(弟)「オルルルゥ…!」
(兄)「ケルルルゥ…!」
データ
属性/獣型モンスター
分類/ポイズン目ケルベロス科
身長/181cm~44.3m
体重/272kg~666.4t
分布/毒の水飲み場
経験値/109(弟)、259(兄)
概要
クレオンが捨て犬を保護する女性・柊早苗から生み出した、幻獣「ケルベロス」の伝説を司り、その風貌を得たマイナソー。
大口を開けた犬の口から別の犬の口が2つ、マトリョーシカの如く飛び出した頭部に、犬の胴体骨格が付いた手足が生えた様な不気味な外見を出で立ちをしている。
実は全く同じ外見の個体が2体同時に生まれた、双子のマイナソーで(東映HPでは弟の個体をオルトロスマイナソーと記載している)、弟の個体が「オルルル!」、兄の個体が「ケルルル!」と鳴く。知性は比較的高く、クレオンの指示に犬らしく従順である(ただ態度から、クレオンの事を若干舐めている様子)。
思念の元である早苗は、「犬を捨てたり虐待する自分勝手な人間」へ憤るマイナス感情を持っており、そこをクレオンに付け込まれた事でケルベロスマイナソーが生み出された。
なお一度に2体生まれた都合か吸い上げるエネルギーが分散している様で、成長して巨大化するのに時間が掛かっている。
犬らしい高い身体能力で飛び掛かり、鋭い犬歯を備えた大口での噛み付き攻撃で戦う。だが逆にそれしか攻撃手段が無く、一度攻撃を防がれるとすぐに追い詰められてしまう。
しかしそれ以上に恐ろしいのが犬歯より分泌される猛毒で、噛み付かれた者は瞬く間に昏倒して動けなくなり、2日と持たぬ内に命を落としてしまうほど強力な毒素を持つ。また伝染力も強く、毒へ侵された者の近くにいた他者にも徐々に毒が移って、同じ症状を患ってしまう。
そして毒はケルベロスマイナソーを倒しても消えないが、その身体の一部から作れる解毒薬ならば治療が出来る。
活躍
第5話
既に実体化していた段階であり、タンクジョウと戦うリュウソウレッドに加勢しようとするトワとバンバを妨害する為クレオンが兄個体を嗾ける(※よく聞くと兄側の鳴き声を挙げている)。
不意討ちでトワの右腕へ噛み付いて毒を流し込み、リュウソウジャーを動揺させたが、横槍を入れた事をタンクジョウに叱られてクレオンと共に律儀に謝罪、タンクジョウの後を追うクレオンと撤退する(クレオンの護衛役として物陰に忍んでいた可能性があるが、後述の策略の為でもあった)。
その後日を跨ぎ、クレオンの指示で弟個体が浄水場に出現。そこから自らの毒を生活用水に混入させ、多くの人間を毒の餌食にしようとする。
しかし毒を流す寸前、クンクンソウルで毒の匂いを辿って来たバンバに阻止され、そのまま変身したブラックと戦闘。噛み付き攻撃もカタソウルで防御を固めたブラックには効かず、一方的に攻め立てられた末にリュウソウケンより放たれた『ディーノスラッシュ』を喰らってアッサリと撃破された。
第6話
兄の個体が生存している為、早苗はどんどんとエネルギーを吸われていき、更にはトワを感染源として他のリュウソウジャー達やういへ毒が蔓延、まともに動くのが困難になってしまう。どうやら、クレオンがケルベロスマイナソーを嗾けたのはこの状況にリュウソウジャーを追い込むのを狙った物だった模様。
それからしばらくして、残った兄個体がクレオンに引き連れられて浄水場に再出現。今度こそ生活用水に毒を流そうとしたが、双子である事に勘付いて駆け付けたコウとメルトに間一髪で阻止され、変身した彼らと交戦。
レッドのハヤソウルを使った挑発に乗せられ、オモソウルを使って拘束する為、ブルーの近くへ引き寄せられるがブルーにも毒が回り出して動きが鈍り形勢逆転。
それでもしつこく向かって来る相手をあしらっていたが、遂にはレッドにも毒が回って弱り出した隙を突き、彼に襲いかかろうとする。
しかし、力を振り絞ったコウがわざとケルベロスマイナソーに自身の左腕を噛ませ、左犬歯を掴まれて折り取られてしまう。これで相手の気迫に圧されたのと牙を折られたショックで戦意を喪失、クレオンの命令も無視して逃走する。
その間にコウとメルトは毒に侵されながらも、ティラミーゴに運ばれてリュウソウ族の長老と再会し、彼の手で折り取った牙より解毒薬を精製、それを自分やトワ達が服用した事で毒を治療した。
その後、早苗からエネルギーを吸い上げ続けて、折れた牙はそのままでやっと巨大化。地震エネルギーを用いて同じく巨大化したタンクジョウと共にビル街に現れる。
だがそこへ、毒より回復し本調子を取り戻したリュウソウジャー5人が登場。彼等が繰り出した騎士竜5体が合体したキシリュウオーファイブナイツとタンクジョウが交戦、彼を援護しようとビルの上から相手の背後へ飛び掛かって噛み付こうとするも、リュウソウグリーンの操作で、背中を向けながら突き出されたナイトランスへ飛び掛かった所を串刺しにされ、「ケルルルゥ…、ワォォォン!!」と遠吠えを叫びながら爆散した。
