《遘大ュヲ謌ヲ髫》
「欲しいのです、どうしても……。欲しい……欲シイ……!欲シイ!!絵ガ、私ノ絵ガ欲シイーッ!!」
CV:糸瀬七葉
データ
身長/193cm
体重/236kg
スキン/夢の発明
むかしむかし/瑞穂は武夫が抱く愛の大きさの秘密を知っていた…。
概要
絵を求める女性・伊集院瑞穂の「私の絵が欲しい」という欲望を叶える為に誕生した、科学モデルのヒトツ鬼。
ベニツ鬼が、赤と青の薬品が入ったフラスコにビーカーと顕微鏡が融合した様なスキン・“夢の発明”を身に纏った姿。煙をあげて爆発したみたいな頭部は実験に失敗して黒コゲになった科学者にも、爆発した芸術と恋心を表している様にも見える。加えて顔は青と赤のツートーンで塗り分けられていて、肥大化した脳味噌にも見える頭の形状からもこのヒーローを否が応でも連想させる。
また両肩のフラスコと胸中心のビーカー、及びビーカーから発生した爆発と黒煙で胴体部が構成されている。
変貌時には「遘大ュヲ謌ヲ髫」(科学戦隊)の文字化けと、科学戦隊ダイナマンのクレストが浮かび上がる。
かつて宿主がモデルとなって描き上げられた絵画『秘密』を何としても手に入れようとする欲望が募って、何度か実体化と変貌を果たしてどんどん行動に移しているが、宿主の強靭な理性により何とか抑え込まれてもいる状態だった。この事から無関係の他者を傷付けるのをギリギリ堪えたり、脳人レイヤーのワープドアを使いながら目的の『秘密』だけを盗み出す、他人の指示に従って動く等の高いレベルで理性的な行動が取れる。
しかしあくまでも、理性によって強引に欲望を抑え込んでいる危うい状態の為、宿主が目的を達成する道筋が付いた事で徐々に欲望が理性を上回ると邪心化し、これまでの殆どのヒトツ鬼同様、対話の余地も無くひたすら欲望に準じて暴れ回るだけのモンスターに結局は成り下がっている。
宿主に戦闘経験がないので、基本は戦わず逃げるしか出来ないのだが、いざと戦うとなると攻撃力だけは無駄に高く、両肩のフラスコの薬品をビーカーに注ぎ込み、化学反応を起こした紫色の液体を撒き散らして発生させる大爆発で周辺を見境無く吹き飛ばす。この手の技としては珍しく自分がダメージを負う類の諸刃の剣ではない。
活躍
所在が分からない絵画『秘密』をどうにか取り戻そう行動していた瑞穂だったが、いつものように警察に追われる翼を発見。彼が逃げ切った先に接触を図り、「絵画を盗むため、怪盗になりたいので弟子にして欲しい」と請願する。
案の定、翼は自分にとって何の得にもならない要求に断ろうとするが、すぐに瑞穂が大衆に聞こえるように大声で警察への通報を煽ろうとするので、仕方なく事情を聞いてみる事に。
すると、話がヒートアップして感情が昂った瑞穂は膨れ上がった欲望のまま科学鬼に変貌。すぐさま翼はイヌブラザーにチェンジするが、なんと科学鬼は無差別攻撃の衝動を抑え込みその場を逃げ去っていく。
跡を追ってみると元の瑞穂の姿に戻っており、それを見た翼は決して危険な存在ではないと判断し、協力を決意。すると『秘密』がオークションに出品されたと言う連絡を受け、それなら盗む手間も省けるとオークションに参加する事に。
マスターに頼まれた真一&はるか、社長が欲しているので会社に代表して参加したつよし&山田と言った並み居る参加者を打ち倒し、正式に競り落とす事に成功したが、出品された『秘密』が贋作だったこと、その出品者が武夫のかつての弟子・佐野だったことを知るや科学鬼に再変貌。贋作を盗み出すと翼を連れて、サルブラザーとオニシスターの追尾を巻き逃走した。
絵画を盗んだ犯人が佐野であると確信した瑞穂は方針を泥棒に再度切り替えて、イヌの協力を得ながら佐野のアトリエに侵入。
その間に科学鬼と変貌し、警備を頼まれていたはるかは絵画のモデルで夢中、真一は睡眠中で警備が手薄な内に本物の『秘密』を盗み出す事に成功した。
「怪盗参上…クルリ!コレゾ、本物!フフ〜ン♪朝飯前デスワ……ハッ!?」
真一「読んでいたよ。君の行動はね」
しかし、科学鬼の行動から本物の絵画を盗むだろうと予想していた真一は、寝たふりをして相手が来るのを待ち伏せていた。
ピンチに陥った科学鬼だったが、すぐさまイヌがサルを蹴飛ばしすぐさま逃走するも遅れて駆けつけたタロウ/ドンモモタロウとつよし/キジブラザーに阻まれ四面楚歌な状況に。そこでイヌが囮となって4人と戦っている間に逃亡を図ろうとするが、自動ドアに手をこまねいている間にサルに捕まり絵画を奪還されてしまう。
「……カ、返セ!私ノ絵ヲ返シテェェーーッ!!」
すると欲望が加速し邪心化。人を超えた奪還の鬼となって完全に欲望に振り回されて暴走し、協力者のイヌの制止も聞き入れず、大爆発を起こして周囲にダメージを与える。
するとジロウがドンブラザーズの救援に参上するが、すぐさま闇ジロウに人格に切り替わってドントラボルトにチェンジし、ドンモモと競り合いながら放った「桃代無敵・アバター乱舞」と「雷刃・闇駆白虎」の同時必殺技を「ココハ何処!?」と真っ暗な空間に混乱している間に直撃し敗北・爆散した。
