱目ミミック科
身長/60cm
体重/200kg
分布/欲望の迷宮
経験値/339
概要
クレオンがワイズルーの策略の手駒として生み出した、幻獣「ミミック」の伝説を司り、その風貌を得たマイナソー。
その見た目は大きめで豪華な装飾の赤い宝箱だが、上の蓋を開けると鋭い牙と怪しく輝く目が現れる…、つまりオードソックスなミミックの姿を踏襲している。
その外見で人間達を誘き寄せて自らに取り込み、その体内にある世界『ワンダーランド』に閉じ込める。このワンダーランドにある宝箱からは、閉じ込められた人間が今望む物が何でも好きなだけ出て来るので、一見すると幸せな世界に見える。
ところがこの世界からは出る事が出来ないので、与えられた物に飽きた人達はその事実に直面して絶望。閉じた世界で死ぬまで生命エネルギーを搾り取られる境遇に落ちてしまう。
自身の戦闘力は皆無だが、本体は通常攻撃の一切を受け付けない。また、自らの体内=ワンダーランドでは別のマイナソーを生み出す事で敵対者に対抗する。閉じ込めた人達のマイナス感情を用いて急速成長させる事も可能。
そしてこのマイナソーを生み出したのは生物では無く、とある骨董店の片隅で忘れられていた古い『箱庭』。作られてから長い時を経たからか意思が宿っていたらしく、『誰にも開けられずにいた』事を恨んだマイナス感情を抱いていた。
しかし器物故、『マイナソーの大本を始末する』方法=破壊するのを躊躇無く出来てしまうのが大きな弱点である。
活躍
ワイズルーの策略で『宝探しゲーム』の大道具とされ、誘き寄せられた人間達をワンダーランドに閉じ込め、生命エネルギーを搾取していく。同じくゲームに参加していたリュウソウジャー4人(コウ・メルト・アスナ・トワ)も、ワンダーランドへ閉じ込めるのに成功する。
周辺に転がっている宝箱を開けた人々は願いが叶って喜んでおり、アスナも出現した焼肉を頬張り、『もっと強くなりたい』と願うトワもドルン兵相手に経験値稼ぎ感覚で戦い始める等、みんなワンダーランドを満喫していた。
しかし『もっと広い世界を見てみたい』願いから空を飛べるようになったコウが、空の『見えない壁』に激突。この世界には何か秘密がある事に勘付いたメルトと共に調査を開始する。
その頃、一人で街を歩いていたバンバは、とある骨董店が荒らされているのを目撃し、倒れていた店主を助ける。しかし派手に荒らした割には、店の中から盗まれた物はたった一つだけで、店主は「だが何であんなガラクタ…」と呟く。そのガラクタとは……
コウとメルトは地上にも『見えない壁』があるのを発見し、自分達がどこかの空間に閉じ込められていることに気づいた。しかしその脱出方法についてとにかく行動しようとするコウと、慎重に確認してからと主張するメルトは意見が分かれ、コウ達に信用されていないと思い込んだメルトは、一人で脱出方法を探しに行ってしまう。
そのメルトの前にマスターブルーの幻影が出現。さらにワイズルーがこの世界の種明かしをして嘲笑し、クラーケンマイナソーとケルベロスマイナソー(兄)を生み出して嗾けるも、マスターブルーから「お前に必要なものは自信だ」と励まされたメルト/リュウソウブルーに倒される。
一方、『もっと強くなりたい』とトワ/リュウソウグリーンが願う限り、マイナソーは際限なく出現する為、トワはコウの使ったネムソウルの力で眠らされて、その間にブルーとリュウソウレッド・リュウソウピンクが応戦。そこで閉じ込めた他の人間より絞り出し生命エネルギーを使い、マイナソー2体は急速成長するが、望む物が出て来る宝箱の力を利用してワンダーランド内に騎士竜を召喚したリュウソウジャーは、キシリュウオートリケーンを完成させてマイナソー2体を撃破する。
そしてブルーはナイトソードを空へ伸ばし、そこに隠されていた鍵穴を抉じ開ける事で宝箱を開け、ワンダーランドから他の人達と共に脱出を遂げた。脱出方法を探してワンダーランド内を歩き回ったメルトは『見えない壁』の位置からこの世界が宝箱の中と推理、仲間の助けを借りながら鍵穴の位置を割り出していたのだった。