第9話
ミミックマイナソーが作り出した世界「ワンダーランド」内で、兄の個体がクラーケンマイナソーと共にミミックマイナソーの手によって具現化。
脱出方法を1人探るメルト/リュウソウブルーの前に出現して襲いかかり、すぐに撃破されたが、クラーケンマイナソーと同時に倒さなければ何度でも復活する特性で復活、ブルーを苦戦させる。
しかし、マスターブルーの激励で士気が上がったブルーがマワリソウルの力で回されたクラーケンマイナソーと激突して怯み、横一直線に並んだ所でノビソウルの力で延長したリュウソウケンを突きつけられてボディに貫通、爆散。
その後、『もっと強くなりたい』願いから戦っていたトワ/リュウソウグリーンの目前に宝箱から再度具現化。だがすぐに、トワはコウの使ったネムソウルの力で眠らされて、ブルーとリュウソウレッド・リュウソウピンクと交戦。
ブルーによってワンダーランドへの脱出方法を解き明かされた否やミミックマイナソーによって、閉じ込めた他の人間より絞り出した生命エネルギーを注ぎ込まれて急速成長する。
しかしメルトの推測を聞いたリュウソウジャーは、望む物が出て来る宝箱の力を利用してワンダーワールド内に騎士竜を召喚、キシリュウオートリケーンを完成させられてしまい、最期は「トリケーンストライク」を土手っ腹に撃ち込まれてクラーケンマイナソー諸共倒された。
余談
経験値の合計数の由来は、弟の方はそのまま「毒」、 兄の方はおそらく「地獄」の語呂合わせと思われる。
毒を持つ能力については恐らくケルベロスの涎からトリカブトが生み出されたと言う逸話と狂犬病がモチーフと思われる。
純粋なケルベロスモチーフの戦隊怪人は、獣拳戦隊ゲキレンジャーの幻獣ケルベロス拳コウ以来、実に12年ぶりとなった。複合モチーフを含むなら9年前の天装戦隊ゴセイジャーに登場したユニベロスヘッダーのバリ・ボル・ダラがいる。
また東映公式HPによると鳴き声等から、ケルベロスとは兄弟扱いされるオルトロスもモチーフに入っているらしく、そちらではオルトウロスヘッダーのナモノ・ガタリ以来になる。
ケルベロスモチーフの怪人・怪獣は作品問わずに3つの頭が横に並んでいる姿の物がポピュラーだが、ケルベロスマイナソーは一つの頭の口からもう2つの頭が飛び出していると言う斬新なデザインが特徴的。このデザインは、「ケルベロスだけど牙を目立たせたいから口を1つにしてほしい」という難しいオーダーの元、野球選手の新庄剛志が被った「新庄マスク」を参考に頭部を1つにしたケルベロスの怪人としてデザインされている。
また、シルエットからオルトロスの頭を意識した物らしく、『頭が2つある⇒双子である』と言う連想からの設定を持ってモチーフを補完していると推測される。
また、骨からなる身体は殺処分された犬の骨が形作っているというイメージの下、表現された。
ただ、戦隊シリーズでは『地獄の番犬』(=ケルベロス)の異名を持つ犬モチーフの司令官が有名過ぎる為、放送前ではそっち方面の話題に沸いていた(※案の定、中の人もTwitterで反応している)。
次のマイナソーであるコカトリスマイナソーの登場回である第7~8話は、元号跨ぎの前後回であるため、このケルベロスマイナソー(兄)が、スーパー戦隊シリーズにおける、平成の最後に倒された一般怪人となった。
関連タグ
トゲーノ・エイブス:前年の猛毒使い戦隊怪人。こっちは狙撃で遅効性の毒針を標的へ撃ち込み、ジワジワ苦しめながら衰弱死させる。
ケルベーロ・ガンガン:同じく前年の犬モチーフ戦隊怪人。しかし名前や3匹の犬が集まったかの様な外見へ加え、中の人に『地獄の番犬』とわざわざ言わせる等、露骨にパロディへ走ったキャラ造形となっている。また奇縁にも、スーツはトゲーノの改造である。
ガブリオ、サモーン・シャケキスタンチン:前者は巨大な大口が共通、後者はシャケが二つに裂け中の骨格が飛び出た様な外見が類似。また両者とも、顔から手足が生えたようなシルエットを持つ。
流感のウチュセルゾー:『天装戦隊ゴセイジャー』の怪人で、毒の代わりにウイルスを感染させた。こちらも同様に抗体を作るべく本人の体液を採取する下りが共通。
火炎サイマ獣ヘルゲロス:『救急戦隊ゴーゴーファイブ』のケルベロス繋がりの怪人。3つの首を持ったそのデザインから、こちらの方がより原典のケルベロスに近い外見である。
ドクガネジレ:『電磁戦隊メガレンジャー』で戦隊メンバーを猛毒に侵した怪人。抗体を作る為に身体の一部を採取する点が共通している。
新庄剛志:メジャーリーグ時代、「口の中から顔が出て、その顔の口から更に……」と、似た構造のマスクを作って被っていた。後に公式完全読本にて、本当に新庄マスクを参考にデザインされたことが語られた。
センチピードアンデッド:似たような毒を使うライダー怪人。