しかし、すぐさま欲望が暴走して科学鬼ングに変貌。「こうなったら一刻も早く元に戻してやる」と決意したイヌはドンブラザーズに合流し、科学鬼ングに対抗すべくトラドラオニタイジンへと合体する。
戦闘後、元に戻った瑞穂はようやく『秘密』を手にしたが、苦心して手に入れたその絵を、何と火にくべてしまう。驚く翼に瑞穂は、「これが武夫の望んでいたこと」と打ち明ける。武夫は生前、「この絵は失敗作。もし自分が死んだら燃やしてほしい」と瑞穂に頼んでいたのだ。
翼「失敗作?この絵が……違うな。武夫は自分の愛の大きさを知っていた。それは絵にできない程の……。その愛の大きさこそ、武夫の『秘密』だったんだろう」
瑞穂「『秘密』……馬鹿な人。そんなこと、とっくに知ってましたのに……」
『秘密』の一角には、モデルである瑞穂の絵を描きながら、幸せそうな笑顔を浮かべる武夫自身の姿も描かれていた。瑞穂は涙を浮かべながら、炎の中に消えゆく絵を見つめるのだった。
伊集院瑞穂
無実の罪で追われている翼に弟子入り志願した若い女性。青田武夫の遺作『秘密』のモデル。
『秘密』を高額で落札することにも戸惑いを見せなかったことから、実家はかなりの大富豪と思われる。その分、一般的な常識を理解していない所があり、 予告状を書いたのにその予告状にフルネームを入れて本末転倒なものになる等どこかズレている。
また、裕福な家庭に過ごしてきた影響か熱しやすく冷めやすい性分で、新しい事に興味があってもすぐに飽きて物事が長続きしなかったらしい。
ある日、絵画のモデルとして自身をスカウトした武夫と過ごしていく内に不器用ながら彼と惹かれあい、その後もモデルとしてアトリエに訪れる様になった。
しかし武夫は死去、『秘密』は彼の弟子の佐野に盗まれて所在不明になり、それを探し求めて東奔西走している間に、欲望に引き寄せられた科学鬼に取り憑かれた模様。
上記の通り、トラブルに遭いながらもなんとか翼の協力を得て『秘密』を手に入れ、知っていた武夫の抱く愛の大きさの“秘密”を再認識するのだった。
青田武夫
演:籾木芳仁
『秘密』を描いた画家で、翼と瑞穂が出会った時点では故人。
絵画展が開かれ、作品がオークションで高値で競り合いになるなど、かなり有名な画家だった様子。
瑞穂に対しては互いに恋心を抱いており、悪くない関係だったと推測される。
元から体が弱かったのか、既に死期を悟っていたらしく、描き上げた『秘密』を前に「この絵は失敗作。自分が死んだら処分してほしい」と瑞穂に頼んでいた。
佐野
演:湯木優輝
かつて武夫の弟子だった男。
武夫の遺作である『秘密』は、元々は彼が瑞穂に対して残した物だったが、佐野はこっそりアトリエから盗み出していた。さらにそれの贋作をオークションに出品したり、追及されると「手違いで、勉強のために模写した物を出品してしまった」と言い逃れするなど、面の皮が厚い悪人である。
ガードマンとして雇ったはるかをモデルに絵を描くなど、一応は自分流の絵のスタイルを確立させてはいるが、肝心の絵のセンスは個性派というよりはかなり独特。
贋作は簡単に見破られる、描いた絵も介人に「いらない」と(不愉快気に)きっぱり言い捨てられるなど、画家として色々不足している部分も散見される。
余談
- モデルとして使われた戦隊は科学戦隊ダイナマン。スキンの「夢の発明」はおそらくダイナマンの指揮官である夢野久太郎博士と彼の拠点である夢野発明センターと考えられる。
- デザインイメージの一つとして、有尾人一族ジャシンカ帝国の進化獣やメカシンカを産む(メカ)プログレッサーと生命のスープ、及びそれを巨大化させるビッグバンプログレスにビッグバンビーム等を統合していると考えられる。
- 宿主は絵画を手に入れたいという欲望でヒトツ鬼となり、ドンブラザーズの面々もそれぞれの思惑で絵画を取り合うこととなったが、原典の第48話でも、とある人物の肖像画を巡って、敵味方入り乱れて奪い合うシーンがあった。肖像画を描いた絵描きは、モデルの人物のかつての恋人にして既に故人という設定であり、その辺りも本作のモチーフになった模様。
- 「完全読本」によると、左右に塗り分けられた顔面は映画『ウォリアーズ』に登場する野球チーム「フューリーズ」のメイクがモチーフで、ダイナマンのモチーフの野球に沿ったものになっている。
- pixivでは登場以前にオリジナル怪人として科学鬼が投稿されていた。
関連タグ
快盗鬼:泥棒を宿主としたヒトツ鬼の前例。
海賊鬼:宿主の自我を残し、理性的に活動したヒトツ鬼の前例。漫画=創作物関連者でもあるが、コイツの起こした行動は完全な私利私欲で同情の余地が皆無。
忍風鬼:「映画は爆発だァァァ!」という台詞がある。
アナザービルド:科学者のヒーローを歪めた存在。赤と青のカラーが共通している。
タローマン:宿主が絵画泥棒かつ元ネタの爆発という要素からこのヒーローを思い出した人が相次いだ。奇しくも「太郎」繋がりである。