脱出したものの「まだワンダーランドは消えていない」と、ミミックマイナソーである宝箱を壊そうとするメルトだったが、攻撃は全てすり抜けてしまい、埒が明かない。
だがそこにバンバ/リュウソウブラックが、古びた箱を携え登場。骨董店の店主を助けていた彼はクンクンソウルの力で盗まれた『ガラクタ』を追跡し、とある倉庫でそれを護っていたドルン兵を尋問して、真相を聞き出していた。その古びた箱は、洋館や庭園が造りこまれた箱庭であり、ワンダーランドの風景その物。この箱庭こそがマイナソーを生み出した本体だったのだ。
そして彼の手で箱庭が壊された事で、大本を失ったミミックマイナソーは跡形も無く消え去った。
余談
経験値の合計数は「ミミック」の語呂合わせ。
ミミックモチーフの戦隊怪人は魔法戦隊マジレンジャーの冥獣ミミック以来。ただしこちらはタクシーに擬態している設定で、その意匠を持った人型怪人にアレンジされている。
人型ではないが、一応令和で最初に登場した戦隊怪人となる。
第9話では閉じ込められたワンダーランド内で札束に狂喜するサラリーマン役で水野智則氏(『大戦隊ゴーグルファイブ』の大山大介役)がゲスト出演している。
批評騒動
本作に登場するマイナソーの中では(人間等の命あるものでないとは言え)大本を消される形で倒された初のマイナソーとなったのだが、放映当時はその倒され方に物議を醸した事がある。
大元として、このマイナソーは長い間放置された箱庭から生み出されたという事から、箱庭自体に意志や感情と言った心があったという事である。
だが、この話の中で直接手を下したバンバを始めとしてリュウソウジャーのメンバー全員が、ミミックマイナソーを生み出した箱庭を壊すことに対して反対の意見を出すことはおろか、顔色一つ変えていなかった為、地球を守るとはいえ究極的には人間でさえなければ、殺しても構わないという考えを持っている様に見えてしまった事で少しネット上で議論に上がることになった。
ただ、前作と比べるとリュウソウジャーの作風は子供向けである為、その結果としてミミックマイナソーに纏わる苦悩や葛藤を削除しただけでなのであろうが、そこを突っ込み過ぎるのは野暮という物だろう。
また作中描写を見ると、リュウソウジャー達リュウソウ族は他者の『自立心』を尊ぶ精神性を持つ事が推測される。だからこそ“欲しい物は好きなだけ与える一方で自由を奪う”事で人々からマイナス感情を搾り取ったミミックマイナソーの所業を本能的に許せなかったのかもしれない。
箱庭を壊す役を、当時“憎まれ役”になろうとしていた節のあるバンバが担った点もポイントだろう。
その後、18話のゴーレムマイナソーにて無機物から生まれたマイナソーは元となった物を破壊しない限り無限に成長し続けるという厄介な性質が判明。これにより自立行動もせず戦闘力もない、一見近寄らなければ無害に見えるミミックマイナソーも早急に倒さねば地球が滅亡しかねない事が発覚した。
とはいえ成長こそすれど増殖していく訳ではないので生まれたマイナソーを倒せさえすれば解決する話なのだが、上記の通りこのミミックマイナソーはマイナソー本体には攻撃がすり抜けてしまいダメージが全く与えられなかった。こうなってしまうともはや大元を消す以外に倒す方法はない。
要するにミミックマイナソーが生まれた時点で箱庭は壊されるしかない、完全に手遅れの状態だったのだ。
おそらくリュウソウジャーのメンバーが誰1人として反対しなかったのも、彼らが前述の事を理解していたからだと思われる。
そして真に憎むべきは箱庭を利用してその意思を踏みにじった挙句、破壊するしかないという最悪の状況へと陥れたドルイドンであろう。
だが、その後登場したマイナソーを産み出した器物の顛末を見る限り、スタッフからもミミックマイナソーの扱いはあんまりだという意見が出た可能性がある。
関連項目
牙鬼軍団:4年前の戦隊悪役で、構成員の大半が器物に憑代して実体化した、付喪神に似た性質を有する。
次元獣、ツクモガミ、メタロイド:器物を憑代に誕生する戦隊怪人。